2014年4月15日火曜日

自由への回帰:段落〜終章にかえて

最終的なコストパフォーマンスは、必ずしもコストだけでは向上しない。

それは、何も写真機材に限ったことではない。

仮に、45g×3 パックと 30g×3 パックのひきわり納豆が同じ値段であったとすれば、多い方がお得であることは誰の目にも分かる。コストが同じでも、パフォーマンスで勝るからだ。

ところが、30g×3 パックに、今だけ一個オマケしてお値段据置のお買い得、と言われりゃ一瞬迷う。店頭では、内容量よりパックの数の方が圧倒的に目立つし、期間限定は客を誑かす常套手段である。

また容量表示が、重さではなく個数表示であったりすると、一個当たりの内容量を減らしても決して値上げとは認めないし、増税を機に税込から税抜表示に変更することで、税率以上の便乗値上げにも涼しい顔をしている厚顔無恥な業界である。

そんな狡猾な狸どもを相手に、日々戦いを挑んでいる百戦錬磨の主婦であっても、つい騙されてしまうことだってある。

だが、いくら購入時点のコスパに優れるからといって、電卓まで持込んで賢く立ち回り、そんなモノを箱買いされた日にゃ、お買い得だったと喜んでばかりもいられない。

現実には、見るのも嫌になるぐらいの連チャンになるか、賞味期限内に食い切れず、元々腐った豆なんだからまだまだいけるだろう、と恐る恐る食っちまうかのどっちかであり(結局食うのかよ)、いずれにしても苦痛を伴うことは避けられない。

したがって、現実のコストパフォーマンスと見かけ上のそれには、微妙な差違が生じる場合もある。

ましてや、機材関係の話となれば、10kg の納豆と 12kg のカンピョウは、いったいどっちが得なんだというレベルのバトルロイヤルにも匹敵するのだ。(いや、しないか)

ま、そんなこたあどうでもいいんだが、風呂敷を畳もう。一気に、畳み掛けるように畳むのだ。

あまり話を広げ過ぎると、いつまでたっても終わらなくなるし、今後も試行錯誤は続くと思うので、あくまでも一段落である。

青息吐息でたどり着いた最終回は、標題としてメインテーマに掲げた自由雲台と、現行システムの現時点における総括のようなものである。

昨年の三脚関連機材の一環として導入した、SIRUI K-20X も単独で使用する場合は、十分な精度とパフォーマンスを発揮する。

また、当時は価格面で相当なメリットを持っていたので、最も近い存在であったサンウェイフォトでさえ、直接のライバルとはなりえない価格差であったのだ。

ここ最近では、流通業者の取扱量も増えたのか、価格も至極真っ当と思えるレベルまで下がってきている。だが、遺憾なことに上限と下限の差は、未だに大きくかけ離れており、そのせいで胡散臭さが完全に払拭されたわけでもない。

いずれにしても、最安値が必ずしもベストとは限らないが、個々の価値観にしたがって、納得できる価格の範囲内で購入することが肝要である。

[自由雲台導入とその経緯]
今回新たに導入したのは、いまさらな自由雲台である。

別名ボール雲台と呼ばれる FB-36DLであり、原形はトッププレートが DDC-50 を搭載する Sunwayfoto FB-36、バリエーションには DDH-02i を搭載した FB-36DDHi などもラインナップされている。

個人的なイチオシは、このパンニングクランプ搭載モデル(Sunwayfoto FB-36DDHi)である。

ノーマルの FB-36 や FB-36DL に比べて価格面では若干高いが、コスパという点においては、現時点での差額程度(3千円以内?)であるなら、FB-36DDHi の方がお買い得感はある。

現有機材には、パンニングクランプ(DDH-02i)もあるので、いつでも付替えることは可能だし、ノブ/レバーとの併用タイプ(DLC-42 相当)に興味があったので、あえて FB-36DL 選択した。(公式画像では、レタリングのカラーが DDHi だけセピアチックなのが、ちと気になるが…)

価格も、以前 SIRUI K-20X 購入時とそれほど変わらないが、未だに標準モデル(FB-36)でさえ3万円を大きく超える価格の並行輸入品も見受けられる。アマゾンに限っても、流通に関してはまだまだな製品であることに変わりはない。

自由雲台の不自由度については、過去何度となく言及してきた。それは主に、自由雲台が持つ奔放な自由度が、障害となっていたからである。

レベリングベースによって雲台のベース部分の水平が正確にでていた場合、パンニングは水平を維持したまま可能だが、ティルト方向のアングルを変えた場合、再度水平を調整しなければならない。

