2014年5月25日日曜日

トラベラー三脚(SIRUI T-2204X)

久々の機材導入ネタ、トラベラー三脚である。

最近は、ガソリンも高い。高いが、高騰にマヒしてしまったのか、以前ほど話題になっていないように見える。

ハイブリッド車や低燃費車が巷に溢れているので、誰もそれほど気にしなくなっているのかも知れない。もしそうなら、これは由々しき問題だ。

なんでも価格に鈍感になってしまうと、狡猾な大企業や政治家連中に上手く利用されるだけだ。裕福な方はもちろん、それほどでもない方にも、ぜひとも大型大排気量の不経済極まりない車をどんどん買って、もっと石油価格に敏感になってもらいたいものだ。

姫新線や伯備線などは、たとえわずか半日の移動であっても、走行距離はそれなりに増えるので、その費用も馬鹿にならない。ましてや、仕事も絡まない撮影行となれば、そう気軽に出掛けることも憚られる。

前回、吉備線では雑用もあったのでミニで廻ったのだが、駅周辺では如何に地方ローカル線といえども、駐車スペースを探しながら良いポジションを探すのは結構気疲れする。

で、せめて近場の撮影は、原付で賄うことにしたのである。

以前、俯瞰で撮りたいがために、老体にムチ打って山の斜面にアタックをかけたことが何度かある。

現行の撮影機材一式を持ったまま挑戦するほど、体力に自信があるわけでもないので、たいていはカメラ本体のみか、せいぜい一脚または、軽いだけが取柄の三脚で妥協せざるを得なかった。

その結果、出来上がった写真はあまり満足できるものではなく、それ以上に撮っている時点ですでに面白くないという、重要な要素に欠ける撮影になってしまった感があった。

現在メインで使っているマンフロットの三脚も、単体では僅か 1.29kg とカーボンならではの軽量を実現している。しかし、必修のレベリングベースと主力の2ウェイ雲台のみのシンプルな構成でさえ、そのトータル重量は軽く(重く?)2kg 越えとなる。

・Sunwayfoto DYH-66i:295g
・Sunwayfoto DT-02 & DDH-03:338g+126g=464g
・Manfrotto 190CXPRO3:1,290g
・合計:1,290g+295g+464g=2,049g

当初、三脚バッグも車での移動を前提として、その構成で収まる余裕分も想定したサイズを選択した。 その結果、カメラ本体を除いても総重量は、約2.7kgとなってしまう。

・Manfrotto MB MBAG80PN:630g
 外寸(内寸):80.0 cm(76.0 cm)
 雲台側外寸(径):23.0 cm
・総合計: 2,049g+630g=2,679g

ただ、毎回山登りを好んでしようとわけでもないし、非力な原付とはいえこの程度の荷物でどうこうなる重さではない。

問題は、重量もさることながら、その収納サイズである。

マンフロットのバッグも、背中に担げるようなストラップは付属している。 だが、三脚本体に加えて、レベリングベースや雲台も取付けた、総重量 2.7kg 長さ 80 cm にもなるモノを担いでは、余程近いところでないと原付で行く気にはなれない。

ましてや、降りてからの移動を考えると、このバッグのサイズは少し大仰な気もする。いずれは、現地までその路線を利用した撮影行なども企てているので、列車内でのことを考えても、今少しサイズ的なメリットに興味が湧くのである。

例によって、コンパクトなトラベラータイプの三脚について調べてみた。

まず、候補として上がったのは、定番のジッツオのトラベラーシリーズだ。しかし、その価格から先ず間違いなく却下されることは、火を見るよりも明らかで、無駄な揉め事の種を蒔く必要もないと考え、今回はスルーということに。

次に思いつくのは、そのパチモンと思しき SIRUI T-1204X である。重量も1kg を切っており(実際は1,100g)、4段で縮長40cmというコンパクトさを実現しながら、全伸高140cmというのにも惹かれる。マンフロットの146cm と比べても、それほど違わない高さになる上に、最も細い4段目でさえ同等の16mmである。

最初に導入した一脚(SIRUI P-326)とマンフロットを比べたとき、この一脚を三本使った三脚なら良いモノになるだろうと思った。段数の差からトップは190CXPRO3 とほぼ同じ25mmだが、さすがに6段の三脚というもの見かけないので、全伸高が同等なら十分だろう。

