2014年12月31日水曜日

来年もヒトツよろしくの気持ちを込めて、続・津山線

2014年も、そろそろ終ろうとしている。

今年は、1月早々の「たまには、オリンパス」で始まった、鉄撮りの練習シリーズに明け暮れた気がする。

あまり練習の成果があったとは言えないのだが、それでも振り返ってみれば、この1年で県内の路線は大方網羅したように思う。

練習を言い訳にしているうちは、それこそ手当たり次第だったのだが、沿線の風景などに興味がわいてくると、少しは絵的に凝ってみたくもなる。

そうなると逆に、個人的には景観なども良くないと気合いが入らないという贅沢な悩みも出てくるわけで、そのせいで中途半端に終った路線も幾つかあった。

ぼちぼち、ネタ切れな気もする今日この頃であるが、そんな撮り零しを繕う意味で一昨日、比較的近場の津山線をフォローしてみた。

四月下旬にぶらっと出掛けて、撮り合えず福渡の手前あたりまで撮ったところで、日も暮れてタイムアップとなってしまったのが、前回の津山線前編である。

今回はその後編として、福渡から津山口の手前、佐良山辺りまでを廻ってみた。引籠り生活でウェストがきつくなったことにより、減量を目的として出掛けたわけでは、…ない。

が、一石二鳥を期待しなかったわけでもないので、事前の準備や調査などは全く行っていない。例によって、気の向くまま気紛れによる撮影行だ。

この季節、近場とはいえあまりノンビリしていては日暮れも早いので、少し気合いを入れて早朝より出掛けた。

だが、前日の雨はあがったものの、午前中はほとんど霧に覆われており、県の中央部へ向かって北上すればするほど、霧が晴れるまでの時間が遅くなっていくという悪循環である。

当初、こんな天気ならもっとゆっくり出てもでも良かったような気もしていたが、あまり余計なモノが写らなくて済むので、途中からは多少なりとも絵的な雰囲気に貢献してはくれまいかという期待に変わっていった。

結果的には、光量不足によるシャッター速度低下の方が、鉄撮りにとっては障害となったような気もする。

そんなわけで、スタートの福渡駅は帰りに撮ることにして、まず訪れたのは、福渡〜神目間の第2誕生寺川橋梁である。

位置的には、津山線が福渡駅を出て大きく東に向かって曲がり、一時的に南下する場所である。したがって、早朝は逆光になるのだが、少なくとも現場では霧のせいで何となく幻想的な雰囲気があるような気がして、あえてその場所を選んだ。

ま、実際に撮ってみたら、単なる勘違いに過ぎなかったのだが、…。

その後、順光となる東側からも撮ってみたが、国道53号線が近いので、岡山方面行きの下りでは騒音に邪魔されて列車の接近に気がつくのが遅れる。撮影ポイントも少々短いことで、シャッタータイミングも難しい。

姫新線や芸備線と違って快速も運行され、それなりの便数もある津山線だ。適当に待っていれば列車はやってくるのだが、次の上り列車を待つほどの余裕もないので、上下2本を撮ったところで神目駅へ移動した。

津山線の各駅は、建部駅を除いてそのほとんどが国道から近いところに位置する。そんな中でも、神目駅は誕生寺川を挟んで、少し離れたところにある。

駅舎を外から見たのは初めてだが、最初は寺があるのかと思ったぐらいで、看板がなけりゃわからない外観だ。

階段を登ったところにある入口は、丈夫そうなアルミサッシになっているが、色は焦げ茶色で実用性と景観のバランスが採られている。

丁度、津山方面行きの列車がやって来たので、ホームから何枚か撮影してみた。乗降客も数人おり、かつては相対式2面2線のホームだったが、現在は単式ホーム1面1線のみで、津山駅管理の無人駅である。

福渡〜岡山間で快速となる早朝の一本を除いて、快速は通過する駅であり、1日平均人数は津山線の各駅同様に年々減少して、ここ数年は60〜70人といったところ。

その隣の弓削駅は、全ての快速が停車する久米南町の主要駅で、2面2線の相対式ホームと行違い設備もある、津山駅管理の簡易委託駅である。1日平均人数は、なんとか200人台を持ちこたえているらしい。

駅舎のある2番のりばを上下本線、1番のりばを上下副本線とした一線スルーとなっている。行違いがない限りは、上下列車とも2番のりばに発着するので、跨線橋を渡って1番のりばへ行く必要がある列車は限られる。

この地域では、河童がマスコットになっているらしく、 駅前広場やホームのあちこちに、河童のモニュメントが設置されている。久米南は河童の町で、弓削駅は河童の駅だそうだが、残念ながら未だ実物には出会ったことがない。

