2014年12月31日水曜日

来年もヒトツよろしくの気持ちを込めて、続・津山線

2014年も、そろそろ終ろうとしている。

今年は、1月早々の「たまには、オリンパス」で始まった、鉄撮りの練習シリーズに明け暮れた気がする。

あまり練習の成果があったとは言えないのだが、それでも振り返ってみれば、この1年で県内の路線は大方網羅したように思う。

練習を言い訳にしているうちは、それこそ手当たり次第だったのだが、沿線の風景などに興味がわいてくると、少しは絵的に凝ってみたくもなる。

そうなると逆に、個人的には景観なども良くないと気合いが入らないという贅沢な悩みも出てくるわけで、そのせいで中途半端に終った路線も幾つかあった。

ぼちぼち、ネタ切れな気もする今日この頃であるが、そんな撮り零しを繕う意味で一昨日、比較的近場の津山線をフォローしてみた。

2014年12月25日木曜日

12月の定点観測

いくらなんでも、37,000円はねえよな。

それも税込なら 39,960円だから、ほぼ4万円。もう7〜8千円足せば DP Merrill だって買えそうな値段。

久しく更新をサボっていながら、いきなし何の話かと思われるだろうが、先日やっと販売価格が明らかになった SIGMA dp Quattro シリーズ専用 LCDビューファインダー LVF-01 のことである。

ま、当面 dp Quattro を購入する予定もないんで、まったく関係のない話なんだけどね。

だからというわけでもないのだが、これに比べりゃ普段常用している、そしてもうちょい安くならねえかなあと常々感じているプロ機材ドットコムの扱うビューファインダー、フッドアイ(HE-3XA)の値段など、可愛いモノだと思えてくる。

冬眠中?に起きてまで報告するようなことでもないんだが、そんな機材関係の今年1年を総括するべく、くだらねえ雑談に乗せた土壇場のキリンビール12月号だ。

2014年12月8日月曜日

十月の忘れ物と井原線

今年も、押し迫ってもう師走である。

12月に入った途端に、何やら冬らしく寒くなってきた。本来なら、如何にも季節感溢れる写真などを公開したいところだが、無い袖は振れない。

先月も、定点観測以外でこれといった写真は撮れていないし、こうも寒くなっては外に出るのも億劫になりがちである。

新しい写真機材でも手に入れば、浮かれて撮影行にも出掛けるところだが、シグマには全く期待できそうにないし、前回のミニ三脚程度ではあまり力も入らない。

そんな時は、大人しく以前撮った写真の整理やら、忘却の彼方へ葬られてしまった未現像のデータを掘り出してみたりする。

で、季節外れも甚だしい、言うなれば忘れ物シリーズみたいなもんである。

2014年11月30日日曜日

11月の定点観測

そろそろ、暖房が欲しい季節になった。

まだ、ストーブで部屋全体を暖めるほどではないが、作業用デスクの下にはオイルヒータを設置しているので、まるで炬燵のように塩梅が良い。

だが、そのせいで外に出るのが億劫になり、それどころか席を立つことさえ面倒になっている。もう手の届く範囲外には用はない、と宣言したいぐらいである。

今月も先月と同様に、切羽詰まってしょうもない雑談に乗せた、土壇場のキリンビール11月号だ。


2014年11月24日月曜日

OS X のアップデート

アップルネタである。

となれば、すなわち愚痴になってしまうのだが、今月の定点観測も少々難航しているので、とりあえずの繋ぎとして Mac OS 関連の現状などについて書いてみる。

一応、写真もないと寂しいので、却下写真の中から適当に見繕って並べてあるが、本文はその写真とは全く無関係な、Mac OS に関する雑談だ。


2014年11月16日日曜日

マンフロットミニ三脚&ベルキンエクスプレスドック

毎度お馴染、ネタに詰まったら機材ネタである。

なんと、11月に入って初めての更新で、我ながら怠慢にも程があるとは思う。いずれその言い訳をネタにした、雑談も書いてみようと考えているのだが、…。

先月来、溜まってしまった写真の在庫一掃処分も兼ねてやろうという魂胆もあったりするので、今回はとりあえず新規導入機材に絡めた雑談だ。

巷では、売れているのをいいことに 10% にもおよぶ iPhone の値上げという暴挙も、平気で行うアップル。あたかも円安を反映したフリを装っているが、その他の製品価格に変更がないところをみても、儲かるところから取ってやろうという狡猾さがミエミエだ。

ところが、なぜかそれほど話題にもなっていないのが、如何にも胡散臭い。為替相場のことなど良く知らないが、要するに日本の iPhone ユーザは、アップルやマスメディアに嘗めるられている証に違いない。

それにに比べりゃ、iPhone と同じ中華の輸入品でもお勤め品価格は、比較的安定している。

アマゾンの価格も多少の変動はあるにせよ、少なくとも写真機材においては、消費税改定前に比べても下がっているモノが多いぐらいで、これこそが真っ当な競争であると思う。

ま、そんなこたあどうでも良いのだ。こんなところでいくら吠えたとしても、どうなるもんでもない。

今回購入したのは、写真機材として以下の2点。
◎マンフロットミニ三脚(Manfrotto PIXI:MTPIXI-WH)
◎スマートフォン用ホルダ(AB HOLDER II:ABH5596)

また、iPhone 6 Plus 用に充電スタンドが1点。
◎ベルキン iPad 対応エクスプレスドック(Belkin Express Dock for iPad:F8J088bt)

いずれも、Amazon アソシエイト・プログラムに対する人道支援の賜物であり、この場を借りて厚く御礼申し上げる次第である。


2014年10月31日金曜日

10月の定点観測

十月も切羽詰まって、土壇場である。

まあ、刀を持ち歩いているわけでも首が飛ぶわけでもないので、それがなにか? なんであるが…。

その大半は却下写真とは言え、結果的には今月も 700 枚以上撮っているわけで、撮影枚数が激減するほどの落ち込みでもなかったということだろう。

そろそろ紅葉の季節になってきたし、撮影機会さえあれば来月もそれなりに楽しめるかもしれないと期待しているのだが、果たしてどうなることやら。

前回、溜まっていたアップルの悪口も吐き捨てて、少しはスッキリした気分になったところだが、カメラ関係と同様、今回のアップル製品も一回休みにした方が賢明な気がする。

だが、成り行きとはいえ昨年来始めてしまった行きがかり上、そう簡単に止めるわけにも休むわけにもいかない。なんとかギリギリ間に合わせた、やっつけ仕事のキリンビール10月号だ。

2014年10月28日火曜日

ヨセミテは見て止せ、かな?

何かとモチベを下げることの多い、この時期である。

しかし、いくらなんでもそろそろ更新しないと、十月が終りそうだ。

当初、10月の定点観測の本文というか雑談として書き始めたのだが、書いていてだんだん腹が立ってきたので、あえて写真関連とは分けることにした。

あまり楽しい内容ではないし、特別なページを設けるのも面倒なんで、溜まっていた不良在庫の処分を兼ねてみようかと考えて、こんな形をとったのである。

2014年10月5日日曜日

十月の憂鬱

十月である。

気候としては決して嫌いではない神無月だが、毎年憂鬱になるのもなぜかこの時期に多く、それが不思議でならない。

月の前半は出遅れた感のあった先月も、何だかんだで結局12回もの更新を行っていた。大したネタもないのに、あれだけ飛ばしてしまうと当然のように翌月には影響が出る。

昨日も、天気が良さそうなので定点観測も兼ねて出掛けてみたが、機材関係の確認を怠ったことで大半がボツ写真になった。あまりにも慣れた撮影環境下で、油断みたいなものがあったのかもしれない。

ただ、不可解な部分も多少あって、機材の検証を含めた再確認が必要と思われるので、今少し時間がかかりそうである。月末までには何とか、その詳細も含めて恒例の定点観測に含めようと考えているが、午前中はそこそこ天気が良かっただけに残念でならない。

午後からは雲も拡がり、その後に回った赤穂線沿線で撮ったモノにもあまり芳しいものはなく、更新意欲を少なからずスポイルする結果となった。

また、期待した iPhone 6 のタイムラプス機能も、細かい設定が全く出来ない仕様で、どうも思うようにならない。現状ではいくら長時間頑張って撮っても、結果的には適当なコマ落ちで処理されてしまうので、無駄に膨大な時間を費やしただけに終わりそうだ。

