2016年3月31日木曜日

3月の定点観測:2016

今月も、今月もヨロシクの次は来月もヨロシクである。

興が乗れば、4千文字越えの文章でさえいつでも書けるが、それに見合う写真を用意するのは容易ではない。

写真がなければ必然的に筆が重くなる。いや、この場合はキーボードだから、キーが硬くなるとでもいうべきか。特に最近は、シャッターも重いからなおさらだ。

DPM も、大抵はいずれかの機種を持ち出しているが、ついつい横着をして iPhone で済ましてしまう。常に携帯して身近に在るというアドバンテージは計り知れず、位置情報の記録用として撮ることもあったりと、使用頻度だけはやたらに高い。

かつて iPhone 導入以前、携帯電話とは別に電子手帳、懐中電灯やデジカメなど、やたら電池を必要とする機器を複数持ち歩いていた時代もあり、一時は GPS 機能付きのサブカメラの導入まで検討した。

だが、そうでなくてもデカくて手に余る電話機を持った上に、これ以上電池の守をしなければならない機器を増やしたくはない。 イザという時に電池切れな懐中電灯など、事程左様に惨めなものはない。

昨年、LED 版で久々の復活を遂げたマグライトも、フラッシュ搭載の iPhone 導入以降、懐中電灯としての地位は完全に乗っ取られていた時期もある。

近頃はバッテリーの使用時間なども考慮して、なんでもかんでも iPhone 頼りはやめようと考えている。それでも以前に比べて EDC スタッフ達全般に渡って、出番を奪っているのは間違いない。

iPhone 6 Plus も、カメラとしてはお世辞にも撮り易いという形状ではないし、そのせいで何かと失敗も多い。いっそ、iPhone 5s に戻してやろうかと思いつつも、既に1年半が経過しようとしている。

アップルのバカも少しは反省したのか、完全な最新版とは言えないものの、iPhone 5s の後継機種を発表している。従来の旧型の延長ではない機種で、やっとユーザの選択肢を増やすことにも配慮したようである。

ただ、それを次期 iPhone として選択するべきかどうかは、未だに迷っている。

現状の iPhone は既に電話機というより、EDC 役割も大半を担う携帯端末となっている。果たして 5.5インチから4インチ画面に戻れるのか、今更な先祖帰りに自分が対応できるのか、そっちの方が心配なんである。

ま、そんなこたあどうでもいいのだ。

今回も「インドアでも楽しめるアウトドア」シリーズの序でに、土壇場のキリンビール3月号だ。

単車でのツーリングや野外活動には、だんだんと快適な季節になりつつある。しかしながら、天候とスケジュールの関係などで中々タイミングが合わず、口惜しい思いを重ねている今日この頃である。

せめて、仕事の序でに廻れる近隣の裏山へでも寄り道してみたり、定点観測の現場で木工に勤しんでみたりと、今一つ不完全燃焼な感が否めない。

やっと先週になってから、こちらのスケジュールと天気などが何とか一致したので、新規調達アイテムのテストを兼ねて出掛けてみた。

従来より、定点観測の現場でも何度かキャンプ用品のフィールドテストは行ってきたわけだが、場合によっては衆目に触れる場所でもあるので、あまり派手なことは控えねばならぬ。特に刃物関係では、いろいろと配慮する必要もあるので、極力避けてきたという経緯もある。

そこで、近場の気軽に行ける良い場所はないかと探していたんだが、焚き火までを範囲に入れるとするなら、そう何処でもというわけにはいかない。火の始末等を考慮すれば、あまり山奥へ入り込むより、河原とか水辺に近い方が有利だろう。

とはいえ、一級河川の河川敷ではお手軽過ぎるし、だいたいこちらのモチベも上がらないから、それなりのシチュエーションは整えたいという要望もある。

そんな時、たまたまネットで見かけた県内のご同輩のサイトよりの情報から、灯台下暗し的な穴場を発見した。

何かと差し障りもあろうかと思うのであえて詳細は伏せるが、現場は既に閉鎖された野営場らしく、設備は整っているわりにその殆どは機能を停止してる。よって、利用するには、それなりの準備と覚悟が必要になる。