それを回避するために、L型プレートの左サイドを利用してノッチ部分にローテイトさせたヘッドに取付けた後、ジンバル雲台のような動作を期待した。

ロックフリーの状態で、フリクションのみに頼って水平を維持したままティルトができるはず、という予想に基づいたアプローチであったが、後述の SIRUI K-20X の仕様により、期待通りにはならなかったのだ。

最終的には、単独でティルトが可能な2ウェイ雲台と、自由雲台並の動作を実現するパンニングクランプの組合せにより、ある程度満足出来る使用感が得られた。

システムを組み上げていく過程で、その基準に問題がないかを機器単位で検証し、必要に応じて微調整を行なうのだが、水平への復帰を容易にするためにも、カメラレベルの水平基準を把握しておく必要はある。

それにより、相性のような曖昧な問題にも対応しやすくなるが、対応できない場合は例外として処理するしかない。

だが、崩したくても崩せないガチガチの岩のようになってしまうと、現実の用途として使いにくい部分も出てくる。

2ウェイ雲台とパンニングクランプの組合せに関しては、前回の写真コメント欄でも言及したが、レベリングベースに水平基準を依存していることのメリットは、例外に対するデメリットにもなり得る。

最終的なカメラレベルの水平といっても、地球に対する水平ばかりでないことは、実際の撮影において遭遇することは多い。

特に、風景以外の被写体においては、写真的なものより絵的なものが優先される場合もあり、水平基準は崩したくないが一時的に変化を付けたい場合、または水平自体さほど意味を持たない場合もある。

問題は、このような例外処理であり、あえて制限を設けた組合せでは、同時に二台以上を高い精度で調整することは不可能ではないにしても、それにかける時間はもっと別のことに費やしたい。

そんな時、システムの中に自由雲台があると、対処しやすい。

[FB-36 使用感と問題点]
以前、自由雲台が唯一その自由度を奪われ、トッププレートの動きがティルト方向のみに制限される特性を利用しようとして挫折した、という経緯がある。

簡単に言えば、パンベースで水平が出ている場合、縦位置方向へ回転すると、90°を少し越えた位置まで倒れてしまうので、再度の水平確認後にロックする必要がある、というもの。

従って、パンベースの水平を維持したままで、ティルト方向がフリーにならず、常に微調整&ロックが必要になる。これは、SIRUI K シリーズの仕様上の問題であり、本来想定される単独使用では、それほど大きな障害とはならない。

しかし、レベリングベースまで導入し、その上2台態勢まで組上げてしまうと、そう簡単にはベース部分の水平を崩したくはない。そのような、個人的な使用方法から SIRUI K シリーズをシステムに組込むことが、精神衛生上スッキリしない影を落としていたのである。

製品個々の仕様とはいえ、現実に Sunwayfoto FB-36 シリーズでは、ノッチ部分では90°、ノッチ以外でも45° と明記されており、実際に検証しても正確に水平が出ている。

もちろん、微調整やロックなど必要なく、フリーでティルトアングルは可変自在であり、これが当たり前のような気がする。製品に対するポリシーが異なるとはいえ、後々障害となりえる可能性を予見できていないと言わざるを得ない。

あくまでも対シルイ比較に過ぎないのだが、雲台専業と異なり三脚屋の詰めの甘さみたいなものを感じる。この点においても明快かつ真っ当な設計による仕様で、不必要な制限のないサンウェイフォト製品の方に惹かれるのである。

ま、あまり持ち上げ過ぎて調子に乗られても困るので、一応苦言も呈しておく。

個人的な推奨モデルの FB-36DDHi では、トップは単独製品のパンニングクランプ(DDH-02i)が載っており、オフィシャルサイトの写真でもそれが確認できる。(まいど、実際とは微妙な差違があることも多いが…)

DDH-02i 自体、汎用性をもった製品なので、通常の細ネジ(UNC1/4)がスルーできる径(UNC3/8)の穴が開いている。したがって、ボール雲台に取付ける場合は、スペーサを介してより細いネジ(M5)で取付けられる。

だが、FB-36DL のトッププレートである DLC-42 は、名目は汎用プレートでありながら前回指摘した DDC-26(or MCP-01)と同様に、他のプレートのように太ネジ(UNC3/8)ではなく、細ネジ(UNC1/4)のネジ山が本体に僅かながら切られており、そのままだと、 DT-02D50 などのトップに完全に締めつけることができない。

