2013年12月31日火曜日

親父鉄道

年の瀬もどん詰まりの大晦日に、全く相応しいとは思えない、ごく私的な鉄ネタである。

以前、父の鉄道模型について書いたことがあった。

12畳の和室いっぱいに拡がって、どこにも移動できない規模に肥大化してしまった親父鉄道のジオラマは、現在の実家を建て直した80年代中頃より少し前に、父自らの手によって破壊され、撤去され、処分されたそうだ。

中学を卒業して以来、およそ十年近く家を離れて下宿生活をしていたので、詳しい事情は聞かされていないが、古い家を取壊すにあたって処分すべき諸々の物として、(主に母によって)筆頭にリストアップされていたに違いない。

当時住んでいた家は、大正時代に建てられたものであることは、以前から聞かされていた。学生時代に帰省していた時でさえすでに、かつての自室であった八畳間は、六角鉛筆も転がるほどに床は傾いており、あちこちが崩壊寸前のお化け屋敷のような外観であった。

もともと菓子職人であった祖父が、昭和の初期に大陸から戻って移り住んで以来、和菓子屋を営んでいたが、いつの頃かパン屋に衣替えをしていたらしい。戦前に増築をして、狭い敷地一杯に拡がっていた住居だが、劣化の度合いは全域に渡っていた。

いつまでも学生を続けて家計を圧迫している放蕩息子が、その建替え時期を遅らせていたことは明白であり、私の卒業(と就職)と同時に、新築計画が実行に移されたのである。

新しい家に入居した当時、あれほど溢れ返っていた父の道楽物が、全く目につかなかったことにさほど違和感も抱かなかった。鉄道模型だけでなく、ラジコンの飛行機やエンジンボート、数多くの熱帯魚の水槽などが、まるで存在さえしなかったように消えていたにもかかわらず、である。

思えば両親の間で、ましてや父自身の中でも相当な葛藤があったことは想像に難くない。下宿生活が長かったせいもあるが、家族の記憶でさえ希薄にしてしまうほどに、自分の事しか考えられない、狭量な時期であったことも影響していたのだろう。

その後、結婚して長女が生まれ、また同時期に妹が嫁いだ頃には、両親供に穏やかな表情を見ることが多くなり、そんなことも忘れることができた。

しかし、四年もたたないうちに自身の過失から火事を出してしまい、実家を出て官舎住まいを余儀なくされた頃から、主に母親と衝突することが多くなった。

新築の家に同居させてもらい、決して多くはないが自分の稼ぎもあったことで、我道楽も頂点に達しつつあった矢先の不始末である。当然、その道楽物を処分することになるのは避けられず、自業自得のようなものであるので、それ自体になんら異議を唱えるつもりはなかった。

自分だけでは、妻子を養う甲斐性もない身でありながら、半ば暴走気味の感もあった道楽(主にオーディオとビデオ関連)には、いずれ訪れることは必至であったであろう、いわば因果応報である。今から思うと、天誅のような火事騒ぎであったように思う。

だが、根っからの仕切り屋としての本領を発揮する母の苦言を耳にする度に、父が新築計画に伴って決断を迫られた状況を重ねてしまうようになる。そんな自分の事は棚に上げて、父から道楽物の大半を奪った事に対しての、ほとんど八つ当たりのような振る舞いを母親に向けていた時期であり、なにかと自己嫌悪に陥ることも少なくなかったのである。

実際、新居が完成して父が亡くなるまでの十八年間、かつての道楽物に関する話題は全く口にしなかったことを、今更のように不思議に思う。我が身を振り返って考えるにつけ、自分の生き甲斐であるかのような趣味の物を、父がいったいどのように折合いをつけて、あたかも記憶を消し去ったのごとく振る舞えたのか、問うてみたかった気もする。

葬儀のあとで遺品を整理していた時、母がどこから持ち出したのか、幾つかの箱を仏壇の側に積み上げていた。その時は、喪主としての雑用に追われていたので気にもかけていなかったが、法事を終えた頃になって、それが鉄道模型の一部であることに気がついた。

今でも仏壇の側に置いてあるそれらの箱を、墓参りで家に寄った時に何度か開けて見たことはあったが、なにせ年代物である。触れるだけでも壊れてしまいそうな脆さが、どうしても詳細な検分を躊躇させる。

せめて、その存在の証にでもなればと写真に撮っておくことを思いついたが、たまに実家に赴いた時には落ち着いた物撮りなど出来ない諸事情もあって、なかなか実現しなかった。あれから、既に十年以上が経ってしまったが、形ある物の風化はどうしても避けられない。

あまり構えて事に及ぼうとするから、実現できないことも多いので、今回ほんの軽い気持ちで、要するに姑息で杜撰で雑な撮影ではあるが、なんとか実行してみた。だが、撮ってはみたものの、公開するタイミングを迷っているうちに、またもや一ヶ月以上が経ってしまった。

で、このどん詰まりになって、やっと重い腰を上げたわけである。

本来ならば、もっと環境を整えて照明も工夫しながら、キッチリ撮るべきなのであるが、なぜか被写体自体をあまり客観的に見ることが出来ない。

それは、親父鉄道のほんの一部でしかなく、自分の中にある記憶とはあまりにもかけ離れたモノにしか見えないという理由かもしれない。

幼少の目に焼き付いているのは、とてつもなく壮大に見えた部屋一杯に拡がる鉄道ジオラマの中で、ジージーと音を立てながら走り回っていたあの風景である。

そして、その前に喜色満面の笑顔で座って、目を輝かせながら操作している親父がワンセットで初めて完成する想い出だから、というのを今回の言い訳としておきたい。



…ということで、来年もヒトツよろしく。
2013年12月末日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.31] 親父鉄道 〜より転載&加筆修正

2013年12月28日土曜日

不定点観測

今年も、残すところ後わずかとなった。

いよいよ押し迫ってきたが、そんな世間の動きとは全く無関係に極楽トンボなカメネタ、写真ネタを続ける。

というわけで、キリンビール12月号臨時増刊みたいな不定点観測である。

伯備線遠征の掲載が長引いてしまい、いささか鮮度が落ちてしまった感はあるが、賞味期限が過ぎる前に晒しておく。

ま、鮮度がどうこういうほどの出来のモノは無いのだが、多少変わった視点からのキリンビール工場も一興だろう。

瀬戸町にある三谷公園、その背後にあるのが通称三谷山である。

金剛童子の入口にある案内板によると、瀬戸町森林公園側からアプローチすれば、山頂近くまで車で行けそうに見える。しかし、標高わずか240m にも満たない山であり、さほど整備もされていなさそうなので、あまり良い展望は期待できそうにない。

