2011年7月23日土曜日

ライヨン

午後11時過ぎ、後先を深く考えず速攻でダウンロード&インストール。

で、当然のことながら、目がテンになること多数。

事前に主だったファイルはバックアップして準備万端のつもりだったが、メディアもないのにどうやってクリンインストするべ? …などと、そんな素朴な疑問さえも解決できないままの突貫作業。

一応、6月6日以降に新規購入した Mac はあるので、アップデートプログラムに申込むつもりでいたんだが、目の前に出てしまえばそんな悠長なこともいってられない。詳細は割愛するが、とにかく横着はいけんぞな、と死んだばあちゃんにもよく言われたもんだが、乗りかかったタイタニック、航海先に立たず、後悔役に立たず。

取り合えずダウンロード後、インストーラの指示にそのまま素直に従ったため、現在使用中のMacに上書きインストールしてしまったんだが、やっぱロクなことはない。

さすがは、初日全世界の100万人以上のユーザを巻き込んだ、壮大なベータテストイベントである。

ま、その後にインストール時に作成される別パーティションで起動すれば、初期化&インストールも可能であることが判ったので、あらためて再度挑戦するつもりであるが…。

ただ、最初のインストール後に短時間使用してみた感想は、良くもあり悪くもありで、玉石混交といったところか。

さしずめレオパルドはスノレパのベータ版に過ぎないが、ライオンはスノレパに獅子の皮を被せたような、全体に何かこうゴチャゴチャした印象を受ける。

内部的には、そんないいかげんなものではないと信じるが、以前のメジャーアップデートのようにルック&フィールの大きな変更がないにもかかわらず、ある面においては必要以上に派手に、またある面においては、ただひたすらどんどん地味になっていることもマイナスイメージにつながっているようにも思う。

もちろん、なんでも目先を変えればいいってもんでもないし、不必要な変更は混乱を招くだけだ。

しかし、毎度のことながら一般の目にあまり触れないところでは、結構手抜きされているような気もする。

ロゼッタがなくなることは以前から情報として得ていたが、いざなくなってみると結構ショックが大きい。それだけシームレスに動作していた証なのだが、それならそれでもう少し標準アプリやら、基本機能の部分を充実させて欲しい気もする。

なんのことを言っているのかといえば、アップルワークスとメモ用紙(ノートパッド)のことだ。

その昔、クラリスインパクトで痛い目にあっているにもかかわらず、喉元過ぎればなんとやらだが、iWork で代用せよというなら、まともなペイントとドローを開発してからだろう。

さっさと、Photoshop & Illustrator の対抗馬を出して、アドビを挑発して欲しいものだ。(ついでに、ファイルメーカも)

ここより、小声:そういえばファイルメーカで思い出したが、OS のセキュリティアップデートで動作しなくなるような、ブサイクな管理ソフトを配っておいて旧バージョンという理由を盾に最新版購入へ誘導するという不遜極まりない会社である。このようなソフト屋に業務の根幹を担うソフトを握られている企業は不憫でもあり、早めにFMから脱却して欲しいものだ。だいたい、弁当なんぞ350円程度のアプリだし、FM号などファイルメーカ買ったら只で付いてきてもおかしくない。それを、iPhone 版と iPad 版で二重取りまでしようと画策する邪な企業体質である。さっさとどこかに買収されないかなあ…。余談である。

また、メモ用紙に関して言えば、pNotePad 0.9b2 というあまりにも古いソフト使用している当方にも責任はあるのだが、数多あるメモソフトに代わりになるモノがない上に、メールに内蔵されたあの出来が悪い備忘録をメモに使えというのは、どだい無理である。

