2016年1月11日月曜日

雑談の散歩道:其の七

年が明けても、一向に冬らしい寒さになる様子はない。

まあ、この冬も今週あたりから本気を出すらしいが、日中の陽が差しているうちは寒さも和らぐので、先日も陽気に浮かれてセローで散歩に出掛けてみたりしている。

カメラは DP2M のみを持参、よほど気が向いた時だけ撮ろうという、あくまでも散歩がメインのお出掛けだ。

秋口にも一度訪れていた、久米南の棚田をブラッと回っただけで帰ってきたのだが、以前と同様これといった成果はなかった。それでも、前回の年賀状に使った黒金糯(くろがねもち)はこの日に撮った写真で、実はわりと鮮度の高いものだったりする。

本当は、冬の陽を浴びてもっと鮮やかな、真っ赤に輝いているのを撮りたかった。また、そんなモノも幾つか見かけはしたのだが、たいていは民家の庭先にあることが多く、あまり怪しい風体の輩が入り込むのも憚られる。

一声掛けて、了承を得れば済む話なんだが、静かな正月とあって庭先には人影もなく、個人的な都合で他人を煩らわせるのものアレだし、公民館風の建物に近いところで妥協したのである。

ま、そんなこたあどうでもいいのだ。

今回より「インドアでも楽しめるアウトドア」シリーズとサブタイトルも微妙に変っているが、間違い探しのレベルでしかないので気にせず進めることにして、昨年よりの続きである。


前回のミニに続いて、今回はセローの不具合である。

といっても、ショップに持込むような深刻なトラブルではない。だが、年末には点検を怠るべからずという教訓を得たにも関わらず、まるで学習機能が働いていないことを露呈する羽目になったのである。

帰路、空港辺りまで帰ってきたところで、信号待ちのためシフトダウンしようとしたら、なんとシフトレバーが無い。というか、厳密には所定の位置に存在していない、というのが正しい。要は、レバーをフレームに取付けてあるネジが緩んで外れてしまい、レバーがブラブラとぶら下がった状態になっていたのである。

慌ててクラッチを切ったまま、脇へ寄せ緊急停車してサイドスタンドを出す。と、センサが働いてエンジンが停止する。最初、この仕組みを知らなかったために、矢掛の山中で一瞬血の気が引いたことを覚えている。

サイドスタンドを仕舞わない限り、ギヤを入れた途端にエンジンが止まるのだ。運良く iPhone も圏外ではなかったので、即座に戸田屋へ電話をかけ、当該の機構について説明を受けて事無きを得たのだ。

落着いてよくよく考えたら、納車時に受けたレクチャーにそんな機能があるようなないような、そんな話を聞いた気もする。納車当日は、早く走りたい気持ちで一杯で、まるで耳に入っていなかったのだろう。人の話をいい加減に聞き流していると、ロクなことがないという好例である。

シフトレバーをフレームに取付けてあるネジは、プラスやマイナスドライバーではどうにもならない、六角レンチが必要なタイプである。それも、結構大きなサイズ(6mm)だから、一時好んで持ち歩いていたビクトリノックスのサイバーツールに搭載された、ビットドライバごときでは太刀打ち出来ない。

六角レンチといえば、雲台などのカメラ機材でも使うこともあるが、バッグに入っているカメラ用のモノは、最大でもせいぜい 4mm までしかない。当日持ち合わせていたツールで使えそうなのは、レザーマンのウィングマンとスクォート PS4 のプライヤぐらいだ。

ネジ自体、レバーに付いたままになって紛失していないのは、不幸中の幸いだったろう。取りあえず、手締めで締まるところまで持って行き、ウィングマンのプライヤで増し締めしてみるが、さすがに少々心許ない。まあ、自宅までそれほど遠くもないところまで帰ってきているので、無いよりマシ手締めよりマシ、という程度でも問題はあるまい。

