2010年7月29日木曜日

美味しいアップデート

Mac OS X 10.6.4 (10F569)
Magic Trackpad および Multi-Touch アップデート 1.0


先月、久しくの変化のなかった我デスクトップ機に転機となる Mac mini Snow Leopard Server を導入。

と、いってもサーバとは名ばかりで、ノーマルと比較して主にその CPU クロックとストレージ容量に主眼を置いた上で、メイン機をノート型からデスクトップ型への移行という、見方によっては、もろに時代に逆行する運用を考えての選択である。

従来、世の趨勢と同様にノート型を主力機として使用してきた。
社内ではおもに LED Cinema 24 と接続、いざとなれば持ち出せる無停電電源装置付きのデスクトップ機として、2008年11月以来、2年近くを大過なく主力機として活躍してくれた MacBook (Late 2008) である。

しかし、近頃は iPhone や iPad によって、その本来の姿であるはずの、屋外での活躍の場が極端に少なくなってきたことに加えて、肥大化するデータの受け皿として、有象無象の外部ドライブを五台以上も接続しなければならない現状を考えると、その形状であるノート型というもの自体にあまり意味はなくなってきたのである。

その点、同じ2.5インチドライブとはいえ本体筐体内に2台と、数多ある外部ドライブを接続しても充分なインターフェイスを備えた Mac mini は、少なくとも個人的にド真ん中ストライクなんである。

もちろん、既存の LED Cinema 24 や Apple Wireless Keyboard、Magic Mouse など、追加投資をすることなくそこにあるモノが、後押しをした選択であることはいうまでもない。

以前、まだデスクトップ機が主でノートはサブであった時代には、PowerMac G4 & G5 など、お世辞にも静かとは言えない(ハッキリ言って、え〜いヤカマシイッ!)機種を当然のように使用していたこともある。

しかし、個人事業主としては大量の電気代を食わせた結果発生した熱を、これまた大量の電気代を食われながら冷却している様を、とても冷静な目で見てはいられない。

よって、環境という観点からいえば主に私的な騒音問題であり、エコという観点からいえばそれはエコロジーではなくエコノミー、すなわち電気代という経済的な問題に端を発している。

一時は作業エリア確保のために、歴代 PowerBook 17インチを毎年買い替えるという、また別の意味で不経済なことをやっていたこともある。

このような点において、アップルから提案されたノートブック&外部ディスプレイという使用形態は、実に的を射ていた。

それも、一般的な選択であり、ある意味理想的なデスクトップ機の iMac を差し置いての選択である。

しかしながら、MacBook 13 & LED Cinema 24 という組合せは当時の iMacと比較しても、機能面において運用上全く遜色もない。それどころか、外に持ち出しても使用できるということについては、それ以上に付加価値をもったシステムであった。

従って、問題があるとすれば主に性能的なデメリットかもしれないが、ここ数年、少なくとも2006年初頭のインテル版 Macの登場以来、コンシューマモデルについてはそれほど大きなステップアップは見られなかった。

当時の上位機種のクロック(2.0~2.4GHz 前後)は、今もって実用上支障となることはない。

たしかに、iMac の上位機種に見られるような 3GHz越えのマルチコアの性能は、特定分野においては威力を発揮するのであろうが、価格もそれなりに上がってしまうのでコストパフォーマンスを考慮した場合、 従来は必ずしも上位機種が各ラインナップにおけるベストセレクションとはなり得なかったようにも思う。

(今回の iMac ファミリーのアップデートにより、少なくともクロック周波数において、やっとここ数年分の性能向上が実現したかのようだが、Core i3 ってホンマに早いのかな? 搭載されるグラフィックガードで微妙な差をつけているが、はたしてどの程度体感できるのか、興味は尽きないけどね)

件の MacBook (Late 2008) も CPU クロックは高々 2.4GHzであり、Mac mini Server といえども、2.66GHz の Core 2 Duo に過ぎない。

しかし、iPhone や iPad などそのクロック周波数という点に置いては、半分にも満たない(コア数も計算に入れるなら1/4以下か)機種が、その限られたメモリと電力供給の中で実用になりつつあるのが現状であり、モバイルであるかどうかは副次的な要素のようにも見えてしまう。

またまたこれは余談ではあるが、巷では iPad のようなディバイスは消費の道具であり、創造性は無いかのように語られる風潮があるようだ。

主に、汎用インターフェイスが搭載されていないことによる、接続性のデメリットをその批判の対象にしているのだが、あの手の製品に対して、いまさらギガビットEthernet や USB と、Wi-Fi のどちらかを選べといわれれば、間違いなく後者だろう。

あくまでも、取捨択一というか選択の問題であり、役割分担という意味においては、ひとつのディバイスがすべてを取込む必要はないと思う。ましてや、すべての作業を iPad や iPhone でやり遂げる必要はない。

パワフルなデスクトップ機でも、それがゲーム専用機という選択もアリだし、作業プロセスの一端を担うディバイスが iPad や iPhone であってもおかしくはない。

創造性の有無を決定するのは、それを使う人間とソフトウェアであり、ディバイスによって決定されることではあるまい。

または、従来は消費目的にまで創造性重視の使いにくいディバイスが供されていた、ということだと思う。要するに、根性モンはママチャリだって速いって、なんのこっちゃよくわからん喩えだな。