未だに原因は不明だが、動画を公開しても iOS 機器ではまともに見えないページを量産する気にもなれない。そのあたりも、モチベーションを下げる原因にもなっているのだろう。

ちなみに今日、正確には現地時間の明日(10月5日)はスティーブの三回忌だ。いや、三年目は三回忌とは呼ばないそうだが、とにかくあれからもう三年になる命日である。

振り返ってみると、昨年の今日は iTunes 11 について苦言を呈し、一昨年の今日はアップル製品の行く末を案じているような内容で、あまり代り映えはしない。(それ以前から、アップルに対しては苦言しか呈していないので、それも当然なんだが…)

個人的な見解では、あちこちに御大不在の悪影響が出まくっているようにも感じている。それは、彼の影響力が弱まった 2010年あたりからすでに出始めている気もするが、企業の業績にそれが表れるのはもう少し先になるだろう。

ま、アップルネタに振ると、そうでなくても下がり切ったモチベをより一層盛り下げる結果にしかならないので、今しばらくはカメネタ中心にしておこうと思う。


…ということで、今月もヒトツよろしく。
2014年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan

2014年9月25日木曜日

9月の定点観測

やっちまった感が拭い切れない、iPhone 6 Plus。

果たして3日で飽きたのか、それとも慣れたのか?


あれから、かれこれ1週間近くになるが、飽きもせず慣れもせずというのが正直なところ。だいたい、人の好みなんぞは十人十色である。美人の定義も百花繚乱で、千差万別なんである。世の中、それで上手くいっているところもあって、客観的に見てどうよは、あまり関係ない場合が多い。


勝手な思い込みによる、アバタもエクボが勘違いであったことに気付くまでには、三日もあれば十分という例えでしかない。慣れる方に関しては、何かと当たり障りもあるので、あえて言及は避けるが、マニアック度の高い選択を否定するつもりは全く無い。


ぶっちゃけ、本当の美人なら何年経っても飽きるわけねえだろうが、というのが超個人的な見解である。そんな、iPhone の新しい機能も総動員して、愚にも付かない雑談に乗せたキリンビール9月号だ。



2014年9月23日火曜日

プチ芸備線

米子から帰りがけの駄賃、芸備線である。

標題にするのも痴がましいほど、濃い目な内容は無い。

それはもう、薄過ぎて芸備線に申し訳ないぐらいである。あくまでもプチであり、何だったらほんの芸備線でも、ちょっと芸備線でも良かったのだ。

ほとんどその場のノリで巡っているに過ぎない、鉄道ワサビシリーズである。

これで、やっと溜まっていた先月分が全て消化できるのだが、あまり短期間に気張っても、後々にしわ寄せがくるだけということが、よおくわかった八月でもあった。

そのせいか、折角気候も良くなった九月はさっぱりで、見事に外してしまった感は否めない。

これも巡り合わせと諦めているが、さて十月分のネタはどうしたものかな。


2014年9月21日日曜日

米子と山陰本線

伯備線から回った、米子編である。

生山から先の国道は、けっこうややこしく入り乱れており、このあたりは何度来ても道に迷いそうになる。

県道8号線から、最初に合流するのは国道183号線である。だが、暫く行くと三差路に出会し、その両方向が国道180号線となっている。

その付近にある道路標識には、左は松江・米子(国道180号)、右は鳥取・根雨(国道180号)とあり、まるで米子は島根県であるかのような表記にも見える。

ま、実際感覚としては、それほど間違ってもいないような気もするのだが、厳密には米子は鳥取県である。(いやいや、厳密でなくても鳥取県だろう)

それよりも、今まで走ってきた国道183号線はいったいどうなるんだ、という疑問がここで湧いてくる。

おそらく、どちらかの道の下に埋っているはずなんだが、その表記を見る限り判別は出来ない。


2014年9月20日土曜日

流されて、iPad nano?

そんなわけで、iPad nano である。

いや、本名は iPhone 6 Plus というらしい。

ほんの数カ月前、iPhone 5s に変更したばかりなのに、この時期に故あって、またもや機種変更である。アップルイベントを見た時点では、全く考えていなかったのだが、…。

今回の iPhone モデルは大小2種類あったが、小を選択しても従来の iPhone 5/5s よりは大きくなる。どうせ大きいなら、それを価値としてより大きい方を選択した。毒を喰らわば皿まで、である。

アップル製品のご他聞に漏れず、機能的にも色々差別化されているので、現時点で全部入りを選択しておけば、後悔することもあるまい。

ぶっちゃけ、バカバカしいほどデカイ。手に余るというか、手が足りないというか、携帯電話としてはアホかというぐらいに大きい。

サイズ的には、一万円札×71枚程度という話を聞いて、たまたま財布にあった百万円の札束で試してみたら、なんだ大したことはないなという印象で、無理をすればポケットにも入らないわけでもない。

ま、冗談はさておき、いくら笑いを取るためとはいえ、勇気が試されるサイズであることは確かだ。

だが、標題の通りこれを iPad として見れば、それはもうホントに笑っちゃうぐらい小さく薄く、そしてなにより軽い。セルラーモデルの iPad mini Retina と比べたら、重さなんか殆ど半分しかない。

実際メインで使用しているのは、それ以前の iPad3 だし、重さも大きさも比較にならないほど違う。それでいて、画面は iPad Retina モデル並の解像度は確保されている。

おまけに、従来の iPad の各モデルにはなかった、電話としての機能もある。(つい忘れそうになるが、もともと電話だしね)

通話という意味であれば、キャリアに依存しない方法も含めると全く無かったわけでもない。だが、通話の相手を選ぶようでは、何かと仕事上でも都合が悪い。

ただ、電話機能に対する要求は年々減ってきて、コンピュータとしての使い勝手の方が優先されている現状を考えると、従来の携帯電話としての要求サイズも変わってくる。

ニュートンメッセージパッドや、パームパイロットの時代を思い出してみれば、理想的とまでは言えないまでも現状の iPhone には、とりたてて大きな不満があるわけでもない。

そんな、最近の動向に流されてみるのも一興だろうと思う。

最初に実物を手にした瞬間は多少躊躇したが、美人は3日で飽きるし、ブスは3日で慣れるの例えもある。

いっぺんでいいから飽きてみてえものだと、常々思うところでもあるが、果たして iPhone 6 Plus、飽きるのか慣れるのか、3日後が楽しみである。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.09.20] 流されて、iPad nano? 〜より転載&加筆修正

伯備線、再び

サンライズ出雲のついでに回った、伯備線を少々。

昨年暮れに、ジムニーの試乗を兼ねて訪れた伯備沿線である。季節柄、若干中途半端とは言え、県北らしい絵が撮れたことに気を良くしていた。

当時は駅よりも、どちらかといえば沿線の風景をメインにしていたのだが、一連の鉄道ワサビシリーズ(侘寂、略してワサビ?)にも含めておこうと考え、県道8号線をそのまま北上したのである。

特急列車の運行がある路線というのは、さすがに鄙びた駅舎や、サビの効いた景観を期待するのは無理がある。

これは、あくまでもごく個人的な見解であるが、写真に取りたくなるような風景というのは、駅周辺の景観はもちろん重要だが、駅舎やホーム、そして線路のレイアウトなんかも結構気になる要素となる。

線路のある風景というのは、それだけで郷愁を誘うところがあり、極論すれば必ずしも列車が写っている必要はないのである。

撮り鉄の風上にも置けない不届き千万な意見かもしれないが、もっと言えば、列車が邪魔になる場合もあったりするのだ。(☜暴論だ)


2014年9月16日火曜日

LCDビューファインダ

例の LCD ビューファインダ(LVF-01)その後の情報。

どうやら、カメラ本体への取付は三脚穴を使うらしい。

取付自体は、汎用品にありがちな両面テープによる接着よりは強固になるだろう。だが、L型ブラケットのようなアクセサリは同時に使用できないし、他にも色々と問題がありそうな予感がする。

また、LVF-01 の取付ステー側にも三脚穴(あって然るべきだと思うが)がなけりゃクイックシューや、へたすりゃそのままでは三脚への取付も出来ない可能性もある。

もちろん、メリル世代への取付など絶望的で、それこそ切った貼ったを覚悟でないと、どうにもならないのは確実だろう。問題は、そこまでやってみる気にさせる、価格設定になる可能性も限りなく低い。

