2012年5月23日水曜日

iCloudの要件が満たされていない場合でも?

iCloudの要件が満たされていない場合でも、メールは iCloud へ移行できるようになりました。

すでに相当な日数が経過してしまったので、いまさらな旧聞かもしれないが、前回の独断による iCloud 移行手順のまとめ的なモノを書いているウラでアップルは密かに(でもないけど)、救済措置を実施していたようだ。

それが、標題の「iCloudの要件が満たされていない場合でも、メールは iCloud へ移行できるようになりました。」である。
iCloudへの移行
(http://www.apple.com/jp/mobileme/transition.html)
以下、引用:--------------------------------------------------------
すべてのデバイスでEメールだけを使い続けたい場合は?
MobileMeが終了した後、iCloudのシステム条件を満たさないデバイスでも引き続きEメールを使うことができるオプションを選べます(5月1日現在)。me.com/moveにアクセスして、MobileMeの終了後もEメールを使い続けるオプションを選択してください。この簡単な準備をするだけで、2012年6月30日にMobileMeが終了した後も、iCloudのシステム条件を満たしていないデバイス上でEメールを使い続けることができるようになります。
------------------------------------------------------------------
ここでは(5月1日現在)というところがミソで、いくら…なりましたァ♪、と明るく言われても参るよな。

あらかた移行作業が終わったこともあり、仕様変更に気付くまで概ね3週間近くを要したことは、我身の不徳の致すところではある。

要するに、昨年6月の iCloud 発表以来 4月31日 4月30日までは iCloud に移行しないのはユーザの勝手なんだから知らねえよ、という態度であったわけで(少なくともユーザサイドからはそう見える)、移行作業に伴う不可解な挙動もある意味アップルの準備不足が原因であったに違いない。(訂正:4月31日→5月1日に対する皮肉を込めたつもりだったが、あまり通じそうにないので素直に訂正)

実際に、システム環境設定内に MobileMe はおろか .Mac しか存在しない 10.4.11 (Tiger) がインストールされた PowerBook で移行してみた。前述の「iCloudの要件が満たされていない場合」のオプションを選択すると、何の変更も無しに使用できる。Tiger の場合、送受信サーバのデフォは「smtp.mac.com & mail.mac.com」であり、「xxx.me.com」ですらない。

前回までアカウント設定に際してトラブった送受信サーバの問題などはいったい何だったのか、と思えるほどあっけなく終わる。いや、実際には何も始まってもいないのだろう。

この手続き自体、アップルに対して 6月30日以降もアカウントを継続使用する決意表明を行ったに過ぎない。所謂 iCloud 移行予約みたいなモノで、当然 iCloud のサイト(https://www.icloud.com/)に行っても、このアカウントでは入れてもらえない。旧来の MobileMe のサイトに跳ね返されるだけで、門前払いである。

MobileMe が完全終了してみないとわからないのであくまでも可能性の話だが、もしこのままスノレパ以前のシステムにおいて、移行前の設定に何の変更もなく使用できるのであれば、アップル側のサーバ管理方法に互換性維持に対する対策が行われたと考えられる。

しかし、7月1日になってまたもやメール設定のやり直しを強いられるのなら、問題を先送りにしているだけで、あまり意味は無い措置なのかもしれない。

また新たな懸念材料として考えられるのは、先々 iCloudの要件が満たされた次点でフルセットのアカウントに移行することが可能なのかどうかである。まさか、以前のメール専用アカウントのような扱いでは無いと信じるが、現時点では少なくとも「今すぐ移行」というオプションは残されている。

が、はたしてこの救済措置は、いつまで有効期限があるのかは明確になっていない。昨年の iCloud 発表時には、新しい機能のウリ部分ばかりが強調され、失われる機能についてはそのユーザ数が少ないという前提で行われた感があるのは否めない。

その機能を使用しているユーザにとっては、切実な問題であるはずなのだが、もともとそれほど面倒見がよい会社でもないので期待するのが間違いであることは承知の上で、あえていまさらの苦言を呈する。

iCloudへの移行により失われる機能

iWeb 公開領域:
これは後述の iDisk とも関連する項目であるが、有料オプションなどで領域を確保さえ出来れば FTP サーバの提供など、さほど技術的に困難なサービスでも無いように思われるが、なぜ廃止という極端な方法しか採れなかったのだろう。

ギャラリー:
もともと Mac OS X 標準の iLife に含まれる iPhoto 関連の機能であり、iWeb と並んで有料化された MobileMe の最大のウリであったはずのサービスである。いつのまにか iWeb は出来の悪いまま iLife ファミリーから外され、iPhoto は旧 Mac OS X ユーザに対して有料化されてしまった経緯がある。その有料版まで購入してアップグレードしてきたユーザにとっては、詐欺にあったような印象さえ受ける。

