2011年8月9日火曜日

画面サイズと解像度

MacBook Air (Mid 2011)、巷で評判が良いようだ。

主要メディアの記事では、主にハードウェアスペックに関する称賛が多いようで、前モデルとの比較で語られることが定番のようになっている。

また、新しいモデルの比較でも、ディスプレイサイズを筆頭にやはりハード面ばかりを比較することで、無理やり用途別に分類しようとする傾向は相変わらずで、あまり新鮮味はない。

もっと、新 OS X Lion との組合わせにより得られるメリットなども、総合して評価されるべきであると考えるが、まだそのような切口で書かれたものは少ない。かえって個人のブログ等の方が、各ユーザごとの実際に使用感にもとづいて書かれているので、より現実的な視点のように思う。

ただ、11インチを選択したユーザは実際以上に 11インチを称賛し、13インチを選択したユーザもまた逆も真なりで、それはもうすでに視点が違うのだから致し方あるまい。

我が子が一番可愛いに決まっている。

しかし、13インチに対して 11インチの画面サイズを欠点のように語っている記事も見受けるが、これはどう考えてもおかしな話だ。

11インチモデルのメインコンセプトは、できるだけサイズを抑えて軽量化しつつも、性能面での妥協点を極力高いレベルに留める、であると個人的には勝手に理解している。

あのサイズと重量で、13インチモデルと同等以上のサイズの画面を持った機種が現実に存在するなら、これはもうアップルの精進が足りないと断言できるが、無い物ねだりの駄々を捏ねてもしかたあるまい。

中には、画面サイズと解像度を混同して 13インチモデルの方が高解像度であるかのような記述もあるが、解像度とはインチ当たりの密度であり総画素数や画面サイズとは無関係である。

解像度に関して言えば 13インチの約128ppi に対して、11インチモデルは iPad や MacBook Pro 17 インチモデルと同等以上の約135ppi である。結果、現状の Mac OS の初期設定では、画面に表示される文字が小さい。

Model         Size Horizontal Vertical    ppi
iPhone           3.5     640     960      329.65
iPad, iPad 2     9.7     768    1024      131.96
iMac 27         27      2560    1440      108.79
iMac 21.5       21.5    1920    1080      102.46
MacBook Pro 17  17      1920    1200      133.19
MacBook Pro 15  15.4    1440     900      110.27
MacBook Pro 13  13.3    1280     800      113.49
MacBook Air 13  13.3    1440     900      127.68
MacBook Air 11  11.6    1366     768      135.09
LED Cinema 27   27      2560    1440      108.79
[参考:画面解像度]

しかし、これは一概に欠点ではあるとは言えまい。単に設定を変えればいいだけのことだ。

私の場合、Safari や iWork、テキストエディットなど文字の表示サイズが関係するアプリの設定は、従来ヒラギノ明朝14ポイントを標準設定にしていたが、MacBook Air ではもうひとサイズ大きく16〜18ポイントに変更した。

境目がどこなのか個人差はあるだろうが、OS X Lion を前提で考えた場合、画面の使い方がそのサイズによって変わってくると思う。

作業の効率的な進め方という点においても、テキストエディットなどで文章を書く場合 27インチ画面でもフルスクリーンモードがベストである、という人は少ないと思う。そのせいか(たぶん、ちがうと思うが)、現行バージョンのテキストエディットでは、フルスクリーンモードはサポートされていない。

作業に集中しやすいという点では、広大な iMac の 27インチ画面より MacBook Air の11インチの方が向いている場合もあるし、必ずしも大は小を兼ねるとは限らない。

なんでも、デカけりゃ良いってもんでもないのだ。

もちろん、デカいものにもそれなりのメリットはあることは否定しないが、実際この原稿も iMac 27 の前に置いた MacBook Air で書いているぐらいだ。傍目にはかなり滑稽な図であることはわかっているが、現実にその方が集中できるのだから仕方があるまい。

さすがに、iWeb を11インチで使うのは難行苦行の世界になるので、テキストエディットで本文だけ書いて、Air Drop を使い iMac へ「ポエッ」と送ってやる。

27インチだと iWeb でのレイアウトもラクチンで、参照ファイルや辞書の類いなど多くのウィンドウを開いていても、十分なエリアが確保できる。

(iWeb といえば、毎回毎回更新もしていないページまでアップロードしようとするバグには閉口する。ファイル形式の互換性の問題かと思い、iDisk 上にある当該のフォルダを削除して、再度全ページをアップしてみたがまるで改善しない。