だが、他に利用者もほぼ皆無なので、人目につかないことと静かなことだけは保証されている。管理もされていないから原則制限事項もないわけで、良識の範囲内であれば自由度も高い。そんな野営場の片隅で、思う存分店を広げてみたのである。

今回は、最近導入したアイテムの中から、焚き火用のファイヤスタンドと鉞(マサカリ)がメインである。サブツールとしては、ハンティングナイフとプーッコが各1本にサイドキックという布陣。

当初は、前回のノコギリ比べの補足事項として、折畳み式のノコ(130mm)も予定してしたのだが、残念ながら間に合わなかった。そちらは、翌日の裏山で実戦デビューとなったので、詳細は欄外へ譲る。

ユニフレームのファイヤスタンドに関しては、既に利用者も多く、以前より焚き火愛好家には定番とも言えるモノなので今更感は拭えない。実際に使ってみてもなるほどと思わせる、なかなか実用性も高い製品である。

ただ、昨今の直火で焚き火が前提になるブッシュクラフト的な観点からは、持って行く物リストから一番に外されるアイテムではないかという気もする。

ま、我々のような、なんちゃってブッシュクラフタにとっては、打って付けな製品であることは間違いない。

もう一つのメインツール、懸案の鉞というか斧である。こちらも、その筋にはお馴染の北欧メーカの製品だが、個人的な諸事情により敢えて製品名は伏る。その製品ラインナップの最も小さいモデルだが、なぜか最も安かった訳でもないのがムカツク、とだけ言っておこう。

前回のジープブランドの斧には、辟易とさせられた記憶も未だ新しい。一本の枝から、持ち帰り用に加工するための、大半の作業はナイフ頼りになる。そして、それが当たり前と考えていた。

ところが、こいつは箱出し状態でもかなりの切れ味を確保しており、ぶっちゃけナイフの出番がないのである。

皮を剥いで粗方の形を整える過程まで、斧一本だけで可能になってしまう。その様子も、ネットの動画では何度か目にしていたのだが、実際に自分でやってみないとなかなか実感が湧かないものだ。しかし、実感すればしたで決してお勤め品では味わえない快感もあり、癖になりそうで怖いぐらいだ。

まあ、そうは言っても著名な製品だし、ある程度は想定内の話だが、実は全く想定外の一本というのもある。

木工作業においては、北欧系ナイフの優位性を身をもって体験したのもほんの最近のことだが、ここに至って伏兵現る、といった状況なんである。

実家の倉庫を整理していたら、たまたま見つけた何本かの古いナイフの中にそれはあった。自分では購入した覚えが全くないので、たぶん親父か息子のどちらかが下手人だろう。が、こんなものは見つけたモン勝ちというのが、先祖代々から伝わる我家の伝統である。

ネット上にも、そのナイフに関する情報は見つけられなかったので詳細は不明だが、かなりの年代物のように思う。といっても、せいぜい80年代ではないかと思うのだが、これが実にシックリくるナイフなのである。

刃長は11センチと、さほど大きくもなく小さくもなくといったところだが、けっこう細かい作業までこなすことが出来る。ブレードの外見は、従来から良く使っていたバックのフォールディングハンター#110 に似ており、フルタングのテールエンドは異様なほど太い。

結果的にかなりのハンドルヘビーなんだが、似たようなバランスの Hattori 359 とも全く異なる印象で、とにかく全ての作業が楽なんである。

鋼材は不明だが、かなり手荒く使っても簡単には劣化しない持続力も合わせ持っている。一頻り、枝の皮剥ぎ処理を終えてからのペーパーカットでは、さすがに若干の鈍化も確認できる。だが、青棒を塗布した革砥によるストロッピングだけで、以前と全く変わりない切れ味に戻ってしまうところが凄い、真にスグレモノなんである。

また、重量バランスも然る事ながら、控えめなグルーブやヒルトを始め、ブレードを含む各部分が細かいところまで、非常に上手く構成されている。決して大きい方ではない自分の手にも、あたかももっと小さいナイフであるかのように感じさせ、まことに手に馴染むのだ。

バック・フォールディングハンター #110、そのクリップポイントも切っ先を上手く使えば、より小型のナイフの様にも使える。だが、峰の部分が切っ先に近い所では鋭くなっている #110 では、押さえる指先が痛くなるのでそう長く作業は続けられない。