近年、コンピュータの性能はその計算能力や処理速度よりも、なにが実用的に行えるのかという領域に、主眼が移ってきているように見える。

マルチタッチパネルや小型軽量な高解像度ディスプレイなど、それに伴う使用形態に合致したユーザインターフェイスがあってこそ、その性能を発揮できるものであり、部品としての性能のみをウリにして完成度が上がるものではない。

で、なにが言いたいのかというと、たんなる世間話である。

ここ最近、自身の利用形態が出先で大したことをしなくなったので、外では iPad や iPhone でもナントカなるぜ、と。

そうなると、無理して MacBook を繋いだり切り離したりしなくても、ましてや持ち出す必要もないデータまでもギュウギュウに詰め込んだ MacBook を外で危険に晒す必要もない。

もちろん、iMac も検討したが 21.5インチでは小さく 27インチは過ぎる、と微妙にストライクゾーンを外す。その点、なんならモニタ電源切っといても、黙々と働いてくれる Mac mini にはそれなりの魅力はある。

Mac mini & LED Cinema 24 の組合せなら、設置面積はかえって小さくなるくらいだし、現行 MacBook Pro 13 インチには装備されているが、残念ながら MacBook (Late 2008) にはない FireWire ポート&SD カードスロットの問題も一挙に解決できるぞ。

と、意気込んで移行を始めたのだが…。

長年苦楽を共にした MacBook の後継としての役割を担う予定なのだが、その間染みついた使い方というのは、そう一朝一夕に変えられるものではない。

Mac mini 導入後も、なかなかメイン機としての役割を譲ろうとしないのである。

その原因のひとつとなるのが、今回のアップデート
「Magic Trackpad および Multi-Touch アップデート 1.0」
で、ある。(ふう、ようやくここまで話が繋ったな)

いままでは、画面を閉じて LED Cinema 24 と Apple Wireless Keyboard、Magic Mouse などとともに使用する分には、最新版のメリットである慣性スクロールなどの恩恵に与れたのだが、単体で使用する場合には一部制限を受けていた MacBook である。

しかし、今回 iMac、Mac Pro、27インチLED Cinema Display などの新製品発表に伴い公開された、「Magic Trackpad および Multi-Touch アップデート 1.0」のアップデートにより最新機種と比べても、機能面においてそれほど見劣りはしなくなってしまったのだ。

また、 27インチ LED Cinema Display(たぶん9万円前後ぢゃないの?)発表のおかげで、 24インチ版は現行限りの 68,800円と、大変お買い得になっている。(もちろん、サードパーティ製ならもっと安いものはあるが、使ってみた人にしかわからないそれなりのメリットもある。ま、 iMac と遜色ない機能を求めるなら、ということだが)

できれば、24インチ版もこの価格で継続してもらいたいものだが、毎度極端な政策がウリのアップルにそれを期待しても、ムリっぽい気がする。(たぶん、27インチの一本勝負、だろう)

Magic Trackpad および Multi-Touch アップデート 1.0
http://support.apple.com/kb/DL1066?viewlocale=ja_JP&locale=ja_JP

アップデートの詳細
http://support.apple.com/kb/HT4254?viewlocale=en_US

慣性スクロールおよび3本指でのドラッグジェスチャをサポート
(Inertial Scrolling and Three-Finger Drag Gesture Support)
MacBook
MacBook (13-inch, Early 2009)
MacBook (13-inch, Mid 2009)
MacBook (13-inch, Late 2009)
MacBook (13-inch, Aluminum, Late 2008)
MacBook Pro
MacBook Pro (17-inch, Mid 2010)
MacBook Pro (15-inch, Mid 2010)
MacBook Pro (17-inch, Mid 2009)
MacBook Pro (15-inch, 2.53 GHz, Mid 2009)
MacBook Pro (15-inch, Mid 2009)
MacBook Pro (13-inch, Mid 2009)
MacBook Pro (17-inch, Early 2009)
MacBook Pro (17-inch, Late 2008)

慣性スクロールをサポート
(Inertial Scrolling Support)
MacBook Air
MacBook Air
MacBook Air (Mid 2009)
MacBook Pro
MacBook Pro (15-inch, Early 2008)
MacBook Pro (17-inch, Early 2008)

とまあ、その範囲は2008年以降に発表されたほぼ全機種にも及ぶ。アップルとしては異例のなかなか太っ腹な、美味しくもあり悩ましくもあるアップデートと言えるだろう。

かくなる上は、Mac mini には「Magic Trackpad」を奢ってやるか、ということで早速ポチっと…。

… ということで、ひとつよろしく。

2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan


[2010.07.29] 美味しいアップデート〜より転載&加筆修正

2010年7月24日土曜日

アップル、iPhone 4 ケースプログラムを開始

iPhone 4 ケースプログラム:
http://www.apple.com/jp/iphone/case-program/


Apple iPhone 4 Bumper は、なぜかブラックのみ。


供給がおぼつかないという割りには、全てのカラーに総動員をかけるつもりはないらしい。

えへ、何色にしようかなあ〜オレンヂもいいなあ…と、お気楽に考えていたヒトたちは肩すかしを食らったようだ。(くそ〜)

ま、色の好みなどで新たな問題を引起すことがないようにという配慮だろう。

その他選択できる社外製品としては、"Incase", "Belkin", "Griffin", "Speck" など、いずれも各社のラインナップから、特定の(主に無難な)カラーのみがピックアップされている。

他社製品は、いずれも背面まで覆う形式になっているようだが、iPhone 4 を実際に使用していると結構熱を持つ。特にカメラアプリを長時間使用すると、背面がかなり熱くなる。

