四月一日にアップすると、まるでウソッパチになってしまいそうなので、あえて1日ずらしたのだ。(ウソだけど)
卯月は卯の花、オカラつながりで、豆腐の搾りカスみたいな雑談で済ましておこうかと思ったが、広げた風呂敷いつかは畳まねばならぬ。
普段より、3%以上の余計なモノまで買物することの意味は俄に理解しかねるが、写真機材では並行輸入品の価格変動など、週単位で税率どころではない激動の市場である。
今日より明日、来週より来月の方が安い場合もあれば、当然その逆もあるのだ。今買わないと、二度と手に入らない可能性もゼロではない。
肝心なことは、己の価値観に従ってその価格に納得して購入したモノなら、まったく損など無いのである。
いつ買ったか幾らで買ったのかなど、いちいち気にしているヒマがあったらどんどん使い倒して、買って良かったと思える日が一日でも多い方が、たぶんお得だ。
撮り合えず一回目は、現行機材の導入に至る経緯から、その選定基準や情報の少なさから、迷走した足跡などを辿ってみる。
今から思えば、随分と遠回りをした部分もあっただろう。
だが、使用経験もない機材をいきなりこれが決定版と与えられても、いやタダで貰えるならもちろん喜んで頂きますけどね、配送ですか?もとい、ハイそうですかと素直に従うほど、真直ぐな性格でもない。
今の時代、商品情報には事欠かないが、製品情報となるとせいぜい仕様諸元止まりで、マイナーな機材になるとそれさえ怪しい。そして、情報量に割に知りたいことは得られないことも多いので、おのずと興味を持ったモノは人柱となることもある。
当然スカを喰らうこともあれば、イマイチ自分の用途に合わないものも出てくるが、あまり批判的な情報を積極的に晒す気にもなれないし、だいたいそんなのものために、時間を裂くのも惜しい。
使わない機材は、処分するなり転売するなり、きれいさっぱり決別できれば話は簡単なんだが、試行錯誤も含めて自分のモノである限りは、そう簡単に手放せない。
最近では、デジカメを筆頭に写真機材の中古市場も、以前より拡大はしているのだろう。だが、いくら新機種の値崩れが早いにせよ、中古相場に対して下取りや買取りの価格は、アホかというぐらいに安い。
金銭的な価値に置き換えると、購入時の自分がよっぽどマヌケに見えるが、転売価格を前提として製品を選択するほどバカでもない。
あくまでも、自分自身の価値基準を信じるしかないのである。
で、置き場もないのに、どんどんロクでもないモノが溜まって収拾がつかなくなる。せめて、何処かにこんな記録でも残しておけば、少しは整理がつくのではないかと思う。
[機材の選定基準]
従来、機材の選定において、最も重視したのはコストパフォーマンスであり、期待する機能性能が同じなら安い方がお得、また多少値は張るものの納得出来るならそれはお値打品、というのが基本方針であった。
コストが変われば、たとえパフォーマンスが同じでも評価は変わるし、望む性能が上がったり視野が拡がることでも、価値観は微妙に変化する。
したがって、現状とかけ離れた過去の情報に惑わされないためにも、己の評価基準に照らし合わせた再評価というのも必要になってくる。
コスパ重視の選定で問題になってくるのは、予想外、想定外の例外処理を如何に上手く解決できるかであり、場合によっては最初の構想から見直さなければならなくなることだ。
初期段階では、情報不足により各製品の仕様に関して、細部まで把握できていなかった。そのせいで、試行錯誤を余儀無くされた経緯がある。
また、公表されている仕様と異なる製品も多い。情報が足りない上に、それさえ当てにならないというのは困ったもので、その点では輸入品の中でも群を抜いている。
それは、コストを優先する場合のデメリットと考えがちだが、価格が高ければ信頼度も高いとは限らないのは、写真機材の特殊性のようにも思う。
結局は、個人の使い方に合うか合わないかの問題であり、実際に検証してみないことには判断できないのである。
だが、精度や信頼性などの基本的な部分では、その価格なりの高いレベルを維持しており、中国製といえどもその他のジャンルに見受けられる粗悪品とは、別次元であることを身をもって体験したのも事実である。
[現行機材の概要]
導入当初、三脚は軽いことに加えて、多彩なアングルが可能な機種を前提にマンフロットのカーボン3段を、また一脚は軽さだけでなく嵩張らないことを優先して、シルイのカーボン6段を選択した。
いずれも、DP Merrill シリーズでの使用なら十分な強度と軽さを有する上に、コスパにも優れる。
最近、マンフロットの190/055 シリーズはフルモデルチェンジが行われた。かなり改良されたようだが、まだオンラインサイトでは見かけないし、実際に使用してみないことには論評できない。
