2013年12月22日日曜日

伯備線遠征:其の参

伯備線遠征シリーズの「備中神代〜生山編」である。

真夏の炎天下に備中神代駅を訪れたことも、未だ記憶に新しい。

まだ、鉄道写真にさほど興味を持っていなかった頃であるが、前回の布原などもマニアには「秘境駅」としてランキングが高く、人気があるらしい。

「秘境駅」というのかどうかは知らないが、全く予備知識など無く、ただ行ってみただけの辺境駅もある。

もう10年以上前になるが、前車であるレンジローバーに乗っていた頃、今回の様な写真を撮ることが目的ではなかったが、似たような気紛れから漠然と九州方面を目指して、ドライブに出掛けた時のこと。

そのまま、まともに山陽側を走るのも芸がないと考え(芸が必要か?)、浜田、益田を経由して津和野と萩も廻って、ついでに日本海側から九州へと欲張りにも程がある、無謀な計画を敢行(観光)したのである。

長門粟野を過ぎて、国道191号線を下関へ向かってひた走っていた時、並走する山陰本線をキハ181ディーゼル特急が、日本海をバックに疾走する姿を目撃した。これがまことに絵になる風景で、脳裏に焼き付いている。

カメラは持っていたものの、思わず見蕩れてしまい撮影はできなかった。2002年5月3日のことであるが、ずいぶん後になってその列車のことを調べてみた。だが、該当する特急に関する資料は見つからなかった。

別の機会と混同した勘違いかもしれないし、今となっては非常に怪しい記憶だが、自分の中であれはまさに白昼夢か、幻の幽霊特急だったに違いない、ということにしている。

(て、念のために今日もう一度よく調べたら、2005年まで運行されていた益田発小倉行きの特急「いそかぜ」っぽい。益田を 14:49 に発車して、小倉着が 17:44 なので、午後4時頃に目撃した記憶とも合致する。たぶんコイツだ、あ〜すっきり。)

その時、無性に空腹を覚えたのだが、近くに食事の出来そうな店も見当たらない。国道435号線との分岐点の手前で、「特牛」と表記された道路標識が目に入ったのだ。

本来なら、素直に北浦街道を南下するつもりだったのだが、頭の中では勝手に吉野家の特盛り牛丼が連想されてしまった。山間部へ向かえば、店など期待できないことなど判りきっていたにもかかわらず、国道435号線を「特牛」に向かってまっしぐら、である。

で、たどり着いた場所にあったのが、この「特牛(こっとい)駅」だ。

吉野家はもちろん、牛一頭さえ居るわけでなく、特盛りどころか並盛りの牛丼にもありつけなかったのは、言うまでもない。…余談である。

備中神代から国道182号線に出てほんの 500m ほど行くと、伯備線は国道から離れて北上するので、県道8号線を神郷方面へ向かう。

国道から三差路を左に県道へ入ると、線路を跨ぐ陸橋に D51 の銅像がある。いや、人や動物でもなくても、やっぱ像というべきなのか、それより材質は銅なのか鉄なのかは知らないが、やっぱ機関車なんだから鉄かな。

このあたりも、線路のある風景としては結構絵になる。県道に入ってからは、日が差して青空も見え始めてきたので、次の列車が通るまで待ってみた。

如何にも線路のある風景然とした景観が拡がっているので、DP1 Merrill で撮ることにした。7枚バッファを目一杯使えば、手動でも何とかなるだろう。

列車が来るまではそれでも良かったのだが、やくもがフレームに入ると広角では、背景はほとんど隠れてしまうことに気付くべきだった。

構図としてベストなタイミングの6枚目では日も陰って、絞り優先ではシャッター速度も遅くなり、先頭車両はブレているしピントもかなりあやしい。なかなか、上手くいかないものである。

神郷を過ぎたあたりから、道の脇に積もった雪が少し増えてきたが、晴れてきたので寒さは和らいだ。県境を越えて鳥取県に入ると、上石見駅手前で右手に花見山が見える。

その昔スキーに何度か訪れたことはあるが、当時はこの季節に板も持たずにこんなところへ来ることなど考えられなかった。我ながら歳をとったものだと、つくづく思う。

上石見駅を過ぎて、中石見、下石見と続き、生山駅手の前少し展けた所に下石見信号場がある。

時刻表を確認すると、やくも11号がそろそろやって来る頃だったので、その辺りを撮りながら少し待ってみることにした。

逆光気味だが光量は十分なので、少々絞ってもシャッター速度は心配しなくて済む。ただ、直線区間が長いので、6両編成でもちと寂しい絵になるのが残念だ。

いっそ、2〜3両編成ぐらいのローカル列車の方がもう少しマシな絵になったかもしれないが、なにせ石を投げればやくもに当たる伯備線である。(いや、マジで投げちゃまずいんだけどね)

その後、日南町の石霞渓(せっかけい)を撮ってみたが、県道が近過ぎてイマイチ乗らない。紅葉の時季などに、部分的に切り撮ればそれなりの絵にはなるのだろうが、絵葉書や観光マップの写真を撮りたいわけでは無い。

そろそろ、やくもを撮るのも飽きてきたので、ふと考えた。どうせここまで来たのなら、後藤工場(現後藤総合車両所)まで行ってみるか、と。

あわよくば、検査入場しているサンライズ出雲にでも出くわせばと思い、一気に米子まで足を延ばすことにしたのである。

噂よると、後藤にはちっこいサンライズ出雲バス?というのもあるらしいので、ついでにそれも拝めりゃラッキーと、お気楽に考えていたのだが、…。


…ということで、たぶんつづく。
2013年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.12.22] 伯備線遠征:其の参 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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