で、結局自己嫌悪からも無事立ち直り、あくまでも調査分析のアプローチとして、背面解放の Apple iPhone 4 Bumper を選択。

納期が3〜5週間ということなので、たぶんこれからブラック一本に絞って増産体制に入るのだろう。 iPhone 専用アプリまでこしらえて対応、という力の入れようだ。

これで、少しはユーザの怒りが納まれば良いのだが…と、白いヤツがまたまた延期、新たなユーザの怒りがフツフツと…。


Statement by Apple on White iPhone 4
http://www.apple.com/pr/library/2010/07/23iphonestatement.html
要約(例の白いヤツは思った以上にムズカシイんだな、これが。で、年末までにはなんとかするから、ゴメンね。あっ、黒いのはだいぢょうぶだから、…と、いうことでヒトツよろしく。)


てなこと書いていたら、アップルジャパンからも発表があったようで、上記要約は無視してもらってもいい。ま、言ってることはたいして違わないと思うけど。


白いiPhone 4に関するお知らせ:
http://www.apple.com/jp/news/2010/jul/24iphonestatement.html

ちなみに、これはアップルに対するフォローではないのだが、実際発表当初は、自分自身も今回はホワイトモデルしようと考えていたのだ。が、結局ブラックモデルに心変わりしたのには、それなりの理由がある。

iPhone 3GS に比べて、iPhone 4 のホワイトモデルは背面だけでなく前面もホワイトで、ある意味徹底した気合を感じたこと、元々 iPod の基本カラーであるホワイトが最近のカラー展開によって、少なくなってしまっていたことなどが、ホワイトモデル選択の後押しをしていたのだろう。

しかし、発表から予約開始までに時間があったことにより、ネット上の情報からあらゆる角度で両モデルを比較検討する時間もあった。

まず、気になったのは電源をオフにしたときの佇まいが、ブラックはホワイトモデル以上に表も裏もクールである。

それは、エンボス加工されたホームボタンとスピーカー(耳に当てる方ね)以外に目立つものが無いことによる、シンプルなデザインと反射の美しさが最大限に活かされていて、イリュージョンというかミラージュというか、よくわからんがとにかくイカしたスタイルに見えることだ。

最近の MacBook Pro や iMac シリーズなどと同様に、サイドの金属部分とブラックなガラスのテカリがよくマッチし、全く以てカッコいいのだ。

もうひとつ気になったのは、ホワイトモデルは両面にあるカメラのレンズやフラッシュ、スピーカー上部に設置された近接センサーの存在が目立ってしまい、そのモノリス感みたいなシンプルさを阻害してしまっているようにも思えた。

もちろん、これは個人的な好みなのだが、基本ポリシーに合致するカラーはクールな(または暗い)色ではあるまいか、と勝手に考えたわけである。

加えて、これは後付の論理ではあるが、製造過程に置いて難易度の高い製品というのは、希少性はあるものの、その強度や経年変化など実用面におけるリスクもある程度覚悟する必要があるということだ。

また、アップルの言う年内というのがいったい何時になるやらまったく持って不明であるが、次なるiPhone 5 や iPhone 6 のことを考えると、導入のタイミングということも考慮しなければなるまい。(何人たりとも、2年間の縛りからは逃れられないのだから)

個人的には「両方欲しい」というのが正直なところだが、ここはヒトツ大人になって、我慢我慢である。


ま、それでも「ゼ~ッタイ白ぢゃなきゃイヤッ」て言う聞かん子駄々っ子には、もう知りませんとしか言えないけどね~。


… ということで、ひとつよろしく。
2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2010.07.24] アップル、「iPhone 4 ケースプログラム」を開始〜より転載&加筆修正

2010年7月21日水曜日

iTunes 9.2.1 アップデ〜とぉ…お?、と余談。

[追記:07.25] iTunes 9.2.1 (4)

意外に早くアップデートされたなあ、…と思ったら何のことはない、昨年10月に行われた iTunes 9.0.1 (9) 以降で発生し続けていた「スノレパ上における iTunes 9 のアヤシイ挙動」が修正されただけであった。

iTunes 9.2.1 では、以下を含む重要な問題が多数修正されています。
• 互換性のない他社製プラグインの古いバージョンの使用を停止 
• 項目のドラッグ&ドロップ時に起きる小さな問題を修正 p
• iTunes 9.2 で一部のデバイスとはじめて同期する際に起きるパフォーマンスに関する問題を修正 
• 暗号化されたバックアップがある iPhone または iPod touch を iOS 4 にアップグレードする際に起きる問題を解決 
• 安定性とパフォーマンスに関するその他の問題を修正

iTunes 9.2 では、いくつかの新機能が追加され、機能が向上しています:
65,536枚組のボックスセットや、16,777,216曲入りのアルバム、42億回も再生するほどのお気に入りが、iTunes 9.2 なら余裕で表示できるようになりました。(←アップルは公言してないけどね)

あれ自体、別に放置しておいてもなんの支障もない人畜無害な問題であったように思うが、現状で発生し個人的には極めて重大かつ鬱陶しい問題であるはずの「トラック番号&ディスク番号最小幅問題」より優先するべきであると、アップルは判断したらしい。

たぶん、これは憶測だが「トラック番号&ディスク番号最小幅」に関してアップルに抗議したユーザは、世界で私を含めて三人程度に過ぎず(とうぜん0.55%以下ね)、しかし「項目のドラッグ&ドロップ時に起きる小さな問題」に関しては、昨年来累積で三万人を超える数に上ったに違いない。