たまには、体を動かした方が良かろうと思い、三谷公園側から DPM 2台と一脚のみを持って歩いて登ってみた。

が、登り始めて5分もしない内に後悔し始めた。体調が万全であるかどうかなどは、どうやら無関係のようだ。(ゼイゼイ)

一応、ビール工場が見える北斜面を目指していたので、果敢にも途中から登山道を外れて獣道にアタックしてみる。なんとか、北側に面したピークにたどり着いたものの、呼吸が整うまで、かなり長い時間がかかった。(ヒイヒイ)

案の定、その場所は多くの雑木に邪魔をされており、とても楽な撮影は出来そうにない。

そこからの写真を何枚か撮ってみたが、どうしても前ボケな木々がフレームに入ってしまう。傍らには高圧線の鉄塔が立っているので、そこによじ登れば少なくとも北と東方向には障害物のない絵が撮れそうだったが、鉄塔東側の斜面はほぼ絶壁に近い。

覚束無い足で、下手に登って転落でもしようものなら、格好の笑い者となるローカルニュースネタを提供することは必至なので、止めておいた。だが、その場に直立した位置からほんの1m少々、高さを稼げれば視界が開けそうだった。

試しに一脚に DP3M をつけて、応援団の旗竿よろしく目一杯持ち上げてみる。10秒タイマーをセットしてオートブラケット3連写で撮れば、なんとかなるだろうとの予想だ。

さすがに水平基準もないし構図もムチャクチャだが、それでも枝に邪魔されない絵は、何枚か撮れたようである。

日暮れまでにはまだ間のある時間だったが、あまり良い天気でもない。パッとしない絵ばかりになりそうだだし、あまり長居をしても得るものはなさそうだったので、早々に退散することにした。

登り程ではないにしても、結構な急斜面をカメラ2台と一脚を持って転ばずに下るのは、なかなか難儀である。途中、何度か足を滑らせて肝を冷やしたが、なんとかカメラ共々無事に金剛童子まで下りることが出来たのは幸運だったといえよう。

ただ、一脚を杖代わりに使ったために、先っぽのゴムが裂けてしまったのが遺憾であるが、我が身と DPM を守った代償と考えることにした。

寄る年波には勝てずとは重々承知していたが、マジ死ぬかと思ったぜい。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.28] 不定点観測 〜より転載&加筆修正

2013年12月25日水曜日

Xmas モード終了

サンタが来た人も来なかった人も、このまま年末年始モードへ

今年もうちにはサンタは来なかったが、どうもこのところ、以前に比べて更新頻度が上がっているせいか、iWeb の調子が悪い。

ま、調子が良かったことなどあまりないんだが、最近顕著な不具合は、ページの主文を入力するテキストボックスが巨大なイメージに変換されて、アップロードエラーを起こすことだ。

オンラインヘルプを参照すると、以下のような説明がある。

以下、引用:
テキストが異なるコンピュータや Web ブラウザで同じように表示されるようにするため、「iWeb」では、アウトライン化されたテキスト、二重下線や取り消し線が付いたテキスト、特殊なフォントのテキストなどが、サイトを公開するときにグラフィックスに変換されます。このグラフィックは一見テキストのように見えますが、通常のテキストのように選択したりコピーしたりはできません。一部の図形およびその他の要素も変換されることがあります。

最後の、…変換されることがあります、というのが如何にも怪しい。

たしかに、取り消し線が付いたテキストなどがあったこともあるが、それでもイメージに変換されず、テキストとしてアップロード出来ていたので、この解説もあまり当てにはならない。

環境設定には、「テキスト・イメージング・インジケータを表示」というチェックボックスがあり、これをオンにしておくことで、メディアプレースホルダの内容がイメージに変換されることを事前に「知る」ことはできるが、それを簡単に防ぐ手はない。

iWeb の基本的な仕様では、各ページにおけるコンテンツの高さ方向の上限は 4,000 ピクセル、テキストボックスの最下限位置は 2,834 ピクセルあたりで制限されているようだ。数値入力による位置設定では、これ以上の指定を受け付けないが、矢印キーやマウスによるドラッグ操作では、なぜか可能になっている。

意図せずイメージに変換される原因は、このメディアプレースホルダという名のテキストボックスのリサイズ機能が、編集段階で上手く対応できていない場合が多い。

新しい文章を上へ追加していくと、いつのまにか下限の位置をその内容量に応じて、サイズの拡張が出来なくなってしまい、最後尾に+マークが表示されるようになる。

表示されていない領域があることを示す一種のインジケータのようなものだが、これが出るようになったら要注意である。フッターの位置も自動では下がらなくなって、苦し紛れに本来テキストである筈のボックスを巨大なイメージに変換してしまうのではないかと想像する。

不可解なのは、インジケータが表示されてしまったメディアプレースホルダの内容を全て削除して、インジケータが表示されなくなったことを確認してから新たに文字入力をしても、最初の一文字を入力した途端にインジケータが表示されてしまうことだ。

こうなってしまうと、フォントや内容物にいかなるも変更を施そうが、巌として受け付けない。場合によっては、二つも三つもインジケータが表示される。

この場合、公開せずそのまま保存してから再度 iWeb を起動すると、なぜか今度は何を入力してもインジケータは表示されない。もちろん、取り消し線が付いたテキストがあろうが無かろうが無関係であり、当然公開も問題なく出来るのである。

仕方がないので、別のダミーページを作成し、メディアプレースホルダの内容を全文コピペしておいて、本来のページのメディアプレースホルダを空にして保存。iWeb を再起動後、コピペし直しアップロードという、不毛な作業を繰返している。

ただし、公開後一度 iWeb を終了してしまうと、次回起動時にはまたもやインジケータが表示されてしまう。更新の無いページはアップロードされないので無視しているが、実際に内容を変更しなくても、スクロールさせただけで変更されたと認識するアホなバグが修正されていないので、細心の注意が必要だ。

根本的な解決策は、野放図に文章の追加を繰り返し、まるでトイレットペーパーのようになってしまったページをなんとかすれば良いのだが、管理上あまりページ数を増やしたくないという、個人的な事情も絡んでくる。

最近は、カメネタによる長文も増えてきているので、iWeb 内のブログページ(というには、あまりにもお粗末であるが)に転載して、メインページの文書量があまり増えないような工夫はしているが、結構な手間もかかる。

しかし、ブログページの方は多少長文になっても、メインページのようなイメージに変換される問題も発生していないので、テンプレート独自の問題である可能性もあり、対処療法しかないのが現状である。