ま、思いつきで言ってみただけなんだけどね。

それにしても、画質に関する否定材料ばかり探していたような気がするが、その特異なデザインからも、従来よりの運用に何かと転換を強いられそうな気がしてきた。

結局、現状では様々な汎用品を使って、自分なりにカスタマイズする方が納得出来るモノに近づけやすい、ということなのかもしれない。

ぶっちゃけ、個人的な理想は、ティルト可能な iPhone 並の解像度を持つ背面液晶(タッチパネルはいらない、というかそうであってはならない)に、脱着可能な LCD ビューファインダを標準装備である。

ついでに、ワイヤレスが無理なら有線接続でも一向に構わんが、液晶自体も脱着可能でレリーズ機能を持ち、ボディ底面と左側面にはアルカスイス互換のクイックシューが、一体でデザインされたボディだ。

もちろん、それにメリル以上の解像感を実現するセンサを搭載したカメラだな。…と、妄想してみる。

たぶん、三回ぐらい休みになっても無理だろうな。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.09.16] LCD ビューファインダ 〜より転載&加筆修正

2014年9月14日日曜日

因美線リベンジ:後編

九月に入った途端、もう秋に突入したような気候だ。

折角、良い気候となってきたのに、今月に入ってまだ一度しか写真が撮れていない。それも、序での序でに過ぎないもので、イマイチ盛り上がりに欠ける。

天候も不順な先月は、よせばいいのに何度も不毛なチャレンジをしたせいか、少々撮影意欲も減退気味である。

お世辞にも使い勝手が良いとは言えない、シグマ謹製のソフトでその上、枚数ばかり多くあまり内容が無いせいで、これはもう現像疲れかもしれないな。

iPhone 6 やら dp1 Quattro やら、何かと人心を惑わせる事柄も多い今日この頃。

こんな時は何か新しい機材など、写真に対するモチベを高める、刺激が欲しくなるものだ。

不本意ながら、そんな贅沢は言ってられないので、撮り合えず因美線リベンジの後編である。


2014年9月12日金曜日

dp1 Quattro & LVF-01

SIGMA dp1 Quattro の発売が、十月に決まったようだ。

後編の内容も未だ完成していないというのに、こんなことを書いている場合ではないのだが、一応シグマからメールが来たので確認だけでも、と思いサイトを訪れて驚いた。

従来より DP Merrill シリーズでは、フッドアイ(HE-3XA)という、汎用品のビューファインダを必修アイテムとしている。

屋外で安定した撮影スタイルを得るには、腕を伸ばしてさほど見易くもない液晶を凝視しながらでは容易ではない。そんなデザイン一辺倒な現状には、常々疑問を感じていた。

できれば、デザインもキッチリ本体に合わせた純正品があれば、と以前から考えていたし、シグマにも事あるごとに提案めいたものをメールしていたという経緯もある。もちろん、理想は最初からそれを含んだ、トータルデザインによるカメラである。

しかし、その甲斐があってなのかどうかは分からないが、今回の dp1 Quattro の紹介サイトのトップに、なんとメーカロゴ入りの紛う事無き純正品のビューファインダを付けた、dp1 Quattro の写真が掲載されているではないか。

正式名は、LCDビューファインダー(LVF-01)というものらしい。

未だ、販売価格は決定されていないようだが、少なくともレンズ以外はほぼ共通している、dp Quattro シリーズ全機種には対応するものと思われる。

まあ、画質に関しては、その根源となるクアトロセンサに対して決別宣言までしたのだから、こんな周辺機器ごときに誑かされていてはイカンのだが、これは結構グラッと来るものがある。

今回は、1回休みを決め込んでいたのに…、まさかメリルには対応してねえよなあ。

さて、これは由々しき事態になってきたが、一体どうしたものか。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.09.12] dp1 Quattro & LVF-01 〜より転載&加筆修正

2014年9月11日木曜日

因美線リベンジ:前編

予告や前振りがあったからといって、過大な期待は禁物である。

しつこいようだが、各標題の後ろには、目には見えないかもしれないが、練習という文字が隠されていることを忘れてはならない。

今回も、現像作業に入ってから、ああすれば良かったこうするべきだった、みたいなものは山ほどあったのだ。

いつも反省材料の1つとして、挙げられることの多い事前の調査であるが、実際に訪れてみてから受ける印象が、大きく異なる場合も少なくない。

アマゾンやヨドバシ、もといヒマラヤの秘境を目指しているわけでもない。所詮、日帰りで回る県内の行程だ。

今回のように、その気になればお手軽なリベンジも可能な路線の場合、あまり綿密な計画を立てるよりお気楽に回る方が性に合うし、何かと面白い。

事前に予備知識を仕入れても、余計な先入観が邪魔をすることもある。今の時代、その気になれば現地で土壇場になっても、同じ情報は手に入るのだ。

そんな言い訳を考えながら、例によって大した準備もせず訪れた、因美線である。


iPhone 祭り

毎年恒例の iPhone 祭りである。

今年も例年通り、予想から大きく外れることもなく、事前のリーク情報と称する噂どおりの内容だ。

近年電話としての機能は、どんどんその他大勢の一部に追いやられ、未だに電話屋が売っていることが不思議なぐらいの携帯端末である。

コミュニケーションツールとしての携帯電話も、その通信機能を通話でしか発揮できないのでは、時代の要求を捌き切れないところまで来ている。

搭載されるカメラの性能も、画素数こそ前年モデルと変わらないが、今回もさぞや様々な工夫が盛り込まれているに違いない。

液晶画面に関して、数年前ならよもやハイビジョンレベルの画像が、手のひらに収まる形で現われようとは思っていなかった。というか、携帯電話に対して、そんな潜在的な要求さえ一般には無かったろうし、いくら過渡期とはいえ、こんなデカイ電話が登場するとは予想できない。

技術的には可能であっても、要求がなければ実現しないものはある。だが、なぜか要求があっても、なかなか実現しないものもある。

どうしてデジタルカメラの背面液晶には、携帯ごときで実現できるモノでさえ採用されないのか。専ら、高画質な写真を扱うことが目的の機器でありながら、そんな要求も無いとは、どうしても考えにくいのだが。

端末のサイズに関しても、国内と諸外国ではその求められる大きさも多少異なるはずだが、グローバルであることを以て良しとするなら、時流に合わせるしかないのだろう。

その大きさも、留まるところを知らないかのようで、もう iPad mini なんか要らねえぢゃん、というのが個人的な感想である。

ただ、通話機能を優先したいという要望も少なからずあるはずだが、ある一定数を越えない限り、そのような要求は無かったことにされるのは、あらゆる業界においてここ最近の傾向である。

何処からもそんな要求など全く無いのに、何もかも犠牲にしてまで、ただひたすらに小さくすることにご執心で、やっちまった感一杯だったのが、ソニエリのプレミニである。しかし、今となってはそれさえ懐かしい気がする。

ま、Watch に関しては、いくらアップルがバカでもまさかあんなモノは出すまいと、個人的には考えていた。だが、見事に裏切られたことが、今回唯一予想外だったかもしれないな。

こちらも、やっちまった感で一杯だが、果たしてアップルは宝飾屋にもなれるのか、それとも某社のように成り果てるのか、来年が楽しみである。

以上、業務連絡でした。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.09.10] iPhone 祭り 〜より転載&加筆修正

2014年9月7日日曜日

雑談と因美線リベンジの前振り

長月、菊月、9月である。

30日しかないのになんで長月なのかは知らないが、たぶん陰暦絡みで、別名菊月というぐらいだから、要するに概ね秋の入口ということなんだろう。

先月27日、SIGMA Photo Pro 6(ver. 6.1)の公開延期の発表があったばかりで、明けて9月3日には現行版のマイナーアップデート(ver. 6.0.6)の連絡がきた。

従来は、だいたい金曜日に発表というのがお約束だったが、最近は水曜日が定番になったのだろうか。

一応、数少ないシグマ製カメラのいちユーザとしての感想を述べておくとしよう。とりあえず、SIGMA Photo Pro 6.0.6 における画質改善について、雑談を一席。