サイトにアップされている写真を拡大してにても、たしかにネジ山らしきものは見えるので、個体の問題ではなく仕様であると思われる。

この理由は定かではないが、クランプキット(MCP-01)などと同じ仕様であり、同製品に付属しているような、ねじ山が先端のみに切られた特殊なモノが必要になる。

クランプキットのような特殊用途でなく、雲台のトッププレートは汎用性の高い製品を付属している同社の他シリーズに比べると、イマイチな仕様といわざるを得ない。

新しいものをユーザに提供するにあたって、以前と比べて必ず何かが犠牲になるようでは、まるでアップルと同じでユーザの信頼を失うだろう。

これが果たして新しい仕様なのかコストダウンのせいなのかは、全く不明だが、メーカにとっての改良がユーザにとっても改良にならないと、おのずと評価は下がる。(逆に、コッチが旧仕様なら評価は上がるけどね)

個人的には、クランプキット(MCP-01)も所有していたので事無きを得たが、現状では国内でその特殊ネジが、単体で販売されている様子はない。クランプによってはノーマル状態のままで、全てが互換性を持っているわけでないことも事実である。

クランプキット(MCP-01)の構成要素であるミニクランプ(DDC-26)単体は、既にオフィシャルサイトの製品情報には見当たらず、特殊ネジが付属しているのかどうか確認できていない。

やっかいなことに、この手の情報は販売側が公表しているスペックにも表記されていないので、各人が人柱となる覚悟も必要である。

また、この DLC-42 は、ノブ/レバーとの併用タイプというのが曲者で、ロック解除のためのスライドスイッチみたいなモノがレバー内部に仕掛けてある。だが、これがけっこう面倒くさい。

後述のシルイでも同様に、車のシートベルトのように安全装置に関するウザッタイ印象は共通したところであり、たしかに転ばぬ先の杖ではあるものの、どうも製品紹介のビデオで見るほどの使いやすさは感じないのである。

それ以上に、アルカスイス互換といえども微妙に異なるメーカ間の誤差のようなものが、使い勝手に影響を及ぼすことも多い。

一例を挙げれば、シルイ製品には必ずオマケで付いてくるクイックシュー(TY-60 or 50X)は、サンウェイフォトのシューやプレートに対して、締付ける爪の角度が異なるせいか、開口部が同じではそのまま入らない。

シルイの方が、少し余計に開く必要があって、その度にレバーの反対側にあるノブで微調整をしないとレバーロックできない。微調整のために、ノブを操作するぐらいなら最初からノブだけの方がクイックなわけで、あまり併用の意味はないのである。

もちろん、サンウェイフォト製品だけなら多少は違うのかも知れないが、それでもロックの固さが完璧に一定であるわけでもないので、常に微調整の手間は意識しておかなければならない。

このあたりは、メーカを統一することで三脚メーカ製の雲台でも不満のないユーザも意外と多い所以であろう。各メーカが、互換性より独自の便利な機構による製品開発を続けている現状も、それなりに理解できるというものだ。(個人的には、そちら側に行くつもりはないが)

たまに、三脚メーカ製の雲台に触れる機会もあるのだが、どうも雲台専業の製品とは目指している方向が異なるような気がしてならない。これは、シルイだけでなくマンフロットやジッツォの製品にも、ある程度共通する部分であると感じるのだ。

本家(アルカスイス)を使ったこともない者が、御託を並べた所で不毛な話ではあるが、当面、Arca Swiss や Gitzo などを使う可能性は少ない。

ま、美味しんぼの山岡みたいなヤツが現われて、本当のアルカスイスとジッツォを教えてやる、これでも喰らえ!とばかりに Z1 や D4、オーシャンなどを置いていったら、もちろん喜んで拾いますけどね。

いやいや、当面?は言い過ぎだろう。今後とも可能性は、極めて極めて少ない少ない、が正しい。(大事なところだから、二度言いました。スイスなだけに、エコーな余談である。いや、独逸かな?やっほ〜)

自由雲台としての Sunwayfoto FB-36DL は、SIRUI K-20X に比べるとボール径が僅かに小さい 36mm だ。ボール径 38mm の K-20X と並べてみると少しコンパクトで、もう一つ下位の SIRUI K-10X(33mm)のサイズに近い。

サンウェイフォト製品全般に言えることだが、良く言えば女性的で繊細な高級感、悪く言えば女々しく華奢で線が細いことは、この FB シリーズにも共通している。それが極太で質実剛健、丈夫で何が悪いと言わんばかりの、マッチョなシルイ製品との大きな違いであろう。

分かりにくい例で言えば、(なぜ、分かりやすい例で言わない?)かつてのマークレヴィンソンとアンプジラの違いみたいなものを連想してしまうのである。ま、レヴィンソンも言い過ぎだが、あくまでも個人的なイメージで思い浮かんだだけであり、…これも余談である。