あらためてエンジン周りを眺めてみると、六角レンチの必要性が高いことが窺える。それも各種サイズを取揃えていなけりゃ、万全とは言えないほどバラエティに富んだ構成だ。

帰宅後、幾つかある六角レンチのセットのうちの何れかを車載しておこうかとも考えたのだが、当面必要なサイズに対してあまりにも範囲が広過ぎる。最大サイズはさておき、最小サイズに近い方の幾つかはセローに対して先ず出番がなさそうだし、カメラ関連のサイズと重複するものが多い。

そういえば、昔自転車用に購入した、そしてその自転車と共に忘れ去られてたラレーのツールが何処かにあったはずだ、と思い出す。押入れの中を引っかき回して捜索すると、ここ十年ほど手付かずになっていた道具箱の1つの中にひっそりと、一度も使ったこともないパンク修理キットやニップル回しなどと共にそれはあった。

久しぶりに手に取ってみると結構重たいが、プラマイドライバやボックスレンチなども一緒になっているので、まあよかろうということにした。

以前、転倒した時の教訓で積み込んだメガネレンチと共に、そうでなくともあまり使いでのない、タナックスのタンクバッグのデッドスペースにでも納めておこう。

ま、こうしてだんだんと荷物が増えていくんだが、おそらくかなり高い確率で、今後それらが使われる場面に遭遇することはない。だいたいにおいて、そういった法則が存在するのも紛れもない事実なんである。

だが、モノは考えようで、対策を講じることで問題の発生を抑制できるなら、それはそれで一向に構わない。

それにしても、役立つ道具も困った時などの緊急時ばかりでは、あまり面白くもない。それよりもう少し出番も多く、そしてなにより使って楽しい道具の話をしよう。

キャンプやツーリングなど、野外で使うマルチツールというのは、前述のように道具や機材、ましてや単車などの修理でもしない限り、レンチやドライバなどの工具類より、ナイフの方が圧倒的に多い。

要するに、切ったり削ったりという刃物類の出番が多いからで、それに次ぐのが、何かを掴んだり挟んだりというペンチやプライヤの出番である。野外では、捻って捩じって回すような行いより、遥かに多いのだ。

たとえば、シエラカップなどで湯を沸かすと、把手の部分でも軍手程度では熱くて持てないこともある。厚手の革手袋という手もあるが、着けたり外したりが結構面倒だ。そんな時は、プライヤで掴むのが手っ取早い。

ミニでの外出時には車載工具もあるし、そこそこの大きさのプライヤを常備していたので、あまりマルチツールの必要性も感じていなかった。だが、セローでの撮影行やツーリングとなればまた話は違ってくる。

極力荷物は減らしたいし、できればバッグではなくポケットなど、手近な範囲に収めたいと思うのが人情だろう。そんな場合、バックツールのような、プライヤをメインにしたマルチツールが重宝する。

暫くミニのトランクに積んだまま、その存在さえも忘れかけていたのだが、セローでのツーリングが始まった昨年あたりは、俄に活躍の場面が増えたのある。いざとなれば、小さいながらもブレードも装備しているから、たまたま手元にナイフがない状況でも何とか凌げるという安心感もある。

また、レザーマンと大きく異なるのが、その特徴的なメインツール展開の仕方である。

黎明期のレザーマンは、コの字型の鉄板を折り曲げて作ったようなシンプルかつスパルタンな構造のために、どうしてもプライヤのヘッド部分を収める側のエッジが、手のひらに食い込んでくる。特に力の要る作業は、素手で行うのは躊躇させられた。

その点、バックツールは握りの部分が反転しないので、収納状態のソフトなタッチを維持したままプライヤが使用できるところなど、ガーバー・マルチプライヤにも共通する美点であり、後追いメーカならではの工夫が功を奏している。

ま、ガーバーの場合、メインのプライヤ以外のツール類は、その作りや動作なども残念過ぎる出来でしかなかったので、程なく引き出しへ幽閉状態に成り下がってしまった。今にして思えば、純粋に工具としてみれば、あれはあれで問題はなかったような気もしているのだが、積極的に使いたくなるには何か足りない部分もあったに違いない。