其れに引き換え、ブレードに「Hi-CUT」と今ひとつダサいロゴの表記されたこのナイフ、峰の部分は全体に渡って平坦なので、細かい作業でも指への負担が少ない。極端に太くなったハンドル後端も、小指はちゃんと掛かるので、左手親指で切っ先背面を押さえながら、捻りを加えた動作なども非常にスムーズに行える。

もちろん、プーッコでの作業も容易であることに変わりはない。だが、木工なら北欧系という漠然とした思い込みさえも根底から覆してしまう程使い易く、少し大きめのナイフ、例えばレウクのような機能まで兼ねているのが、この Hi-CUT ではないかと思うのである。

また、切れ味に関してもステンレスよりは炭素鋼という通説も少々怪しく感じられるほどにシャープで、なおかつそれを長時間維持しているところも評価が高い点だ。

前述の斧も、枝払い用の最小モデルを選択したことで、薪割りなどの作業には向いていない。その点も、今回実証してみたのだが、ナイフと同様にバトニングをすれば十分実用にはなることが確認できた。

ドロップポイント系のハンティングナイフでは、木工関連の作業がやりやすいとは言えず、一時はより小型のフォールディングナイフや、レザーマンなどをサブツールとして考えたこともある。

プーッコとハンティング、サブにビクトリノックスという組合わせも何度か実践して、ある程度手応えも感じていた。ところが、此の期に及んで Hi-CUT とミニハチェットさえあれば(おっと)他の連中には出番が無い、という由々しき事態なんである。

後はせいぜい実用一点張りな折畳み式のノコでもあれば、もう調理用のオピネルぐらいしか入り込む隙間がないほどに、完璧な組合わせである。

プーッコや斧をメインとして併用、場合によってはフォールディングソウやネックナイフというのが、世のブッシュクラフタ達の間では定番となっているようだが、刃物に関しては斧だけ、という強者も少なくないらしい。

まあ、そんな自然環境や社会状況も異なる、諸外国のモノ真似をすればキリがない。所詮、我々のような近場の裏山が主戦場となる輩にとっては、そのスタイルや概念的な部分だけ頂いておけばよかろう。

それにしてもこの野営場、わずか半日、午後だけの滞在ではあったのだが、なかなか有意義な時間が過ごせたように思う。いずれは本腰を据えて、宿泊も視野に入れた装備で訪れてみたいものだ。

翌日には北区の裏山、建部方面から県北へと赴いて実戦投入もしてみた。林道の果てで、斧と Hi-CUT による枝の切り出し作業である。やっと入荷した折畳み式ノコも参加して、松や杉、柳などの枝々を切っては皮を剥ぐといった、一連の作業を苦もなくこなした。

未だトータルな感想や、結論めいた話を語るほどには至っていないが、こと実用面だけで捉えるなら斧とノコ、ハンティングナイフとポケットナイフ、そんな組合わせがあれば大抵の作業はこなせることは分かった。

後は、そこにどんな製品を持ってくるのか、各個人の好みによって多少異なってくるだろう。それらを上手く組み合わせて、火興しや焚き火を楽しんだり、野外料理に凝るのも良い。

個人的には、狩猟はおろか魚釣りや山菜採りにさえ、全く縁がない。従って食料の現地調達といっても、せいぜい訪れた地方のスーパーで食材を買い求めるのが関の山だ。本来、バーナーやクッカーがあれば、刃物関連はキーチェーンツールだけでも困らない可能性も高い。

ただ、実用だけでは面白くないので、あえて炭やガスではなくソロストーブやネイチャーストーブ、ライターではなくライトマイファイヤを使い、焚き火もどきを火種にしては不便や苦労を楽しんでいる。

ビリーカンみたいな、より焚き火に向いたクッカーなども導入すれば、今以上に斧やナイフに必要性も増してくるに違いない。

そんな妄想も膨らませながら、今後もポケットナイフやマルチツールの話も絡めていこうと考えている。



…ということで、来月もヒトツよろしく。
2016年03月末日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2016.03.31] 3月の定点観測:2016 〜より転載&加筆修正
本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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