2014年6月8日日曜日

Manfrotto vs Gitzo ??

どうも最近、巡り合わせがよろしくない。

トラベラー三脚(SIRUI T-2204X)導入後、未だその効用を実地体験するに至っていないのだ。なんとか梅雨に入る前に検証しておきたかったのだが、なぜかタイミングを外してしまう。

ところで、前々回の機材紹介では導入前の期待も大きく、またそれに十分に応える機能/性能から、つい全部入りなどと書いてしまった。

ま、あながち間違いではないとは思っているのだが、ひとつふたつ欠けている機能もあった。そのひとつが、水準器である。

で、またもや機材ネタ、それもなんとジッツォ(GITZO)だ。

所詮、オマケの機能に過大な期待を抱いてもしかたがないのだが、特に水準器に関しては、過去何度もその精度のバラツキには閉口した経験がある。

そのせいか、水準器があろうがなかろうが、いつしか目にフィルタがかかるようになってしまったらしい。

出掛けるチャンスはないものの、室内(またはベランダ)のシミュレーションを行ってみた。

折角、独立したパンベースを持つ雲台も、三脚レベルの水平が出ていないと、十分に機能を発揮できない。しかし、自由雲台(Sunwayfoto FB-28i)だけが載ったシンプルなシステム故に、三脚本体に水準器が無いとなれば、水平出しには苦労する。

トッププレートはパンニングクランプ(Sunwayfoto DDH-02i)に交換してあるので、それに付属する円形水準器を数に入れるなら、全くないわけではない。だが、自由雲台のトッププレートとパンベースの関係は、文字通り自由奔放な設定が可能なので、水平基準となるべき指標とはならないのである。

レベリングベースがないと、こんなに不便だったのかという事実に、今更ながらに驚いている。

で、何とか三脚レベルで水平出しをすることを想定して、目安にでもなればと後付けの水準器を探してみた。気泡管水準器も、写真機材として探すと何かと高く付くので、当初はシンワの丸形水準器の小径版でもないかと、近場のホームセンターを回って見た。

T-2204X のネック部分には、僅かながら平らな部分があるのだが、そのスペースは淵の部分に段差もあって、奥行き 10mm ほどしかない。ここに、何とか円形水準器の小さいものを貼付ければ、邪魔にもならなくて良かろうと考えた。

しかし、田舎のホームセンターで見かける気泡管水準器は、小さいものでもせいぜい 16mm ぐらいまでしか無い。2〜3軒回ってみたが、ネットで見かけた 10mm の製品などは皆無である。

せめて、11mm ぐらいなら底面を少し削れば、段差による水平のズレには対応できそうに見えるが、さすがに 16mm となると出っ張りも大きくなる。どうせ、瞬間接着剤で貼付けてしまおうなどという安易な考えなので、使用中にポロッと外れてしまう可能性も高い。

元が安いモノなので送料まで負担して通販を利用する気にもなれない。勝負は税込 500円以内で決まると考えていたのだが、どうもそういうわけにもいかないようだ。

そんな事情から、再び写真機材から検索してみると、マンフロットから何種類か低価格で製品化されているようだ。

最初にこれはと思ったのが、マンフロットのオートポール水準器 (Manfrotto 032SPL Autopole Spirit Level)である。

アマゾンでも取扱いはあったが、納期が少々かかるのが残念だ。こんなモノは即決即断と相場は決まっているので、ヨドバシで探すとこちらは即納な上に、アマゾンよりも安く送料無料で税込千円以下(¥861)だ。

主にその価格に惹かれて、詳細の確認もそこそこに発注したのだが、実物を見てその大きさに驚いた。

ポールに抱きついた状態で精度を出すには、ある程度縦方向のサイズも必要になるのだろうが、写真から想像したよりも二回りほどデカイのだ。気泡管自体は、直径 11.8mm の円形水準器としてありふれたものだが、当初もっと小さな気泡管が付いているものとばかり考えていた。

ま、必要な時だけ取付ければそれほど邪魔になるものでもないし、実際に付けた状態でも収納は可能である。問題はセンターポールなどに固定する為のゴムバンド(としか言い様がないのだが)もあまりにも太く、本体は干渉しないがこのゴムバンドの方が当たるのである。

それ以上に、気泡管も完全に固定されているわけでなく、指で押えると取付部の中でカタカタ揺れ動く状態では、およそ水平基準にはなりそうにない。許容範囲に収まるよう調整した後に粘土で固定してみるなど、出来る限りのカスタマイズはしてみたのだが、イマイチ感は拭えない。

もう少しスマートな製品はないかと探してみると、ブランドはジッツオだがマンフロットの扱いとなっている GITZO GLEVEL というのがあった。

2種類あるサイズの大きい方(GLEVEL 2)は、同社の2型レベリング三脚に付属しているものと同等品らしい。センターポールの下端に取付けるタイプで、見た目は悪くない。