2014年8月31日日曜日

季刊サンライズエクスプレス

懲りもせず、サンライズエクスプレスである。

前回、未現像ファイルもかなりあったので、なんとかなるべと甘い考えで、つい季刊サンライズエクスプレス8月号などと、余計な予告をしてしまった。

いざ現像作業に取りかかってみると、これがまあなんとも予想以上にひどい出来なんである。

もう今月も後がないし、だいたい季刊なんだから8月号などと言わず、夏号ぐらいにしときゃよかったと後悔している。

何が何でも今月中に公開しないと、シグマのような狼少年になっては不味かろうと思い、急遽昨日、またもや早朝より出掛けたのだ。


2014年8月29日金曜日

8月の定点観測

SIGMA Photo Pro 6(ver. 6.1)の公開が、延期された。

当初、八月中のリリース予定が、土壇場になって十月頃になりそうだという発表である。古くからのシグマユーザにとっては、予想通りのよくあることで、どうやらこれさえもあてにならないようだ。

現状を考えれば、限られた開発リソースは、新機種の画質改善に向けて集中させる必要があり、以前の機種への対応などやっている暇はない、ということなのだろう。

新機種ユーザは他に選択肢がないので、SIGMA Photo Pro 6.0.x の不具合と格闘しながら使うしかない。だが、いまだ更新によって、新機種の画質が劇的に改善されたという話も聞かないし、これまでのバージョンの出来を振り返ってみても、購入意欲は全く湧かない。

だいたい、新しく搭載された機能の大半は最新版のみの対応であり、メリル世代以前のユーザにとっては、一体何がメリットなのかも分からない SIGMA Photo Pro 6 である。

ま、現行の SIGMA Photo Pro 5.5.3 が、少なくともプレビューバージョンのヨセミテでも動作することは確認できているので、メリルユーザにとってはどうでも良いことだ。

個人的には、いっそ SIGMA Photo Pro 5 の改善の方を望みたいぐらいだが、そんなあり得ないことを期待しても不毛である。それ以上に、シグマに対して何かを期待して待っていること自体に、全く意味はないのかもしれない。

そんなわけで、8月の定点観測が9月10月になってしまっては、なにかと格好がつかないので、キリンビール8月号だ。


2014年8月22日金曜日

カメラグリップ:LB-DPXM

ネタに詰まったら機材ネタ、である。

Sigma DP1 Merrill/DP2 Merrill/DP3 Merrill 専用
アルカスイス互換L型ブラケットカメラグリップ
形式名:LB-DPXM

ま、カメラグリップという名称にはなっているが、個人的には「アルカスイス互換L型ブラケット」という部分の方が重要というか、それが無けりゃ全く意味はないと常々考えていた。

しかし、今回はグリップの方にも、多少期待をしてみたのである。


2014年8月16日土曜日

巡り合わせ

雑談である。

8月に入ってから、もう2週間も更新をサボっている。時間がない、ネタがない、乗らない、と言い訳を並べればキリがない。

巡り合わせが悪いというのも、その理由にしたくなる。

天候や時間、仕事の都合といった外的要因だけでなく、意識の流れみたいな内面との接点がうまく噛合わないと、何かを始めるキッカケが掴めない。

結果として、何もする気が起こらないという、負のスパイラルに呑み込まれてしまい、踠けば踠くほど深く底に落ちて行く。全ての物事を、さしたる合理的な理由もなく意図して遅らせてしまうのである。

ぶっちゃけ、己の怠慢や、そんな怠惰な生活を肯定する材料を探しているだけなんだけどね。


2014年8月3日日曜日

水島臨海鉄道

まいどお馴染の、序でにシリーズ、である。

第何弾かは、数えてもいないので分からない。仕事の都合により、玉島方面へ出向いたので、帰りがけの駄賃に寄ってみた。

水島臨海鉄道については、実はあまり良く知らない。詳細は、ググって貰うとして、撮り合えずそこに機関車や気動車さえあれば、撮ってみることにしている。

どういう絵になるか全く予想もしていなかったし、結果もそれなりでしかないが、まあこれも数の内ということで。


2014年7月31日木曜日

更新

写真の見方というのも、ここ数年で大きく変わってきた。

最近では、その大小を問わず液晶画面などで見ることが多いと思う。

写真を撮る機会が増えると、またその画質が向上してくると、それをどうやって見るかも重要な要素となる。以前のように、プリント一択ではないし、そのサイズ的なバリエーションも様々である。

しかし、その見方もただ漠然と眺めるだけとは限らず、現像作業のように重箱の隅という隅を徹底的に突きたい場合は、どうしてもある程度以上のサイズが欲しくなる。

MacBook Pro も Retina モデルあたりならさぞや高精細な写真を表示できるのだろうが、現像や編集加工作業をノート型でやる気にはならない。写真の高画質化に伴い、そのデータ量もノート型でのキャパでは、とても賄いきれるものではない。

どうしても、デスクトップ型に興味が向くのだが、現状ではまともなディスプレイを期待すると、アップル製品では選択肢が無い。かといって、画質はさておき製品外観では、およそその価格に見合うとも思えない、サードパーティ製品を選択する気にもなれない。

一時は、Thunderbolt Display 27 にも食指を動かされたが、その縦横比と旧態依然とした USB インターフェイスの規格に今更感があり過ぎ、導入には至っていない。未だに、6年越しとなる LED Cinema Display 24 や、それ以前の Cinema Display 20 などを手放せないでいるのも、必ずしも経済的な問題だけが理由ではない。

どうも、こちらの要求に対して大きく外すことが多いアップル製品、その傾向はここ数年さらに酷くなっているように思う。

まもなく、Mac mini あたりも更新となるのだろうが、ことディスプレイに関しては、やる気のなさが見え過ぎる。Mac Pro など、個々のデザインには力を入れても、ユーザが使用する段階まで見通したトータルデザインに関してはまことにお粗末であり、トップに立つ連中、特にチーフデザイナーの資質を疑うところでもある。

ここ数年、Mac 関連では Mac Pro 以外に、これといった新しい提案はなされていないのが現状である。過去の勢いに頼って、やっと動いているようにしか見えない。いい加減には、周辺機器に対しても、何らかの解決策を用意して貰いたいものだ。

また、写真機材方面では、サンウェイフォト製品も主力のボール雲台(FB36 シリーズ)が、更新されたようだ。市場に出回るまでには、もう暫くかかるだろう。

オフィシャルサイトには、すでに製品画像とともにスペックも掲載されている。FB36IIDDHi の1〜2枚目の画像は、どうも FB-44IIDDHi の写真が使用されているように見えるが、このあたりのいい加減さも、相変わらずである。

今回の更新で、サイズのバリエーションである全てのファミリーの仕様が統一されたようだ。だが、オフィシャルの写真で見る限り、インデックスは以前のものより見にくくなっているような気がする。

従来は、ベース部分には指標のみで、回転するボディ側面の方に数値が刻印されていたものを、上下入れ変えたデザインになっている。三脚ヘッドに固定され、回転しない部分に角度を刻印する意味は、全く理解できない。

仮に、0度を基準に撮影者正面に固定したとしても、回転角度分だけ指標はズレていくのだから、角度を読み取るためには大きな視点の移動が伴う。指標の位置さえ自分の見やすいところで固定しておけば、一目瞭然であった従来型の仕様に比べると、いったい何のメリットがあるのだろうか。

ま、インデックスやスケールに関しては、従来より結構雑なメーカではある。だいたい、ボール雲台自体ヘッドの位置は自由に設定できるのだから、元々このインデックスにそれほど厳密なスケールとしての意味はないのだろう。

スケール以外で目立つのは、ノブのデザイン変更や製品型番の刻印省略などに限られる。製品仕様で確認できるのは、クランプが DDC-42 から DDC-42L とロングノブとなったことによる、わずかな重量増加程度で、これといった機構上の大きな改善点も見当たらない。

どう見ても、従来から行われていたバリエーションの追加程度でしかなく、新たな製品というより、単なる目先を変えるための、変更の為の変更にしか見えないのである。

以前、デザイナーが離脱したお家騒動の話もあったので、そのための意匠変更の可能性もある。将来的に、機能面も含むそのデザインの劣化が危惧される、という話も書いたように記憶しているが、そろそろその影響が出始めた可能性も否定できない。

製品名の付け方を見ても、いままでの法則とは多少異なり、そのあたりにもセンスの無さが窺える。(FB-36☞FB36II)

