2015年7月6日月曜日

原付撮影行の練習:其の参

そろそろ慣れてきた練習編、其の参である。

最近、天気予報がよく外れる。とういか、岡山市の天気など、当てろというのは無理がある。

なにせ、南北に異様に長く延びる岡山市、中でも北区の天気など、岡山県全域の天気と変わらないぐらいバラエティに富んでいる。それほど北区は広いのだが、逆に言えばこんな広範囲では、予報自体にあまり意味はない。

それでも、あえて発表するなら「曇り時々晴れ、ところにより一時雨」しかあるまい。この時期、毎日曇りを基本に同じ予報でかまわんだろうし、年間を通してもこの予報が外れる日の方が少ないと思う。

県北の山間部へ行くなら、まず雨を想定するべきだろう。だが、予報は雨だったにも拘わらず、この日は終始降られることはなかった。

市町村合併により、旧来の町名や地域名が失われてしまった所も多い。新しい住所だけでは、おおよその場所を特定することすら困難になってくる。

岡山県北西部方面、かつての小田郡から広島県との県境付近に位置する、後月郡(しつきぐん)、川上郡(かわかみぐん)、阿哲郡(あてつぐん)辺りを巡った原付撮影行。言うなれば、岡山県西部方面編といったところだが、それが標題になるほどでもない。

ぶっちゃけ、ほとんど撮影行にもなっていない、単なるローカルツーリングでしかないのだから、…。

前回までの反省から、行ける所まで全力で突っ走るのは止めにして、帰り道のことも多少考えることにした。

ただ、時間や距離などで線引きするのも面白くないので、行程そのものが円を描くようにぐるっと回るコースになるように努めてみたのだ。

まあ、もともと目的地など無いに等しいのだから、何処をどう回ろうとたいした違いはないのだが、それでもできれば今まで通ったこともない道の方が面白かろう。

今回のスタートは、国道53号線から岡山空港方面に向けて、広域農道を辿るところから始まる。基本的に、行き当たりばったりなんで、何処を通ったのかさえ忘れそうになる。そんな時は、 iPhone のGPS頼りで、後から地図を参照しながら思い出したりもしている。

空港を過ぎて、下高田あたりから県道71号線へ出て足守方面へ。その後、県道271号線で総社付近まで行き、前回途中で迂回してしまった県道80号線を、県道35号線に出るまで走った。

この県道80号線、上高末総社線(かみこうずえそうじゃせん)というらしい。新本郵便局前の信号を最後に、小田川の支流美山川へ出るまでの5kmほどは、ノンストップの快適な道である。

途中には、新しく拡幅された新道部分もあるが、あえて旧道を通ることなども自由自在だ。付近には、同じ方向へ向かう名もない市町村道も多くあるので、多少寄り道しても再び本線へ戻ることも容易い。

ただ、行き止まりな道もあったり、あらぬ方向へ向かう道も少なくないので、分岐点では地図による行き先や状況の確認は必要だろう。

県道35号線を北へ1Kmほど行くと鬼ケ岳ダムがあり、その先には名勝鬼ヶ嶽がある。で、この辺りから迷走が始まる。

自分としては弥高山方面、延いては広島県との県境へ向かいたいのだが、この辺りの主要県道はどいつもこいつも南北へ向いており、東西の移動にはどうしても遠回りになる。

だが、どの県道にも脇道というのが何本か有って、少なくとも上では地図上では最短の経路に見える。結果的には、主要県道を選択した方が時間的にも短縮されるのは分かり切っている。だが、ここでも国道313号方面へ向かっている道を探して、右往左往するのである。

とりあえず、県道166号線を三山方面へ向かって南下、県道48号線と県道77号線を経由して、なんとか国道313号線まで辿り着ければと考えた。

しかし、この辺りの県道は複雑に交錯しており、地元民でもない限り、地図やナビなしでは思い通りの経路を全うするのは難しい。というのも、道なりに行くと必ず県道番号が変わる箇所が2ヶ所以上あり、番号が変わるぐらいならまだ可愛い方で、いつのまにか県道ですらなくなって、広域農道になっちまう所もあるのだ。

いつも iPhone のマップとにらめっこしながら走っているわけでもないし、だいたい進路は直感頼りで決定することになっている。特に信号のある市街地に入れば、行き先を示す標識もあるので、あっれ〜?おっかしいなあ、となってから、やおら iPhone で確認するのだ。

全く違う道に入ってしまうこともあるが、できれば後戻りはしたくない。したがって、行き止まりにでも遭遇しない限り、そのまま進んで迂回路を探しながら軌道修正をするのだが、そのせいで当初の予定とは、あまりにもかけ離れたルートになってしまうことも多い。

ここでも、その悪い癖は発揮されて辿った県道番号は、166→48→77→166→?→166→?→407→291→?と経由してやっと国道313号線へ至る。だが、国道自体はほんの15mほど走っただけで、またも?の名もない(というか知らないだけだが)市町村道を通って、県道297号線へ出る。