てなことを言いながら、もう誰も使っていない iWeb なんかのくだらない長文を書いていたら、また新たな問題の要因にもなりかねないので、このへんにしておこう。

他にも数えきれないほどの不具合はある iWeb 3.0.4 だが、なぜかマーヴェリックス上でも動作しているので未だに使用しているが、風前の灯火であることに変わりはない。

次の風が吹いたら絶対消えると言われながら、すでに4年、最後のアップデートからも2年以上経過しているので、惜しまれながら消えていったその他アップルプロダクトに比べたら、iWeb の周りだけ真空状態になっているかのようだ。

要するに、アップルも留めを刺すことさえ、完全に忘れているだけなのかもしれない。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.25] Xmas モード終了 〜より転載&加筆修正

2013年12月24日火曜日

伯備線遠征:其の四

伯備線遠征シリーズ、改め「気紛れ、米子〜境港編」である。

予定は未定にして決定にあらず、の典型のようなパターンだが、当初の計画どおりに事が進んだ方が少ないので想定内であり、ある意味予定どおりなのかもしれない。

「秘境駅」のことをいろいろ検索してみると、なるほどと思える場所も多い。その場へ赴くには、その路線の鉄道に乗れば行けないことはないが、帰って来られるとは限らない。

秘境というぐらいだから、降りたら最後次の列車が来るまでの時間は相当あるわけで、周りの景色を撮るなりして時間を調整すれば良いのだが、それを逃すとその日の内に帰れないことも、覚悟しておく必要がある。

おのずと、お手軽な別の交通機関(主に車だが)を利用して訪れることが、一般的になっているようだ。

気合いの入った鉄オタなら、野営も辞さない覚悟で当該路線を利用した撮影行を敢行するというのもアリかもしれないが、なかなか真似をしようという気にはなれない。

古い余部鉄橋があった頃、ただミーハー的に餘部駅にも行ったことがある。たしか、まだ鉄橋を渡るディーゼル特急が運行されていた 1998年頃なので、今から思えばそれを撮ってみたかったような気もする。

余部鉄橋、実は実際に特急に乗って通ったことがある。鳥取から京都までと、逆に京都から鳥取までの2回で、少なくとも京都からの2回目は特急「あさしお」だったと記憶している。

津山線の気動車(たぶんキハ20系)には、一時通学で飽きるほど乗っていた。当時その路線にはキハ28系の急行「砂丘」までしかなく、いっぺん気動車特急というものに乗ってみたかっただけの、カルイ気持ちからだ。

もちろん、餘部鉄橋を通った恐怖も覚えているが、当時それよりもっと記憶に焼き付いているのは、福知山を過ぎて山岳部に入った時のこと。

轟音とともに、車体を震わせながらエンジン全開で登坂中の特急を、並行した林道を走る郵便配達のカブが、悠々と抜いて行ったのを目撃した。

得も言われぬ脱力感とともに、口に頰ばっていた鯖寿司を床に落としてしまったことが、とても印象深く忘れられない。あいた口が塞がらないとは、このことであると実感した瞬間であった。

いずれも学生時代、京都に住んでいた70年代後半のことである。おそらく、12気筒500馬力のキハ181系ではなく、より非力な8気筒180馬力のキハ80系だったのかもしれない。…余談である。

当初、日野、江府、伯耆あたりまで、伯備線を撮っていくつもりだったのだが、生山を過ぎた頃から中途半端な雪景色では、あまり期待した絵にはならないと思い、後藤まで行ってみることにした。

峠を越えて米子が近づくと、岡山県側とは少々異なる印象の景色が拡がる。

山陽側に住んでいると、県南の瀬戸内の風景と県北の山岳部の風景を撮るには、それなりの移動距離もあって、その途中にはさして面白くもないありふれた景色が続く。

その点、山陰側は海の景色と山の景色が一度に楽しめるし、おまけに冬は雪景色と、写真を撮るには何かと好都合である。高層建築もないので、心なしか空も広く感じる。天気もそこそこ晴れて、大山(おおやまぢゃなく、だいせんね)もよく見えた。

途中でも何箇所か、撮ってみたい場所はあったのだが、陽のある内に着きたかったので、雪の無い一般道では少々鈍重なジムニーにムチをくれてやったのである。

ま、結論から言っちまえば、坊主である。

後藤駅付近にサンライズエクスプレスが停まっている写真を、出掛ける何日か前にグーグルのストリートビューで見たことが災いした。

たまたま、その時に写っていただけで、いつもいるわけではないことなど分かっていたのだが、つい出来心でやっちまった感は否めない。

後藤駅で見かけたのは、回送中のキハ120 一両だけであり、全くのスカだ。時間も午後3時を回って、すでに夕暮れの日差しになりつつある。

それなら、と思い富士見町まで引き返して後藤総合車両所へと赴いた。当然、ターゲットはちっこいサンライズ出雲バス、である。

せめて、あいつがちゃんと撮れてりゃ「我サンライズ出雲、激写に成功せり!」と大々的に公開して、それなりの笑いも取れたのに、…。

ま、結論から言っちまえば、当たり前だが門前払いである。

守衛のおっちゃんに、なんとか頼み込んでみたが、委託の外注社員らしく埒は明かない。それでも、熱心に総務課と掛け合ってくれたのだが、一般の飛び込みで工場見学など認められるはずもない。くそ〜。

くやしいので、日本海を拝みに境港まで、またもや足を延ばすことにしたのだが、もう日没が近い時間であり、我ながら往生際の悪さに気付いていないわけではない。

美保湾あたりで手を打っときゃ、それなりの絵は撮れたはずなのに、隠岐の島でも見えれば、せめて美保関灯台と欲を張ったばかりに、七類港付近で日没。メテオプラザなどという、まるで景観と不釣り合いで不気味なフェリーターミナルで挫折、万事休す予定終了。

撮り合えず日本海は撮ってみたものの、光量不足では解像感など全く望めず iPhone の写真となんら変わりがない。

境港の侘びしい夜景などで、これ以上恥を晒すのも如何なものかと思い、すごすごと米子自動車道を目指したのであった。

後半は悪い癖が出て、あまりにも気紛れに過ぎる脱線に終始してしまったが、所詮日帰りで山陰地方の絵を撮ろうなどというのは、甘い考えだろう。

本来なら、ノンビリと温泉にでも浸かってカニでも堪能しながら、というのが正しいアプローチである。

ま、福引きにでも当たったら考えよう。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.24] 伯備線遠征:其の四 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