スペックを見る限り、重量が増加しているのが残念である上に、 出始めは旧製品に比べると価格も大きく上昇すると思われ、コスパ重視の観点からはあまり食指は動かない。
また、三脚の多彩なアングルに対応するため、カメラ側にもL型プレート(Sunwayfoto PML-DP)を追加し、レンズを中心に縦横自在に取付けることができるよう考慮した。
雲台については、三脚用に自由雲台(SIRUI K-20X)一脚用として1ウェイ雲台(SIRUI L-10)と、教科書通りの無難な選択をした。
多彩なアングルを設定することが可能な、マンフロットの 190 シリーズの特性にあわせて、自由雲台は独立したパンベースを持つ機種が前提の選択であった。
当時のコスト的な観点からは、SIRUI の K シリーズが最も魅力的であり、スペックから判断可能な情報は把握していたつもりだった。
詳細な使用記事も少ない状況ではあったが、使用者の感想も一様に良好なものが多く、自ら実際に使用した感触も概ね同様だった。
だが、水平基準の問題を発端に、レベリングベース導入の頃から疑問を持ち始めた。製品そのものは、仕様の範囲内であれば何も問題はないが、要求が変化してくると、その仕様の方にも不満は出てくる。
その独立したパン機能も、センターポールを倒したローアングルでは期待通りの機能が発揮されたが、肝心のノーマル状態では、三脚レベルで水平をキッチリ出していないとそのメリットは生かせない。
また、前述のL型プレートとの組合せでは使いづらい点なども気になり、SIRUI 製品以外の選択肢も検討する必要を感じ始めた。だが、これが試行錯誤のほんの入口に過ぎないことは、その時点ではまだ気付いていない。
SIRUI の場合、トッププレートが固定であることが、自由雲台はボールの回転で対処できるが、1ウェイ雲台の L-10 では致命的になる。アルカ互換のベースも一方向では、何かと制限を受けやすい。
この問題は、DP1 Merrill での使用が多いので、90° 単位でいずれの方向からも使用可能なクイックリリースプレート(Sunwayfoto DPG-39)を導入し、グリップ機能しか持たない UNX-9121 との2階建てにすることで、当面は回避した。
今から考えれば、問題が発生する度に行う対処療法では、一時的なコストは抑えられても、根本的な問題を解決できないことで、問題の先送りにしかならないことがわかる。
最終的なコストパフォーマンスは、必ずしもコスト方向だけでは向上しない。時には、パフォーマンス側の改善の方が、より効果的な場合もある。
だが、それも比較対象があって初めて実感する。踏み台としてのコストは、安い方がその後の修正もしやすいので、あまり最初から飛ばさない方が無難であろう。
[水平基準]
風景撮影の場合、傾いていることが分かる被写体、例えば建築物であったり鉄塔であったり水面であったりと、必ずしもそれ自身が基準とはなりえない対象が多い時は、何らかの拠り所として水平の基準を設けておく必要がある。
でないと、たまたまフレーム入ったモノを基準にするとロクなことにならない。特に電柱など、傾いていないのを探す方が難しい。
カメラと水準器に言及するなら、後付けのアナログな気泡管水準器などに、ホットシューと撮像素子の関係にまで及ぶ厳密さを求めても不毛であり、機種ごとに微妙に異なる表示は、自分自身で妥協点を検証し把握するしかないのである。
ましてや、カメラ内蔵の電子水準器など、おちゃらけな ±1° という気休めにもならない精度しか持たないものが多いことも、その後の調査で目の当たりにした。
ホットシュー上に適当に取付けた、気泡管水準器でも認識できる、±0.3° 以下の精度が実現出来ないなら邪魔になるだけで、少なくとも風景撮影には無い方がマシである。
一見頼りになりそうにない円形水準器でも、基準になるポイントを把握していれば、そう大きな再調整が必要になることもない。
特に後述のレベリングベースなど、水準器命みたいな製品であるにも関わらず、本来の水平でバッチリ中央を指すモノは珍しい、と考えていた方が良い。
ぶっちゃけ、水準器の精度よりホットシューのバラツキの方が、大きいのではあるまいかと思う。(04/10 訂正:正しくは、気泡管そのものではなく、水準器のベースでホットシューへの取付部分の精度)
言い換えれば、水準器とカメラの相性みたいなものの方が、最終的な写真に現れる影響としては大きい。その辺を把握していないと、2〜3台を同時に使う場合に混乱が生じる。
これは、実際の中央点を探るまでは、撮影された写真と突き合わせて確認するしかないのであるが、出来れば安定した精度が期待できる製品を選択したい。
現状、我 SIGMA DP Merrill では、UNX-5685 と HCL(堀内カラー)が相性が良いようだが、いずれも DP1 Merrill の場合に限り、