弓削駅から3キロほど北へ行くと、誕生寺駅がある。現在は、1面1線単式ホームの棒線駅だが、対面にはかつてのホームの名残がある。駅舎内は、奇麗な木造の内装で清潔感も十分あり、アルミサッシの建付けもシッカリした立派なものであった。

駅に寺の名前がついているのは昔から知っていたが、ついぞご本尊は拝んだことが無かったので、ついでに寄ってみた。

駅の規模からしてもっとショボイ寺を想像していたが、ずいぶんと立派なお寺である。すでに、初詣客の受け入れ準備万端であった。

一応、受け売り情報を披露するなら、浄土宗の寺院だそうで、本堂である御影堂は国の重要文化財に指定されているらしい。侘・寂な景観自体は嫌いではないが、どうも宗教が絡むと敬遠してしまう。神社仏閣にはあまり興味はないのだが、つい何枚も撮ってしまった。

その誕生寺から、さらに2キロほどで小原駅がある。といっても、駅舎はなく単式ホームの停留場であることは以前から知っていたので、少し寄り道をして国道から離れた山道の方へ迂回してみた。

この近辺には山の中腹にも民家が点在しており、段々畑と溜め池があって典型的な里山の風景が見られる。

以前は、そんな牧歌的な景観に惹かれて、なんとか絵にしてやろうと試みたこともあるのだが、だいたい上手くいった試しはない。

何枚か、マグレの一発というのも無かったわけではないが、現場で感じた印象が後で写真で見るとなんか違うな、というものが多かった。

今回もその状況に近いのだが、こちらの許容範囲が下がったせいか、多少マシなものが撮れた気がしている。

そのあたりは、いずれおいおいに、それと気付かれないように、小出しにしていこうと考えている。

何かとコメントし辛い、小原駅を適当に撮った後は亀甲駅である。

前回、智頭線の帰り道で乗った、そして爆睡してしまったキハ40から、最後に見かけたのが亀甲駅の亀の甲羅を模った屋根である。

今回、駅舎をじっくり見てみると、屋根だけでなく駅舎全体が亀になっていたことに気付かされた。要するに、亀頭が、いや亀の頭が付いていたのである。

巨大な亀ではあるものの、目玉が時計になっていたり、わりと明るい茶色系なので、怪獣ガメラのような不気味さはない。愛嬌のある亀になっているので、子供は喜ぶかもしれないが、シュールであることに変わりはない。

ホームには、やたらに「たまごかけごはん」の幟がはためいており、時間的にも腹が減ってきたのだが、今回は自分自身の減量も兼ねていることを思い出して、グッと我慢した。

だが、その後へたな我慢が災いして、あまりの空腹から普段以上の量に及ぶ弁当をコンビニで買っちまったので、結局減量どころか満腹弁当になってしまったのはご愛嬌である。

こんなことなら、適切な時間に適度な量を食べた方が良かったのだろうと後悔したが、「たまごかけごはん」ごときでは、絶対に得られぬ満足感というかたらふく感というのもあるはずだ、と思う。

駅自体は、行違い設備のある2面2線の相対式ホームで、跨線橋で連絡している点や、一線スルー式であること、津山駅管理の簡易委託駅であることなどは、弓削駅と同様である。ただ、こちらは駅舎のある上り側が1番線で上下本線、2番線が上下副本線になっている。

駅の外観だけでなく、駅舎内も誕生寺と同様に、木張りの内装で小綺麗に纏まっている。このあたりは、過疎化が進むローカル線といえども、姫新線の各駅ほどの悲壮感はない。したがって、侘・寂感もきわめて希薄だ。

津山口の手前では最後の駅になる佐良山駅も、小原駅と同様の単式ホームの停留場であり、コメントし辛い点においても同じだ。

以前は、田圃の真ん中に忽然と現われるような印象があった佐良山駅だが、現在では駅近くにデカいビルが建っている。駅そのものには、大きな違いはないのだろうが、昔のイメージとはかなり異なる。

しかし、周りの環境とは無関係に利用客は減少しているようで、危うく一桁台に突入するかの勢いである。ましてや、小原駅の半分以下では、駅としての存続が危ぶまれても不思議ではない。(実際はどうなのかは、全く知らないけどね)

無責任な言い方ではあるが、あの周辺地域の発展の様子からみて、なおも利用客が増えないのであれば、ぶっちゃけそれいらねえだろう、と思ってしまう。

数が少ないとはいえ、現実の利用者からすれば深刻な状況なのかもしれないが、路線自体が抱える問題は、ひとつの駅や地域だけではどうにもならない。

結局、利用しやすい環境が整わなければ解決しないことは明白であり、料金やダイヤだけでなく駅そのものの機能に結びついた取組みがなければ、地方ローカル線の利用者が増加する可能性は低い。

