2014年7月13日日曜日

7月の定点観測

SIGMA Photo Pro 6 の新バージョン(6.0.3)が公開された。

今回の SIGMA Photo Pro 6、シグマからの案内メールが来て早々に、ダウンロード&インストールしてみた。

矢継ぎ早な更新で、ネタを提供してくれるのは有難いのだが、結論としての感想がいつもどおりなのが残念である。

今回も、初期バージョンより全く改善されていない点が、数多く見受けらる。先月の定点観測から漏れたファイルを生贄にして現像してみたが、大きく変わったところはなく、動作が多少安定したという程度の印象しかない。

少なくとも、メリル世代での使用においては、アプリが落ちなくなった(落ちにくくなった?)点は、大いに評価されるべきであろう。

だが、Exif から日付情報がが欠落したままだし、以前は当たり前にできていた保存ファイル名のコピペさえできないなど、旧来からのユーザの神経を逆撫でする点においては相変わらずであり、およそ改善されているとは言い難い。

古くからのシグマユーザにとっては、このようなことも毎度お馴染らしいが、どうも今回は今まで以上に準備が足りないように見える。

シグマによるクアトロのプロモーションも、サイトやカタログを見る限り、前回のメリルの時のような、これでもか!という圧倒的な魅力を前面に打ち出している感は全くない。

個人的には、DP3 Merrill のプロモーション、例の「プラハ」に崖から突き落とされて、現在に至るわけだが。そんな、感化されやすい性格の弱みをピンポイントで突いてくるような写真は、過去にもコンタックスのカタログなどに鉄板として存在した。

そのたんびに唆されては、たぶんありもしない将来を夢見て、いつかはこんな写真を撮ってみたいと、高価な買物にも無理やり自分を納得させる口実としていた。

で、その将来はまだ訪れていないのだが、その製品自体の寿命が尽きた後にも、次につながる希望として、後々の製品に託される形で受け継がれている。

クアトロがプロダクトとして成功するのかどうかはまだ分からないが、少なくともスタート地点の選択は、大きく間違っていると思う。

遅ればせながら、職業写真家よる作例もいくつか紹介され始めているが、四の五の言わせないパワーに欠けるだけでなく、逆にツッコミどころを与えている印象しかない。

ユーザが写真に期待するのは、チャートで表される解像度ではなく写真の中にある解像感であり、たしかに解像度は常に正義であるかもしれないが、それは手段であって最終目的ではない。

今回のバージョンアップが、新製品のユーザにとってどうかなど、知ったこっちゃないのであまり追求はしないことにしておく。

いまだに擁護派は、dp Quattro の解像感の無さについて、コントラストに対する味付けの違いだろうなどと、牧歌的な論議をしているようだ。必ずや、いつかは SPP がなんとかしてくれるはずだ、と。

味付けねえ…、刺し身にソースをかけて食えと言われても、フォビ厨、いやメリル派としては全く以て受入れ難い話だ。それを好みの違いで片づけられるなら、無国籍な創作料理も、弁当屋の新メニューだっていつかは伝統にはなるだろう。

刺し身にはマヨネーズと決まっているんだから、それを今更新しい味付けだからと言われても、納得できるユーザは少ないだろう。

なに、醤油だと? それぢゃあ、ベイヤになっちまうだろうが。

ま、今回の dp2 Quattro、延いてはその後予定されている dp1/dp3 Quattro についても、購入計画を断念して白紙に戻し、その上メリル万歳宣言までした身からすれば、どうでも良いことである。

ある意味、これで安心して現在のメリル三姉妹に集中できるのだから、精神的には却って落ち着いている。今の気分を語るなら、台風一家、もとい台風一過の晴天のようだ。(どんな家族だ?)