なんで無理かというと、テキストエディタとして根本的なバグがいまだに直っていない。

ちょっと使い込めばわかることだが、コピペが思う場所にできなかったり、変な場所で勝手に改行されたり、不可解なスペースが挿入されたりで、それはもうありとあらゆる摩訶不思議な不具合を持ったままリリースされ、尚且つ何時までたっても全く修正されない、とんでもメモ機能なんである。

iOS 機器との同期機能がなければ絶対に使わない、猫跨ぎソフトといえるだろう。もちろん、素敵〜ズなんぞはそれ以下であることは言うまでもない。

編集作業はテキストエディットで行い、できた結果を貼り付けるだけの使い方でなんとか誤魔けているが、メールと一体になって分離できないから捨てられずにいるに過ぎない。

なぜ iPhone や iPad に独立したメモアプリがあるのに Mac 側に無いのか、全く理解出来ない。

誤解のなきように、ここでもう一度メモアプリの必修条件を列挙しておく。

<超々個人的メモ用紙アプリに対する絶対条件>

○ 自動保存あたりまえ
保存するかなどと問うてくるようなメモアプリは、たいていゴミである。
○ ウィンドウクローズでアプリ終了
アドレスブックやシステム情報など、純正アプリでさえライオンになってやっと実現された。全ウィンドウを閉じたら、用もないのにいつまでも起動したままである必要はない。
○ プレーンテキストオンリーモードの選択
メモ用紙の機能として、プレーンテキストオンリーのモード選択にこだわるのは、Safari などから文章を引用する時リッチテキストだと使いにくい。黒い背景のページから白い文字をドラッグすると、な〜んにも見えなかったりするからだ。
○ 背景色、フォントおよびサイズの任意設定
視認性向上のために必要。
○ 書出し機能(ページ単位および全体)
○ ドラッグ&ドロップあたりまえ
○ 新規ページ作成で白紙ページ(無題のページ)
○ 表題の自動作成(一行目が表題になる機能)
メモごときにいちいち作成手順を踏ませるアプリは、たいていゴミである。
○ 表題の一覧表示(ドロワー)
○ ドロワーによるページ順序の自由設定
勝手にソートしない機能
メール内のメモが使いにくい、最大の要因はこれ。
○ 検索機能(単独:ページ内&全体)
○ 保存ファイルの管理が容易であること
○ 文字数カウント
○ 多言語環境&Unicode 対応(システム環境に依存)
○ スペルチェック(システム環境に依存)
△ フォントカラーの設定(ページ単位)
● メタデータ(spotlight)対応

<ぜひあって欲しいゾ機能>

● iOS 同期機能(iLife or MobileMeとの連携)
● リッチテキスト(ページ単位)
△ バックグラウンドカラー(ページ単位)

<あるとうれしいな機能>

● 忘備録(ToDo 機能:チェックボックス)
● 複数保存ファイルの切替え機能
● セッキュリティ対策
ファイル単位またはページ単位のパスワード保護(暗号化)

ちなみに、件の pNotePad 0.9b2 ●項目以外の条件は全てクリアしているあっぱれなフリーウェア。

悔しかったら、これらの機能をすべて満足させるソフトを開発してみやがれ、と言いたい。(って、何かいいのがあったら、教えてね…という意味だから)

それはさておき、件のライヨンである。

毎度お馴染みの、重箱の隅的なお話。

[言語とテキスト]

カスタマイズしようとすると、相変わらずバカバカしい作業を強いられる。

日付の区切りをスラッシュでなくピリオドに、月日の頭にゼロを、時間の表示を24時間にしたいだけなのだが、それぞれ「短・中・長・すべて」というわけのわからない設定項目すべてを指定しなければならないのは、なぜだろう?

