2011年8月6日土曜日

ライヨン:もう少し

何やかやで、前回、前々と OS X Lion の欠点ばかりを書いてきたが(ていうか、毎回だけど)、あたりまえだが良い点もないわけぢゃない。
良いところがなけりゃ、誰もこんなもんインストールしない。
で、今回はライヨンの良いところを、もう少し。

[スポットライト(Spotlight)について]
従来検索結果には、ファイルサイズに関する項目が欠落していたが、今回からやっとサポートされた。
ファインダ上でのファイルサイズ計算は相変わらず遅いものの、検索項目にファイルサイズによる設定がありながら、結果にそれを表示しないなどという不条理な仕様は解消された。
しかし、ファイル情報に関する項目中でも、重要な要素と思われるファイルサイズの取得に、なぜかように手間がかかるのか、理解に苦しむ。事実、サイズで検索できるのだからインデックス作成時に、そのての情報はデータベース化されていないはずはないのだが。
だいたい、コピーする時にファイルサイズは表示されるにもかかわらず、ファイル情報として参照しようとすると、どうしてあのように待たされるのか。
ファインダでファイル情報を取得するのはまるで、役場の窓口で何かの手続きをしているような気分にさせられる。
おっと、良いところを書くつもりが、またいつもの癖で、…。

[ショートカットについて]
ショートカットの設定とコンテキストメニュー(右クリで表示されるサブメニュー)には関連があるようだ。
システム環境設定内のキーボード項目にあるショートカットに関する項目には、眩暈がするほど選択肢が与えられている。およそ、選択肢がないと文句をいう輩に対して、嫌がらせとしか思えないくらい数多くの設定項目があるが、それでも分類されているだけ、”Spotlight” の検索属性の設定よりは幾分マシである。
明確な理由は定かでないが、なぜかライヨンでは “Spotlight” のチェックがデフォで外されている。このチェックを戻すことで、件のコンテキストメニューに “Spotlight” が表示されない問題に関しては、一応解決する。
マイファイルを優先したいための誘導だと察するが、過去のインターフェイスとの繋がりにも多少配慮して欲しいものだ。
そして新たにデフォルトで追加されたのが、「スポークントラックとして iTunes に追加」という、日本語圏のユーザにはあまり意味のない機能である。
スポークントラックとして…云々は、以前からサービスメニューに存在はしていたが、チェックは入っていなかった。
もとより、シンプルテキスト時代から伝統的に存在する意味無し機能であり、ローカライズする気がないなら、これ見よがしにわざわざ入れる必要もないだろう。
で、まさかと思い、システム環境設定のスピーチにある「テキストの読み上げ」を開いてみたら、なんと日本語のキョウコさんが選択できるぢゃないか!
一瞬、京都さんかと空目したが、まちがいなく “Kyoko” さんである。
なぜか、プリインストされていないので、選択してからダウンロードが始まる。少し時間がかかるが、設定後アプリを起動し直すと、ちゃんとしたタドタドしい日本語を話してくれる。
あまり長文は得意ではないようだが、これは、ちょっと感動。
(アップルジャパンもやればできるぢゃないか)

[再開/オートセーブ/バージョンについて]
新 OS での一番のウリである(ハズ)のファイル管理システム
従来の、というか過去何十年にもわたって、コンピュータソフトウェア上では当たり前であった、ファイル保存の概念を全く変えてしまう、…かもしれない、鬱陶しくもありがたい機能。
この厄介な機能の挙動をまとめると、要するに新規に作成された書類は、それを閉じる時に「保存しない」を選択しない限り必ず保存される。
ライヨンでは書類を閉じるという行為にも、新たな定義が必要になる。
書類を開いたままアプリを終了しても、システムを終了しても、たとえ電源を落としても、もっといえばたとえ停電になったとしても、そのアプリケーション上で閉じない限り、書類を閉じたとは認められない。
すなわち、作成をはじめてから一度も保存したことのない書類、または修正をしてから一度も保存したことのない書類もすべて、勝手に保存される。
ファイル名なんぞ、あろうが無かろうが関係ない。
アプリ終了時も、システム終了時も、編集途中の書類を開いたままであったとしても、「変更を保存しますか?」などとは、絶対に聞いてこないのだ。
それでも、次にそのアプリを立ち上げると亡霊のごとく開かれてそこにある、という不気味な怨念をもった機能である。
この保存したことのない書類を削除しようにも、ユーザの見えるところにはファイルとして存在しないから、捨てることも出来ない。どうしても捨てたい場合は、書類を閉じるしかない。そこで「保存しない」を選択すると、やっと成仏してくれる。
気味が悪かったら、あえて名前を付けて適当な場所に保存してから、ゴミ箱に持っていき、「確実にゴミ箱を空にする」を選択するのも良いだろう。(無駄なプロセスだけど、心理的には多少、…)
また、一度でも保存した書類はどのように編集加工されても、閉じない限りまた開かれるし、閉じる場合も保存するかどうかは聞かれない。
気休めに、⌘+Sで保存してやれば、その時の状態をひとつのバージョンとして記録され、気が変わったら、いつでも以前のバージョンに戻すことができる。
これは、以前メモ用紙アプリの絶対条件に何度か書いてきたことをほとんど網羅している。 テキストエディットで保存したテキストファイルが、プレビューで開ければドロワーもどきもあるので、メモ用紙の代用ができそうなものだが、残念ながらできない。 
しかたがないので、クリッピングテキストをメモフォルダというフォルダにまとめて、検索をかけることで代用しているが、ページの概念がないからイマイチである。
しかし、こんな甘えんぼうさんな環境に慣れてしまうと、古いシステムは恐ろしくて使えんなあ。
ま、オートマでパワステ・パワーウィンドウ、ABS とエアバッグにトラクションコントロールまでついて、おまけに電池で動くような車でないと乗れないというのに似ている。
ちなみに、私の車には上記のどれひとつさえも付いてない…、余談である。
 
現状では、いまだ iMac では大画面を生かして極力従来の機能の延長で使い、MacBook Air では積極的に新しい機能を享受する、といった使い分けをしている。
まだまだ、掘り起こせていない機能も多々ある現時点では、欠点ばかりが目立ってしまう。
しかし、明らかにバグと思しきロクでもない挙動も散見されるものの、いずれそのうちに、たぶんフィックスされると考えれば、なかなか革新的な新 OS ライヨンである。
コイツに慣れてしまうと、もう後戻りは難しいかもしれない。
2011年08月某日 Hexagon/Okayama, Japan
[2011.08.06] ライヨン:もう少し〜より転載&加筆修正

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