[追記:07.25] トラック番号&ディスク番号等の最小幅に関しては日本語版のみの問題のようで、言語環境を英語にしてから iTunes を起動すると最適幅に設定できる。しかし、再度日本語で起動すると元の木阿弥、やっぱ日本語ローカライズの段階でバグっているようだ。前回デフォルトフォントを変更した影響であれば根が深そうにも思ったが、9.1では問題がなかったところを見ると、単なるパラメータの設定ミスのようにも思える。
と、なると「世界で私を含めて三人程度」という表現は誇張であったので「日本で私を含めて三人程度」に改めることにする。


ギャアギャアと五月蝿い連中が束になってかかれば、些細な問題でも全社を上げて対応するが、良識ある控えめなユーザが小声でささやくような問題には、仮にそれが重大なトラブルを引き起こすキッカケになろうとも(ちょっと大げさ)、放置プレイを決め込む腹だ。

要するに、企業として大きくなると懸念すべきは、問題の「質より量」ということなんだな。

このままだと、「トラック番号&ディスク番号最小幅問題」が修正されるのは、早くて来年の三月あたりか…、冗談ぢゃない。

よっしゃ、わかったそれなら声を大にして叫んでやろう。

トラック番号とディスク番号の最小幅を
さっさとなおせ〜っ、バカヤロー!!

ハァ、これでどおぢゃ!?

ところで、これは真っ向から余談なんだが、
iPhone 4 における一連の「アンテナゲート騒動」を眺めていると、アップルが好んで使う「小さな問題」という言葉も、問題の大小関係が必ずしも修正の優先順位を決定する要素にはならない、という現実をよく表していると思う。

5年ほど前、iPod nano の初代が発表されたときも、スティーブがジーンズのポッケから出したばっかりに、それを真似てディスプレイに傷が入ったと文句を言った連中と似たようなレベルな気がする。

ご参考:http://homepage.mac.com/hexagon/zassou/ipod_issue.html

で、今回はデス・グリップ(Death Grip:死の握り)だ。

「死の握り」って、なんか厨房が喜びそうな呼び方だが、どちらかといえば食中毒で死者を出した寿司屋に近いな。しかし、イザというときに繋がらない電話は、生死にかかわるから問題だとでも言いたいのだろうか?

そんな保証が携帯電話についているわけでもあるまいが、これもまた、あまりにも不確実なテクノロジーに頼りすぎている現代社会を象徴している一例だろう。

ネットで批判が増えれば増えるほど、売れ行きも伸びるというのがこの手の製品だから(または売れるから批判も増えるのかも)、たぶんアップルは気にしていないだろうが、iPhone ユーザはおもしろくないかもしれない。

そういうユーザ心理に配慮してか、アップルも一億ドル以上をかけてラボを建設した上に、その公式サイトまででっち上げてライバルを挑発しているのだが、その趣旨はさておき「アンテナ設計・試験室」というのが、一見の価値ありで、ん〜なんかよくわからんがスゲ〜。

アンテナの性能:http://www.apple.com/jp/antenna/
設計・試験室:http://www.apple.com/jp/antenna/testing-lab.html

さすがは、アップルお金持ち!って、要するにこれを見せびらかしたかっただけだろう。

それにしても、ライバルメーカはアップルの主張に反論することで、まんまとスティーブの罠に嵌まって自ら墓穴を掘っているようにも見える。

とくに、台湾の HTC Corp. が傑作で、
「電波受信問題はスマートフォンによくみられる問題ではなく、Appleはオペレーターに携帯電話をテストする十分な期間を提供しなかったようだ」
という内容のコメントを発表した直後に、「HTCの「Droid Eris」のユーザマニュアル(13ページ)には、アンテナが配置されている場所に触れると通話品質を損なうので、使用中は触れないようにと記載されているぞ」と、ジョン・グルーバーにツッコまれている。

一方、ノキアなんぞは、「一般的に、携帯端末を強く握ったときにアンテナ性能は影響を受ける可能性はある」と、おいおいあの大メーカが認めちまってるよ。

で、「だからこそノキアはユーザーの日常生活のあらゆる場面を想定して設計を行っている」と反論したそうだが、これぢゃあまったく反論になってないよな。

また、リサーチ・イン・モーション(RIM)からは、以下のような声明が発表されているらしい。

以下、他所んちよりコピペ
http://ascii.jp/elem/000/000/538/538343/
*************
アップル社が自社の失敗にRIMを巻き込もうとしていることは容認できません。アップル社のRIM製品に関する主張は、アンテナ設計に関する一般の理解を歪め、アップル社の困難な状況から注意を意図的に逸らそうとしているように見受けられます。RIMは、20年以上アンテナ設計の世界的なリーダーとして、業界最高水準の効率的かつ効果的な送受信性能をもつ無線データ製品を設計しています。RIMは、アップル社がiPhone 4で使用した設計を従来採用しておらず、特に電波が弱いエリアで通話が中断されるリスクを軽減する革新的な設計を採用しています。RIMのお客様は、BlackBerryスマートフォンの接続を維持するためにケースを使用する必要はない、ということを明確にお伝えします。アップル社は過去にデザインに関する決断を明確に下しました。アップル社はRIMや他社をアップル社固有の問題に巻き込もうとするのではなく、その決断に対する責任を持つべきです。
*************
と、鼻息も荒い。

BlackBerry が iPhone 4 に比べて、革新的な設計であり先進的なデザインなのかは、反論の余地もあるように思うが、「アップル社の困難な状況から注意を意図的に逸らそうとしている」と、言いながらそれに反論することで、すでに注意が逸れてしまったのではないか?