ああ、パンサーの頃が懐かしい。

[アイコンデザインについて]

Mission Control のアイコンが群を抜いてイケてない。

Launchpad のシンプル&クールさに比べて、これはいったいどうしたんだろうと思うほどに、見にくくも醜いデザインである。

いっそ、Spaces のアイコンを流用したほうがマシである。

ちなみに、コイツにかぎりアプリケーションフォルダからユーティリティフォルダへ放り込んでも動作はするようだが、どんな落とし穴が待っているかは未確認。事故責任は自己責任がお約束、念のため。

ところで、アイコンといえば、デザインだけでなくその居場所も問題になる。今回から御役御免となった Front Row やなんの為にそこに居るのかわからない iSync など、本来はユーティリティフォルダまたはシステムフォルダ内の Core Service 辺りが似つかわしい場所であろうと思われる。

連中も新しいシステムにおいて、脚光を浴びる機能であれば、晴れてアプリケーションフォルダという上座に鎮座すること自体目くじらを立てる程のことはないのである。

だが、Dashboard のようにお披露目期間はとうに終了しているにもかかわらず、未だにアプリケーションフォルダから去ろうとしない者、その用途からどう見てもユーティリティフォルダが適当だろうと思われる Automator など、一般ユーザ向けに外面を装おうというアップルの意図とは矛盾した人事にも見える。

そういう点においても、今回の Mission Control、アプリケーションフォルダ勤務を命ずるのであれば、それなりの服装に着替えて出直せ! …と、私がスティーブの立場ならデザイン担当者をクビにするところだ。

加えて、いくら Apple TV が実用になったからといって、それまでアプリケーションフォルダ内でも(色的に)目立っていた Front Row をいとも簡単に消し去ってしまうのは、たとえ少数でもそれを気に入って使用していたユーザに失礼だろう。

Apple Remote の使い道のためにも、せめてもうしばらく、Core Service 内の末席あたりに居場所は無かったのだろうか、とも思う。

[表示設定について]

かなり混乱しているようだが、この辺がベータ版といわれる所以。

ま、version 1.0 にはよくあることだが、ローカライズだけの問題ではないように思う。

◎整頓順序(表示メニュー)

◎並び順序(表示メニューおよび表示オプション)

◎表示順序(表示オプション)


これら上記の設定項目に付けられた名称は、常人に瞬時に違いが理解できるものではないと考えるが、その動作も矛盾に満ちている。

メニューから選択した場合と、表示オプションから設定したものが一致しないというヒドイ状態だ。

[ファインダおよびシステム全般について]

こいつも相変わらず、ウィンドウのオープンクローズで矛盾があるし、ファイル名の選択に関して標準的なテキストのルールからはずれたままだ。

前回スノレパでカーボンを全廃するべく大きな変更が行われたはずだが、それ以前から内部に持っていた問題をそのまま引き継いだ格好になっているようで、たぶん、修正する気は無いんだろうな。

長らく引きずっていたスクロールバーの問題も、修正するのではなくスクロールバーそのものの根本を変えてしまうことで、誤魔化しているようにも見える。

一般ユーザには、ナチュラルと称したスクロール方向の変更の方が大きな問題に映るかもしれないが、その程度のことは慣れの問題で、いずれ気にならなくなる。それよりも、古い慣習に固執している方が将来的に面倒なことになる可能性が高い。

以前のインターフェイスではスクロールボタンを操作するという流れで出来上がった操作法だったのだが、今回からのインターフェイスではタッチパネル搭載機と同様に、ページそのものを操作するより直感的な操作法に変更されたのだから、それを自然(ナチュラル)と呼ぶことに問題はないし、理にかなっているといえるだろう。

とはいえ、しょっちゅう方向を間違えるのは致し方あるまい。

前述のメモソフトに関する問題と違い、理にかなっていれば自然と受け入れられる変更も少なくないのは事実であるが、長年のクセはなかなか治らないものです、ハイ。

アプリを終了する時に、不要なウィンドウを閉じておかないと次回起動時にもそれを見せられる羽目になるのは確かに鬱陶しい仕様であるが、それと引き換えに得られるオットシマッタ保存してね〜、というトラブルから開放されるのだから、多少の我慢と工夫で凌げるのではあるまいか。

