2014年6月15日日曜日

サンライズエクスプレス

日の出の時刻というものは、季節と共に変化する。

岡山地方の日の出は、今週あたりが午前4時51分と年間を通して最も早くなるらしい。それならば、とばかりに恒例の熊山〜和気間の線路脇へ出掛けたのだ。

もう何度目のリベンジだったかも忘れてしまうほど、撮ってきたような気もする。何事も、場数をこなさなけりゃ上達はしないのはお約束だが、場数さえこなせば上達するわけでもないことも、歴然とした事実である。

また、力の入れ具合とその結果が、必ずしも比例するとは限らないのは現実には良くあることで、実はそれほど珍しくもない。

昨年の9月以来、何度となくリベンジを繰返してきた、サンライズエクスプレスである。アレをきっかけに、風景撮影の一環として鉄道写真を撮ることが多くなった。

というか、ここ最近は定点観測以外では、それしか撮っていないようにも思う。

見様見真似で始めた鉄撮りであるが、未だ練習の域を脱したとは言えず、同じような誤ちを繰返している。

それでも、幾度か感触を掴んだ気になっては、今度こそ本番というつもりで臨むのだが、結果的には以前より悪化していたり、新たな問題に気付かされたりで、なかなかイマイチシリーズから脱却が出来ない。

今回も、そんなご多分に漏れずな結果でしかないが、それも厳しい現実として受入れねばなるまい。

一回目は、現地到着が遅れたための準備不足と、焦りが招いたミステイクで、撮影段階でもある程度は解っていた。そのまま帰って現像などする気分になれず、気晴らしも兼ねて別の路線の撮影に回った。(次回以降の姫新線:新見方面シリーズになる予定)

帰宅後も、後から撮った姫新線は翌日には現像作業を行ったが、それ以前の写真に関しては、暫く放置しておくしかなかったぐらいである。

ま、それでも全く無かったことには出来ないので、先日やっと現像に取りかかったのである。絵的には最もマシに見えるショットが、この回の憂鬱の原因であることははっきり分かっていた。

それは、バックアップショットの DP2M 版だ。

この日は、いつもの慣れた2台態勢ではなく、新規導入の三脚シルイ(T-2204X)上に DP2M をセットして、メインである DP3M はマンフロット上にシンプルな構成(DYH-66i & DT-02)で設定し、iPhone 5s を SLIK 500G-7 にという、相変わらず欲張りな布陣である。

この日は、ほぼ定刻通りの運行だったので、設置作業を終えたのは結果的に通過予定時刻のほんの10分ほど前だった。幸い曇天で朝日の直射はないので、光線も回って前面の影もきつくないだろう。予想より、少し暗いが背景の山々には霧がかかっており、絵的には期待できそうな気配である。

一応、DP2M は EV-07 程度のマイナス露出で少しシャッター速度を稼いでおくことにした。直前の 06:04 に通過する貨物列車(EF210-126)でのテストは上々であり、開放では 1/500秒程度が可能だ。

同時撮影の DP3M の方は、EV-2.0 という極端なマイナス補正を試しにやってみたら、1/1,000秒でさえいけるが、さすがに暗過ぎるのでこちらも本番は EV-1.0 の予定である。

桃太郎では、側面反射も思ったほどではなかったが、なにせクハネ285の側面はテカテカであるので、念のために追加の EV-0.3 である。飛んでなけりゃ、現像で何とかなるだろうという甘い考えだが、それに気付いたのはもっと後のことである。

ただ、撮影後にそのプレビューを背面液晶で確認した時、DP3M の構図に疑問を持った。

丁度中央右よりに、下47番の電柱が位置しており、たぶんベストなタイミングで捉えることが出来たら、先頭車両の頭に角のごとく生えてしまうことが危惧された。

もうあまり時間は無いはずだが、少し右にパンして中央左に変えてみたりしていたその時、06:09:30 を少し回った頃に先頭車両の前灯が見え、サンライズエクスプレスの14両編成が、山を背景に曲線区間を立ち上がってくる。

え〜いクソッ、とぼやきながらビューファインダを覗くが、アングルを変えたことでまだ DP3M 上では液晶画面に見えてこない。おい、このアングルでは最後尾が入らないんぢゃねえの、と今更ながらに気付く。