詳細については、そのうちに S.C.V. Photography Ideas あたりでも採上げられるだろう。現状では、その評価待ちというところだが、そういえば DDH-03i Panning Clamp の締付トルクが、以前のモデルより減少している問題も掲載されている。

新しけりゃ必ず良いとも限らないのは、サンウェイフォト製品だけでもないが、何かと購買欲を萎えさせモチベを下げる要因にもなり、まことに残念でならない。

今回の MBP Retina のアップデートを見ても、何か停滞を感じる所は多い。アップルが、一体いつまで惰行を続けるつもりか知らないが、少なくともコンピュータ関連では、停滞は則ち後退を表す。

したがって、余程の価格的なメリットでもない限り、旧製品を選択する意味はないが、ソフトウェアと同様にユーザの使い勝手に影響を及ぼす機材の場合は、そこに選択肢があるのなら積極的に選ぶのもひとつの方策であろう。

いずれ、現在販売されている旧製品も在庫が完売となれば、新しいバージョンに置き換えられるだろう。もし、以前の方が良いと感じるなら、早めに確保しておいた方が良いかもしれないな。


…ということで、来月もヒトツよろしく。
2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.07.31] 更新 〜より転載&加筆修正

2014年7月25日金曜日

スーパーいなばと因美線:其の参

さて、スーパーいなばと因美線のラストである。

大してネタもないのに、いったいいつまで引張るつもりなのか、正直自分でも良く分からないところはあったが、なんとか締めよう。

前回は、ロクな写真もないから動画をベタベタ貼ったおかげで、激重なページに成り果ててしまった。

だから、どうするというわけでもないのだが、通信環境によってはリンクをクリックする前に、覚悟が必要であることを警告しておこう。

智頭駅に降りて、津山行きの普通列車が発車するまでの、僅かな時間にスーパーいなば(キハ187)について振り返ってみた。親の仇とまで言ったわりには、けっこう楽しんでしまった感もあるが、その印象は必ずしも良いわけでもない。

たしかに、キハ187系のパワフルさには驚かされた。従来の気動車に対する、鈍重なイメージを覆すに充分過ぎる程の性能を持っている。

制御付自然振り子式車両ということもあって、曲線区間ではまるで単車でコーナーを攻めるような雰囲気もある。純粋な乗り物として捉えるなら、こんな面白いモノはないだろう。

しかし、どうもシックリ来ない。特別急行という名称から連想されるような華やかさはないし、それほど特別という感じもしないのだ。

ま、そのへんの結論めいたことは、最後にとっておこう。

そんなわけで、スーパーいなばと因美線の後半である。

津山行の普通列車(675D)に乗ると、これはその車両であるキハ120-339 に対するものだが、鉄道というよりバスのような雰囲気だ。

津山寄りの前半分はベンチシートで床のスペースが大きく取られ、後半分はボックスシートである。その詳細は未確認だが、一応トイレも完備しており、若干視界が遮られる代わりに、長時間におよぶ行程でも安心して乗れるメリットはあるだろう。

最も新しい、3次車であるこの300番台の車両には、コマツ製のそこそこに強力なエンジンが奢られている。キハ187系に搭載されている総排気量15.24リッターの小排気量版で、11.04リッターのSA6D125-H1 (330ps) が一基のみだが、27t 弱の軽量ボディに対しては充分な出力といえる。

走行中の印象も、旧式な変速機しか持たない以前のキハ40のような、頑張っている割に悲惨なほど遅い、という感じではない。満員の状態で確認したわけではないが、山岳部においてもそれなりにスムーズな加減速を実現していた。

ただ、いかんせんチャッチイのが頂けない。たしかに、これに比べりゃスーパーいなばは特急列車の風格はあるのだろうが、それは全体の評価基準を下げ過ぎである。少なくとも、当代の列車を語るのであれば、本来はもう少し高いハードルで評価するべきだろう。

というのも、以前上月駅で目撃した、キハ127系(キハ122)の印象が大きく影響している。こうなると、アイツにも乗ってみないことには断言できないが、同じ鉄道でも路面電車と一般的な電車(たとえばクハ115系)の違いは、さほど鉄でもない人でも認識できるのではあるまいか。

ま、そんなオタッキーな話はさておき、因美線である。

鳥取を起点とする因美線であるが、今回はその途中駅である智頭がスタートになる。

智頭を出ると、土師〜那岐〜美作河井〜知和〜美作加茂〜三浦〜美作滝尾〜高野〜東津山の各駅に停車する。終着津山までの営業距離は、たかだか 41.5km ほどの行程でしかないが、そこをたっぷり 70分もかけて念入りに走ってくれる。

山岳区間であることを考慮しなければ、原付だって頑張りゃ勝てる可能性だってあるぐらいだ。(やってみようとは思わないが)

ただ、これはある程度予想できたこととはいえ、車での移動と違って各駅の紹介が出来るほど、材料となるべく写真を撮る時間的な余裕がない。このあたりは、今回痛切に感じたことで、もう少し密度の高いダイヤであれば、途中下車を繰り返して撮影することも可能だろう。

しかし、そんなダイヤが組まれている路線に、果たして撮影意欲が湧くとも思えないので、これは絶対矛盾である。よほど厳密な計画か、または宿泊も辞さない覚悟と予算がなければ、実現不可能である。

そう考えて、もう乗り鉄に徹することにしたのである。そうなれば、運転士も含めて五人しか乗っていない車内は貸し切り同然で、調達しておいた弁当など食いながら、車窓の景色を楽しみ、時々気が向いたときだけ DP2 Merrill を構える、という完全に遠足気分である。

当然、このようなおちゃらけた姿勢でロクな写真など撮れるはずもない。一脚でさえ邪魔になるという、撮り鉄としては言語道断以ての外な姿勢に、不甲斐ない思いもしたのだが、まいっかである。

この路線、観光気分で乗るには長閑で良いのだが、公共交通機関としては機能しているとは言い難く、途中駅でも何人かの乗降客はあったが、その大半は津山が近くなってからである。

代わりの交通手段がある地域でしか利用客がいないのでは、存在する価値も意義も限りなく無に等しい。採算性を前面に出せば、いとも簡単に消え去ってしまいそうな危うさは、何もこの路線に限ったことではないが、やはり線路が無くなるのは寂しい。

その行程で、車窓からの景色は十分に堪能できたが、駅舎やかつての設備等にもなかなか興味深いものも多く、いずれ別の機会があれば訪れてみたいと思う。

津山駅 09:25 着の列車を降りてから、まあ予想通り閑散としているのをいいことに、構内で何枚かの写真を撮ることもできた。

ここから先の選択肢は、幾つかある。そのひとつは、津山線の 09:44 発岡山行快速ことぶき(3935D)である。これに乗れば、岡山駅到着10:52 なので、へたすりゃ午前中には帰宅できてしまうというお手軽さであり、一瞬迷ったのも確かである。

もうひとつは、姫新線の普通列車10:05 発の新見行に乗って、伯備線経由で帰るというもの。新見着は 11:44 だが乗換時間わずか10分ほどで、11:54 発の伯備線・山陽本線経由普通列車長船行きに乗れる。それでも、岡山到着は 13:19 なので、遅い昼食には間に合う。

ただ、そこまで慌ただしく走り回っても、大して写真も撮れそうにないし、結局最後が電車(たぶんクハ115系)では、フツー過ぎて面白くもない。いっそ岩山あたりで途中下車という手もあるが、今日のようなピーカンでは、前回の土砂降りに勝てる写真も撮れる気はしないし、もちろんその後路頭に迷いたくもない。

だいたい、前日の徹夜明けからの気紛れで出てきたので、さすがに少々眠たい。天気は快晴、日陰のホームでベンチに座っていると、そのまま寝てしまいそうになるほど、ここちよい風も吹いてくる。岡山駅と違って、朝っぱらから人も少なくて静かだし、…。

こんな状態では、新見に着くまで間違いなく爆睡してしまいそうなので、どうせなら気動車で帰れる津山線を選択することした。ただ、かつての急行と同じ所要時間、1時間少々で岡山に着いてしまう快速ことぶきでは、途中駅も通過中の車窓からわずかに見えるだけになりそうで、イマイチつまらない。

そんなわけで、この行程の最後(厳密には備前西市までの宇野線があるが、これには選択の余地がない)を飾るのは、快速ことぶきの一本後に発車する、津山線 10:23 発岡山行普通列車(951D)である。

