全面的に書き直されようが、64ビット化されようが、相変わらず使いにくいのが Spotlight である。
ファインダの環境設定で「現在のフォルダを検索」を選択することで多少マシにはなるが、根本的な問題は解決しない。
一般的には、とりあえず検索語句を打ち込んで運良くすぐに見つかれば、ややこしい検索条件を気にすることなく気軽に使える。
そういう配慮から、現在のインターフェイスになったのだろうと推測するが、運悪く検索範囲に目的のファイルが見つからなかった場合は最悪だ。
検索範囲を変更しようにも「現在のフォルダ」でダメなら、「共有」または、ぶら下がっている全ての外部ドライブまで含まれる「このMac」という究極の選択を迫られる。
あのドライブとか、そのフォルダを指定しようとすれば検索条件の再入力が必要になり、ファイル種別やサイズ、日付などの設定をして発見出来ない場合は、それらの条件も再設定が必要になる。
「現在のフォルダ」や「共有」または「このMac」以外の選択肢として「その他」という、たったひとつの項目をどうして付け加えることが出来ないのだろう?
設定できる検索条件にしても、とてもスマートとは言えない。
たとえば、サイズで2MB 以上のイメージに絞って検索した結果には、なぜかリスト表示の時はファイルサイズは表示されない。[09.29:追記・訂正]
検索結果には、「変更日」や「作成日」もしくは「種類」までの情報でしかソートできず、ユーザが検索に使用した条件などは全く無視され、2MBのファイルも100MBのファイルもごっちゃまぜである。
それどころか「最後に開いた日」などという、余計な項目だけはしっかり設定されている。
検索機能がお粗末なせいで、ついさっき間違って開いたファイルが、検索結果の先頭に最優先で並ぶような結果を誰が期待しよう。
たががファイルサイズの範囲を指定するにも、最小と最大の2種類の検索条件を設定しないと絞り込みも不可能だ。(サイズ指定では、なぜかMB単位だけ MB] と表示されるのも Spotlight 登場以来の伝統となってしまった感がある)
また、 条件を変更するとその度に選択できる設定項目の内容が変動するのも、使いにくさに拍車をかけている。
デフォルト設定以外の検索条件を追加する画面などは、混沌の極みといってよいほど、ぐちゃぐちゃのまま何年にもわたって放置状態であり、分類しようという気などは全くないらしい。
【参考文献】
Apple Human Interface Guidelines :
Avoid Feature Cascade(機能の雪崩を避けよ)
まるで説明になっていない「説明」と称する項目がエリアの大半を占め、ユーザインターフェイスの何たるかを語るレベルにはほど遠い。
例)
属性:PostScript 名 → 説明:PostScript 名
属性:ISO 感度 → 説明:写真が撮影されたときのカメラの ISO 感度
属性:Spotlight コメント→ 説明:この項目の Spotlight コメント
属性:ファイル名 → 説明: ファイルの名前
といった具合で、
これが150項目近くにわたって延々と繰り広げられる様を、冷静な目で見ることができるだろうか。
この説明により、ファイル名がファイルの名前であったという事実に初めて気がついた人以外は、沸々と怒りが湧き上がってくるのを抑えるのは難しい。
設定項目が多いという点で類似の設定画面、「システム環境設定/キーボード/キーボードショートカット」内にある「サービス」項目に関するインターフェイスと比較すれば、何が問題なのかは一目瞭然である。
おそらく、このような悲惨な作業を二度としたくない人のために、検索条件を保存する機能を付け加える必要があったのだろう。
しかし、保存された条件も iTunes のスマートプレイリストやメールのスマートメールボックスのように、後から検索条件を確認したり編集することは全くできない。(この際、クエリーとは何かを理解しているかどうかは無関係である)[09.29:訂正]
適当な(デフォルトの)ファイル名などで保存しようものなら、後日なんでこんなもの保存したんだろうという混乱を招くだけだ。
それでも Leopard と違って、保存された検索条件の結果で示されるウィンドウ上部の検索欄に、追加の検索項目を入れて絞り込み検索ができるようになったのは評価に値する。
(ま、新たな検索と勘違いするレパがバカヤロー過ぎる、といえばそれまでだけどね)
ただし、この機能も注意しないと危ないワナが仕掛けられている。
絞込んだ検索結果を保存しようと、表示されている「保存」ボタンを押した途端に前回保存した検索条件に、何の確認もなく上書きされてしまうのである。
検索条件の確認/編集はできないので復帰するためには、あわてて TimeMachine を起動ということになり、あたかも TimeMachine の評価を上げるために入念に練り込まれたとしか考えられない仕様となっている。(上書きするならするで、一言あってもいんぢゃね)
[09.29:追記・訂正]
検索条件の確認および編集は、検索結果ウィンドウのアクションメニュー(歯車)アイコンから、「検索条件を表示」を選択することで可能でした。
関係各位には、ここに訂正してお詫び申し上げます。m(_^_)m
09.29:追記[
また、ファイルサイズによるソートについては「厳密」にはできないとは言えない。アイコン表示では、サイズやラベル項目の選択ができるからだ。
左:アイコン表示/右:リスト表示
ただし、ソートできるといっても、選択した時点でサイズの小さい順による並びのみで、逆順ソートにはできない上にサイズを確認するためには、ひとつひとつのアイコンを選択して情報を見るしかない。
