2015年2月1日日曜日

因美線:鳥取方面・前編

気紛れ鉄撮りの練習シリーズ、因美線の本編である。

先月中に公開する予定だったのだが、アップルのバカタレが余計なネタを提供してくれるもんだから、そちらに時間を食われてしまった。

ま、おかげで一時は盛り下がっていたサイトの更新意欲だけは維持できたようなもので、あとは撮影意欲と現像意欲を喚起してくれる、何かがあれば有難いのだが。

最近、幾つかの製品がサンウェイフォトからも発表されて、その一部はすでに国内のアマゾンあたりでも入手可能になっている。

ただ、その製品自体、一連のクランプシリーズについては、一見して旧製品の焼き直しにしか見えないのが気になるところ。この会社も、そろそろ停滞の時期に入ってしまったのだろうか?

いまだ、その製品に触れたこともないので、いい加減な憶測に過ぎないのだが、オフィシャルサイトで確認できる画像(いつもこれが唯一の情報だったりするのだが)から受ける印象は、あまり芳しいものではない。

いまひとつ新製品としてのインパクトに欠ける気がしているので、いずれ各方面から、辛辣なコメントが寄せられるものと思う。

個人的には当面、64mm 版のパンニングクランプ(DDH-04)が、バリエーションを拡げるという意味では興味を持った。また、インデックスローテイタとパンニングクランプが合体した IRC-64 という製品にも注目している。(☟以下、ご参考)

Sunwayfoto Panoramic indexing rotator panning clamp IRC-64

問題は、国内の流通価格の一点のみが気掛かりであり、現状での従来品インデックスローテイタ(DDP-64M)の極端な値下がりを見るにつけ、魅力的な候補となるにはもう少し時間がかかりそうな気がしている。

現状では、機材関係での要求はそれほどないが、出来ればレベリングベース(DYH-66i)のより軽量コンパクトな製品を望みたい。

また、カメラ本体関係では機材以上に欲求もなく、現状に満足というわけでもないのだが、あまり高価で魅力的な製品を出されても悩ましいだけで終りそうなので、まいっかというのが正直なところ。

シグマにもあまり期待できそうにないが、ブツブツいいながらも現像ソフトだけは、新しい Photo Pro 6 のワークフローに馴染んで来つつある。あれだけ、エラそうに文句を垂れていたにも拘わらず、こうも簡単に移行できる人間の順応性の高さには驚かされる。

だが、未だに DP Merrill 世代の現像においては、露出補正値が記録されないなど、果たして修正する気があるのかどうかも分からないバグも含んでいる。

X3F Raw データに SPP6 独自のパラメータを保存するせいか、一度現像したファイルは SPP5 でやり直しもきかないから、なかば諦めて使用しているのが現状であり、いつ旧版に戻ってやろうかとも考えているのだ。

他に選択肢のないことに胡坐をかいて、どこぞの巨大企業のように精進を怠っていては、いつかそのツケが回ってくる日が訪れるだろう。

ま、そんなこたあどうでもいいのだ。どうせ、シグマの連中がこんな銀河辺境の惑星タトゥイーンみたいなサイトを訪れることはありえないから、好き勝手の言いたい放題なんである。

で、撮り合えず因美線:鳥取方面の前編である。

いつのもように、国道374号線を北上、林野から県道388号線で国道429号線へショートカット、大原から国道373号線を経由の後、智頭からやっと国道53号線へ入るという、あまり素直ではないルートを選択した。

危惧された、西粟倉から先の通称志度坂(しとさか)峠も、路上の積雪は皆無である。旧志戸坂隧道のトンネル、現在では廃道となり、新しい国道373号の志戸坂トンネルになっている。

新しいとはいえ開通は80年代初頭で、既に30年以上経過しているのだから、この道を初めて通る自分が70年代を最後に、ずいぶんとご無沙汰だったことを思い知らされる。

岡山県側では時折青空も見えていたが、トンネルを越えて鳥取県に入った途端に小雨模様で、除雪された道路脇の雪もほとんど溶けている。

当初のお目当ては因美線だったので、途中の智頭線は割愛し、撮影開始は智頭駅の隣、因幡社(いなばやしろ)駅からである。

現在は1面1線単式ホームで、対面側の2番線はすでに無い。どうも鳥取県のトレンドらしいのだが、どの駅にも駅舎内には散髪屋の店舗が併設されている。

因幡社駅でも、出札業務が委託されており、散髪屋の定休日はそれもお休みらしい。駅の開業は大正末期だが、駅舎も含めてそんな面影はどこにも見当たらず、ごくありふれた田舎のローカル駅である。