そこから、2〜3キロ北へ上がったところで、県道298号線へ入り、そのまま川上町上大竹で県道294号線へ出会すまで北上を続ける。

そこに至るまでの紆余曲折は割愛するが、いわゆる林道、険道、酷道の類いを何本か経由して、順調な迷走振りである。少なくとも、大賀簡易郵便局付近までは大きな障害もなかった。

ところが、その先から西の弥高山方面へ向かう県道473号線は、この日全面通行止めとなっている。迂回路として案内されているのは、そのまま294号線を県道77号線との合流地点まで東進するルートである。

これなら、最初から国道313号線を北上していればという気もするが、それでは面白くない。そのおかげで、全国的にも珍しい(らしい)伏流水の滝という、沢柳の滝(さなぎのたき)にもお目にかかれたのだから、何が功を奏するやら分かったものではない。

ちなみに、今回の撮影行はちょっと趣向を変えて、なんと DPM は DP3 Merrill の一本勝負である。まあ、ぶっちゃけたところ、三姉妹すべて持ってきても、結局取出すのが億劫になるだけで、ロクな結果にならないという経験からの判断である。

ただ、前述の沢柳の滝では DP3M  の画角に合わないために、iPhone のみで済ましてしまうなど、あとから考えるとその弊害も決して小さくない。 

その後、領家川沿いの里山の風景にちょっと惹かれて、やっと DP3M の出番となったが、こちらはこちらで期待したほどではなく、その傾向はこの日最後まで変わることがなかった。

弥高山(やたかやま:653.6m)への道は、やはりそう簡単ではないようで、地図上では高山市と記述されるこの地域も、実は市町村合併前の地名は川上郡川上町大字高山市村(こうやまいちそん)なんである。

現行の正式名では、岡山県高梁市高山市となり、まことにややこしいだけでなく、文字だけで受ける印象と現状の間には、著しいズレを生じる恐れがある。

ま、合併前後の詳しい事情は良く知らないが、地域の実情を認識するにあたっては、現地におけるフィールドワークが、最も確実であることは言うまでもない。

弥高山にはオートキャンプ場もあって、以前利用したこともある。まだ、子供達も小さかった20年以上も前のことで、あまり印象に残っていない。

かつては、当時の車の積載能力に甘えた、お道具満載のキャンプも何度か経験した。家族サービスの一環としては、それなりに喜んで貰えたようなので納得しているが、二度とやろうとは思わない。

まだ、一般にはキャンプの季節には早い時期であり、平日とあって人影もまばらである。ひとつの目標(目的ではない)としてきたのだが、如何にも観光地然とした弥高山公園には、さほど興味があるわけでもないので、そこそこにして退散してしまった。

だが、もしこの先ソロキャンプなどするようなことになれば、設備は整っているし安心してテントが張れる場所でもある。

そろそろ13時を回っているので、ぼちぼち帰りの行程を考えねばならぬ時刻でもある。見知らぬ土地をうろうろするのは、それだけでも楽しいが、いつかは帰路につかねばならぬ。

このまま、南下して福山あたりから真っ当な国道を通れば時間的には余裕もできる。だが、帰り道とはいえ、何度も通った道を選択するのも面白くない。そこで、もう少し北へ上がって、備中湖の周りを通る県道107号線を辿って、高梁あたりまで戻ってからその先を考えることにした。

県道77号線から県道9号線へ合流し、いよいよ広島県側の神石高原町(じんせきこうげんちょう)に入る。高原の名に違わず、この県道9号線もかなり標高の高いところを通っているので、見晴らしの良い所が多い。だが、県道411号線との分岐点あたりから途端に林道らしくなる。

ここはパッと見三差路だが、実際は6.5差路というか七差路に近い、たいへんややこしい分岐の仕方をしている。地図上では、最も太く表記されている県道9号線だが、この分岐点で見る限りは一番過酷そうな雰囲気に溢れており、弥が上にも気分を盛り上げてくれる。

ここから暫くは、センターラインはもちろんのこと、道路標識やガードレールさえもない狭い道が続く。両脇を鬱蒼とした木々に囲まれ、ところどころ木洩れ日が差し込む昼尚暗いこの道こそ、いわゆる正しい林道のあり方を具現化しているようにさえ見える。

ぶっちゃけ、なんともはや絵になる道であり、思わずバックパックから DP3M を取出して、何枚か撮ってみたぐらいだ。ま、結果は iPhone の方が良かったというまことに情けない為体であり、DP1M を持って来なかったことを後悔したのである。

それでも、そんな区間はそう長くは続かない。逆に、周辺にも民家が点在する地区だから、極端な険道になることもない。そんな県道9号線と別れて、北へ向かう県道106号線へ入り、豊松手前で左方向へ別れる県道105号線へと辿って行く。

道路標識では、右方向のそのまま県道106号線が備中方面への道ということになっている。だが、なるべく備中湖周辺を全域に渡って走ってみたかったので、あえて成羽川の上流へ進路をとった。

