2014年5月12日月曜日

鉄撮りの練習:其の九ノ壱(智頭急行前編)

なかなか練習が終わらない、鉄撮りの練習シリーズである。

これは、ひょっとして練習のみで、生涯本番は無いのかもしれない、という気もしてきている今日この頃。

ま、それならそれでかまやしない。百パー趣味の写真、結果はどうあれ過程こそが重要だ。

岡山駅からの路線は、在来線では山陽本線の他に当駅が起点の宇野線、津山線、吉備線を始め、赤穂線、伯備線なども乗り入れている。

県内には上記の他に、津山から鳥取に至る因美線、備中神代を起点として広島までの芸備線、兵庫県の姫路から津山を経て新見に至る姫新線、兵庫県の上郡を起点として鳥取県の智頭に至る智頭線なども通っている。

また、JR線以外では、井原鉄道や水島臨海鉄道などもあって、路線の数だけは結構多い方だと思う。ただ、県内ではその路線を走っている車両にあまり目新しいものはなく、旧国鉄時代からの車両が大半を占めている。

で、たまには変わった列車も撮って見たくなるのが人情だ。

ちょっとだけ、岡山県を外れてみるのも一興かと考え、今回はスーパーいなば(キハ187系)へのリベンジを果たすべく、智頭急行線の区間に狙いを定めてプチ遠征してみたのである。

そんなわけで、鉄撮りの練習シリーズ第九弾の前編だ。

智頭線は、兵庫県赤穂郡上郡町の上郡駅から、鳥取県八頭郡智頭町の智頭駅に至る智頭急行の鉄道路線である。途中、ほんの僅かに岡山県側をかすっているが、京阪神と鳥取を結ぶ短絡線としての意味合いが強い。

開通までの、すったもんだの歴史はここでは割愛するが、前述の井原線と並んで、かつては開通の見込みは絶望的と思われていた路線でもある。

この路線を通る特急は、岡山発の「スーパーいなば」に加えて、京都発の「スーパーはくと(HOT7000系気動車)」も運転されている。「いなば」と「はくと」を合わせて因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)の神話に引っかけているらしい。

いなばも部分的に黄色なだけでそっけないデザインだし、はくともボディカラーは青が基本のステンレス製でしかなく、何処も白ウサギというほどでもないので別に面白くはない。いっそウサ耳でも付けてイタ電にすれば、一部にはウケが良いだろうにと思う。

それでも、流線型の先頭車両のデザインは、瀬戸大橋線の 8000系電車特急しおかぜより、個人的にはマシだと思う。(気動車だしね)

で、実際にその路線を辿ってみて、愕然としたのである。

上郡から北の山岳部に入れば、少しは速度も落ちようと考えたのが甘かった。この路線、鉄建公団の新線なので殆どが高架線になっており、いなばもはくとも山間部であろうが、全力疾走しているのだ。

ま、考えてみりゃ当たり前で、昔の山陰本線の特急に引導を渡すべく建設が再開されたぐらいだから、そんなにノンビリと走っているわきゃあないのである。

そんなことに気付いてから、上郡駅から先へ行く足取りも俄に重くなってしまった。姫新線の上月あたりで、岡山県側にはやってこないキハ122系気動車でも撮ってお茶を濁しておくかとも考えた。

姫新線は、兵庫県の姫路駅から津山を経て新見駅に至る地方交通線である。地方交通線は、幹線と異なり特別急行などの列車は運行していない。

姫新線といっても現在は名ばかりで、その実態は姫路〜佐用(上月)・佐用〜津山・津山〜新見の3つに分かれており、全線を通して運転される列車はないそうだ。

姫路〜上月間は、前述のキハ122•127系が運行しているが、佐用〜新見間では芸備線や津山線でも見かけたキハ120系、津山〜新見間ではお馴染の見飽きたキハ40•47系のみの運行である。

ちなみに、このキハ122系気動車は、90年代の製造である見るからにブサイクで雑な外観のキハ120 などに比べると、その湾曲した広い前面ガラス面積など、2000年以降に設計・製造されたキハ189系特急形気動車などにも通じる、より洗練されたデザインにも見える。

これは、同じ製造会社の単なる年代の違いだけでなく、新潟鐵工所が潰れて、新潟トランシスになったことも影響しているのだろう。 かつて、京浜東北線で蒲田に通学していた時に目にした、およそ鉄工所という名前に不釣り合いな、新潟鐵工所のデカイ本社ビルを思いだす。

なんでもいっぺん潰れりゃ少しはマシにもなる、ということなのかもしれないが、何かが犠牲になるのは避けられないはずだ。

この日、上月で見かけたキハ122系気動車も、当駅からまた姫路方面に引き返して行く。

この手の新製車両、費用の一部を県や沿線自治体も負担することが背景にあって、岡山県側である隣の美作土居へは、そう気軽に行けないようになっている。

また、上郡から上月に来る途中の国道373号線からも、千種川周辺の大規模な護岸工事を目にした。何かと、貧しい上にドケチな岡山県と、羽振りの良い兵庫県の違いを見せつけられる思いである。

ちょっと調べてみると、このキハ122系気動車は、姫新線輸送改善工事に伴って導入されたもので、その事業費の一部は兵庫県、姫路市、たつの市、佐用町が負担しているらしい。従って、金も払わない岡山県側へ走らせるのは、よっぽど悔しいに違いない。

駅名を表示する看板も、会社が違いますとばかりに兵庫県は朱色、岡山県は紫と色が異なる。線路は続くよ何処までもとはいいながら、見た目は長閑な一本の路線にも、目には見えない境界線が存在している。

某国営鉄道会社の頃には、さほど気にならなかった境界線があまりにも明確になり過ぎて、公共交通機関のあるべき姿としては、如何なものかという気もする。

それにしても、相変わらず岡山は、何をやっても半端な県であることを再認識させられる。ま、そこが岡山の魅力だが、県境あたりに住んでいる方々は、いったいどう感じているんだろうねえ。

そんなこんなで、上月でキハ122を撮っている内になんかムカついてきたので、気を取り直して佐用から先の智頭急行線を撮りに行くことにしたのだ。

そのへんは、次回以降の後編(鉄撮りの練習:其の九ノ弐)につづく、…かな?


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年05月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.05.12] 鉄撮りの練習:其の九ノ壱 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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