2012年11月14日水曜日

やっぱ、時計はスイス?

アップルがパチったとされる、スイス連邦鉄道(SBB)の時計。個人的には、あまり好みのデザインではない。

客観的に見ても、真っ赤な団子が秒針の先っぽにぶらさがっているようなデザインはいただけない。なんというか、こうバランスが悪いというかキモチワルイというか、針って呼ぶぐらいなんだから先っぽはトンガっていて欲しい。 指示側が逆ならまだしも、せっかく文字盤に書き込まれたインデックスの意味がないだろう。

以前、DVD レンタル店で借りてきたディスクには、必ずと言っていいほどその店の管理番号が書かれたシールが貼ってあった。店舗によっては、ディスクの外周に近い所に、無造作に貼り付けてあることがある。普通に DVD プレーヤで再生する分には、580〜1,400rpm 程度なのでさほど問題は無いのだが、Mac の内蔵ドライブなどでは、エラーになることが多々ある。

コンピュータ用の光学ドライブの回転数は 5,000〜10,000rpm と、下手するとハードディスク並の高速回転になるので、僅かな偏心でさえスピンドルには大きな負担が掛かり、最悪の場合故障に繋がる。最初はリッピング防止の為に、ワザとやっているのかとも思ったが、やる奴はシールを剥がしてでもやるので、あまり防止効果は期待できない。その上、善良な一般客にとっては、嫌がらせにしかなっていない。

おそらく、バイト君が何も考えずに適当に貼った結果だろうが、この手の作業に対してもある程度メカ的な知識があれば、なるべく影響の少ない内周寄りに貼るとか、同じようなシールを反対側にも貼るなどの工夫があって然るべきである。残念ながら、そんなものは一度もお目にかかったことはない。

古来より時計の針というのは、重量バランスを取る意味でオモリとなるべく、指示する側の反対には何らかの飾り物をあしらうことは多い。針の重心が回転軸付近に一致して、メカニズムに余計な負担を掛けないように設計するのが、言わばお約束のようなものである。

暗いところでも時間が分かるように、夜光塗料などを塗布されたものには、指針側にあえてインデックスを持たせた形状のものはあるが、特に秒針に関して反対側に全くバランスを取ろうとしたカケラも見えない針も珍しい。いっそ中心軸から反対側へのオーバーハングをゼロにすれば、それはそれでアンバランスの妙と言えなくもないが、その点ではツッコミが足りない中途半端なデザインだと思う。

また、計測機器のなど場合、指針とインデックスは重なり合うことが必修とされるらしいが、時計でコレをやられるとなんとなくダサイ。テスターぢゃねえんだから、触れるか触れないかギリギリ一致する程度が最も美しいバランスだと思うが、スイス国鉄の時計はあまりにも両者が離れすぎて、マヌケであると言わざるを得ない。どうせパチるなら、相手を選べと言いたい。(思いっきり、個人的見解)

訂正:秒針が届いていないのは、アップルの半端な模倣のせいでした。ここに訂正し、関係各位には失礼をお詫びいたします。

加えて、その針の動作も奇抜である。秒針が12時の位置で一瞬(というには、あまりにも長い時間)止まり、おもむろに長針が一分進んだ後に、やおら動き出すいうというものだ。かつて、我が国の国鉄の駅にある時計も、正時になった瞬間に長針が分を刻む動きをしていたように記憶する。ただ、あれは秒針の無い2針であったので、さほども気にもならなかったが、スイス国鉄はこれを3針でやっているんだから、違和感有りまくりである。

その時点で発生する遅れを、いったいどのように取り戻しているのか、それともわざと進めておいて調整しているのだろうか、など気になりだすと夜も寝られなくなる、まことに掟破りな時計である。どうせパチるなら、そこまでやれと言いたい。(きわめて、個人的見解)

そのような点においても、たしかに特徴的なデザインではあるので、目立ち度ではナカナカのものなのだろう。アップルが無断でパチった時計として、一躍有名になったのは間違いないと思う。たぶん、モンディーン(MONDAINE)の今年の売上げは例年になく絶好調だろうし、スイス国鉄にはアップルから予想外の大金は入るで、両者とも密かに喜んでいるに違いない。

iPad の画面上にグラフィックスとして表示される時計の針は、実質質量はゼロであり、機能上何の問題があるわけでもない。たとえ、針の先に16tと表記された錘がぶら下がっていようが、ミッキーマウスの手になっていようが、勝手にしやがれである。

だが、スイス国鉄はメカニカルなアナログ時計でこのデザインを採用している訳だから、その針は質量ゼロなわけでもない。やっぱ、見た目上これってどうよという気持ちになる時計フェチも、少なからず居るのではあるまいか。


こと見た目に関しては、多種多様な個人の趣味趣向、好みがあるのだが、デザインと言うモノは視覚に訴えるバランスが重要であると思う。本来の姿を知らずしてなされたアレンジや、意味のない改変によって作り出されたゲテモノばかりが、世に溢れている。気にしない人が多いからといって、そちらが基準になるような傾向は、まことに情けない話ではある。


iOS のカレンダーに表示される数字が、バランスを崩しているように見えるにもかかわらず、全く修正する気もないような最近のアップルに、その辺を期待するのは間違いかもしれないが、数値だけを頼りに作り上げたモノは、所詮その程度でしかない。

結局は、モチーフとなったオリジナルのメカニズムを理解した上で、とことん拘り昇華された形の方が、より美しいような気がする。

スイス国鉄の時計が、けっしてゲテモノだとは思わないが、アップル製品もこのまま細部への拘りをいい加減にしていると、いずれはお勤め品の群れの中に埋もれてしまうだろう。おかげで、最近のアップル製品、数だけは良く売れるのかもしれないが、…。

しっかしまあ、あれだけ彼方此方で訴えたり訴えられたりしておきながら、なんでわざわざ盗用までする必要があったのか不可解な点が多い。また、その特徴的なデザインから、断りもなくパチりゃ訴訟になることは猿でも分かる。(単なるバカなのか?)

要するに、17億円も払うぐらいなら、オリジナルデザインを興してもよかったんぢゃあるまいか。なんなら、ウチが半値以下で請負ってあげてもいいと考えているし、その辺の事情に詳しい方(フィル・シラーあたり)に、ぜひその経緯を説明して欲しいものだ。

たかが時計、されど時計である。

時計に関して我が身を振り返れば、故障した自動巻き時計の修理代捻出に窮するあまり、激安パチモンに手を出しては痛い目を見る、今日この頃。

ある程度予想していたこととは言え、真当なお値打ち品とそれなりのお勤め品には雲泥どころではない、想像を絶する差があることを身を持って痛切に感じている。

ま、サムスンから10億ドル、HTC から2億ドルも巻上げたらしいし、アップルにとって 2,000万ドル程度の端た金は、スイス国鉄に対する寄付みたいなもんだろう。

それにしても一般的に考えて、会社に17億円もの損害を与えた取締役は、フツー只では済まんよな。ひょっとして、スコットはコイツのせいで…、まさかねえ。



…ということで、ヒトツよろしく。
2012年11月某日 Hexagon/Okayama, Japan
http://www.hexagon-tech.com/
[2012.11.14] やっぱ、時計はスイス? 〜より転載&加筆修正

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