ネットでの評判も良好なようで、一様にコスパの良さをその魅力としているものが多く、その辺りもこちらの認識と一致するものであった。早速、現在の相場を確認するため調べてみるが、ひとつ上位のモデル(SIRUI T-2204X)も同等か、ショップによっては下回るものもある。

そのスペックは、なんと縮長は僅か1cm ほど長いが全伸高143cm とプラス3cmのメリットに加えて、P-326 と同様にスパイクタイプの石突を内蔵している。基本構造はほぼ同じだが、4段目でさえ19mm とトラベラータイプとしては異例に太いことが、三脚本来の機能にも期待が持てるものだ。

三脚の評価でよく引き合いに出される脚の太さだが、幾らカーボンといえども所詮は中空のパイプであり、それ自体がどの程度の違いとして現われるのかは、自分自身では未だ検証が出来ているわけでもない。

最下段以外は、その構造上中空であることは避けられないが、必ずしもその必要のない最下段でさえ、細いことによるデメリットを何らかの工夫により、強度を増そうという試みはされていないようだ。

何か詰めモノでもすれば、強度が上がるというわけでもないのかもしれないが、それはマンフロットもシルイも同様で、最も細い最下段も中空のままである。

また、以前は一段あたりの差が小さいことが技術的に優れている証のように考えていたが、結果的に各パイプ壁面の厚さにかかわることになる。

したがって、果たしてどちらが良いのかも疑問であり、あまり小手先の仕様諸元に躍らされるのも如何なものかという気もする。三脚に限らず、脚は太過ぎても細過ぎても、個人的なストライクゾーンからは外れるが、それはまた別の話だ。

ネットでも、こちらの方が製品化されて長い関係で情報も多いし、もちろんその評判も T-1204X 以上に良好である。

トラベラータイプの 2200 シリーズのラインナップには、1200 シリーズと同様に5段タイプ(T-2205X)もあって、その縮長 37cm には強く惹かれたが、全伸高は139cm と少し短くなる。

以前、短期間だが iPad mini を使っていた時、ノーマルサイズに比べて小さいことのメリットは、主に持ち運んでいる間だけで使用しない時にしか享受できないことに、イマイチ感を募らせていた。

だが、三脚なら小さく持ち運んで大きく使うことも可能なので、必要以上に収納サイズばかりに拘るのもまずかろうと考えたのである。

マイナス4cmは確かに魅力だが、180度反転により収納時の縮長をより短くするタイプの三脚は、その構造上それを実現する為にはセンターポールも短くすることが必修となる。

そして、それは全伸高に影響するので、何を優先するかで選択に違いが出るだろう。無闇にスペックを追い求めると、実使用では落とし穴に落ちることもある。

実際、ちょっと小さな穴には落ちたが、…。(詳細は後述)

で、アマゾンの価格を参考にするなら、T-2204X の方がコスパに優れるという結論に至ったのである。

ただ、問題はその価格である。現在は型代わりをして、随分と高価になってしまった感のある190シリーズだが、それに比べりゃ安いとはいえ、以前のマンフロットとほぼ同等であるので、かなり根回しも必要となることが予想された。

幸い時期的には恵まれており、自分用の誕生日プレゼントを自分で買うということで、なんとか稟議を通すことができた。ついでに、小型軽量の自由雲台(Sunwayfoto FB-28i:ボール径 28mm/207g)も、このどさくさに紛れて発注した。さすがに、こちらは少し揉めたが、毎度のご愛嬌である。

そういえば、SIGMA DP2 Merrill の時も、また Sunwayfoto FB-36DL の時にも、そんな内容の嘆願書というか口実を使ったように思う。たぶん、すでに3年ぐらい先の誕生日分まで、もう使い果たしているような気がしないでもない。が、ここだけの話、来年もこの手は使うつもりだ。

で、実際の使用感であるが、笑っちゃうほどコンパクトで軽い FB-28i のお陰もあって、すこぶる良好である。

この、FB-28i 旧製品の FB-28 の改良モデルである。改良点は、独立したパンロックノブが追加され、ファミリーの他のモデルと同等の機能を有するが、テンションのプリセットは前モデルと同様にできない。