そうか、20年以上もやってる世界的なリーダーでも難しいのなら、駆け出しのアップルに多くを望んでも仕方がないな、彼らも完璧ではないって言ってるしぃ。

しかし、部分的に「ケースを使用する必要はない」というところなどは、ケースに入れるほどのデザインぢゃないからだろう、という iPhone ファンのツッコミが入りそうだが、そもそもケース自体あるのかな…、と調べてみたら流石にトップシェアのメーカ製品だけに、結構な数が販売されている。

だがそうなると、製造メーカの CEO から「ケースを使用する必要はない」なんてこと言われたら、こんどはケース製造メーカの CEO から、またまた「ぬわにぃこの〜っ」的な反論が出そうでキリがない。

いずれにしてもアンテナの問題は一筋縄ではいかんのだよ、という意味あいにおいては、アップルのフォローに回っている様にしか見えないところがツライな。

ま、見ている分には面白いだけで、もっとやれ〜とも思うのだが。

そういえば、その昔ポケベル時代を経て、初めて携帯電話なるものを使い始めた時のことを思い出した。

当時はまだアナログで電話機も高く(確か163,000円也の領収書が、探せばどこかにあったような)、当然通話料金もべらぼうで携帯電話の電話帳を表示したまま公衆電話ボックスに駆け込む、というのがトレンドであった時代である。

ハッキリ言って、目の前に公衆電話があるのに携帯電話を使うのは大馬鹿野郎のすることだという、良識がまだ生きていた時代だ。

それでも、近所に公衆電話がなくやむを得ず通話する時には、確かロッドアンテナを引き伸ばして使っていたよなあ。

その内、デジタルになってどんどんアンテナが短くなり、終いには引っぱっても伸びないただのイボチンになったと思ったら、いつのまにかアンテナの存在自体が見えなくなってしまった。見えないから無いとは断言できないのだが、漠然ともう必要なくなったものと考えていた。

それが、iPhone 4 の発表の時、スティーブがアンテナの存在に言及したとき、おっそうか無くなったわけぢゃないのね、ということに改めて気づかされた。

また、発表会場でも用途ごとに分離され、筐体デザインにも貢献しているそのアンテナを紹介している時には、会場から称賛ともとれるどよめきが起こっていたのを懐かしく思い出す。

と、いってもこれはそんなに昔話でもないのだが、なぜかもう遠い昔の出来事のような気がしてならない。

その、アンテナがこうも話題に上ろうとは、その時は誰も予想していなかっただろう。

翻って、業界ではまだ解決できていない問題であることが一般に広く発覚したわけで、衆目の興味を引いたことにより新たな技術革新も生まれるのではあるまいかと、お気楽に考えている。

ま、アップルとしてもこれだけ騒がれたら、宣伝広告費に換算するとゴムバンド代ぐらいはカル〜く出たろうし、iPhone 4 自体がアップルユーザにとっての逆踏み絵みたいなもんだろうな、SB だしぃ。

…おもいっきり余談でした。

… ということで、ひとつよろしく。
2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

[2010.07.21] iTunes 9.2.1 アップデ〜とぉ…お?、と余談。〜より転載&加筆修正

2010年7月18日日曜日

iPhone 4 の憂鬱

アンテナ問題やら、ガラスの強度やら、アップル製品に対するネガキャンは毎度毎度お馴染になっている。

結局、iPhone 4 にはなにも問題などない、只でくれてやるモノなんぞあるものかと、強がっていたアップルもバンパーを無料配布することで、事態の収拾を図ろうとしているようだ。

しかし、たかがあんなゴムバンド欲しさに、よくもこんなセコイ訴訟を起こせるものだと感心する。

すでに、SGPレザーポーチ・ビンテージエディションという、エラそうな名前でちょっと爺臭いが革製の大層なケースをゲットした身にとってみれば、どうでもいい話ではある。

しかし、iPhone 4 全数に供給するのはムリだという、スティーブの発言もチト気になる。

もちろん、それほど大量に生産されている iPhone 4 にくらべて、たいして売れるとも思ってもいない、バンパーの製造を委託しているメーカの生産能力に限りがあるから、というのがその理由だろう。

価格に関しても、毎度お馴染のアップルの値付けがボッタクリなだけ、という単純明快なオチかもしれない。

それとも、百均にでもありそうなゴムバンドみたいなものでさえ $29(¥2,800)もするんだから、よっぽど製造が困難な秘密の凝った仕掛けでもあるのだろうか?とか。

やっぱどうせ貰えるんなら、高いほうがいいよね〜、 いやいや、それこそ当初からこの手の訴訟を見越した先見の値付けだったんだお〜、とか。

足りない場合には別のケースを選択させるらしいが、それはいったいどんなモノなんだろう?とか。

と、あらゆる可能性がでてくるし、俄然別な興味も湧いてくる。

ま、そのような疑問にも調査分析のアプローチはしておかねばなるまい。ここはヒトツ受付が始まったら申し込んでみるか、だって只だしい〜、…と、もっとセコイ考えを巡らしている自分に気付いて、自己嫌悪に陥る。

