2014年3月1日土曜日

Merrill vs Quattro(宇野線)

で、メリルかクアトロかの顛末である。

ネット上では、そのデザインや Quatto センサーに関して喧々諤々の論争が展開されている。単なる技術論争だけでなく、お約束ともいえる多分に宗教的な色合いを含んだモノにまで発展して、見ていて全く飽きない。

新しいセンサーで、トリッキーな画像処理を採用したシグマに対して、従来の垂直分離型を捨てて日和っただの、最後まで筋を通せだの、と観念論にもおよんだ否定意見や拒否反応も少なくない。

だが、まだサンプル画像も公開されていない段階で、いくら何でもそんな判断早過ぎるだろうと思う。所詮、技術資料をネタにした楽しい雑談に過ぎないのだが、未だ情報が少な過ぎて、いまひとつ不完全燃焼な感は否めない。

個人的にも、別にデザインや次々と明らかになる技術的な仕様が気に入らないとか、そんなイジけた理由では全く無いし、dp Quattro シリーズに見切りをつけたわけでは決して無い。

ま、そんな発売未定の製品をネタにした、鉄撮りの練習:其の参みたいなものである。

置物や飾り物ではない、手に取って使い倒すべき道具の外見については、現物に触れてもいない段階で、完全否定することはあまりない。

ただし、車は例外だ。とにかく見た目から入り、どんなに快適だろうと、外見が気に入らなければ全力で否定し拒絶する。逆に、外見さえ気に入れば、多少のアバタもエクボにしか見えない。が、ここでは余談である。

だいたい、あの手の奇抜なデザインは、本当に手に馴染むかどうかなど、かなり使い込んでから不満が出るものだ。使い込むことにより、新たな発見があるかもしれないし、ぜんぜん無いかもしれない。全ては、ある程度使ってからの判断が必要だろう。

DP Merrill のシンプルなデザインも、形としては気に入っているが、グリップ感やバッテリーの交換など、実際の操作上では多少不満もある。おかげで、自分なりに使いやすくするオプションパーツで、カスタマイズする楽しみは残されているが、それを製品のメリットとして受入れられるユーザは少ないだろう。

その点、dp Quattro シリーズは、意外と実用面ではいろいろと改善されていそうにも見えるし、写真で見る限りでは、外見も含めて結構気に入っている。気になるのは、ストラップリングとメーカロゴの位置ぐらいか。

メーカロゴだけでなく型番やオラが命名の技術名、はては撮像素子のサイズやピクセル数までを、これでもかとばかりにボディ全面に渡ってちりばめるセンスの無さにも寛容なユーザが多いカメラ業界にあって、希有な存在であるといえよう。

ここでついでだから、シグマに対しての要望も書いておこう。

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新しい dp Quattro シリーズに対する要望
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1.ストラップリングについて
相変わらず横方向へ唐突に飛びだしたストラップリングは、せっかくのデザインが台無しのような気がする。できれば上に向けてダイアル類のガードを兼ねるとかの工夫を盛り込むか、以前のようにボディ内部に埋め込んで突起物をなくして欲しい。

2.ロゴの位置について
dp を小文字にしたのは最近のデザイン上のトレンドでもあるので別に構わんと思うが、メーカロゴの位置と逆にして欲しい。

同一世代を使い分ける可能性が高いユーザのことを考えれば、自分が今どのメーカのカメラを使っているかを忘れるバカはあまりいない。

だが、バッグから取出すとき背面だけでは、機種まで区別できない可能性は高いし、メーカ名をアピールするべき相手は、被写体またはギャラリーであるはず。少なくともカメラの背後には誰もいないし、某社の様に彼方此方にしつこいぐらい配置する必要はないが、せめてグリップする手に隠れてしまわない位置を検討するべきだろう。

3.内蔵クロックについて
現在、DP Merrill 三兄弟を使用しているが、いずれの機種もいくら合わせても時計のズレが大きい。もう少し正確な時計を内蔵するなり、ネットや外部同期の機能も検討するべきである。

4.レンズフードについて
周辺機器が入手しやすいメーカではないとは、考えていないのだろうか。
ネックストラップより、ぜひともこちらを標準添付にして頂きたい。
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以上、dp Quattro シリーズ発売開始までに改善されると嬉しいな、という程度のあくまでも身勝手な要望に過ぎない、余談である。

現行デザインは、あくまでも展示会用であり、発売開始までに多少改善されるものと思いたいが、デザイナーが絡んでくるとなかなか難しい問題もあるだろう。

いずれにしても、是非購入したいという意思は既に決定済みであるものの、発売と同時にこちとらの懐具合との兼ね合いで、いきなり買える値段になっている可能性は限りなく低い。あくまでも願望に過ぎないので、価格によっては挫けてしまう可能性も否定できない。(シグマのことだから、いったい何時になるやら、わからんしね)