2013年12月22日日曜日

伯備線遠征:其の参

伯備線遠征シリーズの「備中神代〜生山編」である。

真夏の炎天下に備中神代駅を訪れたことも、未だ記憶に新しい。

まだ、鉄道写真にさほど興味を持っていなかった頃であるが、前回の布原などもマニアには「秘境駅」としてランキングが高く、人気があるらしい。

「秘境駅」というのかどうかは知らないが、全く予備知識など無く、ただ行ってみただけの辺境駅もある。

もう10年以上前になるが、前車であるレンジローバーに乗っていた頃、今回の様な写真を撮ることが目的ではなかったが、似たような気紛れから漠然と九州方面を目指して、ドライブに出掛けた時のこと。

そのまま、まともに山陽側を走るのも芸がないと考え(芸が必要か?)、浜田、益田を経由して津和野と萩も廻って、ついでに日本海側から九州へと欲張りにも程がある、無謀な計画を敢行(観光)したのである。

長門粟野を過ぎて、国道191号線を下関へ向かってひた走っていた時、並走する山陰本線をキハ181ディーゼル特急が、日本海をバックに疾走する姿を目撃した。これがまことに絵になる風景で、脳裏に焼き付いている。

カメラは持っていたものの、思わず見蕩れてしまい撮影はできなかった。2002年5月3日のことであるが、ずいぶん後になってその列車のことを調べてみた。だが、該当する特急に関する資料は見つからなかった。

別の機会と混同した勘違いかもしれないし、今となっては非常に怪しい記憶だが、自分の中であれはまさに白昼夢か、幻の幽霊特急だったに違いない、ということにしている。

(て、念のために今日もう一度よく調べたら、2005年まで運行されていた益田発小倉行きの特急「いそかぜ」っぽい。益田を 14:49 に発車して、小倉着が 17:44 なので、午後4時頃に目撃した記憶とも合致する。たぶんコイツだ、あ〜すっきり。)

その時、無性に空腹を覚えたのだが、近くに食事の出来そうな店も見当たらない。国道435号線との分岐点の手前で、「特牛」と表記された道路標識が目に入ったのだ。

本来なら、素直に北浦街道を南下するつもりだったのだが、頭の中では勝手に吉野家の特盛り牛丼が連想されてしまった。山間部へ向かえば、店など期待できないことなど判りきっていたにもかかわらず、国道435号線を「特牛」に向かってまっしぐら、である。

で、たどり着いた場所にあったのが、この「特牛(こっとい)駅」だ。

吉野家はもちろん、牛一頭さえ居るわけでなく、特盛りどころか並盛りの牛丼にもありつけなかったのは、言うまでもない。…余談である。

備中神代から国道182号線に出てほんの 500m ほど行くと、伯備線は国道から離れて北上するので、県道8号線を神郷方面へ向かう。

国道から三差路を左に県道へ入ると、線路を跨ぐ陸橋に D51 の銅像がある。いや、人や動物でもなくても、やっぱ像というべきなのか、それより材質は銅なのか鉄なのかは知らないが、やっぱ機関車なんだから鉄かな。

このあたりも、線路のある風景としては結構絵になる。県道に入ってからは、日が差して青空も見え始めてきたので、次の列車が通るまで待ってみた。

如何にも線路のある風景然とした景観が拡がっているので、DP1 Merrill で撮ることにした。7枚バッファを目一杯使えば、手動でも何とかなるだろう。

列車が来るまではそれでも良かったのだが、やくもがフレームに入ると広角では、背景はほとんど隠れてしまうことに気付くべきだった。

構図としてベストなタイミングの6枚目では日も陰って、絞り優先ではシャッター速度も遅くなり、先頭車両はブレているしピントもかなりあやしい。なかなか、上手くいかないものである。

神郷を過ぎたあたりから、道の脇に積もった雪が少し増えてきたが、晴れてきたので寒さは和らいだ。県境を越えて鳥取県に入ると、上石見駅手前で右手に花見山が見える。

その昔スキーに何度か訪れたことはあるが、当時はこの季節に板も持たずにこんなところへ来ることなど考えられなかった。我ながら歳をとったものだと、つくづく思う。

上石見駅を過ぎて、中石見、下石見と続き、生山駅手の前少し展けた所に下石見信号場がある。

時刻表を確認すると、やくも11号がそろそろやって来る頃だったので、その辺りを撮りながら少し待ってみることにした。

逆光気味だが光量は十分なので、少々絞ってもシャッター速度は心配しなくて済む。ただ、直線区間が長いので、6両編成でもちと寂しい絵になるのが残念だ。

いっそ、2〜3両編成ぐらいのローカル列車の方がもう少しマシな絵になったかもしれないが、なにせ石を投げればやくもに当たる伯備線である。(いや、マジで投げちゃまずいんだけどね)

その後、日南町の石霞渓(せっかけい)を撮ってみたが、県道が近過ぎてイマイチ乗らない。紅葉の時季などに、部分的に切り撮ればそれなりの絵にはなるのだろうが、絵葉書や観光マップの写真を撮りたいわけでは無い。

そろそろ、やくもを撮るのも飽きてきたので、ふと考えた。どうせここまで来たのなら、後藤工場(現後藤総合車両所)まで行ってみるか、と。

あわよくば、検査入場しているサンライズ出雲にでも出くわせばと思い、一気に米子まで足を延ばすことにしたのである。

噂よると、後藤にはちっこいサンライズ出雲バス?というのもあるらしいので、ついでにそれも拝めりゃラッキーと、お気楽に考えていたのだが、…。


…ということで、たぶんつづく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.22] 伯備線遠征:其の参 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

2013年12月18日水曜日

伯備線遠征:其の弐

前回に続き、伯備線遠征シリーズの「布原〜備中神代編」である。

長距離の移動を伴う撮影というのは、時間的、状況的な制限もあって、必ずしも思い通りの撮影が出来るとは限らない。

一箇所を目的地とした場合と違って、気紛れ要素が多く面白くはあるのだが、結果としての写真は満足できるものが少ない。

よほど気に入った被写体に巡り合えれば、その後の計画を大幅に変更することもあるが、そんなことは滅多にない。

たいていは行き当たりばったりとはいえ、大して目的地などないにもかかわらず、ハイお次、ハイお次とばかりにスケジュールを消化しているだけのパターンに陥りやすい。

ま、それはそれでその過程も楽しめれば何も問題はないし、あまり綿密な計画を立ててもその通りになることの方が少ないので、今回も気分次第の雑談と余談を絡めた、超適当な撮影行である。

第7高梁川橋梁の惨劇に泣きながら、井倉を後にして布原信号所へ向かった。結局、その場でシャッター切ったのは例の DP3M5721 のたった一枚のみであり、そそくさと退散の体であったことが情けない。