情報によると、標準装備となっているジッツォ2型レベリング三脚(GT2531LVL)のセンターポールは直径 28mm である。そのパチモンと思われる、シルイ(T-2204X)もキッチリ同サイズ(実測済)であり、このあたりはオリジナル(たぶん)製品との高い互換性を実現してしているシルイはエライ、と思うな。

価格的にも、ジッツオの名前がついている割には、¥1,070(税込送料込&即納:ヨドバシ)だったこともあって、これならイケそうだ。以前、ジッツオの製品などを導入する可能性は生涯無いと断言したこともあったが、ここにきて撤回しなくてはならない事態になったのだ。(^^;)

ただ、売り手の決まり文句である「在庫残少、ご注文はお早めに!」と表記されているし、次回入荷があるのか不明なので、いつまでもあると思うな親と金、状態であることは補足しておこう。

ジッツオ2型三脚センターポール用(G LEVEL2)は、その内径が実測 29mm で気泡管の直径も約13mm 弱と、オートポール水準器より僅かながら大きい。さすがにセンターポール用なので、フィット感はマンフロットより遙かにマシで、シルイ(T-2204X)にもピッタリである。

本来は、センターポール最下端に取付けるべき製品だが、シルイのセンターポールは収納時にいっぱい延ばした状態で脚を反転させる構造なので、縮長が約10mm ほど延びてしまう。また、その状態では円形プレート状になっている、三脚基部に邪魔されて少々見にくい。

個人的な使用法では、付属のショートポールを延長した状態で使用する事が多いので、ショートポールとの接合部に取付けた。この場所なら全長に対して 2mm の延長で済むし、位置的にも雲台ベースから 10cm ほどの距離なら見やすい。

問題の精度に関しては、そのまま中心点に合わせると約0.2〜0.3度ズレる。現在所有する水準器では、信頼性の高い UNX-5685 と HCL の2者との比較だが、サイズの小さい円形水準器、ましてやプラボディの製品である。ドライヤで熱して微調整とういう手もあるが、この程度のズレは致し方あるまい。

現実問題として、気泡管の精度ではなく取付の精度の方に問題がある製品が圧倒的に多い。しかし、そこまでの精度は、端っから追い込んで製品化されているものの方が少ないと思う。

シルイ(T-2204X)だけの問題とは限らないが、もう一つの欠点は、センターポールに回転機構がないことだ。

そのため、取付位置は見やすさを考慮して良く使うポジション、スポンジが巻かれていないポールの反対側に向くように調整した。この位置ではだいたい、円形水準器の12時方向の基準線に触れるか触れないかのポイントで水平になる。

三脚ベースで水平を出すこと自体、ある意味不毛な作業であることは、昨年のレベリングベース導入前後から感じていた。

だが、現状では Sunwayfoto DYH-66i 以上にコンパクトで高い精度を持った製品が見当たらないので、当面はこの構成でいくしかないと考えている。(もちろん、その価格も重要な要素であることは言うまでもないが、Acratech #1117 あたりには、ちょっと惹かれる)

撮影データに、どれほど反映されるのかは今後の結果待ちだが、自由雲台との組合せなら例外対処はある程度可能なので、あまり厳密に捉える必要もないだろう。したがって、あくまでもシンプルな構成による、必要最小限な機能としての追加であることは言うまでもない。

今回も少し遠回りになってしまったが、主な要因は毎度の情報不足である。何れのメーカもオフィシャルサイトでさえ、三脚のスペックに関しては、必ずしも全てが表記されていないことが多く、最適な製品選択に必要な情報を得るためには、それなりの苦労が伴う。

結果的に、汎用性の高い製品が無難であろうと妥協したのは、購入者の責任だが、事前に調べようとしても日本語による情報は限られている。やむなく、海外の情報(英語とは限らない)を頼りに、半ばエイヤア的な判断はこのようなアクセサリ類においても必要になる。

特に、そう簡単には実際の製品に触れることが出来ない地方に住む者にとって、情報の信頼度など贅沢なことは言っていられない事情もある。

ま、マンフロット(Manfrotto 032SPL Autopole Spirit Level)には、イザという時の予備としてそれなりの用途はあると思いたいが、少なくともシルイ(T-2204X)にはジッツォ(GLEVEL 2)の方が適している。

実は、この製品について書いている日に前後して、実際の使用感の確認も兼ねた、6月の定点観測と鉄撮りの練習シリーズの撮影に赴いたのである。だが、どちらも梅雨に突入した晴れ間を縫ってのスケジュールと、その移動距離もおよそ原付では無理な行程でもある。

したがって、本来シルイ(T-2204X)のコンパクト性を発揮できる状況ではないこともあって、それは次回以降に譲ることにした。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年06月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.06.08] Manfrotto vs Gitzo ?? 〜より転載&加筆修正

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