さらに、DP2M で遠景での一枚目撮ろうとした時、いつもの2台態勢より遠いことに気付いて慌ててしまう。そうか、今日は真横に立てたシルイの三脚に設置したんだった。

慣れないことをするとロクなことはない。そのシャッターボタンを手探りで探し当てた時、何かダイヤルに触れてしまった気がするが、そのまま一枚撮ってメインの DP3M に集中する。

マニュアルで、置きピンした下47番の電柱に差しかかるのを待って、バックアップと共に同時連写の予定である。が、DP2M の方は少し遅れた気がする。一枚目の書込みが終わっていれば、8枚目で瀬戸と出雲の連結部分も撮れたら嬉しいなという、何の根拠もない偶然に期待したタナボタショットだ。

実際、そう上手くいくわけもなく、遅れたことにより8枚目では早過ぎ、運良く撮れた9枚目では遅過ぎるという、想定内の外し方であった。

それより、気になるのはメインの構図とバックアップの露出補正だ。シャッター周りのダイヤルは、デフォルトの絞りから露出補正に変更してある。案の定悪い方(明るい方)へシフトされており、被写体ブレも痛々しい 1/320秒(EV+0.3)だ。

絵的な構図とタイミングはバックアップがベストで、写真的な露出に関してはメインだが、タイミングはさておき構図がイマイチで、14両編成の意味は全くない失敗作であり、またもや二兎を追う者は一兎も得ずの典型である。(懲りないねえ)

ま、こうなったらティンカップのロイ・マカヴォイの最終ショットみたいな心境で、何が何でも欲張りなショットを完成させてやるぞ、という意地みたいなものさえ出てくる。したがって、より良い結果が出るまでは、相当な時間とよほどの幸運が必要になる。

その後の姫新線での経緯では、(結果は別として)わりと良い感触が得られたので、そんな惨劇も帰宅するまでは忘れることが出来た。

気を取り直して、現像前の撮って出し JPG による確認作業では、当日の反省点など検証しながらリベンジ計画を練ったのである。

で、翌週に再度チャレンジして、前回の反省点をひとつひとつ潰していくという、比較的堅実なアプローチを試みたのだが、撮影条件が異なれば必ずしも前回の解決策が、毎回通用するとは限らない。

どちらかといえば、その場のノリで対応した方が結果的に良いことも少なくない。そうは言っても、出来れば同じ過ちは繰返したくないので、多少なりとも学習機能の片鱗ぐらいは発揮しておかねばなるまいとは思う。

だが、最終的に現像してみた感想は、なんと昨年九月の最初の失敗作の方が、二回目のそれなりに撮れたつもりの写真より絵的には遙かにマシだったという、驚くべき結果に愕然とする笑うに笑えないものがある。

DP3M のファイル番号から類推して、およそ3,600枚にも及ぶこの九ヶ月間は、いったいなんだったのだろう、と思う。

前回の反省点の筆頭であった、シャッター速度低下による被写体ブレに関しては、一応対策はされていた。しかし、いくらシャッター速度を稼ぐためとはいえ、マイナス補正を掛け過ぎると、現像時に1段以上のプラスではノイズが増えてしまう。

この事実に気がついたのは、実は最近のことであり、今回の失敗を期に以前のサンライズエクスプレスの写真を再度検証するに至ってからという、まことに悠長な話ではあるのだ。

ノイズ低減と解像感のどちらを優先するかといえば、個人的には解像感を失うぐらいなら、多少のノイズには目を瞑る覚悟はある。だか、それはあくまでも二者択一を余儀なくされた場合であり、フツーは両方取るに決まっている。

いっそ、今回は無かったことにして公開は見送り、三度目の正直でもう少しマシな絵が撮れてからとも考えた。

だが、あくまでも自分に対してであるが、今後に期待を持たせるべく最終的な結論めいたものを出すのは、もう少し後まで引張ってみることにした。

次回が、いつになるかは今のところ不明だが、必ずや元々のスタート地点である、ここ熊山〜和気間において納得のいく結果を出すことを心に誓い、決意も新たにしたのである。(うわ〜、だいぢょうぶか)


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年06月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.06.15] サンライズエクスプレス 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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