2012年6月18日月曜日

確認の励行と連絡の徹底

Thunderbolt Software Update 1.2

上記標題は、かつて勤務していた某国営企業で安全綱領として叩き込まれた標語である。具体的には、指さし確認と呼ばれる「右よし、左よし」という実際に声に出して連呼する、最初はちょっと気恥ずかしい確認手順を始めとした、安全安心の基本理念である。

これを怠ったため、鼻骨骨折の憂き目に遭った体験を思い出してしまった。救急で運び込まれた病院で、鼻の穴に鉗子を突っ込まれてゴキッと音がするまで(骨折部位が正しく接合された証らしい)グリグリやられた苦い経験はあまり思い出したくないモノで、それ以来指さし確認の声もいっそう大きくなった。

のっけから余談であるが、どうやらアップルが、またもやチョンボをやらかしたらしい。

当方でも、件のアップデートは公開後早い段階で、旗艦の iMac と弐番艦である MacBook Air で実行したが、起動不可になるような重篤な影響は今のところ発生していない。

巷で(といっても、主にネット上の話だが)話題の「Thunderbolt Software Update」の件について、今回はアップルとしては珍しく、謝罪の意を表明しているらしい。

現時点では本国のサイト(もちろん英語だ)だけで、なんだけどね。

ニュースサイトやらそれに準ずるコミュニティサイト、またはその内容をコピペした個人のブログ等で話題になるぐらいだから、アップルにとって謝罪(apologizes)という言葉が、いかに異例であるかが窺い知れるというものだ。

で、どのような内容か早速アップルのサイトを訪問してみたが、目立つ所にはあるはずもなく、サポートページでも目視で発見することはできない。そこで「Thunderbolt Software Update 1.2」でサイト内検索をかけて、やっとサポート情報の一部として引っかかった。

内容としては、やれ TimeMachine のバックアップからアップデート以前に戻せとか、ターゲットモードで別の Mac で起動し 10.7.4 のコンボアップデートをかけろだの、およそちょっと慣れたユーザならこういう場合の対処法として考えそうなことが、簡潔に案内されているのみである。

ニュースサイト等が話題にしているのはどちらかと言えば以下の最後の一文であろう。(以下、引用)

Apple apologizes for the disruption this caused for customers with affected Macs.

「コイツのせいで、運悪く起動できなくなったマックユーザさん達ゴメンね。」というのが概要と思われるが、辞書を引くのも面倒なので、ネット翻訳をかけてみた。

だいたい趣旨としてはわかるのだが、やっぱちょっと変である。

[Google]Appleはこの影響を受けるのMacをお持ちのお客様のために引き起こされる混乱について謝罪。

「受けるのMac」というのがウケるよね。謝罪の対象はあくまでも混乱に対してのように見えるが、「お客様のために」の後に句点を入れたら意味は通ると思う。

[Exite]アップルは、これが影響を受けたマックと顧客のために引き起こした混乱について謝罪します。

エキサイトの場合は、「これが影響」という部分はいただけないが、見方によってはユーザのみでなく Mac に対しても謝罪しているようにも思えるのが、微笑ましい。

ここはヒトツ、
「アップルは、このアップデートによって引き起こされる混乱の影響を受けた Mac をお使いのお客様に対して、謝罪いたします。」
と、キメて欲しいところだが、"for" が二つも並んだら、たいていまともな文章に翻訳してはくれないところも、相変わらずである。

早晩対応策は講じられるものと信じるが、どうも最近のアップデートは迂闊にかけるとロクなことがない。やっぱ、ひと呼吸おいてが無難なようである。

しかし、先陣を切って人柱となることを生業にしている者にとっては、そういうわけにもいかない。願わくば、ちゃんと動作確認をやってから配布してよね、と言いたいところだ。

ま、今回は自分自身(と、その周り)がその影響を受けていないため、割と気楽に眺めている「Thunderbolt Software Update」事件をオカズにした、散漫なヒマネタでした。


…ということで、ヒトツよろしく。
2012年06月某日 Hexagon/Okayama, Japan



[2012.06.18] 確認の励行と連絡の徹底 〜より転載&加筆修正

2012年6月14日木曜日

必要な変更なのか?