備中湖へ至る県道105号線は、途中までは比較的平穏な道だが、妙楽寺という寺の手前辺りから途端に怪しくなる。その先で、貝原方面へ向かう道は二手に分かれており、一方は「県道貝原」もう一方は「林道貝原」という立札が立っている。

少し迷ったが、ここはひとつ林道を選んでみるのも一興ということで、左下へ向かって下りて行く道を選んだ。これが失敗で、僅かに進んだ所で右上を見上げると別れた県道が見えるのだが、どう見ても向こうの方が険しそうな(楽しそうな)道だ。ほんの数百メートルほどで、県道へ戻る道があったので、迷わずそれを選択し県道へ戻ったのだ。

要するに、県道が旧道で、ここで言う林道とは新道で、いわゆるバイパスみたいなもんだろう。普通に車で走る分には、広くて走りやすいが、風情がない。

しかし、幾つかの集落を抜けつつ進んで行くと途中ガードレールも殆どない上に、路肩もかなり危ういことになっている箇所も多く、四輪では例えミニでも遠慮したいほど、情緒豊かな険道である。この辺りに住むことの過酷さを想像しながら、なんとか成羽川を渡る橋まで辿り着いた。

そこから、高梁方面へ向かう県道107号線には、道中これといった集落もない。それが、道路の廃れた雰囲気も相まって、一層険しさと殺伐とした雰囲気を増長する。

逆方向へ、ほんの5〜6キロ広島県側に入れば、神竜湖(帝釈川ダム)や日本百景の一つとして有名な帝釈峡もあるわけで、あまりにもかけ離れたその景観の違いは、いったい何処から来るのか。いや、実際には未確認だが、よもや備中湖と大して変わらないなどということはあるまい。(いずれその内に、確認してみよう)

特に、岡山県に入る前の広島県側が酷く、道路としての管理も行き届いていないことで、不気味ささえ感じる道だ。それでも一般的な山間部の県道、林道に比べたら交通量は決して少なくない。

かといって、そんなに多くてかなわんわけでもないのだが、時折すれ違う対向車には、定番の軽トラだけでなく、主婦の乗ったワンボックスや営業車と思しきライトバンなど結構多彩で、ここが生活道路でもあることが予想される。

だが、その割にはロクに路肩も見えないほどに雑草は伸び放題で、途中木の枝からぶら下がった蔓の先を2度ばかり喰らいそうになったぐらいである。その上、ダム湖に沿った道を走っているはずなのに、雑木に阻まれて湖面は全くといっていいほど見えないのである。

岡山県側に入って、やっとかすかに湖面も見え始めるが、これはなにも地形の違いによるものばかりではないような気がするのだ。

まあ、水面が見えたからといって、それほど楽しくなる道ではないのだが、標識や路面も荒れ放題な雰囲気の広島県側は、たとえ晴天であっても気分が暗くなる。ましてや、曇天や雨天、日暮れて以降など、まず通る気にはなれない酷道(ヒドイみち)と言えよう。

以前、芸備線の野馳駅(のちえき)からの帰り道、県道313号線から途中合流したことも有る路線だが、すでに夕暮れであったにも拘わらず、それほど悪い印象をもった記憶はない。おそらく、広島県側を通らずに合流したことで、気がつかなかったのだろう。

新成羽川ダム以降、田原ダム、黒鳥(くろどり)ダムと合計3つのダムがある。堤高は103.0mの新成羽川ダムは、重力式アーチダムとしてはと日本最大の規模を誇る。と、聞きかじりの蘊蓄で文字数を稼いでも、さほどダムには興味もないのでしょうがないのだが、何とか17時前には高梁を抜けることが出来た。

その後は、素直に国道484号線を道の駅かようあたりまで、その後広域農道でショートカットしたものの、最終的には県道72号線と至極真っ当な経路を辿って、19時頃には帰宅するはずだった。

ところが、途中高梁から国道484号線へ入った頃にK氏から連絡があり、家庭菜園(とはいえないほど凝ったモノで、出荷していないのが不思議なぐらいだ。ほぼプロの仕業だな、アレは…)の野菜をくれてやるから取りに来いとのお誘いである。

岡山市内から、小串までの往復40kmが追加されて、トータル350kmほどの行程となった今回の平均燃費は37km/L といった所で、途中の険道林道区間を考慮すれば、さほど悪いとはいえない。

結果的には、明るいうちには帰れなかったのだが、それほど遅くはならなかったので、まあ今回は良しとしよう。10リッター弱、1200円ほどのガソリン代で、いい歳した男が一日遊べたんだから文句も言えまい。

だが、未だに経路は行き当たりばったり過ぎて、効率は良いとは言えない。いま少し、目標を絞った上で経路も再検討してみる必要があるだろう。



…ということで、ヒトツよろしく。
2015年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2015.07.06] 原付撮影行の練習:其の参 〜より転載&加筆修正

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