要するに、任意に設定するもっともユルい位置の設定だが、その機能を持つ他のモデルでもそれほど必要と感じたことはないので、個人的には不足はない。

このあたりは、もっとセンシティブな DT-02 をメインで使用していることによる、慣れみたいなものが影響している可能性はあるので、話半分に聞いていた方が良い。

それよりも、独立したパンロックがない前モデル(FB-28)は、いったいどうやってロックするのかという、その仕様の方に興味を覚える。

ボールを完全に固定しないと、いつもクルクル回るのだとしたら、恐ろしく使いにくいと思うが、その確認のために追加購入するわけにもいかない。

当初、発送の関係で三脚の方が先に到着したので、手持ちの FB-36 で使用してみた。見た目のサイズ的には、こちらの方がピッタリであり、十分に軽量なシステムにはなる。

一応、普段通りの FB-36DDHi 仕様でセットしてみたが、トップが円形のため収納状態でも干渉することはない。

また、サンウェイフォトと違って、サービス精神旺盛なシルイの製品である。センターポールの延長と、ローアングル撮影に必要なショートポールも標準で付属している上に、一般的には別売オプションが当たり前のジャストサイズなバッグまで付属しているので、トータルのコスパはマンフロット以上である。

もちろん、三脚としてのコスパにも優れている。価格が同等であれば、必然的にその内容にも十分満足できていることが、その理由となる。

ちなみに、コストパフォーマンスというのは相対値ではあるが、パフォーマンスが悪けりゃたとえ価格がゼロであっても、上がるわけではない。無料(タダ)でも要らない、という言葉がそれを証明していると思う。

ただ、前述の小さな落とし穴もなかったわけではない。大した問題ではないのだが、例によってネットでの情報も不確かな部分があるのは毎度お馴染であり、事前に確認したスペックでも複数の数値が交錯していた。

それは重量に関することで、一説には T-1204X は900g、T-2204X も1,100g という情報もあって、これを信じるなら T-1204X と比較しても、実質 200g 程度の差でしかない。

セット製品に存在する SIRUI G-10Xとの組合せが 1.3kg であることから、G-10X よりも 100g ほど軽い Sunwayfoto FB-28i との組合せなら、T-2204X でも十分そのレベルの軽量化は実現できる。

G-10X は単体でも 300g あるはずなので、この時点ですでに怪しい数値だが、それでも当初考えていた、純正組合せ SIRUI K-20X(400g)に比べると、200g 近い軽量化は可能だ。

だが、実際には1,100g というのは、付属のショートポールに変更した場合の重量であり、ノーマルサイズのポールでは 1,250g、両方組合せた場合は 1,300g とマンフロットよりも、僅かながら重たくなるのである。

もちろん、オフィシャルサイトで確認すると、ショートポールも含めた最大重量が正しく表記されているので、あくまでも非公式情報に過ぎない。
したがって、嘘ではないがちょっと紛らわしい、ジャロにいうちゃろうのレベルではないのだ。(JARO:公益社団法人 日本広告審査機構)

軽さだけを突き詰めれば、その製品の最小値を条件付きで表記する程度ことは、どの業界でも行われている。世界最小とか業界最軽量などという謳い文句の側には、必ず小さな文字で注釈があるものだ。

その程度のことなら、文章が解りにくい上に、読めないほど小さな文字の注釈だらけで、実質無料などと平気で宣伝している電話屋のなどに比べりゃ、詐欺とまでいえない。(電話屋は間違いなく、詐欺師だと思うな)

実は、止むに止まれぬ事情から、なんとこの時期に iPhone 5s に機種変更するという暴挙に及ばざるを得なかったのだ。18ヶ月ぶりに訪れた某 S●ftbank ショップで、その思いを新たにしたが、もちろん余談である。

また、個人のブログなどによると、最上部にある緩衝用のスポンジが、三本とも巻いてある仕様のものも存在するらしい。公式サイトでは2本のみの画像で紹介されており、今回の導入した個体もその2本のみ仕様であったことを付け加えておく。