新見から布原までの山道も、所々にアイスパッチがある程度で、懸念された積雪は四駆に切替えるほどではない。

林道から、谷あいにある布原駅に降りていく道の途中で、やくもの俯瞰撮影を行った。それから、一応定番となっている布原駅前の橋の上で、ジムニーの記念撮影をしてみるが、天気がいまいちスッキリしない。

背景の緑も褐色になり、絵的にはやはり新緑の季節の方が様になる。定点観測とまではいかないものの、これも季節モノということで、訪れるたびに行っている定例行事である。

前回の緑の中のミニのように、背景に溶け込んだかのようにも見える絵的な一体感がないのは、季節のせいだけではない。無機質なアルミの地肌丸出しで、やたら四角いボディは、車単体では決して嫌いではないのだが、客観的に見て自然の中にあると、どうしても浮いてしまう。

その点、50〜60年代の丸みを持ったミニは、その辺に適当に転がしておいてもあまり違和感がないように思えるのは、贔屓目に過ぎるだろうか。

いっそ、軍用車のようなオリーブドラブか、はたまたカモフラージュカラーならば、…いやいや、それはちょっと方向が違うだろう。

布原から備中神代までの道は、曲がりくねっているが、途中のトンネル以外、道幅自体はさほど狭くはない。周りの山々はうっすらと雪景色で、時折強く吹く風に飛ばされた雪が視界を妨げる。

グーグルマップで見ると、この辺りも伯備線に沿っており、いかにも撮影に向いたポジションが多くありそうに見える。

しかし、道路と線路の高低差が結構あったり、雑草や立ち木または民家にブロックされたりで、布原までの行程、またその先の備中神代へつながる道中には、それほどお手軽な撮影ポイントはない。

ランボーになったつもりで森林に果敢なアタックをかけるか、羽でも生えていない限り、思い通りのショットは望めない。

伯備線には、特急しか走っていないのではあるまいか、と思えるほど頻繁にやくもと遭遇する。

新見駅の時刻表を見ても、ほぼ毎時運行しているやくもに比べて、その他のローカル列車は日中6〜7往復程度しかないので当然だが、通過駅でしかない地元では、この路線いったいどう見えているんだろう。

山の天気は変わりやすいというが、日が差したと思えば小雪が舞い散る吹雪の様になったりで、まるで猫の目のように変わり、およそ明るさは一定しない。 

何枚かやくもの写真を撮ってみるが、撮影時点ではあまり良い手応えはない。

気温は氷点下にはなっておらず、路面凍結の心配はなさそうだが、30分も外にいると結構冷える。

ジムニーも、ミニに比べたら暖房が良く効く点は気に入ったが、如何せん一般道では遅いのである。

直進安定性の悪さは、その車の性格上仕方がない所ではあるが、オーバードライブのない三速 AT の実速80kmは3500回転にもおよび、およそ静かとは言えないエンジン音も相まって、あまりアクセルを踏み込む気にはなれない。

サスペンションもコイルスプリングとはいえ、コンサバな3リンク形式のせいか、横にスライドするような動きが顕著で、上半身が常に揺らされている感覚に慣れるまで、少々時間を要する。車重も軽いので、路面からの突き上げもかなり激しく、その乗り心地はスパルタン極まりない。

比較対象とするべきではないのだろうが、同じ形式のラダーフレームにリジットサスを採用しているレンジローバーは、その点優れた車であったように思う。

それほどパワフルとはいえない4リッターV8 だが、エレガントに走るには十分なトルクとスムーズさを持っていたし、いかなる路面でも快適なセダンに乗っているかのような感覚を与えてくれたことに、いまさらながら気付かされる。

リアゲートも上下二分割で開くので、下側はテーブルとしても使えたり、上だけ開けば雨の日の撮影には、便利なことこの上ない。背中にタイヤを背負うような無粋なことはしないし、リヤワイパーでさえコンシールドにして見えないように配慮されている点などからも、力の入れ具合の方向が全く違う車である。

乗り心地の良さに貢献しているエアサスも、速度によって自動で車高を変えたり、乗り降りの際には低くなるなど、なかなか芸達者な一面も持っていたが、その多芸が災いし故障の原因にもなっていたことが、残念でならない。

ただ、全長こそ4.7mちょいだが、2メートル近い車幅は今回のような狭い林道では持て余すことは間違いなく、取り回しの楽さは軽四輪サイズでしかないジムニーに軍配が上がる。一般道のコーナーでは多少不安がある着座位置の高さも、山道に入ると前方視界の見やすさのメリットに変わる。

ミニで来ていれば、ちょっと躊躇するような泥濘地や深いブッシュにも、お構いなしで入っていけるし、また拍子抜けするほどいとも簡単に脱出できてしまう。デリカやレンジと違って小型軽量ボディで、その走破能力を最大限に生かしていることが、この車ならではの魅力である。

あまり調子に乗って、崖から転落というお馬鹿なシチュエーションにならぬよう自重は心がけているものの、ついつい深みに嵌まって仕舞いがちになる、危ない魅力だ。

とはいえ、床から生えた2本目のレバーで、走行中も二駆/四駆の切替えは可能な点もマニュアルトランスミッションなら歓迎されるところだろうが、フルタイム四駆に慣れたら面倒なだけで、お手軽なオートマ車にはあまり似つかわしくない。

その昔、友人が所有していた(で、時々スキーに行く時借りていた)スバル・ジャスティ4WD のように、シフトレバーのボタンを押せば切り替わる機構でもあればと思う。

しかし、たぶんパジェロではなくジムニー選んだ時点で、それは決して言ってはならない禁句のような気がしないでもない。

ミニ乗りの感覚からすれば、ごくフツーのことも、マーチから乗り換えた娘にとっては、唖然とすることも多いのだろう。だが、贅沢を言えばキリがないので、この車の美点を探していこうねと諭している。

親父は、もう完全に慣れたけどね。いやあ、おもしれ〜わこの車。


…ということで、たぶんつづく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.18] 伯備線遠征:其の弐 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

2013年12月17日火曜日

マーヴェリックス・アップデート

OS X 10.9.1 (13B42)

マーヴェリックスの最初のアップデートが、やっと来たのでアップしてみた。

改善項目に、「Mailアプリにおいて連絡先グループが正しく動作しない問題を修正」という一文が含まれていたので期待してアップしてみたが、結果は何も改善されていない。

アドレスを呼びだしてグループを選択しても、宛先 CC: BCC: のボタンはグレーのままであり、ダブルクリックもドラッグも効かないが、アップル的にはこれで正しく動作しているということだろうか。

いずれも、山猫(10.8.5 R.12F45)までは問題なく出来ていた機能である。メジャーバージョンアップの度に機能が欠落してはいつの間にか復活するという、毎度バカバカしいお馴染のバグの一種であると好意的に考えていたが、実はそうでもないのかもしれない。