ただ、そんな遠い未来の話よりもっと現実的な、今そこに在る現行システムとの整合性という観点から考えねばならぬ、大人の事情もある。

iPhone シリーズも自身にとって最初の機種である、iPhone 3GS から現在の iPhone 5 まで、iPad は初代から iPad 3 まで、全ての機種を iOS  のアップデートとともに継続して使用してきた。

iPad mini を早々に処分したのも iPhone 5S をスルーしたのも、それ以前の機種と比較して、それほど大きなメリットがあるわけではなく、とりたてて必要と感じなかったからであり、あくまでも用途の問題からである。

現行メイン機となる iPhone 5 と iPad 3 は、不本意ながらも最新版の iOS へとアップデートしてしまったが、現役を退いた旧機種は使用していた最後の状態で、アップデートは止めてある。

また、Mac の方はサポート業務の兼ね合いでどうしても残さざるを得ない、山猫(10.8.5)やスノレパ(10.6.8)など、機種により様々なバージョンが現存する。

これら複数のディバイスを使い分けるにあたって、操作性の差違がここ最近は気になり始めている。

特に最新の OS X 10.9(マーヴェリックス)や iOS7 を使いだしてから、以前は慣れの問題で何とかなっていた事柄でさえ、なぜか引掛るのである。

仕事柄、日頃からカメラに比べりゃ、はるかに接する時間の長いコンピュータでは、新しいモノに慣れるための時間も多いが、いくら長時間使っていても疲労感ばかりが増すだけで、一向にしっくりこない。

要するに、そんな端から見れば、もっと言えば以前の自分から見ても、些細な問題でしかないようなものが、最近はとても邪魔臭いと感じるのだ。

Mac OS では、新しいバージョンが全般的に優れているなら、処理速度もそれなりである旧機種に対しては、それも仕方のないことと諦めもつく。だが、必ずしもそうなっていない(または、そう思えない)ことが神経を逆撫でし、よりいっそう腹立たしさを増長する。

自動車業界など、新たな規格の免許制度が必要ではないのかと思わせるほどに、最近の車の機構は複雑怪奇に成り果てているし、おそらく自動車からハンドルが無くなる日も、そう遠くないと思っている。

構造を全て理解した上で、乗りこなそうなどと欲なことを考えない限り、運転は楽過ぎるほどになっているのだから、実用性だけ考えれば良いことなのだろう。

それが嫌なら、そのような車種を選択肢から外せば済むことであり、実用性の最低ラインが確定している自動車にとって、さほど困難ではない。

左ハンドルを自家用に供し通勤している知り合いから、帰宅時に営業車から不用意に乗り込んだらハンドルが無かった、という笑い話も聞いたことがある。普段使い分けているミニとポロでは、どちらも右ハンドルでウィンカーとワイパーの位置関係は同一なので迷わないで済むが、たまに娘のジムニーを借りた時は一瞬躊躇することもある。

ただ、それさえも所詮右か左かの単純な問題であり、ウィンカーやワイパー程度なら走り出してしまえば、ものの5分もすれば慣れてしまう。

一般道では、移動の手段という実用性を重視した意味においては、車種ごとの差違などは殆どない。あるのは、価値観とそれに伴う趣味性のベクトルが異なるだけ、といっても過言ではない。あえて趣味を持込んだとしても、それなりの苦労は厭わないことで、ある程度は対応できる。

コンピュータのように、画面に配置するアイコンやメニューにより、マウスや指でコマンドとして操作するインターフェイスが大半を占める機器の場合、ソフトウェアのアップデートによって、操作性の統一もある程度は可能である。

だが、現実の物理的なボタンやスイッチの類いを多く持つ機器では、それさえ壗ならない。かといって、安易にタッチパネルなど導入しようものなら、操作性を根底から劣化させることは、最近のコンパクトカメラを見れば一目瞭然である。

また、そんな機種に限ってファームウェアアップなどで、ユーザの利便を計ろうというアプローチは少ない。(DP Merrill シリーズでは、実際に行っているが、シグマなどマシな例外だろう)

iPhone 登場時に、指で操作するタッチパネルに対して、至極真っ当と思える反対意見を表明した連中も、今では大半が沈黙した感もあるが、絶滅したわけでもあるまい。

こと電話の機能に限れば、現状のスマホ(←いかにもバカっぽい間抜けな呼び方である)一辺倒な製品展開に、不満を抱くユーザも少なからずいるはずだ。

だが、汎用性という点では電話以外の機能が多く盛り込まれた現在のディバイスにおいて、多くの専用ボタンを持つ機種は完全に絶滅したと考えても、たぶん例外は誤差の範囲でしかない。

ただ、そこには完全な統一ではないにしても、アップルがやったように、確立した操作性のルールを相当な覚悟で開発し布教するぐらいの気合いがないと、一般に広く受入れられることは難しい。

ましてや、携帯電話のカメラ機能の操作性など、今の電話屋にそんな要求をしても猿の耳に念仏である。(知能は馬より多少マシかもしれないが、素直に従わない分だけ、馬よりやっかいな連中だ)

ユーザインターフェイスの統一など、その機能が未だ進化の過程にある機器に求めるのは酷だし、下手な統一はイノベーションの妨げにしかならない。だいたい、シグマにそんな要求をするほど、了見は狭くない。