しかし、非電化路線といえども、津山線や姫新線と大きく異なるのは、なんといってもここは特急が運行されている路線なのだ。

その頻度も、伯備のやくもほどではないにしても、ローカル列車が極端に少ないこともあって、最も頻繁に見かけるのはスーパーいなばとスーパーはくとの2つの特急列車である。

もちろん、因幡社駅を含めた通過駅でしかない、多くの駅時刻表はスカスカであることに変わりはない。だが、それでも道中何度か目撃した通過列車は、特急・特急・普通・特急・特急といった印象で、少なくとも線路の上だけは結構活気がある路線だ。

ここでも、たまたま撮れた列車はスーパーいなばだったし、キハ187系のリベンジを狙うなら、この路線を選ぶべきだったと、今さらのように気がついたのである。

まあ、地方ローカル線といえども、単線区間であれだけの本数特急が飛ばしてりゃ、え〜い、邪魔だ!どけどけってなもんで、鈍行もおちおち走っていられないダイヤになるのは必然なのかもしれない。

因幡社駅から、次の用瀬(もちがせ)駅まではおよそ4Km 弱の距離でしかなく、国道から一本奥の旧道沿いにある駅に気づかずに、思わず通過してしまった。

もっとも、そこからたった1Km 少々しかない隣の鷹狩(たかがり)駅は、国道沿いにあるにも拘わらず見逃してしまったぐらいで、普段自動車での移動に慣れた感覚でかつての鉄道を見ること自体、既に無理があるというか、距離に対する認識を一度リセットするべきなのかもしれない。

スタート地点の選択で、そこに至るまでの距離を無視できるなら、ローカル線の撮影に関しては、原付あたりが相応しいような気もする。

だが、体力の及ぶ範囲ではあまりにもエリアが限定されるので、現実問題としてはかなり無理がある。かといって、当該路線を利用して自転車&輪行袋などというド根性もないので、まあ言ってみただけなんだけどね。

地方ローカル線の駅には、ぜひレンタル原付の設置をマジで検討して貰いたいものだ。

そんな、そのまた次の国英(くにふさ)駅近くまで行過ぎてから気がついて後戻りした、用瀬駅である。

ここは、駅周辺に旧来の町並みが残っており、もちろん家屋自体は新旧混在だが、昔ながらの駅を中心にした集落然とした景観なのだ。

駅の近くには、どこぞの殿様の出城かと思わせる、大層御立派なお屋敷などもあったりして、今まで撮ってきたローカル線の駅とは少々趣が異なる。

まあ、そのへんはあまり興味もないんで、ロクに調べもせず適当に書いているので、あくまでも私見に過ぎないのだが、それなりの雰囲気も保っているように見える。

用瀬駅は、1面2線の島式ホームで、上下線とも1番線を通過する一線スルー式の交換線を有するが、特急は停まらない無人駅である。駅舎は、ホームより低い位置に建てられており、ホームへ出るためには改札口を出て陸橋を渡る必要がある。

また、木造ではあるがそれほど古いものではなく、わりと新し気な赤い瓦屋根には、積雪に備えて融雪ヒーターが設置されている。

因美線の他の駅と比べると、駅周辺の家屋の密度も高く幾つかの店舗も点在するのだが、平日の午前中とあって人通りも疎らで、殺風景な駅舎内だけが印象に残る。

用瀬駅と同様に通過してしまった鷹狩駅は、駅舎もなく1面1線の単式ホーム上に、待合所が設置されただけの停車場である。国道沿いにあるので、注意深く見れば確かに駅の存在らしきもの確認できる。

だが、逆に用瀬からも国道からも近すぎて、暫く前から並走する国道を走っている車からは、列車でも停まっていない限り目に留ることはないだろう。

国道から少し離れているにも拘わらず、存在感だけで言えば、その隣の国英駅の方が大きい。集落の間を抜け、少し高い場所に登っていく道の彼方に国英駅がある。

かつての駅舎がどんなだったのかは知らないが、その中央部分と思しき建物だけが残されており、雨模様の山々を背景にポツンと建っている景観は、いやが上にも侘びしさを助長する。