あ〜スッキリ。いやほんとマジで清々しい、さっぱりさっぱり、…。

そんなわけで、雲ひとつない青空が拡がる爽やかな風景を期待したのだが、こちらもまだ少し早かったようである。我心の内と同様に、いまだわずかに雨雲も残る、キリンビール7月号だ。

今月に入って、都合2度ほど訪れた定点観測の現場であるが、すでに田植えもほとんど完了している。地元の農家の方と見られる数人が、何やら作業をしているだけで、前回のような賑わいはない。

今月の二回は、何れも仕事を終えた帰り道に寄った、夕方バージョンである。そのせいか、不安定な露出と共に現像後もノイズが目立つものが多く、あまり満足できる結果ではない。

巷では、ゾンビ画質との悪評も耳にするメリルルックだが、商業カタログでありがちな、あり得ないほどのハイキーなトーンは個人的には好みではないので、少し暗めな写真に仕上げてしまうことが多い。

逆光写真が多いこともあって、明るい空を派手に飛ばすことなく、シャドウを持ち上げることができる X3Fill Light は日頃から重宝している。 だが、美味いモノには必ず毒があるのも事実で、主な原因はその使い過ぎにあると思う。

時として、ピクチャエフェクト感覚で、許容範囲を大きく越えて使うこともあるが、一応ローカルルールでは、±0.5 までに押えるようにしている。

いかにも、明るい(そして高価な)レンズで撮りました的にボケた背景で主題を浮き上がらせる効果は、たしかに認めないわけではない。

しかし、これといった明確な主題があるわけでもない己の写真には、いまだそのような手法もやってみただけに終わることも多く、モノクロームと同様、今後の課題であるとは考えている。

物撮りでは、開放でそのような手法も多用するが、風景写真の場合はフォーカスポイントが近くにあることは希で、よほどの理由がない限りは、開放から2〜3段(f5.6 - f8.0)絞ることが多い。

特に、DPM では最も解像する絞り(f4.0 -f5.6)付近を好んで使用しているので、被写体がスローシャッターを必要とする夜景や流れモノでもない限り、f9.0 以上を使用することは少ない。

それでも、現像のやり方によっては、メリルルックの解像感を維持しながら明るくスッキリした絵に出来ないこともないので、今回はなるべく条件の良いものから、普段より少し明るめに現像してみた。

ただ、Exif だけでは分からない現像パラメータも後からある程度分かるようにと、あえて長ったらしいファイル名を付けてきたのだが、そろそろそのフォーマットにも変更を加えた方が良さそうである。

以前から、テスト的にやっているコントラストを落として、フリンジをオフという設定も場合によりけりで、必ずしも全てに対する最適解ではないようだ。

並行してやってみた、適用量と適用範囲を 0.3 程度に抑えたグリーンフリンジ除去機能も、その方が自然に見える場合もある。また、逆にマゼンタフリンジに関しては、今のところ既定値である 0.5 のままオンにしておいても、さほど悪影響が感じられる写真は見当たらない。

困ったことに、同じ設定であっても SIGMA Photo Pro 5 と SIGMA Photo Pro 6 では、微妙に仕上がりが異なっており、できれば現像ソフトの世代交代を期にやりたかったのだが、現時点の SIGMA Photo Pro 6 の完成度では、完全移行する気にもなれない。

したがって、撮り合えずの暫定バージョンとして、以下のような設定を新しいデフォルトとして定義し、それ以外のオプション項目をファイル名に反映させることにしたのである。

[ファイル名の基本構成]
DPxM0000 RAW±L F5.6 [4M4Y EV-03FL-03 NDF]

ファイル名の前半は、写真番号・RAW現像±カラーモードおよびホワイトバランス・絞り値などの基本情報を表し、カラーモードは原則風景(Landscape)を使用する。ホワイトバランスはオートの場合は省略、それ以外はそれぞれの略号を追加するが、Exif でも確認できる撮影時のシャッター速度や露出補正値は省略。