しかし、これとて DP2M/DP3M がL型プレート(Sunwayfoto PML-DP)、DP1M がグリップブラケット(UNX-9121)と クイックリリースプレート(Sunwayfoto DPG-39)の組合せという違いがある。
厳密大好きというのであれば、水準器の精度を疑う前に確認するべきことは山ほどある。複数台を使い分ける前提であれば、あまり相互の互換性にこだわるよりは、誤差を把握し撮影時に微調整を施すか、相性の良い組み合わせを選択する方が手っ取り早い。
そこを無視して個々の製品に対する精度云々の話は、無駄にコストと時間を浪費するだけである。
目的は、各カメラでの水平レベルであり、水平基準はその手段でしかないのだから、いざとなれば例外として処理するしかない。
この場合は自由雲台の自由度を利用すれば、比較的簡単に補正することは可能だ。しかし、水平を維持したままパン機能を有効にするためには、その都度再調整が必要になる。
一度合わせた水平を如何に維持するか、という用途からの要求に応えるために、各機材の精度と制限を以て積木のように組上げていくのだが、教科書通りでは、必ずしも全てが上手く行かない。
あるいは、どの段階で基準を決定するべきか、または崩すべきかによって、機材の選定にも少なからず影響を及ぼしていたように思う。
自由雲台も、ある程度特性を把握してしまえばその自由度を最大に生かした上で、任意で制限を設けることも可能である。そのためには、機種選定段階でかなり厳密な仕様の確認と、導入後の検証が必要になってくる。
[レベリングベース]
そのような場合、レベリングベース(Sunwayfoto DYH-66i)は柔軟な対応に適しており、基準を作ることも崩すことも、また別の基準にシフトすることも可能である。
特に、三脚自体を移動した場合など、元々の前提が大きく変わった時に、自由雲台のボールによる水平出しは簡単ではあるが、状況に言ってはよっては煩わしいものだ。
もちろん、最終的にはカメラレベルの水平が出ていれば問題はないし、またそれが簡単に実現出来ないようでは、高価な機材に投資する意味はない。
雲台に求められる基本的な動作は、パン/ティルト/スイベル(またはローテイト)の3軸であり、各方向が独立した動きでコントロールされる3D雲台は数多く製品化されている。
しかし、動作に制限を設けることによって使いにくさも合わせ持ち、ハンドルやレバー類など収納性や重量の点でも、またその動きのスムーズさも自由雲台のようにスマートにはいかない。
ひとつの解決策は、パンニングクランプであり、一定方向に制限を設けた上で足りない部分を徐々に補うというアプローチである。カメラ一台に対してなら、これだけで大抵の場合対処できる。
だが、当時のパンニングクランプの価格は、今よりも随分と高価であり、汎用性を持たせて上手く使い回していかないと、別の雲台を追加した方が安い可能性もあった時期である。
この時点では、ボトムプレート(AM-02)が付属するパンニングクランプ(Sunwayfoto DDH-03)が最適な選択であり、SIRUI L-10 の抱えるトッププレートの交換はおろか、方向さえも変えられない問題は解決する。
今なら、新しいロングノブバージョン(Sunwayfoto DDH-03i)の方が価格も安くなっているが、雲台によっては干渉の可能性もあるので、選択肢としてショートノブ版の復活も望みたいものだ。
この時点で気付いたのが、初期段階で選択した機種において、その後に発覚した問題の解決策を探すと、必ず出てくるメーカがあることだ。
ここまでの、追加製品を以下に列挙すると、
L型カスタムブラケット(Sunwayfoto PML-DP)
クイックリリースプレート(Sunwayfoto DPG-39)
レベリングベース(Sunwayfoto DYH-66i)
パンニングクランプ(Sunwayfoto DDH-03)
となり、俄然このメーカに注目が集まる。
その後2ウェイ雲台(Sunwayfoto DT-02D50)導入により、カスタマイズ機能とシステマティックな製品展開が、根本的な解決の糸口となるのではないかという、確信に変わっていったのである。
以下、次回につづく(たぶん)
…ということで、今月もヒトツよろしく。
2014年04月某日 Hexagon/Okayama, Japan
http://www.hexagon-tech.com/
[2014.04.02] 自由への回帰:試行錯誤 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく
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