2015年1月23日金曜日

システムフォント

•OS X 10.10.1(14B25) & iTunes 12.01 (26)

計らずも、年明けからアップルネタが続いている。

今のところ、現像済の枚数も少ないから写真に関するネタがないだけで、悪意あってのことではない。(いや悪意も少しあるか)

漏れ伝えられる、アップルの新製品に関する情報から思うに、勘違いなデザイナとその暴走を抑えられない無能な CEO の組合せでは、今後もロクな製品は期待できないだろう。

それは、OS X や iOS といったソフトウェアだけでなく、最近発売されたハードウェア全般を見ても、世界的に売上げが延びているという統計資料自体が俄に信じられないほどの、酷いラインナップである。

例外的に、前年比では多少落ち込んでいる日本市場だけが、アップル製品に対してまともな評価を下しているようにも見えるが、おそらく不景気に加えて円安のダブルパンチによるものが、主な原因だろう。

それなりのモノを売りたいなら、それに見合う価格を設定すべきであり、個々の価値観と吊り合うなら新規購入も期待できよう。お勤め品には価格で勝負という、高潔な理念が在って然るべきだと思うが、個人的には現行の製品群から、新たに購買欲が湧くものは皆無である。

ちなみに、今回は前々回の行き当たりばったりなレイアウト構成により、一度晒した写真を引っ込めるという醜行に及んだこのと反省を兼ねており、昨年の忘れ物シリーズの続きみたいなものである。

前回、前々回ともに、ヨセミテについて書いてみたが、そのメリットが皆無ではないにしても、さほど大きなアドバンテージとは言えず、その他の大きな不満点に対しては、ほんの細やかなものでしかない。

ここ最近は、お気に入りな写真を DTP 化する作業も滞っている。大した写真が撮れていないことも歴然とした原因のひとつではあるが、簡易作業的に行っていた、プレビューアプリでの文字入れがやり辛いことが大きい。

不思議とネットで探しても、この点について大きな不満が聞こえてこないことからも、よほど利用されていないアプリなんだろうと思う。

だが、極力標準アプリで済むことは、それで済ませることを信条としているので、目的の為であってもわりと手段も選ぶのである。

結果として、余計な時間を食ったり、当初の目的も忘れて脱線に次ぐ脱線を繰返した挙句に、全く問題は解決しないということも少なくない。

今回も、端から見ればどうでもよいことではあるが、普段から気になっていたことのひとつが、一応解決出来た気がしていた。そして、そのことによりまた新たな問題も露見したように思うので書いておくことにした。

それは、ヨセミテから変更されたシステムフォントに関するものである。

OS X では、Mavericks (10.9.x) まで長らく使用されていた、“Lucida Grande” から “Helvetica Neue” に変更された。一部には悪名高い iOS 7 から採用されたイトミミズのような細っこいフォントで、以前に比べると文字間ピッチも狭く、貧相な書体である。

特に小文字の “i” や “l” などが連続すると判別も難しい。“Helvetica Neue” だと 1mil­li­liter(1ミリリットル)なんぞ、ほとんどバーコードにしか見えない。

なぜ、変更したのかはミエミエで、単に見た目を iOS に似せたいがための、姑息な手段であることには疑いの余地はない。

ま、己の視力低下も思い知らされる旧ユーザに厳しい、アップルお得意の変更のための変更の一環である。

アップルがレティナディスプレイと豪語する高解像度の、そしてさほど大きくもない画面の iOS 機器では、それほど問題にならない(気にならない)ことだろう。

だが、せいぜい 100 ppi 程度のモニタを使用している旧製品ユーザから見れば、何となく気にせずにはいられない、たいへんムカつく問題だ。

メニューバーの書体も、ここ十年近くに渡って長らく使用されていた Aqua かなフォントから、ヒラギノ系に変更されている。

Aqua かなフォントは、未だにシステム内部に残されているようだが、不可視属性のためにユーザレベルで使用することは難しいようだ。

今までは、それほど気にならなかったシステムフォントだが、Mac OS 黎明期の “Chicago” や “Charcoal” フォントにしても、その当時の画面解像度に見合ったデザインがなされていた。

それは、視認性の問題を解決する手段であり、決して一部の新しい環境に合わせた、見た目優先などではなかったはずだ。前述の Aqua かなフォントなども、必ずしも本文に使って見やすい書体ではない。

だが、メニューや環境設定パネルなど、ユーザがフォントサイズを任意に選択できないところでのみ使用されていたことを考えると、本来の目的はあくまでも見やすさに拘った選択だったろうと思う。