FB-36 本体の使用感については、特に変わったところはない。一般的な範疇であり、その点においてはシルイと言えども、使い始めに大きな不満はないところも同じだ。

テンションのかかり方や調整も、双方で共通した操作で迷うところはないし、見た目は確かに線が細いが強度の点で劣るようなこともない。

だが、精密機械を使っているような印象は、サンウェイフォトの方が遙かに強く心地良いものである。実際にカメラを載せて、アングルを変化させた時の初動の滑らかさや、微調整のしやすさにもそれが表れており、ひとつふたつ上のランクを感じさせる。

その点においては、昨年時点での価格差もあながち不当でもない気もしてくるのだが、それさえも比較対象がなければ、なかなか気がつきにくい。

ただ、シルイのようにロック開放位置を示すガイド(ユーザが任意で移動できる単なるインデックスに過ぎないのだが)もないので、わりとそっけない感じはする。この点においてはシルイのサービス精神旺盛なところの現われだろう。(その割に肝心なところが抜けているが)

ただ慣れてくるとそのそっけなさも、心地よく感じることも事実である。

シルイ製品にはお約束の、さほど必要性もない製品ごとにオマケで付いてくるゴツくて使いにくいシュープレートや、慣れてもウザイ雲台側トッププレートに付いているロック機構など、本来良かれと思い付けている機能でさえ、最初は有難くもあるが、ある程度機材も揃ってくると鬱陶しくなるモノもある。

そのあたりは、少し距離感を持った親愛の情というか、犬好きより猫好きの琴線に触れる部分かもしれない。ただし、ウチの猫達は完全家猫のせいか、実家のワン公などよりもっとストレートな、全く距離感などない愛情表現をするし、こちらもそれに合わせて応じるので、あくまでも一般論である。(ほとんど生きたぬいぐるみだな、アレは…、またもや余談である。)

機材関係も現在の撮影対象に限れば、十分な機能と性能を持つ物が揃ったように思うし、懸案の三姉妹が揃ったことで、カメラ本体も一区切りした気はしている。

未だ、結果としての写真には明確に表れていないかもしれないが、こと撮影に関連した大きな問題や、機能的な不足を感じることも少なくなってきたことは事実である。

もちろん、現時点でも試行錯誤は続いているし、欲を言えばキリがないのだが、解決策が見出せない、または現在のラインナップでは、該当する製品が見当たらないなどの、逆に限界を感じることも多くなってきた。

そういう意味では、そろそろ沼の底に当たったかな、と思うこともある。

ただ、この沼も深さは一定ではなさそうだから、いずれより深い場所へと誘われる可能性も無いとは言えない。あくまでも一段落、第一章の終わりであり、新しい章の始まりなのかもしれない。

今後も、新たな被写体への興味でも湧いてくれば、機材関係やカメラ本体にも物欲が沸立つ日が訪れるであろう。

しかし、今回の少なからぬ散財から得た貴重な経験は、無知による無駄な投資を極力押えることができる可能性を多く含んでおり、必要に応じた効率の良い機材運用に必ずや役立つものと確信している。

その点においても、あたかもレゴのような感覚で組合せを構成出来ることは、サンウェイフォト製品のシステマティックな設計によってもたらされる、最大のメリットであると感じている。

[提言]
カメラ本体関係(SIGMA DP Merrrill シリーズ三姉妹)については、良いところやもう一つなところも含めて事あるごとに書いてきたし、これからもそれは続くと思うので、今回あえて割愛した。

ただ、ひとつだけ書いておきたいことがある。

それは、現行最新機種も含めたトレンドになって久しいので、ごくマイナーな見解かもしれないが、ファインダの無い機種で背面液晶を見ながら写真を撮るとのは、どうしても馴染めないのである。

腕を半端に伸ばして撮影するスタイルは、おそらく携帯電話のカメラが普及したことで一般的になったのだろうが、一端のカメラメーカまでがその是非を問うこともなく、なし崩し的に導入している現状は如何なものかと思う。

一般的なコンパクトカメラのユーザ層を考慮すれば、商品的にごく当たり前なのかもしれない。だが、シグマのようなメーカまでもが、一眼レフではないという理由で(か、どうかは知らないが)、現在の形状に疑問さえ持っていないように見える。

ましてや、新しい dp Quattro シリーズでは、そのような撮影ポジションに向いた、特異なデザインまで発表する始末である。きちんと構えて撮影するためには、現状を受入れていては根本的な解決など出来るはずはない。