カメラ業界に、ユーザインターフェイス云々を説くには十年早いと感じているし、未だ進化の過程であって欲しいと考えるからこそ、百花繚乱のデザインや機能性に関しても、寛容に構えていられるのである。

しかし、自動車やコンピュータと違って、カメラや写真など自分にとっては百パー趣味の領域である。そこに、客観的な視点による意見や、評価など入り込む余地は殆どない。

人間誰しも、歳をとれば丸くなり我慢強くなって、あらゆる許容範囲が拡がるものであるはずだが、残念ながらどんどん頑固ジジイになっているようだ。

楽隠居も出来ない身にとって、毎日カメラや写真三昧というわけにもいかない。必然的に、カメラの操作性に関しては頭ではなく、体で覚える指が覚えるという、ある意味理想的な境遇に居るわけでもない。

何日かぶりに写真を撮ろうとした時、そうでなくとも劣化が進んだ順応性や記憶力で、やっと体が覚えた操作性を反故にしてまで新しい機能や操作を覚える気力が、果たしてこの先どれぐらい残されているのか、不安を感じる。

もちろんこれさえも、新しい機種を手に入れ、実際に使ってみた後で考えても遅くはないことであり、そんな不安も杞憂に終わる可能性だって皆無ではない。

だが、レンズ交換式ではないことのデメリットより、メリットの方が遙かに大きいことは DP Merrill シリーズで実感しており、ボディ交換の不利な点があるとすれば、操作性が統一されていないと、著しく使い勝手が悪くなることだ。

それは、オリンパス E-410/E-620 において経験済であるだけに、どうしても譲れない線である。世代こそ異なれど、同一メーカによる同一マウントであれば互換性はあって然るべきであるが、あくまでも機械的な互換性に過ぎず、使用者に対する配慮まで為されているわけではない。

カメラユーザの間では過去何年にもわたって、これらのことは至極当然のことと受け止められて来たことであり、何を今さらと思われるだろう。それは、ボディが世代交代してもレンズを資産として受け継ぐことを前提とした、フィルム時代からの旧い常識に基づいているからである。

いずれ、撮像素子はボディではなく、レンズ側に搭載される時代が来ると確信しているが、果たしてそれは、自動車からハンドルが無くなる日とどっちが早いか、…夢見がちな余談である。

それ故に、レンズ交換を否定し、複数のボディ交換を良しとした経緯を振り返ると、今さらながらにユーザインターフェイスの重要性を痛感するのである。

状況によっては、併用し頻繁に使い分ける場面も多々あるが、己の与り知らぬ機能が数多くあったり、現場で臨機応変な対応が即座に出来ないような機械では、使いこなしている(と感じる)実感がないし、第一そんなカメラには、愛着も湧かない。

残念ながら、現状で基本性能や機能より画質に拘る(フォビ厨)なら、選択肢はそれほど広くはない。

dp Quattro シリーズでも、自分にとってメインターゲットになるのは 75mm の dp3Q だろうと考えているが、新しい機種が入り込むことで、一部の機能や性能が上がったとしても、全体のバランスが崩れてしまうと、システム構成の平均レベル向上までは望めない。

それ以上に、どうも鉄撮りを始めてからというもの 19mm(換算:28mm)と 50mm(換算:75mm)のジレンマに陥ることが多くなってきたことも一因となって、30mm(換算:45mm)という標準域の画角に、がぜん興味が湧いてきたのである。

峠道における、二速三速のジレンマみたいなもので、ミニにもクロスレシオな五速があればと思うことも多々あるが、従来避けてきた標準と呼ばれる焦点距離も、できれば早い段階で確認しておきたいという欲求もある。

カメラとしての基本性能や機能はさておき、現行 DP Merrill シリーズの画質にはなんら不満はない。

となれば、道はひとつ。

現有機器とその操作性において、高い互換性を有する機種を選択すること自体、究極の選択といっても過言ではあるまい。

バッテリーキャンペーンにも、なんとか間に合ったので+4個で合計10個となった。充電器も共用できるから、この互換性も Merrill 世代ならではのメリットと言えるだろう。

実際、DP1 Merrill を追加した時点で、既に刷込み済みな予定調和であったようにも思う。DP2 Merrill が加わることで、体系的にひとつの完成形となることも、精神衛生上良いという効果も大きい。

またそれが、少々下がり気味な写真に対するモチべを引き上げてはくれまいか、という期待もないわけではない。

いつの日か dp Quattro を手に入れることが出来たとしても、その後に DP2 Merrill を導入する可能性(または、買える可能性)は、限りなくゼロに近い。

ぶっちゃけ、逆にサンプル画像も発売時期も、そして価格さえも発表されていない今だからこそ、全て納得の上で DP2 Merrill を手に入れる、最後のチャンスかもしれないのである。

そんなわけで一年越しの懸案事項、メリル三姉妹?の揃い踏みである。

ま、やっちまった感は拭えないけどね〜。


…ということで、今月もヒトツよろしく。
2014年03月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.03.01] Merrill vs Quattro 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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