参考:洗練と進化
当該の機能について表記された部分のスクリーンショット(09.29)
スノレパの機能紹介ページには明記されている機能であるから、いずれ対応するつもりなのか、それとも現状の半端な仕様ですでに対応済みというつもりかは全く不明。
なお、上記「Keep Arranged By」という項目は英語バージョンに切替えても検索結果のウィンドウには表示されない。これは、通常ウィンドウにおける表示であり、検索結果のウィンドウでは「Arranged By」と表示される。
(だいたい、なんで英語表記なのかというところもアヤシイ、本当にそんな機能があるのかという疑念も沸く)
左:通常ウィンドウ/右:検索結果ウィンドウ(英語)
いずれにしても、ファイルサイズを一覧表示できるはずのリスト表示では、 なぜサイズを表示できないようにしているのか全く理解できない仕様である。
たかがファイルサイズごときに、Tiger (10.4) 登場以来4年以上もかかるほど厄介な問題とも思えないんだか...。
]09.29:追記
Finder は、Mac OS という名称さえも与えられていなかった時代から、Mac User にとってユーザインターフェイスの規範となってきた重要なアプリケーションである。
古くから Finder と大きく異なるインターフェイスを採用してなお、現在まで生き残っているアプリケーションは少ない。それは、ユーザの経験が生かしにくい、延いては使いづらいと感じさせるからである。
内部的には、Spotlight も別アプリという見方もできるかもしれないが、一般ユーザの視点では(シャーロックとは違うという意味で) Finder の機能の一部に過ぎない。
最近はその Finder のインターフェイスが、他のアプリから完全に遅れを取っている。
Panther で変更されたアクア調からメタル調の外観、Leopard から実装されたカバーフローや、サイドバーのデザイン変更などは、 iTunes や Safari といったアプリケーションからのフィードバックであることは明らかである。
iTunes や Safari などは Windows 版もあり、Mac User しか使わない Finder に比べるとリサーチデータにも従来とは多少異なる要望や提案が含まれているのだろう。
また、対外的に影響を与えるユーザ数の多いアプリの方が、開発過程において優先されているのではないか、という想像もできる。
端的な例は、iTunes におけるリスト表示時のカラムコントロールである。
iTunes の場合、最右端の項目幅が極端に広く設定されエリア外に大きくはみ出していたとしても、ウィンドウの端にポインタを置いてサイズ変更ができる。逆にウィンドウエリア外に広げて、カラム幅を設定することもできるので大変便利だ。
もちろん、スノレパのファインダのように勝手にスクロールして、表示エリアに何もなくなってしまうようなマヌケな挙動はしない。
ところが、iTunes が何年も前に実現した機能であるはずなのに、今回の Snow Leopard においても実装されていない。
(iTunes やエクセルでお馴染の、カラム境界でダブルクリックによるサイズ最適化はやっと実現されたようだが。)
また、カラム行での右クリックで表示される表示オプションも iTunes の便利な機能のひとつであるが、Finder では未だに旧態依然とした別ウィンドウによるインターフェイスを引きずっている。(ツールバーの設定ではまだ甘いし、非表示の時は使えない)
それどころか、iTunes の美点のひとつであったウィンドウ上部のカラムブラウザを Finder に採用するなら話は解るが、Finder の横方向のみの使いにくいディレクトリブラウザのインターフェイスを iTunes にデフォルト設定させてしまうという本末転倒ぶりである。
ユーザインターフェイスの規範、という意味においては「いっそ iTunes をファインダにしてしまえ」という気さえしてくる。
確かに iTunes も数万曲以上登録すれば速度も低下するが、Finder と同様に 64ビット化されれば多少改善されるだろうし、メタデータの使い方は賢い開発者がなんとかしてくれるに違いない。(たぶん)
ファイルサイズの参照で待たされることは皆無だし、少なくとも現時点で検索という点においては iTunes の方が遥かにマシだ。
前述の参考文献「Apple Human Interface Guidelines」の表紙に書いてある “User Experience” の意味について、もう一度考え直せと言いたい。
かつて Spotlight は、Dock やアーカイブユーティリティなどと並んで、ファインダファミリーの一員として CoreServices の主要メンバーであった。
独立したアプリ(Spotlight.app)であった時代にもたいして改良もされず、使いにくさと醜さを持ったまま Finder (か、システムのどこかに)取り込まれてしまったようだ。
こんな結果を期待して、あの腹立たしい長時間にわたるインデックス作成作業を許したわけではないぞ!
と、思わず叫びたくなるのだが、せめてファイル名だけでいいから高速かつ確実な検索機能を追加して欲しいものだ。
(Mac OS Xフィードバック済)
2009年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan
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