導入以来、機材関係の物撮りの時ぐらいしか、レベリングベースを外すことはなかったし、大抵はインデックスローテイタまで搭載した状態で、専用バッグ収まっているマンフロットだが、確認のために本体のみにしてみると、T-2204X と殆ど変わらないぐらいに軽い。

数値上では同等であることは把握していたものの、普段の使用ではそれほど軽さを意識したことはなかったので、今更ながらに意外な気がする。それだけに、新シリーズが重くなってしまったのは残念である一方、昨年買っておいて良かったという、セコイ満足感もあったりするのだ。

ま、今回の最重要項目は重量ではなく収納時のサイズなので、T-2204X 自体の追加導入に、なんら問題があったわけでなはない。

それ以上に、Sunwayfoto FB-28i との組合せで実現できる、持ち運びの容易さと展開した時の、マンフロットと同等の剛性感と高さを合わせ持つという、トータルのメリットには満足している。

付属のショルダーベルト付きの専用バッグも、必要にして十分なクオリティを持っており、これ以上望むなら金を払えと言われても、文句はないレベルだ。

収納時にカーボンパイプと金属製のネック部分が接触して、傷が入るのを防止するためと思しきゴムのワッカまで付いている木目細かさは、シルイ製品ならではと思わせる。(マニュアルには記述がないので、製品輸送時の対策の可能性もあるが、そのまま使用は可能だ)

付属品に限らず、三脚本体に注目してもノーマルサイズのポールは下端にカウンタウェイトとして、カメラバッグなどを吊り下げるフックも装備している。また、前述のP-326 と同様に、脚先のゴム部分を回すと出てくる金属製の石突を内蔵していたり、雲台取付部分のネジ(UNC 3/8 & 1/4)も反転させることで両対応となっている。

マンフロットが、その特異なセンターポールを横方向に転換することで実現している機能の一部は、T-2204X でも可能である。それは、ショートポールに変更できるだけでなく、どちらも上下逆に差替えることで、ローアングル撮影にも対応できるのである。そのような機能面においても、いわゆる全部入りなんである。

あえて難点を挙げるとすれば、これもあくまでもマンフロットとの比較だが、センターポールに回転機能がないので実際に設置する場合、雲台のパン機能がないとちょっと使い勝手が悪いと感じた。

現状では SIRUI L-10 とでも組合せない限り、大きな問題ではないが、このあたりは極私的な不満かも知れない。

実際に使用したことがないので断言はできないが、ジッツオトラベラーシリーズの何れに対しても、半額以下、付属品も考慮すれば1/3にもなろうかというリーズナブルな点も、コスパ重視の庶民には歓迎できるところなのである。 

だが、海原雄山みたいなヤツが現われて「本当のジッツオを教えてやる、これでも使え!」と GT-1544T でも投げつけてくれりゃ、コロッと評価は変わるかもしれない。 

ま、事あるごとにそんな夢見がちな願望を呟いたところで、未だ山岡も海原もお目にかかったことはない。 したがって、現状では SIRUI T-2204X & Sunwayfoto FB-28i がベストなんである。

日も長くなって SIGMA DPM シリーズにとって、何かと撮影機会も増えてくるこれからの季節である。 

未だ、その機能を細部まで確認するには至っていないが、原付で出掛けても、さぞや快適な撮影行となるに違いない、と期待している。 



…ということで、ヒトツよろしく。
2014年05月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.05.25] トラベラー三脚(SIRUI T-2204X) 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

3 件のコメント:

  1. T-2204Xのセンターポールですが固定があまいのか伸ばすとカメラがかなり揺れるのですが、そちらではどうでしょうか?

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    1. >hkoie さん江
      センターポールは、日常的にショートポールまで追加した上に、一杯に伸ばした状態で使用していますが、縮めた状態と大きく変わるという印象はないですね。もちろん、ロックナットはシッカリ締めていることが前提ですが、Manfrotto 190CXPRO3 のセンターポールを伸ばした状態と比べても、取り立てて弱いと感じたことはないし、トラベラーモデルという性格上その強度も程度問題ではないかと。

      ま、当方トップのカメラが DP Merrill なんで、もっと重たいモノが載れば多少違うのかもしれませんがね。

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    2. ありがとうございます。ギチギチに締め上げてもアソビがあるようなので問い合わせてみて修理に出すか考えます。

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