2015年10月30日金曜日

10月の定点観測:2015

またまた、1ヶ月も更新をサボってしまった。

なんと、今月もよろしくが無くて、いきなり来月もよろしくになってしまうという為体だ。

もう、いっそのこと月刊か季刊にしちまうかとも考えたのだが、もともとが気紛れ頼りの更新である。仮にその周期が延びたとしても、いついつまでには更新しなければ、というプレッシャーに耐えられるはずがない。

で、結局は従来通りの「気が向いたと記」というスタンスを維持していこうと決意も新たにした今日この頃、相変わらず怠慢にも程があるキリンビール10月号だ。

前回、つい予告めいた前フリを書いてしまったソロキャンプも、今月の定点観測の添え物として書き始めたら、予想外の大ネタになっちまって棚上げになっている。

そして、定点観測の方はといえば、肝心の写真があまり撮れていない。だが、賞味期限が迫っているので、多少の見切り発車も致し方なしとした。

そうでなくても、今月は諸事情により撮影行どころか、プチツーリングにさえ思うように出掛けられていない、…が、あくまでも思うようにであって、全く出掛けていないわけでもない。

ネタが無い訳ではないのだが、有り過ぎてまとまらない。若しくは、溜まり過ぎて収拾がつかないというのも困ったもので、どれもこれも己の不徳の致すところで、ぼやいてもしょうがないのである。

そんなわけで、困った時の駄ネタ小ネタ、機材やお道具関連の雑談で当面をなんとかやり過ごそう。定点観測に託つけた「インドアで楽しむアウトドア」シリーズの第二弾として、雑談を一席。今回は、その前フリみたいなモノである。

前々回の「雑談の散歩道:其の弐」では、ヤマハ提供のバイクによるソロキャンプに関連した動画から、道具類のウンチクでそれなりに楽しんだ。

嘗てのアウトドアブームが去って下火になりかけた業界も、大規模災害のおかげで完全に息を吹き返している。

最近の強気な価格設定などから見ても、どうやら以前よりもかなり美味しい商売になっているらしい。まあ、人の弱みにつけ込む方が、商売としてはやり易いのはどの業界にも共通したところではある。

また逆に、色々な事件のせいで規制が厳しくなった刃物類は、すでに大半が絶滅危惧種認定かとも思っていたのだが、多少の淘汰はあったにせよ、意外にも未だ国内市場でも多くが生き残っている。

そんな中から先日、以前から贔屓にしていたメーカの製品を、十年振りぐらいに購入してみた。そして、それはたいへん懐かしくもあり、未だに健在であることが嬉しくもあった。

一般的に刃物といっても、包丁や鎌(カマ)、鉈(ナタ)、鉞(マサカリ)などの質実剛健で実直極まりない、いわゆる業務用ではない。もう少し、趣味性の色濃いナイフの類いである。

ここで話題の中心になるのは、スイスのメーカ、ビクトリノックスおよびそのライバルだったウェンガーの製品群だ。いわゆる SAK(Swiss Army Knives)と呼ばれる種類のもので、古くからその印象的な赤いハンドルと十字のロゴマークで有名な両社である。

ビクトリノックスやウェンガーについては、ネット上に情報も豊富なので、その経緯や歴史などに興味があれば各自ググって貰うとして、少し異なるアプローチで人気を博している、アメリカ製のレザーマンおよびそのパチモン的な後追い連中もいくつか登場する。

レザーマンの製品は、どちらかといえばナイフというよりマルチツールと呼んだ方がその実態を表しており、複合的な道具の集まりとして分類されるジャンルである。現在では、スイスアーミーナイフもそんな分類にまとめて語られることが多くなっている。

マルチツールというぐらいだから、普通のナイフのようにブレードが1つではなく、複数またはブレード以外のツールと合体されたものが一般的だ。そのせいで、最近では防災グッズの一環としても人気が高い。

その点においても、一時話題になったナイフを中心にオマケとしての機能を追加した、サバイバルナイフなどとは少し異なる。サバイバルという意味において、言葉通りの機能面ではなんら違いはないが、戦闘を前提とした軍用色が色濃く反映されたサバイバルナイフとは、一線を画するものである。