今回も、何時になったら元通りになるのかまったく判らないが、アップルにとってはその他のもっとくだらねえ改善項目に比べて、よっぽど優先順位が低いに違いない。

もし、そのことに気付いてさえいないのなら相当な阿呆であるが、メモや連絡先の編集機能やコピペの問題など、どう見てもまるで修正する気がない放置プレイな態度を見るにつけ、最近はその可能性も否定できない。(もちろん、この場合の可能性は阿呆を修飾している)

11月にアップデートして以来、iMovie (ver. 10.0.1) や、iWork (ver. x.0.1) の三バカトリオなどは、今回4回目にもなる重複アップデートを敢行している。

これなど、旧バージョンの iWork をアプリケーションフォルダに残しているユーザに対する嫌がらせにしか思えないのだが、あまり話題になっていないようなので、特定の環境下でのみ発生するごくローカルな問題なのだろう。

すなわち、これは私に対する嫌がらせだ。

以上、業務連絡。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.17] マーヴェリックス・アップデート 〜より転載&加筆修正

2013年12月15日日曜日

伯備線遠征:其の壱

12月に入ってから、なにかと仕事が立て込んで写真を撮りに行く時間も取れなかったが、やっと先日一日だけ出掛けることができた。

紅葉の時期は、スケジュールが合わず逃してしまったので、それなら雪景色でもと思い伯備沿線を辿ってみたのである。

もちろん、この季節に県北へ向かうのであるから、当然ジムニーの試乗も兼ねており、ついでにあわよくばサンライズ出雲にも再挑戦してやろうなどと、たいへん欲張った計画だ。

撮り合えず、今回は「サンライズエクスプレス:リベンジ3編」といったところか。(^^)

前回の反省により、バックアップや動画などは言うに及ばず、連写に頼らずワンショットに賭ける DP3 Merrill の一本勝負である。と、エラそうに気合いだけは入っていたのだが、準備に手間取って出発が遅れてしまった。

今回の撮影地点である布原には、とても予定時刻には到着できそうにないので、前回と同様井倉駅手前の第7高梁川橋梁で妥協したのである。

周りの景観がイマイチなことは、前回の撮影で把握していたので、今回は風景は諦め多少アングルを変えて、列車にフォーカスすることにした。

出発前の調査では、20分程度の遅れという情報だったので、第7高梁川橋梁なら十分に余裕のある時刻だ。撮影準備を終えた直後に、鉄橋手前の踏切から警報器の音が聞こえてきた。

撮影データを確認しておくため、軽く練習でもしておくかと思いファインダを覗いたら、いったいどこで遅れを取り戻したのかサンライズ出雲、今回は珍しく定刻通りにやって来やがったのである。

フォーカスはマニュアルにしていたものの、最近露出オーバー傾向にあるため、本番ではマイナスに露出補正を掛けてシャッター速度を稼ぐ予定だったのに、…。て、シャッター周りのダイヤル回すだけなんだが、それさえ出来ないほど、まったく心の準備が出来ていない。

絞り開放のままで、タイミングにだけ集中することにしたが、液晶画面には シャッター速度 1/80秒と表示されている。これはダメだなということが、シャッターを押す前から判っていて虚しさを増長する。

結果は、当然被写体ブレである。現像時にマイナス1.5段の補正を掛ける必要があったことから、せめて事前の練習が出来ていれば、1/200秒は稼げた筈だが後の祭り。(リベンジ3:またもや玉砕)

背景の色合いも地味だし 1/500秒以上を期待するなら、やはり年が明けてもう少し日の出の時間が早くなってからの季節に挑戦した方が、無難であろう。

その後、布原と備中神代を経由して、伯備線沿いに県道8号線を神郷方面に向かって北上した。

生山(しょうやま)までの県道8号線には、伯備線を撮るなら絶好の撮影スポットと言える場所が多く、大変美味しい路線であることがわかったのが、今回最大の収穫である。

また、その後の日野、江府、伯耆溝口あたりまでの国道180/181号線沿いもなかなか景観が良いので、季節によってはまた改めて訪れてみようという気にさせる。

ま、その辺の写真は次回以降に、ぼちぼちと晒してみることにする。


…ということで、たぶんつづく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.15] 伯備線遠征:其壱 〜より転載&加筆修正
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2013年12月9日月曜日

努力は苦痛なのか

題からして、モロに雑談である。

余談として車ネタを絡めているが、こちらを本文にするほどまだ材料がないので、苦肉の策だ。

恒例の正月用ヒマネタにでもしようかと思ったのだが、新年にはもう少し相応しいネタも出てくるかもしれないし、自己満足やら過程が重要という雑談からの流れもあるので、ゴミは早めに出しておくことにした。

昔から、努力という言葉は嫌いだ。

だが、辞書引けば似たような意味の精進とか自己研鑽という言葉は好きである。

エジソンのいう「1% の直感と99% の努力」は、その両者が等価であることを端的に言い表している。方向を誤った努力は限りなく不毛に近く、ほとんど無駄と同義語である。この言葉を信じるなら、努力に対して直感のウェイトは計り知れなく重い。

ただ、直感などというものは、一般に単なる思いつきのように思われているが、それこそ精進と自己研鑽による賜物である。

努力という言葉は、無味乾燥で無機質であるが、精進にはどこか宗教的な匂いを感じる。

宗教は嫌いだが、自分にとって相容れないものを押付けられるのが嫌いなだけで、現時点で信じていない、または信じる事が出来ないモノに拒否反応を示すことは、一般的にもさほど不思議な反応でもあるまい。自分が信じる(信じたい)教典なら、いっそ自分が教祖なら大歓迎である。

また、自己研鑽には、頭に自己(=おのれ)が付いていることが重要だ。

研鑽だけなら、学問などを深く研究することに過ぎないが、自己がつくことで自分が信じる(宗教的とは限らない)ことについて、または自分が好きな事について深く研究すること、という具合に都合よく転換できるからである。

あくまでも、自分にとって都合よくというのが重要で、一般論はここでは関係ない。

一般論は、物事を遙か遠くの外郭から、全てを推し量ろうとする。また、それを万人に当てはまる、あたかも万能の定規であるかのごとく、物事を計ろうとする。

後世に名を残した偉人たちは、様々な努力の積み重ねで偉業を成し遂げたのだ、という至極当たり前に聞こえる見解も、労せず功を得ようと考える不埒者に対する戒めに過ぎない。

とりあえず、一般的に美徳とされることでも押付けておかないと、ロクでもない奴が楽して儲けるのを見るのは腹が立つからであり、努力している人の立場がなくなると世間的、道徳的になにかと都合がわるいからだ。

