2014年5月19日月曜日

鉄撮りの練習:其の拾(吉備線)

ついに、練習シリーズも十回目となった。

練習と称して、手当たり次第にそこら中の鉄道を撮っていたら、こんなことになってしまった。

当初はほんのカルイ気持ちだったのだが、毒を食らわば皿までということで、行けるところまで行ってみようと思う。

市内を走る在来線も、岡山駅を起点とする宇野線や津山線、東岡山を経由して乗り入れている赤穂線、倉敷駅を起点とする伯備線など、練習シリーズでもだいたいは網羅してきた。

ただひとつ、吉備線を除いて。

今日でまたひとつ余計に歳を重ねるので、そんな記念に超ローカルな路線も撮り上げてみることにした。

今月に入ってからも、本線以外に津山線や赤穂線などを撮ってみたが、なかなか吉備線に対しては撮影意欲は湧かない。

現在では、キハ40・47系しか走っておらず、この車両には必ずお約束のように見飽きたという形容詞がついてしまうのは、そんな理由でもある。

実家に最も近く、小中学生当時には蒸気機関車(C11)なども見かけた、たいへん親しみ深い路線である。たぶん、一度や二度は乗っているはずだが、あまりそんな記憶もない。

近いと言ってもそれは駅ではなく、あくまでも線路が踏切がという意味であり、その距離は150mもない。吉備線の最寄り駅である備前三門駅は、西へ 500m の場所にある。

だが、市の中心部に向かって東に1km も行けば岡山駅があるので、総社方面にとりたてて用事でもなければ、おのずと乗る機会もなくなる。

高校時代に、通学定期で嫌になるほど乗った津山線とはまた違った意味で、普段の生活に一番近い路線でもある。しかし、だからこそ車や単車、場合によっては自転車や徒歩でも代用できる距離でしかないその経路は、交通手段としての役割から外れてしまう。

その上、高架線化されていない区間が市内を横断しているので、普段の移動においては、その踏切が邪魔な存在として疎まれる路線というイメージが強い。当然、非電化区間の単線である上に新型車も運用されず、キハ40•47 ぐらいしか見かけない。

以前は市内を車で移動中、どうせスカスカのダイヤでしかないはずの吉備線の踏切に引掛るなどということは、よっぽど運が悪いのだろうと考えていた。

だが、あらためて時刻表を調べてみると、上り下り合わせて一日70本近くが運転されている。日中、特に朝夕は往復では時間辺り4本以上はあるので、それほど稀な事とも言えないのである。

三門駅周辺も道路整備が進んで、かつてのような何処へ行くにも回り道に次ぐ回り道、裏道から裏道な状況ではなくなってきている。

車で移動するには、都合の良い環境になりつつあるのだろうが、そんな時に吉備線の踏切にかかってしまうと、大抵口をついて出てくる言葉は「チッ」か「え〜い、クソ」以外には無い。

で、待たされている間に考えることといえば、交通量が少ない吉備線の方が待つべきだろうなどと、身勝手な妄想に終始する。一時停止が必要な踏切なんか全廃にして、いっそ信号にしてしまえば良いのに、と。

ま、車社会を中心に据えれば、考えることは皆同じようで、吉備線を路面電車化してライトレールへ(LRT)の転換も検討されているらしい。

だが、さほど早いとも思えない道路行政に比べても、鉄道関係の変化は民間会社(JR 西日本)の利潤がらみの問題から障害も多いのだろう。構想の発表から十年以上経過した現在でも、せいぜい要望書が提出された程度でしかなく大きな動きはないので、いったい何時になったら実現されるやら、全く当てにならない。

現状では、住民の意識そのものも車中心に傾いているのだから、その手の革新はカメの歩みに等しい。

鉄撮りの練習でさえ、未だその路線を利用したことはないし、現地での移動を考えれば田舎へ行けば行くほど、専ら車や単車に頼るようになる。

よほど、金と暇をを持て余しているなら話は別だが、経費的、時間的なことを考えると、残念ながらそんな余裕は無い。

自分自身の生活を振り返ってみても、公共交通機関に対する関わり合いなど、その程度でしかない。そのことが、前述の信号や踏切に対する、自己中かつ日和見的な考えにも繋がるのである。

したがって、そんな考えも一歩車を降りると少し変わる。実家の周辺を徒歩で歩いてみると、途端に今度は車中心の信号機にムカついてくるのだ。

裏道から、国道や県道へ出て横断しようとすると、大抵は関知式信号であることが多いのだが、ボタンを押してもそう簡単には変わってくれない。

朝夕を除いて、日中の交通量も高がしれているし、徒歩や原付の場合は横断歩道や信号のない路地から強行突破しているので、それ自体普段はそれほど気にしたこともない。

だが、たまにワン公の散歩などで、そんな信号のある横断歩道を通るときもあり、その場で一緒に待っている老人や小さい子供連れた母親は、もう少し良識があると見えて、素直に信号が変わるのを待っている。

いずれ足腰に自信が無くなってくると、横断歩道もない大通りをいつまでも無謀な横断で済ませるわけにもいかなくなるだろうし、いつかはそんな日がやってくるのは間違いないのだ。

頻繁に車が通っている時間帯だけでなく、さほど交通量もない時でさえ、すいぶんと待たされる。もう少し状況に則した、反応が出来るような設定にならないものかと思う。

会社の近くには、前回変わってからある一定の時間(たぶん1〜2分程度)経過していれば、関知した事を示すランプが点灯してから必ず、キッチリ12秒で切替る関知式信号も実在する。(訂正補足:実際に検証してみた。赤になってから、概ね30秒後に停止線直下に止まり関知中が点灯、その後約20秒で切替った。すげ〜、これなら歩行者も苛つくまい。

まるで、関知式信号機の鏡のような存在であり、全ての関知式信号機もこうあって欲しいと思うくらいだ。

これは、歩行者としてだけでなく車や原付に乗って通る時にも恩恵を受けているので、さほど身勝手な意見でもないだろう。

現実に、同じ道をその交差点に対して直交する方向でもよく通る。だが、それほど頻繁に引掛った記憶も無いので、交通量や状況に則した設定が、よほど上手く為されているに違いない。ま、余談ではあるが。

今回、吉備線沿線を三門から足守駅あたりまで撮影してみて、意外と利用者も多い割に、昔から大きな改善はされていないように感じた。といっても、県北のローカル線とは比較にならないものの、1日平均の乗車人数自体、現状ではその数は知れている。

ただ、利用しようにもし辛い状況というのがあるのも事実で、その経路には昨今の情勢には必ずしもマッチしていない場所に、唐突に駅があったり、または無かったりすることが、悪循環のようにも見える。

もっと利用しやすい形態に変わって欲しいという要求から、すでに周辺住民からの署名は数年前から出されているが、今年になって要望書という形でも市長に提出されたらしい。

岡山には、他県ではそれほど珍しくも無い県営市営等の、いわゆる公営の公共交通機関がない。現在の JR 西日本も含めて全て民営であり、政令指定都市ではきわめて稀な存在ではないかと思う。

それ自体がどういう意味を持つのか、また何故そうなっているのか、その理由や背景は良く知らないが、そんなことも改革が進まない一因になっているような気もする。

いずれにしても、こういった社会情勢から、現状の吉備線には今少し現実に即した改善を望みたいものだ。

とまあ、俄仕込みの浅薄な知識で無責任なことを書いても仕方がないので、このへんにしておこう。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年05月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.05.19] 鉄撮りの練習:其の拾 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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