2013年7月31日水曜日

三脚のことなど…、その後(1)

いくらなんでも、もう今月は書けないだろうと「来月もヒトツよろしく」などと結んだんだが、アップル関連と違い、さすがにデジカメネタとなるとモチベーションは高い。

前回は、機種選定までの経緯を後々の反省材料とするべく綴ってみたんだが、思わず大作君になっちまった。

とりあえず、購入前の調査において各方面で語られていた評価と、実際に使ってみた各機種の使用感に若干のズレみたいなものを感じたので、追記として補足することにした。

ただし、SIGMA DP シリーズのユーザ以外はあまり参考にはならないので、念のため。

今回の選択した機種における、ネット上での情報の多くは大体において、SIGMA DP シリーズより遙かに大きく重たい一眼レフ+望遠レンズを使用しているユーザによるモノが大半を占める。

一般的なコンパクトカメラユーザにとっては、何れも不必要で過剰な製品であると思う。なにせ 5~10kg 越えの耐荷重を謳う製品に、高々 500g 程度のコンデジを載せているんだから、文字通りオーバースぺックの極みである。

一応一眼レフに分類される Olympus E-620 で使用しても、高価な製品を使用したことによるメリットが、明確に画質に現れるわけではない。撮影アングルの自由度や操作感はさておき、バーゲン品との差は目糞鼻糞レベルでしかないのだ。

所詮、ピクセル単位で解像していない機種では、夜景でも撮らない限りその恩恵には気付かない。少なくとも日中 1/250 秒以上のシャッター速度が得られる状況では、ミラーアップしようがしまいが、遅延レリーズしようがしまいが、ぶっちゃけブレていようがいまいが、大して違わないんである。

ネットでのフォビオン画質の評価に、現像ソフトによるシャープネスがかかりすぎているために解像感があるように見えるだけである、などというピンボケな戯言をたまに見かける。

実際にやってみれば判るが、本当にピクセル単位で解像していなければ、いくらシャープネスをかけても、解像感が上がるどころか潰れるだけであり、モヤモヤの画質をどう捏ね繰りまわそうが、決してクリアな画像にはならない。

だいたい、そんな比較に凝った被写体は必要ない。乾いたアスファルトの道路を2~30メートルの距離から撮影すれば一発で判ることだ。ちゃんと解像していなければ、実物より色も薄くのっぺりとした描写にしかならない。(ま、そのせいで人肌には向いているんだろうが、それをメリットとして受入れるのは難しい)

元々有りもしない情報から作り出されるものは、単なるデッチ上げに過ぎない。目一杯大きめに撮っておいて縮小をかけて誤魔化すしか手はないから、やたらに高画素化に邁進するわけで、端からフォビオンとピクセル等倍で勝負しようというのは、どだい無理な話である。…ぶっちゃけ過ぎな余談である。

一般的にブレが発生しやすくなるシャッター速度は、その根拠は知らないが[1/焦点距離]以下と言われており、SIGMA DP シリーズでもこれを下回ると警告が表示される。ところが、実際はその倍の速度でもピントは合っているはずなのに、ピクセル等倍で見ると何となく甘いなあ、と感じることがある。(ボケの判断に用いられる、許容錯乱円径が関係するのかもしれない)

特に DP3 Merrill の場合は顕著で、手持ちではよほどしっかり構えていないと 1/250 秒でもあぶない。最も解像する F5.0~5.6 あたりで遠景などを撮ろうとすると、ちょっと陰ったり曇ったら要注意であり、まったく油断も隙もあったもんではない、のである。

したがって、購入前に予想したとおり三脚必修せめて一脚というのが、ここ数ヶ月使用してみて感じたことである。そういう観点から評価してみようと思うが、いかんせん以前の機材が酷すぎたことと、オレ様が納得して選んだんだからまちげえねぇという、自画自賛な思い入れから甘めの評価にはなると思う。

で、今回はまず Manfrotto 190CXPRO3 である。

カーボンとはいえ、さすがに全伸高 146.0cm クラスともなるとそれほど軽くはない。雲台とカメラ本体の高さを考慮すれば、よほどの大木でない限り、大きく腰をかがめる必要はない。もちろん、1.29kg は軽いのだろうが、雲台の 400g を含めれば 1.7kg 近いので、以前のお勤め品アルミ三脚 Velbon CX 440(3WAY 雲台込)の 1.2kg と比べりゃ、たぶん比べちゃイカンのだろうが、当たり前に重たい。