駅舎の建物自体は、因美線のその他の駅同様、実用面での改修はそれなりに行われており、旧くもなく新しくもなくといった感じだ。駅周辺には僅かの民家しかない上に、少し高い場所に位置するホームからの眺めは良く、北西方向に田園風景が拡がる。

駅舎内には、携帯端末に興じる女子中学生が約1名、智頭方面行きの列車を待っており、しばらくして大原行きの HOT-3500形気動車がやって来た。撮影時は気がつかなかったが、運転士は女性のようだ。

この先の因美線は、北の山を迂回して東へ向かい河原(かわはら)駅へと続く。途中、千代川の対岸にある山の中腹に、唐突に天守閣のようなものが見える。後で調べたら、河原城という名の模擬天守で、お城山展望台と呼ばれる観光案内所と資料館を兼ねた建物らしい。

靄の立ちこめる山々の中に忽然と現われた河原城は、なかなか絵になりそうだったので少し寄って撮ってみたが、前景の道路や住宅などとのミスマッチングで、それほどのモンでもなかった。

それ以上に残念だったのは、河原駅手前の曲線区間での失敗である。

曇天とはいえ、開放なら 1/500秒ぐらいは楽勝で稼げそうだったから、ミニとのツーショットを収めてやろうと線路脇で待ちかまえていたのだ。しかし、タイミング悪く列車の通過直前に DP1M の省エネタイマーが作動し、電源が切れてしまった。

慌てて再投入したものの、プリセット値は最もよく使う f5.6  の設定で、シャッター周りのダイヤルもデフォの絞りから、使用頻度の高い露出補正に変更してある。

加えて、ディーゼルエンジンの咆哮とともに現われたのは、想定していた HOT3500 ではなく、リベンジリストにも載っている HOT7000 だったので更に慌てた。

その結果、スーパーはくとの先頭車両が現われた時には、練習ショットで予定していた開放 f2.8 へ戻す余裕もなく、無念の f5.6 で見事に被写体ブレというお粗末だ。くそ〜。

次の列車を待つのもアホらしくなって、前述の河原城でも撮るかとその場を離れたのだが、帰宅後に現像してみたらその城もイマイチ過ぎたことに、意気消沈である。

河原駅は、かつては1面2線島式ホームだったが、現在は1面1線の単式ホームの停車場となっている。そのせいか、駅舎とホームはずいぶんと離れている。レイアウトとしては、美作河井駅に近いのだが、住宅地が近いこともあって印象は大きく異なる。

ここも開業は大正時代のはずだが、現在も残っている木造駅舎を色々な角度から眺めてみても、新しいのやら旧いのやらよくわからん建物である。寂れているのは確かだが、侘・寂感というのとは少し違うようだ。

それに引換え「国中一区駅前トイレ」と命名されたトイレの建物は、不釣り合いなほど立派である。名称は駅前トイレとなっているが、実際は駅舎の横に建てられている。だが、そんなところにツッコミを入れても仕方がないので、次の郡家(こおげ)駅へ向かった。

河原から郡家までの経路には、郡家から若桜(わかさ)ヘ向かう若桜鉄道の線路が並走しており、途中には因美線にはない八頭高校前駅という一校御用達な駅というか、停車場もある。

山陽本線でいえば、西川原・就実駅みたいなもんだろう。だが、本線だけでなく赤穂線の列車も停まる彼の駅とは違い、因美線の線路は100m以上離れたところを通っており、相互乗り入れにはなっていない。

智頭方面から通う生徒は、郡家まで行って折り返さねばならぬようだが、郡家駅までは1Kmもないから、実際この駅がどの程度利用されているのかは不明である。

中国山脈を無事に越えられた時点で、とりあえず郡家駅までは行ってみるつもりだったので、ここまでは一応予定通りである。

ぶっちゃけ、その後はどうするかは決めてなかったので、新築改装中の郡家駅とその周辺を適当に撮ったあとは、昼飯でも食いながら考えるべえということにした。

以前の、鳥取県西部地域への遠征でセブンイレブンが無いことは重々承知していたので、岡山県内で珈琲だけは確保して Thermos の水筒に入れてある。

だが、弁当ぐらいは地元で調達して、僅かながらでも地元の経済活動に貢献できるだろうと、高を括っていたのだが、…はて、コンビニはいったい何処に?

次回、因美線:鳥取方面・後編へ、…つづく、かな?


…ということで、今月もヒトツよろしく。
2015年02月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2015.02.01] 因美線:鳥取方面・前編 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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