2016年2月28日日曜日

2月の定点観測:2016

今年は、閏年(うるうどし)である。

よって、2月は例年より1日多く29日まである。

といっても、他の月よりも短いことに変わりはないわけで、大昔にどこぞの皇帝の我侭から、そんなことになっちまっらしい。

そのへんの事情は各自ググって貰うとして、もうそんな古いことはキッパリ忘れて、月毎の割り振りをやり直してもいい頃だ。

いっそ、1月から4月までを全部30日にして、均等割り付けにすれば面倒がない。そんでもって、閏年はその一日を正月にでも持ってくりゃあ、皆に喜ばれるんぢゃあるまいか。1月1日の前に、元旦とか吉日とか適当な名前を付けて、正月休みを一日増やすのだ。

4年に一度の閏年をもっと喜ばれる年、あって嬉しい日にするためにも、是非そうするべきだろう。

だいたい、2月は寒いし増えてもあまり嬉しくもない月だし、どうせ増やすんなら7月とか8月の夏休みの期間中を増やせば、子供達は喜ぶかもしれないな。だが、体力にも陰りが見えて久しい年寄りにとっては、暑い夏が早く終わってくれた方が有難い気もする。

そんなわけで、猫と一緒に炬燵で丸くなれる正月しかない、やっぱそれがベストに違いない。…などと、寄る年波には勝てず、情けないことを考えている今日この頃。

ま、そんなこたあどうでもいいのだ。

今回も「インドアでも楽しめるアウトドア」シリーズの序でに、キリンビール2月号だ。


いくら2月が短いとはいえ、今月もヨロシクの次はもう来月もヨロシクなんである。

今月も、定点観測の写真は一回きりだ。といっても、実際に訪れたのは月初にも一度あるのだが、珍しくポンプ場付近が点検作業か何かの日に遭遇してしまった。

そのため初回は、いつものポジションからの撮影ができなかったのである。そのまま帰るのも悔しいので、定点から少し外れて何枚か撮ってみたものの、予想通りあまりパッとしない。まあ、月末までにはまだまだ間があるので、さほど気にもしていなかった。

ところが、流行り病に罹って小学生以来の40度近い高熱に魘されるなど、何かと想定外の出来事などもあったりで、あっという間にもう月末なんである。

慌てて、今月二回目の定点観測へ赴いたのはやっと先日になってからであり、つくづく2月は短かく、逃げ足も速いことを実感する羽目となった。

早朝、早めに仕事を済ませて回った現場は天気も良く、到着当初は余程目を凝らさなけりゃ、雲を見つけるのも難しいほどのほぼ快晴だ。

が、程なく曇り始めて、気がついたら DP3M の画角では、青空も見えないほどになってきた。陽光も照ったり陰ったりを繰り返すようになり、露出も安定しない。

それでも、風もないから低い気温の割には暖かく感じたので、そのまま例によって新着刃物の写真なども撮ってみたりしたのである。

工場のある田圃の東側は土手になっているのだが、実際は吉井川までの間にはかなりのスペースがあり、そのほとんどは畑になっている。東側対岸には吉井川緑地もあって、一般向けに良く整備されているのだが、反対の西側は場所によっては荒れ放題に見える。

それが却って自然な雰囲気にもなっているのだが、その通路も轍が深く、農作業用の軽トラ御用達な畦道でしかない。ミニのようにあまり車高の高くない車では、不用意に入り込むとガリガリと腹を擦ってしまうほどだ。

所々にはブッシュもあり、視界の及ぶ範囲には目立つ民家もないので、画角に気を配ればあたかも山深く入った雰囲気の写真でさえ撮れる場所である。

それでも、あまり絞ると背景に畑の柵やら農作業用の小屋など、興醒めなモノも写り込んでしまうから、適当にボカさなくてはならない。

必要な被写界深度を稼ごうとすれば、それなりに気を使う場所でもあるので、できれば本来のもっと遠くの野山へ出かけたいところだが、病み上がりから間も無い身ではそれも侭ならず、である。

