2014年4月29日火曜日

鉄撮りの練習:其の六(山陽本線熊山)

総集編に時間を取られて、先月からの鉄道写真が溜まってしまった。

こちらも前回と同様に、あまり鮮度が落ちる前に晒しておこう。

鉄撮りの練習も、回を重ねること六回目にもなると、まるで練習の成果が出ていないのでは意味がない。

そろそろ、イマイチシリーズばかりではまずかろうとは思っているので、多少は上達したところも披露したいのは山々なれど、無い袖は振れないのだ。

ま、それでも撮影条件が良ければどんなヘタクソが撮ってもこれぐらいにはなる、という程度のモノは撮れているような気がする。

未だ、ドヤ顔で晒せるようなものは無いので撮り合えず、鉄撮りの練習ちょっとはマシになったかなシリーズ、の前座である。

なにせ、楽隠居ができる身でもない。そうそう撮影のために遠征もできないが、足腰に無理がきかなくなる前に一度は遠方にも出掛けてみたいとは、常々考えている。

少しでも絵的にマシになればと思い、いろいろなロケーションを探索しているが、出来れば近場で済まそうとする横着心も邪魔をして、それなりの景観で妥協することも多い。

また、あまり多くの機材を持ち出しても設置や撤収のことを考えると、つい必要最低限で済ませる方法を画策してしまう。最近、SLIK 500G-7 の出番が多いのは、そんなことも原因となっていると思う。

体力の衰えとともに、難行苦行の類いは出来れば避けたい。そのため、フルセットが活躍できるのは、車からそう離れていない場所に、落ち着いて陣取れる場所が見つかった場合など、かなり甘えたシチュエーションに限られる。

そんなわけで、今回訪れたのは一連の鉄撮りシリーズを始めるきっかけとなった、最初のサンライズエクスプレスの撮影場所である、熊山〜和気間の線路脇だ。

キリンビール岡山工場のある万富駅の隣、熊山駅から1〜2キロ和気寄りにある、見晴らしの良い直線区間、というよりカントもついた長いS字区間である。

この日は、総集編の物撮り用にオリンパス E-620 & SLIK 500G-7 も持参した。SIGMA DP Merrill シリーズでは撮れない、80mm 以上の画角のテストも兼ねている。

だが、いつものポジションから望遠ズームの望遠端 150mm(換算:300mm)で何枚か撮ってみたものの、電柱の間隔がより詰まってしまうだけで、あまり芳しいものではない。

列車に集中した写真には良いのかもしれないが、もう少し被写体までの距離がとれる場所からでないと、風景写真としては成り立たない。せめて、俯瞰で撮れる高さまで上がれば、少しは電柱も目立たなくなるのだろうが、残念ながら羽が生えているわけでもない。

空にはトンビが、そんな苦労をあざ笑うかのように優雅に舞っている。あいつの視点なら、この場所はさぞや良い景観に見えるだろうに。

おい、これ貸してやるから、その場所からちょっと代わりに撮ってきてはくれまいか、などと考えながらトンビの写真を撮っているうちに、ふと線路の南側にある山の斜面が目についた。

あそこまで上がれば、何とかなるかもしれないと思い、線路をくぐって通っている細い通路の先まで行ってみる。斜面に近い場所は、どこも2mほどの急な石垣になっていて、脚立でも持ってこない限り登れそうもない。

少し上の方にも、何段かの石垣が積まれており、なんとなく獣道的な踏み均したような跡が見えるが、問題はそこまで到達する手段がない。とても、カメラ3台と機材一式を担いで上がる根性も体力もないので、諦めて帰りかけた。

線路に近い場所まで戻ってみると、石垣が切れているところに、土砂崩れになりかけたような場所がある。伸び放題の雑草に囲まれているが、姿勢を低くすれば登れないこともなさそうだ。

よしよし、ちょこっとチャレンジしてみるかと考え、車まで戻って準備にかかる。

あそこからの距離なら望遠でもイケるだろうし、ズームなら画角はどうとでもなる。撮り合えず、ロケハンということで SLIK 500G-7 に ZUIKO Digital 40-150mm/f4.0-5.6 を付けた E-620 を取付たまま、せめて片手だけでも自由になる態勢でアタックをかけたのである。

だんだんと陽気は良くなってきたとはいえ、まだそれほど汗ばむ季節でもない。だが、ほんの5m も上がったところで、すでに汗だくになっている。途中で何度となく休憩をはさみながら、やっとの思いで少し開けた場所にヘタリ込んだのだ。

息が整うのを待って辺りを見回してみると、何とか周りの枝に邪魔されないポジションも取れそうだ。しかし、ファインダを覗く姿勢にはちと無理があり、三脚の真横の斜面に並んで座る態勢しかとれない。

三脚をセットして E-620 の液晶を外側に開いた状態で、ライブビューで確認する。こんな時はバリアングル液晶が便利だが、日差しがけっこう強いので、目を凝らさないとよく見えないのが難点である。

上がってみると、たしかに低い位置から浅い角度で見た印象よりはマシだが、土手を走る県道395号線が意外と目立ってしまい、おまけに日中の交通量はけっこう多い。

ま、日の出前からここまで登って待機するような、さしずめスナイパーみたいな根性があれば、サンライズエクスプレス相手にそれなりの絵も期待できるかもしれないが、…。

しばらく、通過するローカル列車をいくつか撮ってみたが、いまひとつ様になっていない雰囲気が、撮影時点でもわかる。当然、帰宅後にも確認してみたが、その印象は大きく変わることはなかった。

折角ここまで来たのだから、ついでに iPhone による動画も撮ってみるが、所詮手持ちでしかないので、手振れ補正があってもあまり安定しない。例によって、片手で iPhone 片手で E-620 の欲張りモードである。

それでも、幾つかの確認事項は達成できたので、引上げることにした。カメラを載せたまま三脚を畳み、肩に担ぐようにして降り始めたのだ。雑草の少ない所を選んで降りようとするが、小石の多い急坂なので幾度も足を取られそうになる。

途中、ついに足を滑らせ転がっていた岩にしこたま左肘を打ち付けたが、何とかカメラへの被害は及ばずに済んだ。登って来た道(という程のモノは無いが)を戻ったつもりが、知らず知らずの内に石垣のある方へ出てしまった。

ま、上がるのは無理でも降りる位は何とかなろうと思い、石と石の隙間に足をかけようと上から見下ろすと、なんと杭が打ち込んである所が何箇所かある。その杭も、よく見るとかつて線路を枕木に止めるのに使用した、鉄杭ではないかと思われる。

いかにも、鉄オタがやりそうな所業に、そういうことかと笑ってしまった。ここから、どうぞお登りくださいということなのだろう。誰しも考えることは、同じだな。

車に戻って撤収の準備を始めたが、肘の痛みが激しくなってきたので、袖をまくってみると僅かに出血している。なぜか、血を見ると痛みも増したように感じるもので、帰り道はシフトアップ・シフトダウンのたびに左肘に激痛が走る。

しかし、痛みに耐え帰路につきながらも頭に浮かぶのは、もっとコンパクトで軽い三脚と小型の雲台の必要性や、DP Merrill 3台がキッチリ収まるバックパックのことなど、新たな機材導入の口実を探している始末だ。

やっぱこの手の撮影には、膝当てや肘当てなど、通常の撮影機材以外の装備も必要になるなあ、などととんでもないことを考えていたのである。(二度とやらないけどね〜)

とまあ、労多くして実り少ない難行苦行に終わった、春の午後でした。


…ということで、来月もヒトツよろしく。
2014年04月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.04.29] 鉄撮りの練習:其の六 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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