それに引き換え、ヒラギノや “Helvetica Neue” などは、文章としての字面はさておき、必ずしもワード単位での視認性に優れているとは思えないのだ。

で、当面の回避策として、システムフォントの変更を試みたのである。

ヨセミテのリリース当初から、以前のフォントに戻す方法が彼方此方に公開されていた。だが、他にも多くの問題を抱えていたために、自らの環境に取り入れることがこの時期になってしまっただけで、あくまでも優先順位の問題であったに過ぎないのだが、…。

フォントの変更には、“Lucida Grande Yosemite” という非常に分かりやすい名前のソフトを使用してみた。

起動して直後は、やたら英語の画面で概要やら、何か問題があった時の言い訳を書き連ねた画面をしこたま見せられるが、適当に “OK” をクリックしていけば、すべて了承したことを認めるボタンが表示される。

ここから先は、インストールかアンインストール、はたまた恐れをなして遁走するかが選べるので、多少決心が揺らいだり、気の迷いであったことに気がついても安心である。

また、ここまで来れば、アンインストールも可能であることが確認できるので、タイムマシーン頼りになる可能性も少ないだろう。(たぶん)

最後の画面にあった、“Tested on OS X Yosemite 10.10.0 (14A389)” の一文は少し気になったが、今さら後には引けないので、えいやあ、…である。

パッチ当てが正常に行われたのを確認して、念のためにアクセス権の修復を行った後に再起動した。

残念ながら、“Lucida Grande” には “Helvetica Neue” ほどのバリエーションに富んだウェイトがないので、表示に使用されるフォントの一部にしか反映されない。

それでも、ファインダにおけるファイル名の表示や、メニューバーを始め主だった部分は以前の見慣れた書体に戻ったようだ。

今のところ、これといった大きな不具合はない。ただ、一部の動画再生アプリ(MPlayerX & MPlayer OSX Extended)などで、最初の起動に時間がかかる場合があった。

おそらく、字幕表示機能に関連した、フォントキャッシュの再構築に時間がかかっているようだが、一度キャッシュが生成されてしまえば、再起動後でも従来通りの動作に戻っている。

また、懸案であった iTunes 12 のリスト表示では、環境設定でリストサイズを「中」または「大」を選択した場合、時代錯誤にもいまさらな “Osaka” フォントが使用されている。

Font Book アプリで “Osaka” を使用停止にしてしまえば、勝手にヒラギノに変わるが、それでもあまり見やすいとは言えない。

で、こちらも “Lucida Grande” に強制的に変更する荒療治に出た。

具体的には、iTunes.app のパッケージ内にある “Contents/Resources/Japanese.lproj/” の文字書式などの設定ファイル “TextStyles.plist” を Xcode アプリで開いて改竄するのである。

ターゲットは、“HelveticaNeue” と “Osaka”、序でに “HiraKakuProN-W3” および “HiraKakuProN-W6” をそれぞれ “LucidaGrande”、“LucidaGrande-Bold” に変更した。

もちろん、バックアップは大前提で、パッケージから “TextStyles.plist” をデスクトップなどへコピーして、一応オリジナルをとっておく。

そのまたコピーを編集してから、パッケージに戻すという作業であり、こちらも念のために、作業終了後はアクセス権の修復と再起動がお約束だ。

などなどのすったもんだで、なんとかヨセミテらしくない、そして iTunes 12 らしくない、すなわち心落着く以前の環境に戻すことができた。

めでたしめでたし、である。

だが、そうなると欲が出てくる。どうせなら、多彩なバリエーションでも負けていない、Myriad Pro なら完璧ではあるまいか、という疑問が湧いてくる。

ただし、こちらはアプリで一発というほど、お手軽ではない。YosemiteSystemFontPatcher というのがあって、ターミナル経由でダウンロードとインストールを行う。 ちと、ハードルも高そうだが、やってみた。

詳細は割愛するが、結論から言えば、現状のヨセミテで指定されているサイズおよびウェイトは想像以上に多岐に渡っており、フォント種別だけでなく、サイズの調整も必要になってくるので挫けたのである。

同ポイントでも、微妙に文字サイズが異なる Myriad Pro では、日本語(主にヒラギノ書体)とのバランスが鶏肉炒めだ。(なんのこっちゃ?)

結果、やってみただけに終ったのだが、こちらもアンインストールは簡単なので、気を取り直して当初の予定どおり、Lucida Grande に戻ったのである。

それでも、あのムカつく iTunes 12 が、僅かながらも以前の iTunes 10 に近づいたことに多少なりとも満足している。

ま、ぶっちゃけこの後どんなしっぺ返しが来るのか、楽しみである。


…ということで、ヒトツよろしく。
2015年01月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2015.01.23] システムフォント 〜より転載&加筆修正
なお、本家には図表と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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