MagSafe 2

MagSafe は、MacBook シリーズ本体にパワーアダプタからのケーブルを、磁力によって吸着するタイプの電源コネクタである。

電気ポットなどの家電製品で多く採用されており、要するに電源ケーブルにけっぱんづいても簡単に外れて、熱湯を浴びるような悲惨な事故を防ぐ目的で開発されたのであろう。もちろん、Mac の場合は給湯機能を搭載された機種はまだないので、現時点では本体の落下による破損を未然に防ぐこと、が主目的である。

2006年1月、Macworld Expo で発表された MacBook Pro 15 [MA463-464J/A] に採用されたのが最初であり、今年でもうはや6年目になる。その MagSafe が、今回その形状を厚み方向で薄くなって MagSafe 2 と命名された。MacBook Pro 15 Retina ディスプレイモデルの筐体に合わせた変更であろうことは、容易に想像できる。

しかし、エッジ部分の薄さという点においては、それ以下である 2008年1月に発表された初代 MacBook Air では、その薄い筐体に接続するため、本体下面(斜下)に向けてかなりトリッキーな方法で装備されていた。実際に使ってみると結構使いづらく、置き方によっては本来の Safe の部分に関してかなりアヤシイ面があったことも否めない。

たぶん、ついでだろうが MacBook Air も 2012年モデルでは、2010-2011年モデルと外形寸法に全く違いが無いにもかかわらず、薄型の MagSafe 2 に変更された。後になって考えりゃあ、あのときこうしておけばと思うことはよくあるが、アップルの場合まいど「オラが規格」で新設計するんだからもう少し考えてからサイズを決めることもできたろう。今更であるが、2006 年の時点で MagSafe の高さ方向をせめて USB 程度に設計しておくべきだったろうという気もする。

いや、それよりも現時点であの程度のリサイズで十分なのだろうか、という心配も出てくる。どうせならもっと先を見越して、革命的な電源の取り方を採用しても良かったんではなかろうか…と。(特許まで取得して、サードパーティの参入を規制しているんだからね)

今回アップルとしては珍しく、[MD504ZM/A] MagSafe − MagSafe 2コンバータ(¥980)を同時発売して、旧タイプの MagSafe 電源を所有しているユーザにも配慮するという、小技も披露している点は評価できる。

加えて細かいところだが、MacBook Air シリーズに対しても従来本体側面に対して平行に配置された接点部分が、デビュー当時の MagSafe 電源のように直角に接続される形状に変更された。見た目は確かに平行が良いのだが、これも同様に Safe の部分が期待できなくなることに配慮した変更であろう。

また、同じく [MD463ZM/A] Thunderbolt ギガビットEthernet アダプタとThunderbolt FireWire 800 アダプタというものも発表されたが、現時点で後者の FireWire 800 アダプタは本国の Apple Store にも登録されていない。

どうせ Thunderbolt 絡みで出すなら Thunderbolt USB 3.0 アダプタというのも欲しい。できれば、Thunderbolt 1 Port の反対側にディスプレイポートやサウンド入出力も含めて全部入りがついてりゃ面倒がなくていい。かなりブサイクなデザインになるのは避けられまいが、せっかくのマルチインターフェイスである Thunderbolt も、それぐらいでないと同時に使えないからあまり意味がないと思う。ベルキンかグリフィンあたりで出してくれんかなあ…、余談である。

そんなことより気になるのは、今回の新製品で行われた、各ポートの名称がレタリングされた位置の変更である。

2010年モデルでは、各ポートのリアエンドよりに記載されていたレタリングが、すべてフロントエンド側に変更されている。単純に考えれば、ケーブルを差し込んだ後に隠れて見えにくいから変更したんだろうと予想される。しかし、まさかこの2年の間、誰も気がつかなかったわけぢゃないだろうが、それなら前回の2011年モデルでは、なぜそのまま放置したのだろう。各方面からの賛否両論を上手くまとめることができなかったから、なんてことでなけりゃよいのだが。