生涯に渡って殺戮や狩猟を伴う生残りゲームに参加する可能性がそれほど高くない、せいぜい殺生といえば魚釣り程度に留まる一般人に向いた製品群と言えよう。

想定される活躍の場は、ジャングルと台所の中間辺りで、都市部ではオフィスや倉庫、郊外なら畑や田圃、池や河原といったところだろう。昨今の銃刀法、軽犯罪法に関連した話は趣旨が異なるので省略するが、こちらも興味があれば各自ググって頂きたい。

一応、表向きはキャンプや釣りなどのアウトドアのお供として、その存在意義を語られることが多い。用途毎に各種ラインナップを充実させている点からみても、メーカの方でも主に実用面での有用性をアピールすることがお約束になっているようだ。

実際には、いやあくまでも個人的な見解だが、気に入る気に入らないは全く別次元の話なんである。ぶっちゃけ、マルチツールの実用性なんかどうでもいいことで、個人的にはちょっと高級な文房具の一種と考えている。

特に、ビクトリノックスの充実した製品ラインナップは、国内正規ルートで流通しているモノだけに限っても、充分に豊富な種類と物量でコレクタ魂に訴えかける。ネットオークションや、海外ルートのレアモノなどにまで調達範囲を広げるなら、その数は限りない。

主な活躍の場が、本来の野外活動ではなく自室の机上に限られたとしても、実際に使う場面を空想して楽しむことだって可能だ。所詮、妄想の類いに過ぎないと言ってしまえば身も蓋もないが、現実ではない分その楽しみは無限に拡がるのだ。

また、そんなシュミレーションも念入りに行っていないと、実際にツール類を使用する場面に遭遇した時には、たいてい役に立たないことが多いのも事実である。要するに、日々避難訓練みたいなものを怠ってはならない。

そのためには、専用の道具(カッターナイフやハサミ、ペンチやドライバ)がある家庭内においても、マルチツールだけで事を片づけようとしてみることも必要だ。自分自身もたまにやるのだが、何事も事前に練習しておけばイザという時に慌てなくて済む。

テントやシュラフなど、その用途がある程度決まっているアウトドア用品と違って、マルチツールというのは用途がマルチ、すなわち汎用的なわけで、実用以前の想像力に訴えかけるモノなんである。

従って、使い辛いからどうのという意見は、全くの的外れである。そんなことは端から分かり切っており、その使い辛さ自体が楽しみな訳で、このあたりも不便を楽しみに変えるアウトドア趣味に通じるところだろう。

そこを勘違いして、使い勝手や実用性ばかりを求めるのは筋違いであるし、そもそも選択の間違いである。例えば、実際には遭遇することなど無いかもしれない、災害や遭難といった極限状態で、コレしか無い!という場面を想像してみる。

使い勝手を追求するなら、普段から重たく巨大な道具箱を持ち歩けば良い。だが、カマやマサカリ、ましてやツール満載の道具箱などが、たまたまポケットの中に入っていた、という人は少ないはずだ。

また、小型化、軽量化などを筆頭に、携帯性や収納性を全く考慮せず、実用面での使いやすさを突き詰めれば、活躍の場は限られるし何かの代用品にはなりにくい。また、用途は限定され、ごく普通のありふれた道具類になってしまうだろう。

ペーパーナイフや筆記具、文鎮や計算尺など、用途を特化した専用の道具にはそれなりの魅力もあるし、それはそれで別の面白さに繋がったりもする。そんな製品も、確かに文房具などには多いが、それはまた別の話だ。

マルチツールの魅力は、製品としての作りも然る事ながら、限られた空間に如何に多くの機能を詰込むか、そのためのアイデアを高い工作精度と技術を持って実現することで成り立っているように思う。

そして、限られたツールを応用しあらゆる場面に対処しようとすれば、おのずと使う側にもアイデアや工夫が求められるのだ。

まあ、今回こんな話を始めるキッカケになったのが、前述の十年ぶりに購入した、ビクトリノックスである。

その辺りについて次回以降、ヒマネタとしてもう少し掘り下げてみようと思う。



…ということで、来月もヒトツよろしく。

2015年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2015.10.30] 10月の定点観測:2015 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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