ただ既得権ばかりを主張して、駅そのものが存続したとしても、惰性で動いているだけの悪循環を繰返していては、いつかは止まってしまうのは目に見えている。

ま、そんなこたあどうでもいい。別に、詳細な背景を知っているわけでも、これといった提案を持っているわけでもないので、大きなお世話であることに違いはない。

で、最後になって帰り際に寄ってみたのが、福渡駅だ。

なにせ、ここは岡山県岡山市北区建部町福渡であり、あろうことか岡山市内なのだ。

朝夕のラッシュ時?には、岡山方面への折り返し列車も存在する、行違いと折返しが可能な1面1線の単式ホームと1面2線の島式ホームを含む、2面3線のホームを有する、たいそう立派な駅である。

かつては、業務委託駅であったらしいが、現在は岡山駅が管理する無人駅だ。ここ数年は、200人台半ばあたりを維持し続けて健闘しているが、決して利用客が増えているわけではない。

福渡駅付近は初めて訪れたのだが、何となく懐かしさを感じる景観であり、非常に落ち着いた雰囲気を持っている。それ故に、今の時代それぢゃあマズイだろうという気もしたのである。

駅前銀座も眺めてみたが、他の地域に比べりゃ少なくとも駅の周りは、活気があるように見える。だが、逆に駅周辺以外の発展は、あまり進んでいないようだ。

ただ、駅周辺に店舗が集中している様は、漠然とした安心感があるのも事実で、願わくば大型店舗の出店によらない、地元の商店が活気づいて発展に寄与することが理想的なのだろう。

しかし、そんなことが可能なのかどうかは、全く分からない。

ずいぶん昔のことなので、当て嵌まるとは限らないが、兵庫県のある街ではそんな地元の商店によって、駅周辺がそれなりに成り立っている例を目の当たりにしたことがある。

今現在、はたしてどうなったいるのか知る由もないが、ある程度の周辺人口が増えて、その密度が上がればそんなことも可能なのかもしれない。

折角、政令指定都市になって市内の一部となった割に、県中央部への交通の便、特に鉄道関係ではあまり改善されたようには見えない。

岡山駅で、津山線方面のホームに立ってみれば本線や宇野線/瀬戸大橋線はもちろん、もっといえば赤穂線などと比べても、何となく暗いのが津山線である。それは、使用車両が電車か気動車かの違いによる問題ではない。

再度、兵庫県を例にとるなら、姫新線の上月とひとつ隣の岡山県側の駅、美作土居との違いのようにも思える。同じ気動車とはいえ、キハ120 とキハ122(キハ127系)の差はことの外大きい。

これは、あくまでも利用者視点として想像するイメージに他ならないだが、一般利用者から見てはたしてどうなのかという疑問は常々感じている。

個人的には、キハ40・47 にはまだまだがんばって欲しい気もするし、キハ187 を快速ことぶきで走らせろ、といっても無理だろう。

後述のように、我ながら矛盾だらけな見解であることは承知しているが、なんとかその折衷案で打開してもらいたいものだと思う。

要するに、JR 西日本のヤル気に懸かるっているような気がするのだが、実際のところはどうなんだろうねえ?

ちなみに、今回見かけたのは、全てキハ40・47 の組合せで、なせかキハ120 は一度も見かけなかった。

個人的な好みでは、田舎の風景にあまり似つかわしくない(と思う)キハ120 に対して、あまり撮影意欲は湧かないので好都合だった。

通学に津山線を利用していた当時は、あまり途中下車することも無かったので、慣れ親しんだつもりで、悪く言えば見飽きたつもりになっていた津山線だが、路線や駅サイドから眺めると結構新鮮なモノがあった。

昔とは、周辺の景観も大きく変わっているところも少なくないが、中にはその当時からあまり変わっていない風景もあったりする。それでも視点が変わると、わりと楽しめるものである。

おそらく、若い頃見ていたものと老いた目では、見えるものが多少なりとも変化するせいもあるのだろう。今よりも視力は良かった当時の節穴には、実は何も見えていなかったに違いない。

目で見えたものさえも脳が認識しないというのが、節穴の節穴たる所以だ。

この一年、鉄撮りを通して感じたことや、興味を持ったことなどについて、言いたい放題書き散らかしてきた。

またまた、無責任でぶっちゃけ過ぎな見解も露見したようなので、そろそろこのあたりで今年の鉄撮りの練習シリーズを締めようと思う。

そんなこんなで、今回もあまりにも適当な撮影行であったが、今年一年を締め括る最後の一編としては、まあこんなもんだろう。

もちろん、体重などまるで減っていないのは、言うまでもない。


…ということで、来年もヒトツよろしく。
2014年12月末日 Hexagon/Okayama, Japan



http://www.hexagon-tech.com/
[2014.12.31] 来年もヒトツよろしくの気持ちを込めて、続・津山線 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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