定刻通りであれば、12:02 に岡山駅着の予定であり、岡山発 12:45 の普通列車児島行(537M)に充分間に合う。備前西市に 12:51 到着だから、津山線の気動車でのんびり1時間39分もかけて帰っても、新見を回るよりは早く帰れるのだ。

実際、そのまた後の津山線 11:30発の快速ことぶき(3937D)でも、岡山着が 12:39 だから、こっちでも間に合う。だが、津山駅周辺にさほど撮影意欲が湧くものもなさそうだし、駅構内でもあまり興味を惹くものは見つかりそうもない。

で、同じ運賃(1140円)で長く乗れる方を選択して、運良く眠気に勝つことができれば、車内で今回の行程を振り返ってみるのもよかろうと考えたのであるが、…。

特急スーパーいなばについて、シックリ来ない違和感の原因を考えてみた。

それは、初めて乗った新幹線(0系ひかり)と、ある時期以降の新幹線、たぶん300系のぞみあたりとの違いのような感覚に近い。新幹線は特急であるとは頭では理解していても、それはあくまでも分類上の話であって、特別の意味が少し違う。

ここ最近は、新幹線に乗る機会もめっきり減って、最近の事情には全く疎いのだが、その乗車券はたしか特急券とは別になっていたと思う。自由席か指定席かの2択しかないのだから、特急券が必修である新幹線の乗車券で、それを分けていること自体にあまり意味はない。

新幹線の線路を走るのは、少なくとも山陽地区では新幹線車両のみであろう。特別には、比較対象があるから特別なわけであって、鉄道を利用するにあたり他に選択肢が無い場合、それは普通になる。

山陽新幹線の岡山開業当時は、まだ在来線の特急もいくらか残っていた時代である。そのため遠方への交通手段として、鉄道を選択しても在来線の選択肢は今よりは多かった。その中でも新幹線は超特急 (^^) と呼ばれたぐらいで、如何にも特別な雰囲気が漂っていた。

しかし、2階建て車両(100系)など、サービス面を中心とした展開から、スピードをウリにした「のぞみ」が登場した90年代あたりから、特急は主に速度面だけのプレミアムとなってきたように思う。

車両の外形デザインでは、個人的にはなんといってもロケットみたいな 500系が別格であるが、それを除くと最も新幹線らしいと思えるのは、300系の初代「のぞみ」である。だが、実際に乗ってみると 100系までの「特別」という印象は薄れ、新築の安マンションかコーポに入居した時のような違和感を、その特別な料金とのギャップにも感じたものである。

それは、良くも悪くも正味を優先したあくまでも普通でしかないが、それこそが鉄道に対して、一般から求められていたものなのだろう。このあたりにも、時代の変化を感じないわけにはいかない。

ただ、帰りの津山線で乗ったキハ40 は、姫新線のキハ120 に比べりゃ、遙かに快適であったことも事実で、必要にして充分な乗り心地を提供しているように思う。

それは、以前の急行砂丘号などに感じた、当時の普通列車(キハ20系)などと比べてほんのわずかな高級感、といえば語弊もあるが、急行券として支払う料金には、速度面のメリットだけでは不十分だった時代もあった。

準急や急行が、追加料金を必要としない快速に置き換えられたのは、速さ以外のそのプラスアルファを取除くことで、帳尻を合わせた結果である。キハ40 とキハ120 に感じる差は、そのわずかな差以上のものがあるような気がしたのである。それは、高級感ではなく快適性といった方が良いだろう。

あえて難点を言えば、未だにボックスシートには、例の姿勢を正して座ることを強いられる、直立した背もたれの座席が設置されている。このおかげで、折角のマイルドな乗り心地もリラックスして享受できないところも、普通列車過ぎる点だろう。

見た目は旧態依然としたキハ40・47系も、サービス面によりコストをかければ、新しいだけで徹底的に安普請なキハ120などより、今以上に快適な環境を提供できる要素を多く残している。

だが、JR西日本が行っている、キハ40・47系の延命策には、ベンチシート化など効率ばかりが優先されいる。それで、効率が上がっても乗客が減っては本末転倒であろう。丈夫がなによりな、キハ40・47系にはもう少し頑張って貰い、できれば機関だけでなく内装面にもリニューアルとバージョンアップを期待したいものだ。

現代の車両やそれを取巻く環境、一般的な価値観の変化なども含めて考えれば、古い記憶も曖昧な、かつての特急と比べても仕方がないことは分かっている。

個人的にサンライズエクスプレスに惹かれるのは、285系特急形寝台電車こそが、このあたりでは唯一無二の存在で、おそらく最後の特別急行であろうことが影響していると思う。

そういう点において、キハ187系特急形気動車「スーパーいなば」の印象を一言で表現するなら、観光気分で浮かれていたら、宿泊は駅に近くて便利なビジネスホテルだった、みたいなものかもしれないな。

で、そんなことを考えながら、津山線も堪能しようと考えた普通列車である。亀甲駅の駅舎の屋根が亀甲になっているのを見た記憶も写真もある。

だが、それが最後でその後の記憶は、終着の岡山駅到着まで見事に欠落しているのであった。(なんのこっちゃ、意味ね〜)


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2014.07.25] スーパーいなばと因美線:其の参 〜より転載&加筆修正

2014年7月21日月曜日

スーパーいなばと因美線:其の弐

炎天下に降り立った、米子駅のホーム。

やくもの側を、改札口に向かって歩いている。真夏の照り返しの中、車掌の白い上下の制服と手袋がやたらに眩しい。

発電用のディーゼルエンジンが唸る。排気ガスに咽せながら空を見上げると、そのままフェードアウトしそうになって、発車のベルで我に返る。灼熱の太陽の下で、なにもかもが焼けて溶けてしまいそうだ。

かすかな記憶にあるのは、たったそれだけ。

キハ181系特急形気動車、何度か乗ったことはあるはずだが、ほとんど覚えていない。いや、覚えていないのではなく、思い出せないと言った方が正しい。

そんな季節、米子に何の用があったのか、帰りはいったいどうしたのかなども、まったく思い出せない。それが米子駅だったのか、もっと言えば、はたしてやくもだったのかさえ怪しい記憶だ。

ひょっとすると、すべて夢だっだかもしれない可能性だってある。

それ以前、非力なキハ82系は今でもハッキリ覚えているのだが、なぜかキハ181系に関しては、どうも記憶が曖昧なのである。

最後に乗ったやくもは、おそらく80年代初頭、伯備が電化されて以降は全く乗っていないから、間違いなくキハ181系のはずなんだが。

ま、山陰で目撃したにも関わらず、てっきり夢と思い込んでいた特急「いそかぜ」の例もある。いずれ、思い出す日がくるかもしれない。

キハ187系特急形気動車は、キハ181系の老朽化に伴いその置き換え用として、民営化以降にJR西日本が初めて新製投入した形式である。

個人的に最も好きな気動車、キハ181系を駆逐することが使命で、言ってみれば宿敵である。ローレル賞を受賞したとされるそのデザインも、ぶっちゃけどこがいいのかさっぱりわからない。

一度は、間近に合い見えてみねばなるまいと常々考えていたわけで、親の仇に出会ったような、今回の撮影行でもある。

そんな逆恨み的感情もある、キハ187系特急「スーパーいなば」だ。


上郡駅の入口は、JR線と智頭急行線がかなり離れた位置にある。

ホームに入ればつながっているのだが、駅前広場からは智頭急行線の方は分かりにくい。その上、外から見える駅舎もないので、跨線橋を渡らないと改札口にはたどり着けない。

JR線の改札で、全ての切符が買えるのかどうかは確認していないが、入口を2つ設けている時点で、どうもその可能性は低い。

特急スーパーいなばも、乗客用の出入口が各車両の京都寄りに一ヶ所づつで、2両編成の場合2箇所しかない。パッと見は、鉄板丸出しの近郊用電車のように見えるデザインだが、頻繁な乗降は考えられていない、特急ならではの設計なのだろう。

したがって、京都寄りは乗務員用の狭いドアと並んでいるが、岡山寄りの先頭車両前方には乗客用のドアはない。おかげで、前がよく見える席があるということだ。

上郡駅での見事な進入に気を取られて、交代の乗務員と並んで待っていたら、そこには客室への入口が無いことに気がついた。座席指定券への切替えは、車内でもできることをその乗務員にも確認した。