7月18日現在「Apple iPhone 4 Bumper」は、アップルストアでは無料配布の準備のため「ご注文できません」状態である。

本国での状況はどうか知らないが、国内ではもともと SB の電波状態や通話品質など、語るに値しない問題と認識している。
したがって、個人的にはなにをいまさらという印象であり、とりたてて iPhone 4 のデメリットの様には感じていない。

それどころか、iPhone 3GS にさえ大きな不満があったわけでもなく、iPhone 4 にはより大きなメリットの部分しか見えていない。

ぶっちゃけ、「おわ〜すげぇな、コイツ」の毎日なのだ。

しかし、それでも根っからのひねくれ者としては、可愛さ余ってのイチャモンを付けないわけにもいかない。

それは、iPhone 4 やアップルを取り巻く諸々のモノに対する不満でもあるわけで、おのずと即時性などまったく期待できない駄文へと昇華していくのである。

アップル製品を使用することにおいては、一種盲目的な溺愛といっても過言ではないが、それだけに不満が募ることも多い。長年付き合っていれば熱い部分もあるが、一部では冷静な視点もある。

そんな、90点の満足を日々痛感しているユーザの戯言である。



実は、7月5日時点で入荷の案内があったので、速攻でソフトバンクショップへ駆けつけたわけなのだが、ちょうどその時期にサーバ機の入れ替えやら、遠隔地の iPad に対する出張サポートなど、いろいろなことが重なってついつい自身の iPhone 4 の確認作業が後回しになってしまった。

そんなわけで、本稿も初版は発売開始日には入手できず、傷心の日々を送っていた6月末時点で書き始めたんだが、アップロードのタイミングを逸してしまい、そのままボツにして捨ててしまうのもなんか悔しいので、このような時期外れ的な内容になってしまった。

と、言い訳はともかく、iPhone 4 予約騒動の顛末から。

6月8日の発表直後の午後と、そして念のために6月15日の正式予約受付開始日にもソフトバンクショップへ赴き、予約を入れたのだが残念ながら、6月24日の発売開始日には入手できなかった。

発表直後にショップを訪れたときは、当然のことながらまだ概要を把握している店員がいるわけもない。

まあ気の早い客だ、あんたが2番目だけどとりあえずプリ予約入れておいてあげるからね、ハイハイご苦労さま的なあしらわれ方をしたのだが、まだその頃は比較的平和な空気が漂っていた。

その後、正式予約受付開始の日程が発表され、一応15日にも来店して正式手続きを行うように連絡を受けたが、iPad の取扱いを行っているソフトバンクショップも皆無な田舎町のことだし、それほど緊迫した状況でもなかった。

ところが、6月15日の正式予約受付開始日(17時)にショップを訪れた時には、駐車場に入りきれない来店者の車が歩道や近隣の車道にもあふれ返り、あいにくの雨模様も相まって騒然とした状況であった。

さほど広くもないが、普段は決して満車になることなどない駐車場である。岡山でこれなんだから他所はさぞや祭りに…、と思わせるに充分な光景である。

6月8日には、にこやかに対応していたお姉さんたちの表情も完全に引きつって、パニック寸前の形相である。

定刻より30分ほど出遅れて17時30分頃、ごった返す店内で手に取った順番待ちの整理番号は、45番であった。
接客している担当窓口は、カウンターに四つぐらいしかなく、その時点で電光表示されている番号は、17番である。

おいおい、28人待ちかよ、ってほんまに今日中に終わるのか?
やっぱ、午前5時からやるべきぢゃなかったのか?

てなことを考えながら、店頭の Wi-Fi が利用できるので、店の隅っこで iPad with Wi-Fi モデルを取り出してネットを見る。

なんとアップル、このクソ忙しいときに新製品発表かよ〜(←Mac mini Mid 2010)。

と、ブツクサ言いながらも、いつになるかもわからない待ち時間を利用して、スペック等の基本仕様を調べ、COSMOS M&S の記事とこのサイトの6月16日分の原稿を書き上げる。

で、結局2時間ほど経過した時点でお呼びがかかったわけだが、6月8日とは別の担当者(ちぇっ、♂かよ)が受付手続きを行い、正式に予約待ち行列に登録された。

帰り際に、6月8日にはカルくあしらわれたお姉さんに「ほらな」という視線を送ってみたが、苦笑いが帰ってきただけである。

で、結局6月24日の発売開始日には、まことに申し訳ありませんが、お客様のご予約された機種は本日お渡しすることができません、という内容の電話連絡(といっても、こっちからまだか〜という電話に対して答えたに過ぎない)を受け、無駄とは知りつつもひとこと文句を言うべくショップへ乗り込んだ。


○プリ予約の時点では2番目だったはずだが、本日受け取れないということは、当然1台しか入荷しなかったと理解していいんだよな? 
●いえ、そういうわけではなく、予想以上に予約の数が多く、…ゴニョゴニョ…。

○予約で2番目なら、2台以上の入荷で捌けるんだし、予約の数の多さはこの際関係ないだろう。
●いや、それが、…ゴニョゴニョ…、当方の事務手続き上の手違いで、…、イヤもうホントに大変なんすから…蜂の頭。


と、訳のわからない不毛なやり取りを楽しんだ揚げ句、次回入荷の予定はまったくわかりませんが、入荷次第必ずご連絡いたしますので、ここは一つ穏便に、という通告をうけたのみで店を後にした。

あれはいったい、何のための予約騒ぎだったんだとも思うが、どうもそんな単純な論理では済まない、大人の内部事情があるらしい。(たぶん新規契約を優先して、機種変更とか買い増しの熱血組は、どうせ待たせても買うだろうという読みか?)