現実社会が、必ずしもその美徳通りになっていないことに言及するつもりはない。

端から見れば、目的を達成するために粉骨砕身している姿は、難行苦行にしか見えない。しかし、当の本人からすれば好きなことに対して精力を傾けているだけで、それが苦痛でしかないと思うのは大きな間違いであり勘違いである。曖昧かつ異なる価値観で、物事を判断しようとするからそんな勘違いが起こる。

あくまでも自己が中心であり、自分が好んで妥当と考えた行動における精進や自己研鑽は、決して難行苦行などではない。修行僧が山に篭って精進するのは、よほど山が好きなのか、篭ることが好きだからに決まっている。(いや、ちがうか)

もしくは、その修業によって得られるであろう、その先にある何か(は知りたくもないが)に惹かれるからであり、仏道本来の目的を理解せず過程だけを捉えて、難行苦行と断言することは出来ない。おそらく、一般人にとっての楽しみを拒絶すること自体も、修行僧は心のどこかで楽しんでいるに違いないのだ。

結果こそが全てである、と一般的に見られているプロフェッショナルな人達の中でも、本当のプロと言えるのはその仕事が心底好きな連中である。

好きでもないことを生業にしているのは所詮勤め人でしかなく、生計を立てること、すなわち金を稼ぐことが第一目的であり、第二や第三の目的はない。勤め人を否定する気は毛頭ないが、その連中だって趣味の世界ではそれなりに楽しんでいるはずだ。稼いだ金は結局、仕事以外の好きなことに使うのだから、仕事の延長線上に目的が無いだけで、これは次元の違う話である。

別にやりたい訳でもないが、それが仕事と割切って我慢して継続すれば、それなりの見返りもあるだろう。自身を貶めてまでやり遂げるとすれば、その見返りも当然であり、それが自分の価値観に合うのなら何も問題はない。

生業とはそういうものであり、世の中好きな仕事ばかりではない。自分がやりたいことが分からないなら、ましてや探すことさえ面倒なら、他人に指導を仰ぐしかあるまい。他人の定規に自分を合わせることで、少しは楽が出来ると考えるなら、そういう努力も選択肢のひとつだろう。

いずれにしても、精進と自己研鑽以上の見返りは期待しないことだ。

ま、我が身を振り返ってみれば、まだまだ精進も自己研鑽も足りないのが現状ではあるが、
仕事に対する意欲や熱意の類いは、多少なりとも金銭的な見返りに依存している部分は否定できない。

裏を返せば、それがあるからこそ投げ出さず、維持継続していくことができるのであり、生活がかかっていなけりゃ、最近のロクでもないアップル製品など今ごろ…、いやいやいや。

そこはひとつ、職業意識で持ちこたえるべき一線であり、ユーザの期待に応えるよう努力してみる必要があるだろう。

生業にしている限りは、過程より結果を重視せざるを得ないことが多いのも事実であるが、それを苦痛と感じないように創意工夫していくしかない。

ぶっちゃけ、個人的には仕事にさえ楽しみを持込もうとしているぐらいだから、それによって降りかかる苦労なら、甘んじて受ける覚悟はとうに出来ている。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.09] 努力は苦痛なのか 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

2013年12月6日金曜日

自己満足と紅葉2

あいかわらず、自画自賛できる写真が撮れない。

マグレ当たりの数も以前より減っている気がするが、実は当たっていなかった可能性、単なる勘違いだった可能性も否定できない今日この頃。

自己満足の水準も揺れ動くもので、常に一定ではないのだろう。

個人の趣味のレベルを、二言目には所詮自己満足に過ぎないとして、人を小馬鹿にする口先だけは達者な知り合いもいる。

だが、趣味の領域で自己が満足すること以上に、いったい何があるというのだろう。

いつまでたっても学校教育の延長で、結局他人の評価でしか自分を計れないような連中は、総じて快楽は悪であり、あたかも苦痛こそが価値を生み出す唯一のものであると、不愉快極まりない思い違いをしている。

何事も、付いている値札でしか物の価値を計れない彼らにとっては、ゼニにならないことは趣味に過ぎない、金を稼ぐこと以外は全てがそれ以下であると言いたいようで、それが奴らの道徳観であり価値観である。

金銭のみが、絶対的な価値基準となる訳ではない。ましてや、価値観の異なる者同士が、稼いだ金額の多寡だけで優劣をつけてもしかたがない。

どうせ結果は、最後の瞬間には必ず出る。

井の中の蛙大海なんか知りたくねえ、というのが個人的な基本路線でありスタンスである。カエルがしょっぺえ海を知ったからといって、どうなるもんでもあるまい。

ぶっちゃけ身の程知らずとは、大海の存在を知らないことではなく、井戸にさえ飛び込む度胸もないくせに、したり顔で海の広さを語る連中のことだ。

ま、冗談はさておき、紅葉2である。

先日のキリンビール12月号を撮った帰り道、紅葉リベンジを期待して三谷公園へ寄ってみた。

すでに多くの葉は落ちて、枝に残っているものも枯れかけているのであまりよい絵にはなっていない。残念ながら自己満足のレベルにも達していないが、一応季節物ということで身の程知らずにも晒してみる。

東区瀬戸町にある三谷公園は、桜や紅葉の名所になっているそうだ。「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿の像が祀られた、金剛童子と呼ばれる神社のまわりに拡がる公園である。

体調万全なら三谷山の山頂まで足を延ばすところであり、それが出来ればもっと様になる絵が撮れたかもしれないが、当日はそんな気力は残っていなかった。

もうちょっと綿密な撮影計画に基づいて撮らないと、写真レベルも向上しないだろうとは常々考えていることなんだが、毎度毎度の行き当たりばったりである。

今回は DP1 Merrill の一本勝負、前回と同様、お道具は一切無し。

もちろん、それは DP3 Merrill を出すのも、三脚担ぐのも面倒だったからに決まっている。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.06] 自己満足と紅葉2 〜より転載&加筆修正
なお、本家には写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

2013年12月3日火曜日

キリンビール12月号

撮りあえず月が変わったので、定点観測キリンビール12月号である。

相変わらず、初めて撮る被写体に関しては満足できるモノが未だ少ないが、定番の定点観測なら何とかなるだろうと考え、いつもの撮影ポジションへ赴いた。

背景のお山も色合いを変え、刈入れも終わった田んぼが工場前に拡がる。少し侘びしい風景になってしまったが、これも季節の移り変わりを感じさせる風物詩といえるだろう。

スッキリ晴れ渡ったとはいえない少し靄がかかった空ではあったが、気温も上がって風もないので、12月の撮影としては楽である。

本来なら、久しぶりに落ち着いた撮影ができる条件は揃っていたのだが、前日からの納品作業を徹夜で終えた足で現場に向かったために、いささか眠たい。

なかなか、万全の態勢での撮影行というのには、巡り合えないものである。

どうもこのところ、DP3 Meriill の写し出すデータに違和感を感じている。

以前のような極端な露出オーバーは収まった様だが、ここ最近はオートホワイトバランス(AWB)におけるカラーが不自然に赤茶っぽくなってしまう、という現象に見舞われている。