バックツールには、その辺りが多少あったと感じていたようで、出番そのものはそれほど多いわけでもないのだが、よく持ち出していたことは確かである。

特にセローが来てからは、ほぼ百パーの出席率を誇り、実戦での出番も増えつつあった。だが、今回キーチェーンツールの更新にあたって、定番のレザーマンも候補に入れたことにより、このクラスにも興味が湧いてしまったのだ。結果として、バックツールにもテコ入れが行われる羽目になったのである。

従来はビクトリノックスと違って、レザーマン自体にはさほど興味もなかったので、暫く見ないうちにそのラインナップも全く変わってしまい、何が何だか分からなくなっていた。それでも、マルチツールのメジャー製品だから情報は豊富にあるので、おおまかな全容は何となく把握出来たつもりだ。

それによると、ヘビーデューティという個人的には金輪際縁の無さそうな超高級品、フルサイズと呼ばれる一般普及品、ミドルサイズという少し小さめ(といっても必ずしも安い訳では無い)の製品群、そしてキーチェーンツールという、正にキーホルダが前提になっている小型版などが基本構成である。

これ以外にも、レスキューツールというハサミメインというより、そのものズバリにしか見えない製品や、一見しただけでは用途も不明なポケットツールはまだしも、ウェアラブルに至ってはそのコンセプトも価格も到底理解し難く、極めて謎の多い製品群も存在する。

マイクラの後継探しにあたって、先ず思いついたのはキーチェーンツール群のスタイル CS である。メインツールはハサミであるところも同じだが、機能数としては大幅に削減されている。外見上で惹かれたのは、本体そのものがカラビナのようになっており、いかにも新し気なそのデザインである。

ハンドルになる部分は非対称になっており、同シリーズの斬新な外見上の特徴となっている。また、メインツールを展開しなくてもサブツールが使える点など、マイクラ世代に比べて使い勝手も大きく向上している。機能数では遥かに及ばないが、従来使用してきた経験上、メインツールのハサミ以外の使用頻度は極端に少ないので、さほど困らないだろうとは予想していた。

ただ、レザーマンを更新するなら、プライヤ搭載モデルを抜きに選定するのも片手落ちであろう。ビクトリノックスの方で、プライヤを装備したモデルになると結構サイズ的にも大きくなる。このシリーズには、同じサイズでプライヤをメインにした兄弟機種があることを知って、当初はそちらのモデル、スタイル PS を導入してみたのである。

都合のよいことに、サブツールとして、ビクトリノックスのクラシックに近いサイズのハサミも装備している。ブレードレス構成だが、他のツールがナイフを持つ可能性が高いし、いざとなればウェンガーなどのハサミと違って、大きく開く片刃が小刀替わりになりそうだ。

従って、キーチェーンツールとしては、たとえブレードレスであっても、それが直ちに問題になることはないだろうと考えていた。

ところが、実際に使い始めてみると、交代した途端になぜかナイフが必要になる場面に、何度も遭遇するのである。野球でいうところの、替わった所へ打球が飛ぶという、アレみたいなものだな。

今迄、殆ど使うことのなかったマイクラのブレードだが、それはメインツールを展開しないと出せないから面倒だというのも理由のひとつだ。そして、その役割は今回同時に引退させた、もう一つのキーセットについていた、ガーバー・ウルトラライトが担当していたような気がするのである。

この度は、大幅に EDC のローテーションを変更したため、ガーバーの後継候補であるクラシック AL もその時は手元になく、ハサミの片刃では間に合わない用途が、たまたま度重なっただけともいえる。

しかし、気になり出したらどうにもならないもので、我用途ではブレードレス構成というのは許されない、という結論に達したのだ。で、当初の計画に戻りその交代要員として、スタイル CS の追加導入となったのある。

手元にある、スタイル PS/CS の両方を並べて眺めていると、確かにどちらも道具としては良く出来ており、これはこれで不満のない製品なんだろうと思う。

だが、この手のツールはどちらか一方を持てば、必ずといっていいほど、もう一つの機能が欲しい場面に遭遇するのがお約束となっており、それはもう法則といっても過言ではないのだ。その上、自分が持っている所有しているにも関わらず、たまたまそれが手元にない時の悔しさといったら、筆舌に尽くし難い。