だいたいポート(穴)の位置なんか差込む前には気にするが、ひっこ抜く時には誰も見やしないから、ケーブルに隠れて見にくいなんて文句いうヤツはまずいない。そんなことに突っ込みを入れるヤツいるとすれば、たぶん…。

だから、どうでもいいくだらないことなんだけど、こんな行き当たりばったりの対応を見るにつけ、最近のアップルにはこんな細部のダメ出しをする役回りの存在が欠けているようで、ちょっと気になった点である。

ま、過去には「逆さまアップルロゴ」の例もあることだし、細かいところにも気を配っているんだぞと、エラそうにフカしている割には、結構ヌケているところもあるアップル製品でした。

…ということで、ヒトツよろしく。

2012年06月某日 Hexagon/Okayama, Japan




[2012.06.14] 必要な変更なのか? 〜より転載&加筆修正

2012年6月12日火曜日

WWDC 2012


アップル WWDC 2012 基調講演において新製品発表。

やはり、打上げ花火は 最上位の MacBook Pro 15.4 インチモデルのみで、後はクロックバンプを中心にした機能拡張に留まったようだ。たぶんコイツが従来の 17 インチモデルに替わって MacBook Pro シリーズ旗艦になるのだろう。

ま、あまり事を急いでもロクなことにならないだろうから、これはこれで正解なのかもしれない。

ただ、高価なモデルが高性能/高機能なのは当たり前である。
たしかに、15.4インチで 2,880×1,800 ピクセルというのは大したものだと思うが、解像度でいえば 220 ppi 程度でアップルのいう網膜(Retina)ディスプレイの基準もどんどん下がってきている。どうせやるなら13.3 インチで実現したらほんとにスゴイ、になっただろう。

ここ最近のアップル製品は、そこそこの価格でも結構な性能を実現してコストパフォーマンスに優れることが最大の魅力であったはずなのに、iMac シリーズのみが唯一その役割を担っているに過ぎない。

売れ筋の MacBook Air シリーズは前回魅力的な躍進を遂げたので、今回のマイナーアップデートは想定内であったのだが、MacBook Pro 13インチモデルの 1,280×800 という解像度は、いまさらどうよである。

IvyBridge がなんぼのモンかは知らないが、もはや MacBook Air (13.3 inch :1,440×900) はおろか iPad (9.7 inch : 2,048×1,536) にさえも引き離されてしまった感のある 13 インチモデルに対するテコ入れは必修と考えていただけに、そこはかとなくガッカリ感が漂う。

せめて、MacBook Air (11.6 inch :1366×768) を上回るスペックを奢ってもバチは当たるまい。いっそ、名前を MacBook に戻し価格を $1,000 以下に設定して、お勤め品の雄を目指すのならいざ知らず、そうでなければ Pro の名を与える意味はないと思うな。

また、今回会場では言及されていなかったようだが、個人的に最も期待するのは、2008年の 802.11n 以来久しくアップデートがなかった [MC414J/A] AirMac Express だ。

見た目は Apple TV を白くしただけのセルフパクリデザインだが、MacBook Air と同様に初代より革命的なアップデートを行われた Apple TV のデザインを有効活用した良い選択である。デュアルバンド化はもちろん、Ethernet LAN ポートも追加され従来より格段に使い勝手が良くなっているように見える。

ついでにギガビットまで実現してくれたら完璧だったのだが、兄貴分である AirMac Extreme の立場もあるんで、そのへんは大人の事情に配慮して…、というところかな。

その他の新製品についても、おいおいに明らかになると思われるが、取り急ぎ WWDC 2012 における発表に対する感想まで。
[AM 04:30]


…ということで、今月もヒトツよろしく。


2012年06月某日 Hexagon/Okayama, Japan
[2012.06.12] WWDC 2012〜より転載&加筆修正