今回も、同時に撮影した iPhone や DP1M と色を合わせようとすると、現像時にかなり極端なカラー調整を余儀なくされる。それでも落ち着いた天候のおかげで、短時間で光の加減が大きく変化することもないので、パノラマテストもやってみた。

前回のテストの反省も踏まえて、撮影時の設定は全てマニュアルとしたので、つなぎ目も簡単にはバレない程度の、多少はマシなものになったように思う。今回も、前回同様 DP3 Merrill の縦位置によるものだが、少しエリアを広げてみた。15°×9枚による、画角でいえば約120°弱である。

この程度まで広げれば、DP1 Merrill のワンショットに比べても、やってみる価値はあるかもと考えたのだが、当然データ量はそれなりのサイズになる。(PNG:175MB)

加工のプロセスに関しても、未だに良く分かっていないので、けっこういい加減なやっつけ仕事でしかない。結果としての写真は、ピクセル等倍で見るとディティールもかなり甘く、フォビオンのメリットも失われているのが分かる。

しかし、 仮にそのメリットを生かしながらのパノラマができたとしても、そのサイズはシャレにならないぐらいデカイので、用途を考えるとあまり力が入らない。

ぶっちゃけ、巨大な汚物に過ぎないような気もするが、一応比較のためにリサイズと加工で誤魔化してみた。たしかに、広角ワンショットのような周辺の歪曲がないのだが、見慣れぬせいかそれが不自然に感じて、逆に違和感になってしまうのは本末転倒だろう。

ちなみに、パノラマ用のマニュアル設定で撮ったものは手動ホワイトバランス(晴れ)を使用したので、現像時の色補正は全て 8C8M 程度に揃えたが、これとて DP1M とはかなり異なる色合いになっている。

ついでに、ネットで仕入れたお手軽 ND フィルタセットのテストもやってみたんだが、今回のような順光で撮影条件が良いと、その評価はむずかしい。

また、その ND フィルタを取付ける過程で、新たな問題も露見した。事前の調査を怠ったせいで、半端な長さのレール(DMP-140)とフィルタ取付枠との干渉である。

しかし、未だ厳密にはケラレの検証なども完了していないので、正しいフィルタの使い方や現有機材との組合せも含めて、詰めるべき課題は多い。

それを口実に以前からの疑問を検証する意味でも、10cm 版のノーダルスライド(Sunwayfoto DMP-100)を追加導入してみた。案の定、その厚みはやはり 10mm ではなく 実測 15mm だった。(ちょっとスッキリ)

おまけに製品写真とは異なり、本来あるはずのスケールも一部刻印されていなかったり、そのスケールも左右で多少ズレていたりと、何かと問題も多いのである。

おそらく、中華の輸入品にはありがちなバージョン違いの範囲なのだろうが、いずれも大勢に影響のない些細な問題に過ぎないので、とりたてて論うつもりもない。

だが、ネットに公開されている写真はおろか、公式サイトに掲載されている写真でさえ全くあてにならないので、真実を知りたければ実際に購入してみるしか手はない。

ま、よっぽど酷けりゃ返品するなり交換を要求すればよいのだが、そのためにも購入先は慎重に選んだ方がよかろうと思う。

お手軽 ND フィルタセットについては、その本来の用途の合う条件でのテストもそのうちに行ってみようと思うので、今後のお楽しみである。

その後、キリンビール工場からほど近い、三谷公園に廻って紅葉のリベンジのつもりで何枚か撮ってみた。が、疲れもピークに達して、さほど芳しいモノはなかった。

こちらは、次回以降あまり季節外れにならない内に、ぼちぼち晒して行こうと考えている。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2013.12.03] キリンビール12月号 〜より転載&加筆修正
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2013年12月1日日曜日

恒例の Xmas モード

恒例というほどでもないんだが、一応十二月に入ったので。

先日来、業務用として何台かの Mac を新規に導入したのだが、いずれも搭載されている OS X は未だ山猫(10.8)のままであり、マーヴェリックスがプリインストールされているものはなかった。

どうせ無料なんだから勝手にアップデートしてね、というスタンスなのかもしれないが、こちらとしては初期化/再インストール(ダウングレード)の手間が省けて有難い。

いっそ、iPhone や iPad もそうしたいところだが、こちらはそうも行かない。

最近は、メモやリマインダーなどの標準搭載されている基本的なアプリしか使わなくなっている。かつてのように、各アプリの機能をあまり掘り下げてまで使い倒すようなこともしなくなったので、表面的な部分しか把握していない。

裏を返せば、一般的なユーザレベルでの使用方法と言えるのだが、そこが一番使いにくいので閉口する。

幸いマック版のリマインダーは、最悪マーヴェリックスにアップしたとしても、以前のようなチェックボックスによる忘備録的な体面をかろうじて保っているので iOS 7 版より多少マシだ。しかし、そうでなくても編集バグの多いメモは罫線表示さえもなくなって、この点だけでも山猫にダウングレードする気にさせてくれる。

iOS 版のテキストエディットでもあれば、その点も多少はカバーできるのだが、それもない現状ではいったい何のために iCloud の保存しているのか常々疑問を感じながらも、マック間限定の共有で我慢している。

Dropbox や Draftpad などで iCloud の欠点を補おうとしてみるが、その連携機能も作業ステップなどを考えると、必ずしも理想的とは言えない。

バージョン3になって、機能が減って何かと評判の悪い Numbers だが、少なくともドロー機能だけは以前に比べて改善されているのが、せめてもの救いである。

とはいえ、そのユーザインターフェイスは、あまりにもマックらしくない判り難いものだ。だが、初版からあまり高機能なものを提供するより多少足りないぐらいの方が、将来のバージョンアップにより改善される可能性も高くなる、と思う。(いや、思いたい…か)

いずれにしても、季節柄「冬の時代」に突入した感のある、Mac および Apple 製品である。このまま、氷河期になってしまわないことを祈りつつ、今しばらくは様子を見よう。


…ということで、今月もヒトツよろしく
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.12.01] 恒例の Xmas モード 〜より転載&加筆修正