結果、岡山のそのショップでも当日十数台は入荷したようだが、首都圏では予約無しの当日行列のために500台以上が用意されたという話を聞くと、念入りに予約したにもかかわらず、後回しにされた立場としては、ちょっとムっとする。

もうすでに、機種変更ユーザにも第二ロット(?)の iPhone 4 の供給が始まっているらしい。(白いヤツはまだまだ、だが…)

と、すでに iPhone 4 は入手して日々実用に供しているのだが、後回しにされた予約騒動の恨み言のひとつも言っておかないと悔しいので、書いてみました。

… ということで、ひとつよろしく。

2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2010.07.18] iPhone OS から iOS4 への憂鬱〜より転載&加筆修正

iPhone OS から iOS4 への憂鬱

iOS 4.0:8A293 (iOS 4.0.1:8A306)

このタイミングで書くことといえば、iPhone 4 についてがお約束なのは重々承知しているが、ネット上ではすでに、iPhone 4 の情報であふれ返っている。
iPhone 4 の新機能など、ハード的な側面はどれも聞いたような話になるので、それはいずれその内にということで。

iPhone OS から iOS へと名称も新たに、心機一転スタートした iOS 4 について。

マルチタスキング、フォルダ機能、統合された受信ボックス、メッセージのスレッド化、ホーム画面の壁紙、同期可能な新しいメモ等、ソフトウェア関係の改良点はかなりの数に上る。
いずれも、iPhone OS 3 において各所から要望のあった機能であり、個人的にも漠然と「こうなるといいな」的な希望でもあった筈だ。

6月23日、iPhone 4 に先駆けて、アップデートサービスが始まった iOS 4 である。とりあえず、iPhone 3GS へインストールしてみる。

マルチタスキング:

ホームボタンのダブクリで、最下行に横一列で並んでくれるのはよいのだが、間違って起動してしまったアプリのアイコンや、別の作業で起動したアプリのアイコンまで表示される。

状況によっては、選択候補の表示欄は一画面一行(4候補)しかないので、ホームに戻って選ぶことにくらべて、使いづらい場面もありそうだ。

スティーブは、「ユーザはアプリケーションの起動終了などに、興味はない」と豪語しておったが、過去に一度でも起動したアプリのアイコンまでもが、いつも表示されているのは鬱陶しい。

選択候補の表示欄が狭い分探しにくく、結局複数ページにまたがってしまうのではホーム画面の切替えと変わらないどころか、肝心なアプリの選択によけいな手間がかってしまうではないか。

…と思ったら、アイコン長押しで例のフラフラアイコン表示とともにマイナスバッジが表示され、それをタップすることで終了はできるようだ。一瞬削除かと思ったが、×印ではなくマイナス印なんで消える心配はないようだ。

そして、よくよく使ってみると、その一列の並びにも工夫が見られる。
ホームダブクリで最初に表示されるのは、直近に起動した4候補で、その左側ページには常設とおぼしき「iPod」のコントロールと画面の回転設定など、なるほど使用頻度が高そうなものが表示される。

これなら、アプリケーションの起動終了などに、積極的に興味を持つ必要はないのかもしれない。

また、iPad では物理的なスイッチで実現された「回転禁止設定」の機能も、ここの並びに表示される。厳密には「回転禁止設定」ではなく「縦方向固定」であるので、「横方向固定にしたい場合」は、ユーザ側で一工夫が必要になる。

「横方向固定にしたい場合」というのは、寝転がって画面を見る時などだ。

たとえば、ホームボタンを右側にして横方向で閲覧中に、そのまま右横を向くと結果的にホームボタンが下になり iPhone 自体は地球に対して縦方向になるので、画面表示も縦位置に戻る。

しかし、ホームボタンが左側にある場合は、右横を向くと横方向は維持される。要するに、iPhone の場合天地を逆にすれば、現状の表示方向を維持できるということだ。

もちろん、もう90度回転させると上下が逆転されるが、横方向には変わりないので、ある意味において「横方向固定」にはなる。

iPhone の場合、なぜかデスクトップは横に向けても回転してくれない。あくまでも、デフォルトは縦画面であり、横はオマケであるというスタンスだ。

このあたり、単にOS のバージョンだけではなく、iPad との性格付けの違いが見受けられる。

ただ、iPad のように画面全体が回転すると、アイコン配置もズレるので場所で覚えていると戸惑う場面もある。
できればカメラアプリのように、その場でアイコンが回転してくれるとありがたい。

デスクトップピクチャもついでに回転すればなお良いが、Mac OS のようにドックアイコンが乗っているプレートまで変更する必要はないと思う。(常々疑問に思うのだが、アップルはあのドックのプレートを縦位置で表示するのを嫌っているようだ。あれはいったい、何に対する拘りなんだろう?)