裏庭や裏山があれば、もっと気軽にアウトドアライフも楽しめるのだろうが、そんな恵まれた環境にはなく、裏山が裏山しい、もとい羨ましい。

仕方がないので、ネットで情報を仕入れる日々が続くのだが、あまりにも耳年増になり過ぎた感は否めない。

実践が伴わない妄想の世界で完結するようなものであり、まるでストリートビューだけで世界旅行をした気になる、みたいなもんである。まあ、それはそれでお手軽だし、何よりも安全で結構なことではあるのだが、せめて何らかの実体験も欲しい、というのが正直なところ。

そのせいで、というわけでもないのだが、来るべき日に備えて調達したお道具の類いは、もう十分すぎるほど充実しており、煮詰まって煮詰まってもう焦げ付きそうになっている。だが、果たしてそれらが実践投入されるのは一体何時になるのやら、未だに全く不明なんである。

そんな有り様だけに、「何事も焦らずゆっくりと」とは毎度自分自身に言い聞かせているのだが、病床に臥せっている最中には流石に弱気になった。

このまま、もう二度と外へ出られないのでは、という悪夢というか強迫観念に苛まれ、あれもこれもやっておけばよかったと後悔すること頻りだった。もちろん、そんな殊勝な考えも喉元過ぎればなんとやらで、全快したここ2〜3日には既に記憶の彼方だ。

時節柄、どうしても出掛けることが少なくなり、おのずと家に篭っては妄想を繰り広げることも多い。

まさに「インドアでしか楽しんでいないアウトドア」である。せめて出掛けた時には写真の中だけでも、そんな道具を使う状況を演出してみようという試みである。

それが、今まで何度か登場している刃物関連の写真であり、以前から実際に使っているものだけでなく、最近になって手に入れたものも幾つか含まれている。

従来、野外活動に供する刃物はフォールディングナイフという折畳み式のモノで、あくまでも一時的な使用が前提であるうちは、さほど面倒だとも思わなかった。

だが、使用頻度が上がってくると、シースナイフという鞘に入れて収納するタイプのナイフがメインになる。別に猟、若しくは漁をしてきたわけでもないのだが、調理用も含めて狩猟用というジャンルの刃物ばかりである。

ましてや、トナカイやイノシシの解体など、金輪際経験する予定もないにも拘わらず、何故かそういうハンティングナイフに分類される、いわゆる肉切り包丁、皮剥ぎ包丁の類いを選んできたように思う。

その殆どは、実用性云々よりも見た目のデザインに魅かれてというのがその購入動機だったりするので、実際の用途自体はどうでもよかったのだろう。

ハンティングナイフのデザインには、未だに魅かれることも多く、ブレードやハンドルの造形には、何とも言えない色気のようなものを感じているのも事実である。

現実のキャンプなどでは、せいぜい焼き肉の材料を切り分けたり、焚き火の木切れを叩き割ったりと、本来の用途とはかけ離れた使い方しかしていない。

ぶっちゃけ、包丁と鉈があれば済む話で、マルチツールのプライヤもせいぜい鍋掴みの代用に過ぎない、というのが悲しい現実である。

とはいえ、野外に限らず最適化された専用の道具を引き合いに出せば、身も蓋もない現実に直面するのは分かり切ったことだ。ただ、それではつまらないし、もう少し話を面白くするためには、何らかの口実も必要になる。

そんな時に好都合なのが、サバイバルである。他に頼るモノが何も無い、極限の状況をシミュレーションすることで、生き残りゲームに参加するために必要な道具立てを考えてみる。普段の生活ではまず遭遇しそうにない、そんな状況における妄想がそもそもの発端だろう。

だが、生存と脱出、つまるところ生還が主な目的であるサバイバルにおいては苦痛の連続でしかなく、よほどのマゾヒストでもない限りその楽しみも長くは続かない。やはり、ここにも何かを楽しむという視点が欠けると、一般には広まらないし商売としても成り立たない。

