2010年7月18日日曜日

iPhone OS から iOS4 への憂鬱

iOS 4.0:8A293 (iOS 4.0.1:8A306)

このタイミングで書くことといえば、iPhone 4 についてがお約束なのは重々承知しているが、ネット上ではすでに、iPhone 4 の情報であふれ返っている。
iPhone 4 の新機能など、ハード的な側面はどれも聞いたような話になるので、それはいずれその内にということで。

iPhone OS から iOS へと名称も新たに、心機一転スタートした iOS 4 について。

マルチタスキング、フォルダ機能、統合された受信ボックス、メッセージのスレッド化、ホーム画面の壁紙、同期可能な新しいメモ等、ソフトウェア関係の改良点はかなりの数に上る。
いずれも、iPhone OS 3 において各所から要望のあった機能であり、個人的にも漠然と「こうなるといいな」的な希望でもあった筈だ。

6月23日、iPhone 4 に先駆けて、アップデートサービスが始まった iOS 4 である。とりあえず、iPhone 3GS へインストールしてみる。

マルチタスキング:

ホームボタンのダブクリで、最下行に横一列で並んでくれるのはよいのだが、間違って起動してしまったアプリのアイコンや、別の作業で起動したアプリのアイコンまで表示される。

状況によっては、選択候補の表示欄は一画面一行(4候補)しかないので、ホームに戻って選ぶことにくらべて、使いづらい場面もありそうだ。

スティーブは、「ユーザはアプリケーションの起動終了などに、興味はない」と豪語しておったが、過去に一度でも起動したアプリのアイコンまでもが、いつも表示されているのは鬱陶しい。

選択候補の表示欄が狭い分探しにくく、結局複数ページにまたがってしまうのではホーム画面の切替えと変わらないどころか、肝心なアプリの選択によけいな手間がかってしまうではないか。

…と思ったら、アイコン長押しで例のフラフラアイコン表示とともにマイナスバッジが表示され、それをタップすることで終了はできるようだ。一瞬削除かと思ったが、×印ではなくマイナス印なんで消える心配はないようだ。

そして、よくよく使ってみると、その一列の並びにも工夫が見られる。
ホームダブクリで最初に表示されるのは、直近に起動した4候補で、その左側ページには常設とおぼしき「iPod」のコントロールと画面の回転設定など、なるほど使用頻度が高そうなものが表示される。

これなら、アプリケーションの起動終了などに、積極的に興味を持つ必要はないのかもしれない。

また、iPad では物理的なスイッチで実現された「回転禁止設定」の機能も、ここの並びに表示される。厳密には「回転禁止設定」ではなく「縦方向固定」であるので、「横方向固定にしたい場合」は、ユーザ側で一工夫が必要になる。

「横方向固定にしたい場合」というのは、寝転がって画面を見る時などだ。

たとえば、ホームボタンを右側にして横方向で閲覧中に、そのまま右横を向くと結果的にホームボタンが下になり iPhone 自体は地球に対して縦方向になるので、画面表示も縦位置に戻る。

しかし、ホームボタンが左側にある場合は、右横を向くと横方向は維持される。要するに、iPhone の場合天地を逆にすれば、現状の表示方向を維持できるということだ。

もちろん、もう90度回転させると上下が逆転されるが、横方向には変わりないので、ある意味において「横方向固定」にはなる。

iPhone の場合、なぜかデスクトップは横に向けても回転してくれない。あくまでも、デフォルトは縦画面であり、横はオマケであるというスタンスだ。

このあたり、単にOS のバージョンだけではなく、iPad との性格付けの違いが見受けられる。

ただ、iPad のように画面全体が回転すると、アイコン配置もズレるので場所で覚えていると戸惑う場面もある。
できればカメラアプリのように、その場でアイコンが回転してくれるとありがたい。

デスクトップピクチャもついでに回転すればなお良いが、Mac OS のようにドックアイコンが乗っているプレートまで変更する必要はないと思う。(常々疑問に思うのだが、アップルはあのドックのプレートを縦位置で表示するのを嫌っているようだ。あれはいったい、何に対する拘りなんだろう?)

横方向においてのマルチタスクの切替え時には、候補はサイドに表示されるのだし、同様にデスクトップ上でドックの位置がサイドになっても、それほど問題があるとも思えない。

カメラアプリの場合、なんといってもチビアイコンがその場で回転するあの動き方がカワイイので、個人的には非常に気に入っている。

フォルダ機能:

まず、見た目が悪い。

折角デザインされた(そうでないモノもあるにはあるが)アイコンがケシ粒のように詰め込まれた重箱(弁当箱?)に変わり果てる。

それらが散らばったホーム画面は、まるで狂宴の後のお花見会場のようで、お世辞にも美しいといいがたく、当然視認性も落ちる。

いっそ、フォルダのアイコンを新規にデザインして、それを表示してくれた方がましのような気がする。

デスクトップピクチャ機能:

また、iOS4 から採用されたデスクトップピクチャも、あまり明るい背景を選択すると、ファイル名やフォルダ名の文字色が白いので見にくい。

アイコンの視認性がよければさほど問題にならないが、前述のような弁当箱ではフォルダ名に頼らざるを得ないのが、ツラいところだ。

統合された受信ボックス:

狭い画面の中で、複数アカウントに受信されたメールの標題をまとめて一覧にすると、…そうか、こうなってしまうのか。

メールアドレスも二つ三つならまだしも、七つぐらいになるとある程度の広さがないと、まとめてしまうとかえって混乱する、ということがよくわかった。

自分で分類のために作成したメールボックスやゴミ箱など、受信ボックス以外へのアクセス性がかなり犠牲になるので、これも痛し痒しだな。

このあたりのユーザインターフェイスは、まだまだ再考の余地があるだろう。

同期可能な新しいメモ:

同期できるメモ用紙となったが、果たして使い勝手はどうだろう。

メモのデフォルトアカウントで、選択されたメールボックスに追加されるもよう。

しかし、過去にiPhone上で作成されたものは OTA経由では同期しないので、同期設定していないアカウントは設定でオフにして、メール上からも削除一本化した方が、スッキリする。

しかし、メモ書きのためにいちいちメールを起動するのもどうかと思うが、少なくともメールが起動していれば、同期はほぼリアルタイムである。

要するに「メールは、常時立ち上げておけば?」ということなのだろう。

ま、一般的には連絡帳を流用するより分かりやすいが、Mac で作成したメモとの連携を考えると、やはり Mac 側に独立したメモアプリが無いので、使いにくい。(メモアプリぐらい、作れよな!)

Bluetoothワイヤレスキーボード対応:

認識に若干時間がかかったが、接続出来てしまえば、あとは快適。

今まで横画面で使用すると、大半をソフトキーボードに占有され、文章の前後関係を確認することなど全く出来なかった。
それが、iPad ではもちろん充分に快適なのだが、iPhone でさえ全画面で文面で使用できると、文書作成効率は劇的に改善する。

また、矢印キーでカーソルの移動が出来ることが、こんなにありがたいと感じたことはない。

コピペの範囲選択も楽チンだし、Mac で使用している基本動作のショートカットがそのまま使えるので、本当に快適である。
これなら、iPhoneだけで長文を入力して編集も可能になる。まさに革命的といえるほどのインパクトはあると思う。

ここまで入力作業が楽になると欲が出てくるもので、iOS 版の「かわせみ」が欲しくなる。

ただし、Bluetooth をオフにするのを忘れると、ソフトキーボードが表示されないので、外で慌てることになるので注意が必要だ。

辞書登録機能:

やっと、というかついに辞書登録機能が追加された。

過去には連絡先を使用するウラワザやアプリも紹介されていたが、やっぱこの程度の基本機能は純正で用意して欲しい。

ただ、その設定自体あまりにも控えめな場所にあるので、気付かないユーザも多いと思う。
なんと、設定>一般>キーボードの最下行の「ユーザ辞書を編集…」という場所に、ひっそりと隠されている。

これでは、やっぱりウラワザとしか言えないかもしれない。
せめて、コピペの過程で表示されればとも思うが、ま、一歩一歩ということだろう。

その他にも、いまだその詳細についてイマイチ理解できていない機能もあるにはあるが、必要があれば使っているうちにわかってくると思う。

以上が、 iPhone 3GS にインストールして、だいたい2〜3日程度使用してみた印象である。

いつ対面できるのやら全く目処もたたず、ネット上の iPhone 4 関連の記事などを、涙で曇りがちな横目でうらめしく見ながら書いたものだから「なにさ、フン」的な、多少批判めいた部分もあるかもしれない。

現時点では、すでにバージョンも4.0 (8A293) から4.0.1 (8A306) へとアップデートされ、信号レベルの表示もゲタを履かされたことにより、見方によっては確認しやすくなった。

当然、メモリも倍増され A4 プロセッサによりクロック周波数も上がった iPhone 4 では、その快適さはよりいっそう実感できる。

たしかに、いずれもこうなるといいな的な希望であったものばかりだが、いざ実現してみるとイマイチどうもシックリこない部分もある。

慣れの問題もあるのだろうが、この手のキカイ(外に持ち出して手のひらの中で使う物)に、必要不可欠な要素が抜けてしまった感がある。

凝りすぎ、といっては語弊があるかもしれないが、「ちょっと足りないぐらいの丁度良さ」的な演出が欲しい気もする。あくまでもホントに足りないのではなく、探せば解決方法は見つかるという微妙なさじ加減である。

ま、それはそれでゼイタクかもしれないが、…。

なんと「憂鬱」が識別出来るぢゃないか!Retina Display:レティナディスプレイ♪ (◎_◎;)

これは、ぜひ iPad にも欲しいなあ。(←ゼイタク、ゼイタク)

… ということで、ひとつよろしく。


2010年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2010.07.18] iPhone OS から iOS4 への憂鬱〜より転載&加筆修正

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