いずれ、悟りを啓くレベルに達することが出来たなら、一切の煩悩を断切り何も持たずに外出することにさえ、躊躇することもなくなるのだろう。だが、それはもう少し先になりそうだし、少なくとも今年ではない。

実は、交代までの短期間にも、スタイル PS のミニプライヤはたいへん便利に使っていたので、いきなりそれがハサミに戻ってしまうのは一抹の寂しさも感じる。かといって、ひとつのキーセットに二つものキーチェーンツールというのも馬鹿げているので、何か解決策はないかと探っていたのだ。

パーツの構成要素としては、メインはプライヤで一向に構わないのだが、サブとしてそこそこのブレードは欲しいところだ。その上で、ハサミとヤスリがあれば、理想的なんではあるまいかと漠然と考えていた。

それ以前、バックツールの後継として、例のソロキャンプムービーの影響から、思わずゲットしたウィングマン(サイドキックのノコギリ改めハサミバージョン版)は、ほぼこれに近い構成だ。しかし、如何せんサイズと重量(198g)が、スイスチャンプ(188g)さえも上回るヘビー級なんである。

その分、メインのプライヤが実用性を持っているので、最近では持出し用メインツールの役割を一手に担っており、その存在価値は充分にある。だが、今回のテーマはあくまでも、サブツールとしてのキーチェーンツールである。

当初、製品画像から想像していたモノより遥かにコンパクトだった、スタイル PS/CS シリーズである。もちろん、キーチェーンツールとしては申し分ないのだが、メインとのギャップが大きいのも事実で、その中間を埋める存在にも興味が湧いてくる。

プライヤメインでそこそこのブレードという線なら、物は試しとばかりに某ヤフオクで手に入れた、フリースタイルやスケルツールというのもある。事前の調査である程度覚悟していたが、こいつらはミドルクラスでありサイズ的(87mm/100mm)重量的(128g/142g)にも、およそキーチェーンツールには向かない。

プライヤのヘッドが、少々大き過ぎると感じたウィングマンよりサイズ的にマシに見えたのと、その部分のデザインも何となく好みだったというのが主な理由での購入である。そんな、見た目に惹かれた勘違いによる導入だから、想定外の落とし穴も多く、プライヤとしての使い勝手は、当然のことながらウィングマンには及ばない。

このミドルサイズのシリーズ、その価格が納得できない最たる理由なんだが、価格のこなれた中古品でなら凌げないこともない。ただし、レザーマンの場合、実用性が高い分荒い使われ方や手入れの行き届かない品も多い。未使用の新品同様でもない限り、程度の良い中古というのは極めて少ないと思った方が良いだろう。

結局、レザーマンが新しいコンセプトを提案しているスタイルシリーズでは、個人的な要求を捌ききれないという根本的な問題行き当たる。

複数のツールで、組合せによる連携で凌ぐという手もあるのだが、理想的な構成が出来るまで相当な時間も掛かりそうだし、取り合えずキーチェーンツールだけは、従来のマイクラ以下にはしたくなかったというのが、ぶっちゃけたところだ。

そんなわけで、コンセプトとしては、皮肉にも以前のマイクラの延長上にあるスクォート PS4 という製品が、少なくとも現時点での理想形であろうという結論に至ったのである。

ところで、常時複数の刃物を持ち歩いていることが多いのだが、屋外では不思議とその全てが手元にない状況というのも、結構な頻度で発生する。その原因は、たぶん道具の組合せとか構成以上に、運命の巡り合わせ的な要素が多分に含まれているような気がしてならないのだ。

まあ、しかしながら如何に某オクで安かったとはいえ、三色とも全て調達するという暴挙には、かなり真っ当な理由付けが必要なわけで、そのあたりは次回までには考えておくことにしよう。



…ということで、ヒトツよろしく。

2016年01月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2016.01.11] 雑談の散歩道:其の七 〜より転載&加筆修正
本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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