だが、コイツがまた無愛想な野郎で、こちらに入口がないことぐらい案内してもよさそうなものだが、それはまるで自分の仕事ではないかのような態度である。

おまけに、乗車と共に2号車先頭車両の最前列へ陣取った途端に、わざと視界を遮る場所に乗務員用のデカイ鞄をを2つも置きやがって、平気な顔をしているのだ。

所属は、JR西日本ではなく智頭急行らしいのだが、その鞄にも名前が書いてあるので、あえて無修正で掲載してやることにした。

途中で、検札に回ってきた車掌に指定席への変更を依頼した。その時によっぽど文句を言ってやろうかとも思ったが、ひょっとして何か規定があって、それに従っているだけの可能性も無いとは限らないのでやめておいた。

岡山駅での特急券の購入や乗客に対する案内、延いては顧客サービスに対する姿勢や、料金体系における会社の営業方針などにもおよぶ不満が一気に爆発しそうなほど、ムカついていたという経緯もある。

過去の苦い経験もあって、そんな状況では、自分の感情を抑えるのは困難であることが明白である。その車掌の返答次第によっては、より大きなトラブルに発展する可能性もあり、その経験則に従いこういう場合は黙って我慢することにしている。

もちろん、車掌の対応には全く問題はなく、指定席券への変更はスムーズに行われた。幸い自由席の乗車率も半分以下でしかない上に、指定席の方は、ほぼ皆無で貸し切り状態でもある。

差額の 100円を支払って、その席へそのまま居座ることに対しても、なんら咎められることもなかったが、もしこの状況で、杓子定規に別の席を指定されていたなら、そのまま大人しくしている自信も全くなかった。

何かと気分を害することが多いのも困ったものだが、いちいち腹を立てていても切りがないので、極力透明人間のように振る舞おう。

指定席車両の岡山からの乗客と思しき2名は、上郡駅の時点ですでに熟睡状態である。どうせ、ガラガラなのに岡山で座席指定特急券を購入したのなら、アイツに騙されたに違いない。

しかし、指定変更された特急券にも座席番号など、何処にも記されていない。追加料金さえ払えば、指定席車両の中では自由席、ってことなのか?座席指定の意味というのは、いったいなんなんだろうね。

ま、そんなこたあどうでも良いのだ。とりあえず、最前列に陣取ったらやることは決まっている。動画の撮影だ。

上郡まで、京都方面向きになっていた座席を回転させて、進行方向に向ける。iPhone をムービーモードにして、前面にある窓ガラスに押付け、横目で運転席を見ると、発車後間もなく速度計は100km/hを少し上回ったところを指している。

かつてのディーゼル特急、機関出力に限れば、DML30HSC (500PS) を搭載するキハ181が上回るが、各車両一基でしかなく総合的なパワーウェイトレシオという点では、付随車も足を引張る。

特に、自分自身の記憶にはそれ以前のキハ82系の印象が強く、食堂車などが連結されたいた時代もあって、走行性能としてはあまり良い印象はない。

だが、このキハ187-500/1500、91t 近い編成重量に対して、コマツの SA6D140H (450ps) を各車両に2基づつ積んでおり、トータルの編成出力は 1800ps のパワーである。加速性能も予想以上だが、登り勾配に達した後もさほどエンジン音が高まることなく、ぐいぐい引張って行くトルク感に溢れている。

あまりにも簡単に加速するので、速度計を見ない限りその速さも感じられない。曲線区間も同様で、全く減速なしに飛び込んで行く様は、地方ローカル線ではなかなか味わえない快感がある。

またこの路線、乗ってみると結構長いトンネルも多く、トンネル内でも勾配が相当変化する箇所も少なくない。山岳区間も曲線やトンネルを問わず、常に平均して 95〜105km/h を維持していた。細かいノッチ操作は暗くて確認できないが、相当急な登りに差しかかっても、我全く関知せずといった感じで、高い速度を維持したまま走り続ける。

iPhone で動画撮影しながら、そんな前景にワクワクして見入っていた。その結果、DP2 Merrill での撮影はおろか、車内の様子や車窓からの風景など全く目に入らないという、あっというまの44分間だったのである。

結局、座席に座ったのはトータルで3分もない。これなら座席指定もいらねえぢゃんとも思ったが、ま100円だし、税込だし、そういうわけにも行くまい。

だが、智頭駅に降り立って冷静になって考えれば、あれもこれも忘れており、何か損をしたような気になってしまったのも事実である。

とりえあえずで買った切符は、ここまでしかない。さて、ここからどうするか、である。

六分後の 08:15 には、向かいのホームに待っている津山行きの普通列車が発車する。だが、これを逃すと 12:51 まで、なんと四時間以上、津山方面へ行く列車はない!という、それはもう恐ろしいダイヤなんである。

というわけで、ほとんど選択の余地などあるはずもなく、すでに入線して待ちかまえていた、キハ120 津山行きの普通列車(675D)に、素直に乗ることにした。

ま、天気は良いし、津山にたどり着いてからその先を考えよう。


…つづく。


…ということで、ヒトツよろしく。

2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

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[2014.07.21] スーパーいなばと因美線:其の弐 〜より転載&加筆修正

2014年7月19日土曜日

スーパーいなばと因美線:其の壱

脱線復旧である。

なんとか、話を岡山駅まで戻そう。

まあ、脱線も転覆までしてしまうと、ナマコ程度では復旧も難しい。いったい、なんのことやらさっぱり分からんと思うが、ただの鉄オチなので気にしないで欲しい。

岡山駅といえば、機関区時代の脱線復旧を思い出す。

実家を追い出されて官舎住まいになった当時、官舎の家賃が半額になるという話を厚生課の連中から聞いた。

緊急呼出し要員に登録することがその条件だが、それが何を意味するのか考える間もなく、とにかく半額に惹かれて承諾した。

元が元なので、半額といってもわずかの差でしかないが、そうでなくとも清貧に追い討ちをかける、火事騒ぎの後始末に追われる日々だ。なんでも安くなるなら、魂を売ることさえ厭わない覚悟もあった。

その年の年末は、大晦日の一昼夜勤務を終えた後は非番と公休で、明けて3日まで勤務がない。久々に正月気分を味わっている真っ最中の、2日早朝に電話が鳴った。

岡山駅構内で脱線事故発生、直ちに現場へ急行せよという内容であり、はあ、なにそれ? …である。

現場へ到着すると、多くの同僚に混ざって、当日勤務だった仕業の連中の顔も見える。おいおい、まさか皆で機関車持ち上げるつもりぢゃねえよな、と思うほどの人数だ。

結局、現場責任者の指示に従い、鎖やジャッキ、ナマコやガス溶接のボンベを運んだことぐらいしか記憶になく、いったいどんな手順で復旧されたのかも分からないまま、夕方には作業も終了した。

翌月の給与明細には、ほんの僅かな特殊勤務手当てが付加されており、それが何よりも嬉しかったように記憶している。

で、こちらも復旧しよう。スーパーいなばと因美線:其の壱だ。

といっても、実はいつもの構成ができるほど材料はない。

本来、気分もキッチリ撮り鉄に切替えて行動するべきところであるが、不純物を多く含んだ非鉄金属の悲しさで、智頭駅到着まで写真を撮るのも忘れて遠足気分に終始してしまった、というお粗末である。

ま、iPhone による超適当ショットばかりでは、いつも以上にイマイチなので、そのへんは過去の却下写真でお茶を濁しておくことにする。だが、従来の外からの視点とは大きく異なる撮影環境、あらゆる意味で良い練習になったと思う。

最寄りの駅である備前西市から岡山へは、宇野線経由で 06:02 発の普通列車(518M)に乗れば、06:07 には岡山駅に到着する。だが、岡山発 06:14 普通列車(1300M)には、たった7分しか余裕がない。

備前西市の駅時刻表では、 瀬戸大橋線からの快速マリンライナー(3102M)が、それに先行して 05:39 に停車するようになっている。快速も、朝のダイヤでは妹尾以降の岡山寄りでは、各駅に停車するらしい。