ただ、立てた時のシッカリ感は比較にならない。ガンとして動かない、岩である、巌である、…かのように感じる。(←これも比べちゃイカンのだろうが、あくまでも比較であり感覚だからね)

巷の評価は、兄貴分の 055CXPRO の方が圧倒的に良いが、間違っても 600mm の大砲など生涯使うことはないので、これはこれで十分過ぎるぐらいである。(そんな金がありゃ三脚だって買い足すし、たぶんシェルパも雇う)

なにより、190 シリーズの評価ポイントが個人的に高いのは、その実売価格でありコスパである。上位の 055 シリーズがもう少し安けりゃ、多少なりとも評価が変わる可能性もあるが、実売2万円以上の差は感じない。

Manfrotto 055CXPRO3:29.2/24.8/20.4 (mm)
Manfrotto 055CXPRO4:29.2/24.8/20.4/16.0 (mm)
Manfrotto 190CXPRO3:24.8/20.4/16.0 (mm)
Manfrotto 190CXPRO4:24.8/20.4/16/11.6 (mm)

上記は、各段のカーボンチューブ径であるが、055CXPRO4 を見ると2段目以下は 190CXPRO3 と全く同じであり、最上段に 29.2mm のチューブを一本足したかのようである。全伸高は 170cm 対 146cm であることから、一段辺りの長さも似たようなモノだろう。

したがって、特に四段版の場合すべて伸ばした状態では、三段版の対 190 比較で必ずしも強度が高いのかどうかもあやしいが、少なくとも SIGMA DP シリーズにとっては完全なオーバースペックといえる。

各段の差は 4.4mm であり、後述の6段一脚 SIRUI P-326 が、八層カーボンにより実現している各段 3mm の差に比べると、少し見劣りする。SIRUI と同様の材質なら最下段は 190CXPRO3 でさえ 19mm でも可能なはずで、裏を返せば四段モデル 190CXPRO4 の 11.6mm という極めて細い最下段が、三段モデル並の太さ 16mm で実現できるということである。

ちなみに、P-326 の最上段は 32mm 最下段は 16mm(32/28/25/22/19/16)であり、全伸高 154cm/縮長 38cm/重量419g である。いずれにしても中華恐るべし、という気がしてならない。

振り返って、我が国産の雄ベルボンのジオ・カルマーニュシリーズは、さすがに各段 3mm 差は実現しているようだが、独自規格のシューを搭載した雲台とセット販売が多く、残念ながらコスパに優れるとは言い難い。

事前に危惧されたトリッキーな動きのセンターポールも、緩めたときはオイオイだいぢょうぶかコレ、というほどフニャフニャだが、締めるとバチッと決まるあたりは、それなりの秘密があるんだろう。

ただ、目視のロック状態を確認できることをメリットとして、選択したレバーロック式であるが、某有名動画サイトで見受けられるナットロック式の様にカッコ良く一気伸ばしは、当たり前だができない。

加えて、開脚角度のロックもレバーがさほど大きくない上に、開脚抵抗も意外に大きいのでお世辞にもスムーズとは言い難く、ガバッと開いて水平を出すまでの所作は、よほど腕力に自信のない限りあまり人目につくところではやりたくないものである。(よもや、カメラ片手にやろうなどと決して考えてはならない)

不整地(であることの方が圧倒的に多いが)で、三脚レベルの水平を出すことの手間を考えると、レベリングベースの存在価値も認めざるを得ない。が、贅沢は敵である。(ほとぼりが冷めてから、考えよう)

ま、運用面のトータルな評価に関しては、雲台の占める要素も大きいので、あくまでも縁の下の力持ち的な話にはなるし、三脚自体の問題を論ってもあまり意味はない。雲台を含めた評価については後ほど書こうと思うが、初のまともな近代三脚に触れた感想は、概ね良好である。

少なくとも、SIGMA DP シリーズでの使用においては、強度の点でも全く問題はなく、ネットで言われるほど弱っちい三脚ではない。あくまでも、上位モデルやカテゴリを度外視した無差別級バトルロイヤルな話であること、を念頭に置くべきである。


…ということで、ホントに来月もヒトツよろしく。
2013年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.07.31] 三脚のことなど…、その後(1) 〜より転載&加筆修正

0 件のコメント:

コメントを投稿