ツールバーの表示/非表示切替えボタンが無くなったのは不便であるが、ツールバーを表示したままサイドバーを縮めて見えなくできる機能は歓迎されるだろう。

ただし、アイコンが地味なのでタイガー(10.4)の時のようなアイコンだけ表示するという使い方は実用的でないのが残念である。(タイガーの時は、識別性の高いアイコンであった上にアイコンサイズまで自動で変わっていたのだから、まだまだ精進が足りないといえるけどね)

[ローンチパッドについて]

後述のミッションコントロールと並んで、今回のアップデートで最も派手で目立つ部分である。

ただ、クリーンインストール環境下ではそれほど問題にならないが、横着者が最も悲惨な目に遭うセクションであることは間違いない。

捨てるのも面倒だからとばかりにハードディスク内に放置しておいた、ありとあらゆる肥やしアプリがココに一同に会する図は、ある意味壮観である。

未対応の古いカーボンアプリは候補から除かれるので、この時ばかりはロゼッタがなくなったことに感謝することになる。

こいつを実用レベルにまで整理整頓する手間をかけるぐらいなら一念発起大掃除をして、真珠湾からもういっぺんやり直す決心がつくというものだ。

[ミッションコントロールについて]

何かゴチャゴチャという印象の主犯格が、これである。

要するに以前のエクスポゼ(Exposé)とスペーセズ(Spaces)をゴッチャにしたものであるが、ダッシュボードまで持ち込んだものだから厄介極まりない。

幸いにして、ダッシュボードは設定により以前のような形態に戻せるので、多少の工夫で何とかなる。

ま、ダッシュボード自体、初動の鈍さもあいまって、個人的には昔のデスクアクセサリ的な使い方が出来ないから、それほど実用性に問題を感じていない。

[マイファイルについて]

設定された検索条件の変更がままならぬという、誠に遺憾な仕様である。

ご家庭でマックを共有されているお父さん方には、父親としての威厳を守るためにも、くれぐれもその取り扱いには厳重な注意が必要になる。
ただ将来的には、それらの残念な仕様でさえ、いずれ内外の開発者より対策が提案されるものと期待する。

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とまあ、短時間使用しただけでよくこれだけ文句が出るものだと我ながら感心するが、いつものようにグチをこぼしたに過ぎない。

アンチ野郎、もとい人によってはまったくダメダメな言われ方もされているライヨンである。

一例を挙げれば、ユーザのホームライブラリを不可視にしたことに対する不平であるが、一般ユーザにとってはそれほど困ることもないだろう。

すでに、ターミナルで “chflags” コマンドを使用した可視化の方法なども紹介されているようだ。

が、そんなマックユーザらしくない方法に頼らなくても、ファインダの基本機能である「移動」メニューから「フォルダへ移動…」を選択して “~/library” と指定すればいつでもアクセスできるし、必要ならサイドバーへ登録してやれば、そのフォルダが見えないことのデメリットなんぞは屁でもない。

Mac OS X も、ずいぶん以前から工場出荷時の設定では、起動ドライブでさえデスクトップに表示されないのをデフォとしているが、たいていのユーザはファインダの環境設定で、デスクトップに表示する設定に変更しているはずだ。

その程度のことは、ある程度慣れたユーザなら創意工夫でなんとかできるレベルだから大きな問題ではない。

だいたいアップルとしては、不慣れなユーザが必要ファイルを誤って消してしまうデメリットの方が多いと思ったからやったんだろうけど、それならシステムフォルダこそユーザに見えている必要は全くないとも思う。

問題は、理にかなわない仕様変更、もしくは変更さえもできないガチガチの固定機能をなんとかしろ、ということだ。

ま、それでも以前ゴミ箱がデスクトップから消えた時と同様に、起動ドライブを開いた時システムフォルダがないと、たぶん寂しいと思うな。

… ということで、ひとつよろしく。

2011年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

[2011.07.23] ライヨン〜より転載&加筆修正