それどころか、今度は毎回すべてアップロードするだけでは飽き足らず、アップしてもアップしても公開していないページがあると警告が出る始末。もう見捨てた iWeb なんぞ修正する気もないのだろうが、このあたりもアップルお得意の手抜きといわれる所以であり、まったく腹立たしい限りである。)

そんな、使い分けで十分活躍している MacBook Air であるが、ミッションコントロールとフルスクリーンモードを駆使すれば、内容的には iMac でやる作業とほぼ同等のことが、出先でもできるのはありがたい。

以前の MacBook 13 に LED 島根24 という組合わせでは、作業環境はさておき多少パワーに不満を感じながら行っていた作業も、役割分担をキッチリ分けることで格段に効率的である。

iMac 27 は、Thunderbolt ケーブルで MacBook Air を接続すれば、⌘+F2 でいとも簡単に Thunderbolt Display に化ける。さすが純正と言わしめる快適組合わせの効果で、用途に応じた使い分けに貢献している。

一例を挙げれば、パワーと時間はかかるが、途中で積極的にかかわる必要がないビデオエンコードなどはバックグラウンドで iMac にまかせて、ディスプレイ部分だけを MacBook Air で使うといった流れである。それぞれの作業に独立したプロセッサを持つメリットは大きく、Core i7 なら大画面でももたつくことはない。

単体での使用においては前述の集中度という点に関して、iMac と MacBook Air では基本的なアプローチが多少異なる。Macに対する距離感とでも言うか、物理的な話をすれば自分の目と画面の距離が異なるのだ。

視野角にも関係するが、27インチの画面を見る場合はおのずとふんぞり返って、70〜80センチぐらいの距離をとる。ところが、11インチだと通常でも 40センチ前後、興奮してくると集中してくると前のめりで 25センチぐらいまで寄っていることもある。

画面解像度でいえば、iMac 27 インチは 109ppi 程度に過ぎないのだが、同じ設定だとファインダ上のメニューバーの文字やファイル名などは MacBook Air より iMac の方が小さく見えるぐらいで、初期設定での文字サイズはそれほどデメリットには感じない。

そのような背景により、個人的見解では 13インチに対する 11インチの画面サイズの問題など、目くそ鼻くそ以下の差でしかない、たいした問題ではないのである。

したがって、身も蓋もない言い方をすれば、自分の気に入った方を選択すれば良い。そもそも、他人の意見を参考にしようなどと主体性のないことを考えてはいけない。

たいていは、自分と同意見のバイアスがかかった記事や個人の見解に接して、誰かに背中を蹴飛ばして欲しいだけで、どうせどっちにするかはもう決まっているんだから。(私の場合は…そうだ)

どうしても物理的な画面サイズを求めるなら、13インチモデルを選択したところで問題は解決しない。妥協などせず、思い切って Apple Thunderbolt Display を奢ってやるという力技が必要だ。

こいつがあれば、11インチでも13インチでも、たとえ 17インチであっても関係ない。なんなら、これを二台買って会社と自宅に置いておけば、大方の問題は解決する。

ついでに、MacBook Air SuperDrive と Magic Trackpad または、Magic Mouse にキーボードもこの際ど〜んと二台ずつだな。おお、ここはひとつペガサスもいっとくか、わお〜。

…と、つい興奮、もとい集中してしまったが、これなら金銭以外については無い物ねだりにはなるまい。

単純に、いわゆるひとつの金で解決できる問題に過ぎないのだから。

それなら iMac 27 を二台と iPad でも買ったほうが安いんぢゃないかと、予算面において鋭いツッコミもあるだろう。また、Apple Thunderbolt Display を絡めるなら、Mac mini という選択もある。

たしかに真当な選択かもしれないが、数値だけでは測れない問題もあるし、だいたいそれでは話が面白くならない。

たとえば Mac mini、13インチモデルに着目して重量だけ比べると Mac mini の方が軽いが、あまり持ち歩く気にはならないと思う。用途にもよるが、スペックシート上の数値だけではわからない「持ちにくさ」という局面も考慮に入れなければならない場合もある。

たしかに、費用面では多少のデメリットもないわけではないが、データの共通性を持たせるのは楽だし、ご本尊を持ち帰ることで、セキュリティ上の問題もある程度解決できる。(通勤途中で紛失、というのはこの際ナシね)

加えて、出先での作業も含めたモバイルという観点から iPad ではいまひとつという方は、マジで検討してみる価値はあるだろう。

ま、iCloud のサービスが始まったら、両者の違いは微妙かもしれないけどね。


2011年08月某日 Hexagon/Okayama, Japan
[2011.08.09] 画面サイズと解像度〜より転載&加筆修正

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