ファイル名後半は [ ] で括り、カラーバランス補正値・露出補正値&X3FL値・既定値の種別などで、露出補正値とX3FL値の小数点を省略した表記を用いる。

例1.DP3M8283 RAW+LDY F5.6 [2M4Y EV-03FL+03 NDF]

上記例1では、 カラーモードは風景で、ホワイトバランスは「晴れ」を使用、絞り f5.6 カラーバランス 2M4Y、マイナス 0.3 の露出補正に加えて X3FillLight を+0.3 追加、既定値は新しいデフォルト値による、という構成になる。現像時の露出補正値については、それがよほどの意味を持つ場合を除いて省略。ページ内での表記は以下の通り。

DP3M8283:SIGMA DP3 Merrill 75mm F2.8
@ISO100 f5.6 1/250sec AAE WBDY Landscape


※露出モード:絞り優先(AAE)プログラムオート(PAE)マニュアル(ME)
※ホワイトバランス:オート(AWB)晴れ(WBDY)曇り(WBCD)

例2.DP2M1916 RAW-LCDDF F5.6 [00 GF0 NDF]

DP2M1916:SIGMA DP2 Merrill 45mm F2.8
@ISO100 f5.6 1/400sec AAE WBCD Landscape

例2では、カラーモードは同じく風景、ホワイトバランスは「くもり」を使用(または撮影時の設定から変更した)、露出と  X3FillLight は修正無し。ただし、フリンジ除去機能は、意図的にグリーンのみオフにした例である。(マゼンタはデフォルト値どおりの 0.5 でオン)

また、±は+(プラス)が X3FL を使用した場合で、未使用時は−(マイナス)にしている。これは、ファイル検索時の都合によるもので、大した意味はない。加えて、露出補正も無い場合は、オールデフォルトの意味で DF の文字を追加している。

また、ごく希にカラーバランスを修正しない場合もあり、この時はカッコ内は 00 で始まる。絞り値以外の[ ]内の数値は小数点を省略して表記するので、露出補正値が-10の場合は-1.0という意味である。

デフォルト(省略値)の異なる従来のファイルと区別するため、末尾には新しいデフォルト値であることを示す NDF を付加する。下は、新しいデフォルト値。ファイル名末尾に NDF (New Default) と表記されていれば、以下の項目が省略されている。 

・コントラスト(CN):-0.3
・彩    度(ST):-0.2
・シャープネス(SH):-0.5

フリンジ除去に関しては、以前使用していた GMF0305 則ちグリーンを色相範囲と適用量を既定値の 0.5 から 0.3 に減じてオンとする。例外的にグリーンのみオフにした場合が、GF0 と表記するが、マゼンタは既定値の 0.5 のまま、常時オンである。

ノイズリダクションに関しては、既定値の真ん中。変更する場合は大抵完全オフなので NR0 と表記(モノクロームの場合は常時 NR0 を使用)。倍率色収差補正は、お呪いみたいなモノなので既定値のまま常時オンである。

とまあ、自分以外には全く役に立たないことをグダグダと書き連ねてみたわけだが、このサイト自体が個人専用のアルバムみたいなものである。

かつての、ブックタイプのアルバムで行ってきた、写真を貼付けてはその情景にコメントを書込んだり、現地を思いだしながらその印象を書き連ねるといった作業を、自宅サーバの大容量にかこつけてネット上に公開しているに過ぎない、あくまでも個人の趣味である。

本来、人様に見て頂くモノのなら、ファイルサイズもネット環境に配慮して、圧縮率を高めるなどの工夫をするべきなのだろう。だが、できれば画質を落とさず残したいという、ごく私的な望みを叶えるためにやっているようなものなので、フルサイズは譲れない線なのだ。

環境が許せば、JPG などではなく可逆圧縮の PNG あたりで上げたいところだが、それやるとアップロードにも死ぬほど時間がかかってしまい、やる気も失せるので、まあそのへんは妥協なんである。

…ということで、ヒトツよろしく。

2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.07.13] 7月の定点観測 〜より転載&加筆修正

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