確かに現在においては、有料・無料(有象無象といってもいい)ウェブ公開アルバムのサービスは数多あるが、日本語化する気もまるでなさそうな Flickr を標準サポートした程度でお茶を濁そうとする態度には少々ムカつく。曾ての iCard や Home Page などの、一般ユーザに喜ばれそうなお手軽サービスさえも早々に辞めてしまうのは、いったいどういう了見なのだろう。

iDisk:
昨今、Dropbox などのサードパーティのサービスで代行できるものの筆頭かもしれないので、一番影響は少ないように思われる。確かに、死ぬほど遅い巨大フロッピーディスクと揶揄されることの多かった iDisk であるが、なぜアップルでは iDisk を Dropbox のように快適に使用できる環境にアップグレード出来なかったのだろう。

iOS 機器などの併用では iDisk など足下にも及ばないほど、快適な環境が提供されることに対して感心もするが、なぜアップルには iCloud でそれが実現できなかったのだろう。というより、iCloud でこそ実現すべき最大の機能であったはずである。
これが実現できたなら、上記2点は廃止することもなくおのずと解決できただろうし、結果失うものは何も無かったはずだ。

自社内で実現できないなら、Dropbox その物を丸ごと買収するという手もあっただろう。スティーブの健康問題やらで何かと混乱を極めた時期であったことは想像できるが、2011年8月時点で50億ドル程度の企業ならアップルにとって容易いことだったに違いない。
ま、事を起こすつもりならもっと以前に、それこそ iCloud の構想段階で動いておくべきことではあるが…。


「ご近所の皆さまへ...」新本社屋についてAppleからお手紙が届きました。
(http://www.gizmodo.jp/2012/05/apple_36_20120522.html)

上記リンク先にあるギズモの記事によると、アップル新社屋建設に関して地元に配布された資料には、1万3千人もの従業員が本来ならその地域に及ぼすはずのプラスの経済効果さえもアップル内部に吸収してしまう旨が説明されているらしい。あくまでも、ギズモの見解を信じるならという条件は付くが、これなどどう考えてもあきれた暴挙といえよう。

「敷地内にジムやレストラン等の施設を併設し、周辺のお店や道がApple社員のせいで込み合わないような配慮」というのは、地元にとってされて有難いものなのだろうか?

社内施設の一般公開のないことを心配するより、もっと別の視点で評されるべき話題のような気がするのだが。

で、常々持ち上がる疑念、「ほんまにアップルの連中は賢いのか?」、「先見の明を持ち合わせたリーダーは、存在するのか?」の要因がこのあたりにわき出てくるのだ。

MobileMe データのバックアップ方法のページの最下行に、保険屋の定款よろしく読めないほどの小さい文字で書かれている文章によく表われているように思う。

自ら自信と責任を持って提供するサービスが無いと、如何に言い分けがましく、他力本願的な逃げ口上に見えることか。
MobileMe データのバックアップ方法
(http://support.apple.com/kb/HT1813?viewlocale=ja_JP)
以下、引用:--------------------------------------------------------
重要:他社の Web サイトや製品に関する記述は、情報提供のみを目的としており、支持または推奨を意味するものではありません。Apple は、他社の Web サイトに掲載されている情報または製品の選択、性能、使用については、一切責任を負いません。Apple は、これらの情報を、ユーザの利便性を考慮して提供しているに過ぎません。Apple では、これらのサイトに掲載されている情報の評価を行っておらず、その正確性または信頼性についてはいかなる言及もいたしません。インターネット上のあらゆる情報または製品の使用には本来リスクが伴うものであり、この点について Apple はいかなる責任も負わないものとします。他社のサイトは Apple とは無関係であり、他社の Web サイトの内容を Apple が管理しているわけではないことをご理解ください。詳細については、「ベンダーに関する情報を見つける」を参照してください。
------------------------------------------------------------------
[上記要約]
  ○ 本来リスクが伴うものであり、Apple とは無関係で推奨を意味するものではなく、いかなる言及もいたしませんので、一切責任を負わないことをご理解ください。 詳細については、5番の窓口へ…。ハイ、次の方。

…ということで、ヒトツよろしく。

2012年05月某日 Hexagon/Okayama, Japan


[2012.05.23] iCloudの要件が満たされていない場合でも?〜より転載&加筆修正




0 件のコメント:

コメントを投稿