2012年10月6日土曜日

スティーブの一周忌

世界が悲しみに暮れる中、茫然自失で涙を拭きながら、それでもしっかりと速攻で予約した昨年の iPhone 4S の発表から、ちょうど1年。今日はスティーブの一周忌である。

もうすでに、次代の iPhone 5 を使用しているが、前機種、前々機種の iPhone 4/4S だって下取りに出したわけぢゃない。自身にとって最初の iPhone となった、iPhone 3GS も含めて高機能 iPod として余生を送っている。

おかげで、以前のような新製品発表の度に iPod シリーズを買い散らかす必要がなくなった。

本当にワクワクしながら購入したのは、2009年の iPod shuffle 3rd が最後であり、一般的には人気がないようだが、最もお気に入りの iPod でもある。世代的には、アップルによって元祖 iPod nano と無理やりすり替えられた iPod nano 6th というのが新しい。しかし、初代 iPod touch と並んで発表と同時に、これはぜひ欲しいという激情にかられた、実にインパクトの強い製品だった。この2機種に比べると、2001年の最初の iPod にさえ、そこまでのパッションは感じていなかったかもしれないなあ。…余談である。

最近、iPod も touch 以外は毎年ニューモデルが発表されるわけでもなく、カラバリかマイナーチェンジでお茶を濁すことが多くなり、良く言えば完成の域に達したかに見える。

さすがに今回は、iPod nano に関しても機能を絞ってお勤め品 iPod touch のようなアップデートが施された。一時のような、カメラまで搭載した悪ノリは影を潜め、客層に合わせたモデル展開であり、真当な更新であるといえる。

ただ見方によっては、そんな手抜きともいえる製品と真っ向から対決しなければならない、その他のメーカさんはたいへんだろう。ありとあらゆる趣向を凝らした製品を発表しても、ユーザ側が「面倒だから iPod でいいや」的なノリで選択されたらやってられねえな、と思っても無理はない。

たが、アップルがこんな楽な商売ができるのはある意味 iPhone のおかげである。

凝った機能も先端技術も望めば iPhone がある、割り切れば iPod shuffle があるで、全周囲をアップルに制圧されてしまった感がある市場には、もう大きな隙間はない、手遅れである。せいぜい活気があるのは iPhone/iPod 用に特化された、コンパクトオーディオぐらいか。

アップルは、90年代に逆の立場で Windows を相手に奮闘していたのだから、隔世の感はある。

ま、少なくともスティーブはアップルの創業当時も復帰後も一貫して、他社と勝負しようとか、市場占有率を稼ごうとか下世話な発想はしたことはないだろう。ただ、単に自分が納得できる製品が作りたかっただけだ。だからこそ、市場調査もしないし、結果として時にはピントの外れた製品も作った。しかし、そのピントもその時代に合っていなかっただけで、売れなかった原因は全く別のところにあった様な気もする。

そんなアップルに挑むメーカには、スティーブがそうであったように、世界を変えるんだという気概でもないと、勝ち目はない。いや、端っから勝負にもならないだろう。

アップルは、iPod に対して肌身離さずいつも持ち歩いて欲しい、という願望を実現するためにはどうすべきか。で、人々がいつも持ち歩いている機器に合体させちまえという発想を、コンピュータに対しても同様のアプローチを行った結果が iPhone である。


個人的には、もうすでに電話という機能は数あるアプリケーションの一つでしかないし、携帯電話であるという感覚すら希薄になってしまった。文字通り、世界は変わったのである。

iPad に対しても、アップルの後追いをしている現状では、勢力図に大きな変化はないだろう。iPad の価格政策のおかげで生まれた、お勤め品市場もいずれアップルによって埋められてしまう。もちろん、大手メーカにはそれなりの売上げは見込めるだろうし、市場占有率に関してはトップに立てることだってあるだろうが、イノベーションは望めない。

ま、そんなものを望んでいたのは、スティーブぐらいだろう。今のアップルがどうなのかは、正直わからないが…。(ほんとに 2050年まで続けるならあっぱれだが、間違いに対する謝罪もなく、すぐに2013年に修正してしまうあたりが、セコイ会社だ←iCloud の無料ストレージ)

アップルもスティーブ亡き後、Mac の現状は iPod ほど楽ぢゃないことも、肝に銘じていた方がよいと思うな。
(iMac はいったいどうなるんだろう?)


ぶっちゃけ、いちユーザとしては、アップルのシェアなんてどうでもいい。ましてや、株価や時価総額など、どうなろうと知ったこっちゃない。70年代後半のApple II の時代からからずっと望んでいるのは、何が何でも欲しくなる製品を作りだすことで魅惑し続けて欲しい、というただ一点だけだ。

わーお、スティーブの命日に二本立てだぜい。



…ということで、ヒトツよろしく。
2012年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan

[2012.10.06] スティーブの一周忌 〜より転載&加筆修正

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