不満があれば、後付けの光学ファインダを付ければ良いという問題ではない。その効果の割に高価であるだけでなく、撮影情報を同時に確認できるメリットを捨ててまで、導入する価値は認められない。

また、高画質な EVF(エレクトロニックビューファインダー)を重複して付けるぐらいなら、背面液晶を高画質化した方が無駄にコストアップしなくて済むだろう。

日頃、ペンタミラー機のお粗末な光学ファインダを見慣れていると、たまにプリズムを採用した高級機の広く明るいファインダを覗くとそれだけで感激してしまう。機構が異なる DP にそんなモノを望んでも仕方がないが、せめてレティナレベルの液晶と、デザイン的にそれに見合う純正のビューファーがあればと思う。

最初に DP3 Merrill を購入して直ぐに、UNX-9121 というゴム性液晶カバーを取付けた。その後、フッドアイ(HE-3XA)という製品の存在を知ってからは、現在までそれを常用している。液晶の解像度には未だ不満はあるものの、これらの存在無しでは日中の屋外では、まず撮る気にはならない。

今から思えば、もしこのようなビューファインダーがなければ DP3 Merrill だけで、その後シリーズの追加購入も、ひょっとすると今回の機材も大半は導入することは無かっただろう、と思うのである。

[結び]
自由への回帰などと大仰な標題を掲げたものの、その内容は不釣り合いなほどケチ臭い機材自慢のようになってしまった。

写真機材としては、さほど高級とも言えないレベルに過ぎないのかもしれないし、上には上があることも十分承知しているつもりだ。

しかし、井の中の蛙大海なんか知りたくねえ、が基本路線であるので分相応、いや精度や満足感だけなら、これでも十分贅沢すぎる製品群であると思う。

日頃スーパーで、5円10円レベルの価格差に凌ぎを削っている主婦層に、水準器(どうみても、只のアクリルのサイコロだ)一つでさえ稟議を通すには、それなりの正当な理由が求められる。

ましてや、カメラや撮影機材、三脚雲台の類いとなると、その価格を納得させるのは至難の技であり(ほぼ不可能だけど)、日頃からの弛まない努力も必要になる。

したがって、あまり浮かれてもいられないのが厳しい現実であるが、そんな日々の生活の中でも、己の価値観を信じてそれに従うことを忘れずに、精進していきたい。

ちょうど一年前の SIGMA DP3 Merrill 購入から、撮影機材に関していろいろと試行錯誤を繰返す中で、その時点でのコスパを優先するあまり、多少遠回りもしたようにも思う。

電子機器としての進歩も目覚ましいデジカメ業界の中でも、高感度性能、手振れ補正や電子水準器などを筆頭に、電子化のみで万全の対応が出来る所までは、残念ながら到達できているわけではない。

まだまだ、非電子機器のサポートがなければ、成り立たない世界である。
また、それが楽しみにも繋がる世界でもあることで、多少旧くても実用になる製品、末長く使っていける製品が生き残れているように見える。

使い捨てばかりの、電子機器一辺倒な現状を憂うわけでもないし、業務用途の単なる道具としてなら、一定期間その役割を果たせば、それ以上を望むつもりもない。

しかし、趣味の世界では愛着のある機器、手に馴染んだ道具に対しては、少しでも長く使いたいと思うのが人情である。

幸いにして、アップルに限らず、コンピュータ本体関係の進化はここ2〜3年停滞しているように感じる。仕事柄、コンピュータ関連の機器を扱うことも多いが、一時期の製品寿命の短さにはついて行けない、いや正確にはついて行きたくなどないとまで感じていた。

製品寿命の短さの一番の要因は、それが単に新しいだけのゴミに過ぎないからであり、その見極めさえ出来ない未熟な市場が肥大化することによって出来上がった、幻の世界である。

どうしても、古いものや変わらないものばかりに魅力を感じる世代になりつつある現在、新しいものや、珍しいもの、変わった物などを受入れるキャパシティは、確かに歳と共に小さくなっている。

だが、伊達に経験は積んでいないことの証明と炯眼にモノを言わせて、そんな目にも適いどうしても欲しくなるような製品が、まだまだこれからも現われることを期待している。

いまだ、進化の途中で何かと不満の多いカメラや写真の世界なら、その可能性も全く無いわけではあるまい。

ただ新しいとか古いとかではなく、ましてやこれでいいではなく、これがいいを基本に選んでいきたいものだ。

「いやあお客さん、さすがにお目が高い」と、言われるように。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年04月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.04.15] 自由への回帰:段落〜終章にかえて 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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