横方向においてのマルチタスクの切替え時には、候補はサイドに表示されるのだし、同様にデスクトップ上でドックの位置がサイドになっても、それほど問題があるとも思えない。

カメラアプリの場合、なんといってもチビアイコンがその場で回転するあの動き方がカワイイので、個人的には非常に気に入っている。

フォルダ機能:

まず、見た目が悪い。

折角デザインされた(そうでないモノもあるにはあるが)アイコンがケシ粒のように詰め込まれた重箱(弁当箱?)に変わり果てる。

それらが散らばったホーム画面は、まるで狂宴の後のお花見会場のようで、お世辞にも美しいといいがたく、当然視認性も落ちる。

いっそ、フォルダのアイコンを新規にデザインして、それを表示してくれた方がましのような気がする。

デスクトップピクチャ機能:

また、iOS4 から採用されたデスクトップピクチャも、あまり明るい背景を選択すると、ファイル名やフォルダ名の文字色が白いので見にくい。

アイコンの視認性がよければさほど問題にならないが、前述のような弁当箱ではフォルダ名に頼らざるを得ないのが、ツラいところだ。

統合された受信ボックス:

狭い画面の中で、複数アカウントに受信されたメールの標題をまとめて一覧にすると、…そうか、こうなってしまうのか。

メールアドレスも二つ三つならまだしも、七つぐらいになるとある程度の広さがないと、まとめてしまうとかえって混乱する、ということがよくわかった。

自分で分類のために作成したメールボックスやゴミ箱など、受信ボックス以外へのアクセス性がかなり犠牲になるので、これも痛し痒しだな。

このあたりのユーザインターフェイスは、まだまだ再考の余地があるだろう。

同期可能な新しいメモ:

同期できるメモ用紙となったが、果たして使い勝手はどうだろう。

メモのデフォルトアカウントで、選択されたメールボックスに追加されるもよう。

しかし、過去にiPhone上で作成されたものは OTA経由では同期しないので、同期設定していないアカウントは設定でオフにして、メール上からも削除一本化した方が、スッキリする。

しかし、メモ書きのためにいちいちメールを起動するのもどうかと思うが、少なくともメールが起動していれば、同期はほぼリアルタイムである。

要するに「メールは、常時立ち上げておけば?」ということなのだろう。

ま、一般的には連絡帳を流用するより分かりやすいが、Mac で作成したメモとの連携を考えると、やはり Mac 側に独立したメモアプリが無いので、使いにくい。(メモアプリぐらい、作れよな!)

Bluetoothワイヤレスキーボード対応:

認識に若干時間がかかったが、接続出来てしまえば、あとは快適。

今まで横画面で使用すると、大半をソフトキーボードに占有され、文章の前後関係を確認することなど全く出来なかった。
それが、iPad ではもちろん充分に快適なのだが、iPhone でさえ全画面で文面で使用できると、文書作成効率は劇的に改善する。

また、矢印キーでカーソルの移動が出来ることが、こんなにありがたいと感じたことはない。

コピペの範囲選択も楽チンだし、Mac で使用している基本動作のショートカットがそのまま使えるので、本当に快適である。
これなら、iPhoneだけで長文を入力して編集も可能になる。まさに革命的といえるほどのインパクトはあると思う。

ここまで入力作業が楽になると欲が出てくるもので、iOS 版の「かわせみ」が欲しくなる。

ただし、Bluetooth をオフにするのを忘れると、ソフトキーボードが表示されないので、外で慌てることになるので注意が必要だ。

辞書登録機能:

やっと、というかついに辞書登録機能が追加された。

過去には連絡先を使用するウラワザやアプリも紹介されていたが、やっぱこの程度の基本機能は純正で用意して欲しい。

ただ、その設定自体あまりにも控えめな場所にあるので、気付かないユーザも多いと思う。
なんと、設定>一般>キーボードの最下行の「ユーザ辞書を編集…」という場所に、ひっそりと隠されている。

これでは、やっぱりウラワザとしか言えないかもしれない。
せめて、コピペの過程で表示されればとも思うが、ま、一歩一歩ということだろう。

その他にも、いまだその詳細についてイマイチ理解できていない機能もあるにはあるが、必要があれば使っているうちにわかってくると思う。

以上が、 iPhone 3GS にインストールして、だいたい2〜3日程度使用してみた印象である。

いつ対面できるのやら全く目処もたたず、ネット上の iPhone 4 関連の記事などを、涙で曇りがちな横目でうらめしく見ながら書いたものだから「なにさ、フン」的な、多少批判めいた部分もあるかもしれない。

現時点では、すでにバージョンも4.0 (8A293) から4.0.1 (8A306) へとアップデートされ、信号レベルの表示もゲタを履かされたことにより、見方によっては確認しやすくなった。

当然、メモリも倍増され A4 プロセッサによりクロック周波数も上がった iPhone 4 では、その快適さはよりいっそう実感できる。

たしかに、いずれもこうなるといいな的な希望であったものばかりだが、いざ実現してみるとイマイチどうもシックリこない部分もある。

慣れの問題もあるのだろうが、この手のキカイ(外に持ち出して手のひらの中で使う物)に、必要不可欠な要素が抜けてしまった感がある。

凝りすぎ、といっては語弊があるかもしれないが、「ちょっと足りないぐらいの丁度良さ」的な演出が欲しい気もする。あくまでもホントに足りないのではなく、探せば解決方法は見つかるという微妙なさじ加減である。

ま、それはそれでゼイタクかもしれないが、…。

なんと「憂鬱」が識別出来るぢゃないか!Retina Display:レティナディスプレイ♪ (◎_◎;)

これは、ぜひ iPad にも欲しいなあ。(←ゼイタク、ゼイタク)

… ということで、ひとつよろしく。


2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2010.07.18] iPhone OS から iOS4 への憂鬱〜より転載&加筆修正