岡山駅着が 05:45 なので、いくらなんでも 30分もあればなんとかなるべと考え、ついでに岡山駅構内がどうなっているのか、見聞もしてやろうという魂胆である。 

で、まあこれに乗って行くことにしたのだが、さすがに政令指定都市岡山 (^^) の表玄関である。朝っぱらから、人の多いこと多いこと。

案の定、岡山駅で智頭行きの乗車券を買う段になって、いきなり想定外のトラブルは発生するのである。

改札内にある乗車券売り場で、智頭までの乗車券と上郡から智頭までの特急券を所望したのであるが、その売場窓口の担当者(♀)が提示した金額は、4千円越えという途方もない料金である。

おいおい、智頭までの乗車券 2270円と智頭急行線の特急料金 420円の合計が、どういう計算で4千円台になるというのだ。仮に岡山から通しで特急に乗っても 3,870円にしかならないはずの料金である。

事前に調べてなけりゃ、そのままボッタクられていた可能性もある。知らずに払って鈍行に乗り、上郡で特急に乗り換えてから気付くという最悪のパターンだろう。

端末のタッチパネル液晶をしこたま叩いていたその担当者は、いかにも不貞腐れたような態度で、分厚い時刻表を取出し暫くにらめっこしていたかと思うと、何の説明もなく席を離れてしまう。

おいコラ、責任者を呼べ〜!と声を荒げて暴れてやろうかとも考えたが、ここはひとつ大人になって静観することにした。

後から調べると、どうやら全線通しでスーパーいなばの座席指定特急券を発行していたようだ。こちらがわざわざ、智・頭・ま・で・の・乗・車・券・と・上・郡・か・ら・智・頭・ま・で・の・特・急・券、と指定しているにも関わらず、である。

窓口をみれば、切符のやり取りの為の開口部はあるが、音声はダイレクトではなくマイクとスピーカに頼っているらしく、不明瞭な音質といくらかの雑音も聞き取れる。

距離にして、たった 50cm もないところでずいぶんと回りくどいシステムに見えるが、天井レベルまでガラスで仕切られたその形状から察するに、おそらく怒った客が暴れだした場合に備えてのことだろう。

ま、客が暴れだす原因を作らないよう、現場担当を教育する方が遙かに難易度が高いことは、その担当者の態度からも窺える。このあたりも、できれば外出を避けたくなる原因でもあり、公共の場というものは、かつての常識がだんだん通用しなくなっている気がする。

しばらくして、もちろん7分の余裕などでは到底足りない時間を経て出てきた男の担当者は、打って変わって平身低頭である。誠に申し訳ないが、上郡駅からの特急券は当駅では発券できないので、乗車後に搭乗している車掌に申し付けて欲しい、とのことである。

結局、智頭までの普通乗車券のみに切替えたのだが、その操作は代わった男の担当者が行い、本来の窓口担当(♀)は、その背後で如何にもわたしゃそんな例外処理は習ってないし、といわんばかりの態度で突っ立っているだけだ。

支払後も何の謝罪もなく、乗り場の案内すらしない。こちらも、そんな期待はしていないので、無言でその場を立ち去ったが、前途多難な行程の予感がする。

その値段に納得できるなら、本来は通しで素直にスーパーいなばに乗ることも吝かではない。だが、どうにも現行の料金体系には納得しかねる不条理な部分が多過ぎる上に、こんな顧客サービスでは、何が何でも余計な金は、ぜってえ払いたくない。

駅構内にコンビニが出来た話を聞いていたので、とりあえず珈琲とお茶に朝食を調達に向かう。たが、構内といってもあくまでも改札口の外であり、いちいち乗車券を見せながら、外へ出る必要がある。外の連中には、他にも多くの選択肢はあるだろうに、なんで中に作らないのだろうねえ。

早朝から利用客も多く、レジの前は長蛇の列だ。かつてホームにあった、まるで聖徳太子のようなマルチタスクをこなす、キヨスクのおばちゃんのような手際の良さはないが、これも時代の流れだろう。

ところで、思いつきとはいえ出掛ける前には、どういった機材を持ち出すかは考えていた。

今現在メインで使っているカメラバッグは、マンフロットのアミカ50型という、DP Merrill が2台プラスアルファの収納スペースを持つタイプと、ケースロジック(SLDC-203)の小型ビデオカメラ用のバッグで、こちらはDP Merrill が1台とビューファー程度なら入る。

鉄道を利用する時点で、時間を気にしながらの撮影になることは予想できる。3台全て持ち出しても意味はなさそうだし、ましてや三脚を展開できるパターンも限られるだろう。

そうなると、徹底的に身軽な方が良かろうと考え、今回は一脚(SIRUI P-326)のみ携行することにして、カメラもケースロジックに入れた1台に絞った。雲台も重たいシルイ(K-20X)から小型軽量のサンウェイフォト(FB-28i)に交換した。それでも、予備としての iPhone があれば、何とかなるはずだ。

2台なら、DP3M/DP1M の望遠広角のペアになるが、確認用のテストケースと割切って、DP2 Merrill の標準一本勝負に決めた。

スタートの岡山駅で、すでに件のドタバタだから、これは正解であったと思う。なんとか3番ホームへたどり着いた時には、もう姫路行普通列車(1300M)が入線してきたので、慌てて iPhone で撮った。

こちらも、コンビニ同様に利用客も予想以上に多く、いままで撮ってきた県北のローカル線とは全く趣が異なる慌ただしさである。

ま、あまりノンビリな行程は期待できそうにないことは、ほとんど空席もない、西市からのマリンライナーに乗った瞬間に分かった。

定刻通り、06:14 に岡山を発車した末期色クハ115系の先頭車両に陣取って、珈琲など啜りながら車窓を眺める。

各々のスマートフォンの画面を見せあいながら談笑する、遠方への通学と思しき高校生のグループ、ヘッドフォンを耳になにやら呟いている女子大生風の女の子など、この時間の列車の乗客は比較的平均年齢が若そうである。

そういえば定刻通りの運行なら、ぼちぼちサンライズエクスプレスが岡山に到着する時刻であり、高島を過ぎた辺りでそれを思い出した。

毎度お馴染の逆光であり、窓ガラス越しという悪条件も重なって大きな期待は出来まい。DP2M を取出すほどでもないので、ここは車窓から、カメラーモードにした iPhone を構えて待機する。

一本前を走る貨物列車があったはずなので、練習ショットのつもりで撮ってみたが、なかなかタイミングが難しい。いつもの、2倍の相対速度で通過するわけだから、無理もない。

それでも、なんとか早めのシャッタータイミングで先頭車両を捕まえることは出来たので、予告編として晒してみたわけである。

東方より朝日と共にやって来る、寝台特急サンライズエクスプレス。その名に違わず相変わらずの逆光だが、コイツの場合は、まあ致し方なしなんである。

上郡到着まで、山陽本線の撮影ポイントとして良い場所はないものかと車窓から見回してみる。だが、景観の良さそうな所は、たいていは道路よりかなり高いところを通っているので、登山を覚悟しなければどうも無理っぽい。

1時間近い行程も、あっという間に過ぎて上郡駅に到着した時には、天気も良くかなり暑くなりそうな空模様だ。ホームに下り立ってみると、智頭急行の建物が岡山寄りの遙か彼方にかすかに見える。

とりあえず、特急券を調達するべくとぼとぼ歩いていくのだが、その先には HOT3500 の姿もあり、その昔大元駅から乗換えの岡山臨港鉄道を思い出す。

前回、外から眺めた智頭駅でも感じたのだが、相互乗り入れとはいえ、首都圏のような利用客に対する利便性はあまり優先されていないようだ。JR西日本の邪魔にならぬよう、遠慮したかのように見えるその乗り場の配置からも、いまだ国鉄時代の不遜さが見え隠れする。

例の特急券のゴタゴタも考えると、国鉄分割民営化後の27年間にはいったい何が改善されたのか大いに疑問である。数ある私鉄会社の一員に過ぎない現在においても、まるで払拭されていないように感じる。

ま、そんなこたあどうでも良い。滅多に利用しない者がエラそうに説教めいたことを言っても、何も始まらない。

とりあえず、智頭急行線の特急料金 420円を払って、スーパーいなば1号の入線を待ったのである。自由席は、先頭車両一号車のはずだ。

ん、待てよ、上郡でスイッチバックするんぢゃなかったっけ?


あちゃ〜、…つづく。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.07.19] スーパーいなばと因美線:其の壱 〜より転載&加筆修正