そこで、従来の一時的な野営としてのキャンプに留まらず、生活として楽しみつつ、知識も広げる遊びとしての野外活動が提案される。そんな都合の良い口実を探していた者には、これはもう打って付けなわけで、それがどうやら、ブッシュクラフトというものらしい。

格言のように語られる「知識が増えれば、装備は減る」という標語も、大変響きが良いものである。

ただし、装備は減ったからといって、決して出費が減るなどと勘違いしてはならない。可処分所得に大きな変化もなく、個人の購買力が変わらないのなら、その絶対量が減ることで購入品の単価は上昇するのが道理である。

業界の関係各社もそのあたりは十分に把握しており、いかに商品の魅力を演出するかによって、単価を果てしなく上昇させることが可能なことも見抜かれている。

まあ、そのあたりは各人で折り合いを付けてもらうとして、前述のナイフに関する話に戻ろう。

ネット上で見受けられるあらゆる情報を精査すると、要するに、ブッチャーナイフからブッシュナイフに最適化されたモノへの移行と、意識改革が必要になるというのがその言い分である。

そのあたりの理由付けは、関連商品を扱う商用サイトだけでなく、そのコンセプトに賛同する個人などからも伺えるのである。その趣旨から想像すると、それは主に狩猟から木工へのパラダイムシフトといえるだろう。

もともと、山歩きなどを趣味とする連中からすれば、持ち物を減らすことなど、ごく自然な流れなのかもしれない。だが、そこにサバイバル要素のひとつである、焚き火という概念を持ち込むことで、ただ単に装備を減らすだけに留まらず、なし崩し的に刃物の必要性に結びつけてしまうことが可能になる。

また、あらゆる小物は現地で調達、またはその場で手に入る材料から加工することが推奨される。要するに、何でもかんでも、ナイフ一本で切ったり削ったりしながら作れというのである。

そのためには、基本的なナイフの使い方やメンテナンスに関する知識は最低でも必要になるわけで、実践的なノウハウが披露される。

とはいえ、現在の刃物に対する国内事情を省みれば、それだけで少々無理がある。そこでやおら登場するのは、温暖な地域でぬるい毎日を過ごしている者にとっては、日々日常がサバイバルに見えても何ら不思議はない北欧の生活であり、そういった諸国の文化である。

県北の連中からすれば別に珍しくもない雪景色でさえ、県南の民が目の当たりにすれば、新鮮な驚きを持って迎えられることも多い。

これが、辺り一面雪と氷に囲まれた世界を主戦場とするスカンジナビアンな生活、そこでの知識と知恵を披露されれば、真夏のわずかな期間にしか海山に出掛けない民族にとっては、もうカルチャーショック以外の何物でもないのである。

あまりショックが大きすぎても、呆れて敬遠されるだけで終ってしまうから、そこは商売腕の見せ所であろう。

まずは、従来買い散らかした豊富な道具類を否定し捨てさせることから始まり、新たなお道具類の提案である。

軽く一万円越えの火打ち石や木製カップがあったとしても、安易に目くじらを立ててはいけない。ちゃんと、その存在理由がどこかで語られており、それが納得できるなら飛び込んでも良い世界なのかもしれないからだ。

80年代末期、キャンプ道具満載のオートキャンプに明け暮れて、いい加減に嫌気が差した連中がそろそろ再び野外へ出たがる時期でもある。質素なソロキャンプを目指していた者にとっては、当然ウケが良いはずだ。

主となる食材まで野山で調達するようなレベルには、到底到達不可能だろう。だが、できればもう少し装備を減らしたい単車でのソロキャンプなどには、何かと役立つ情報も多いのである。

そんなこんなで、見事に嵌められた感も否めないブッシュクラフトである。

いずれ実戦にも参加する予定だが、毎度形から入る身にとっては、それなりの準備を怠るわけにもいくまい。

とりあえず、手始めに刃物関連から入ってみたのだが、いろいろな道具類も今後実際に使ってみた感想なども含めて、ぼちぼち紹介していこうと考えている。



…ということで、来月もヒトツよろしく。
2016年02月末日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2016.02.28] 2月の定点観測:2016 〜より転載&加筆修正
本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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