2014年7月3日木曜日

原付撮影行

7月である。

文月とも呼ぶらしいが、そんな風情のある暮らしはしていない。

梅雨の合間に、何度か宇野線や吉備線など主に近場の路線を撮ってみた。というか、先月の後半は、合間の方が多くて雨の降った日の方が少ない。

だが、今日あたりから梅雨も本気を出すらしいので、季節柄カビが生える前に晒しておこうと思う。

予想外の超大作となってしまった、姫新線新見方面三部作の疲れが未だ癒えていないが、先月来折を見ては行なった、原付による近場の写真も溜まっている。

かつては高速や有料道路も使わず、一日 450kmぐらいまでなら楽勝でクリアしていた。だが、当時とは交通事情や単車の排気量以上に、こちとらの体力気力も大きく異なるので、まるで参考にはならない。

いったい、原付でどの程度まで行けるものかも、一度は試しておいた方がよかろうと、少し遠方まで足を延ばしてみたのである。

何事も、年寄の冷や水にならぬよう日頃から心がけてはいるが、昔取った杵柄まだまだイケルはず、なんである。

以前、興がのれば半径 50km ぐらいなら何とかなるだろう、みたいなことを書いたので、とりあえずそれを目標にしてみた。

もちろん、百パー私用で出掛けるわけにもいかないので、毎度のことながら序での序でに、である。その都合上の方角から、定点観測の現場あたりを目標に出掛けてみたのだ。

目的地に向かって一直線なら、だいたい 30km 前後と思われる万富の工場だが、日頃車で通っているルートをそのまま、原付に当て嵌めるわけにもいかない。

そうでなくても、何かと制限も多い第1種原動機付自転車である。おのずとそのルートも紆余曲折を経なくてならず、当然2号線バイパスなどは以ての外であり、県道や市町村道、地道に裏道を駆使して到達するしか手はない。

ま、それでも普段の車での移動では、時間を優先するあまり、目的地までの行程で視界に入らなかった景色もいつもとは違って見える。速度が遅ければ遅いで、結構楽しめるので、それほど苦痛なわけでもない。

第三の営業車として今回の足となった、ヤマハのスクータを簡単に紹介しよう。

ネットで調べると、本名はジョグ・ポシェ(YV50H)という名前らしい。年式は不明だが、4〜5年落ちの中古車として購入後、すでに10年近くは経過している。おそらく、前世紀末(2000年)あたりではないかと思う。

何度かパンクの憂き目に遭うなど、突発的なトラブルを除いて購入後から大きな故障はないので、意外と丈夫にできているようだ。また、タイヤとともにプラグやら電球やらの消耗品は、不定期ではあるものの対処療法的に交換はしている。

発動機は、すでに見かけなくなった2サイクルである。最近の4サイクル原付やカブが相手なら、スタートダッシュで置いてきぼりを食らわすことも可能なほど、発進加速(だけ)はスルドイ。

ま、どうせリミッターが付いているので直に頭打ちになるし、絶対的なパフォーマンスは高が知れている。

特徴は、フロントバスケットがやたらにデカくて、布製のロールカバーが付属する。リヤキャリアやシート下のメッチ収納スペースまで入れると、トータルの積載能力も結構ある。

また、ハンドル下回りにはペットボトル(500ml)が楽に入るポケットや、コンビニフックと呼ばれる便利機能も充実しており、この点は日頃から重宝している。いわゆる、主婦層向けに開発された、買物用の下駄モデルだ。

購入当時、ミニ以前のレンジローバー時代末期であり、何かと経費削減を迫られていたので、見た目のカッコ良さよりコストや実用本位で選択したように思う。

シルイの三脚(SIRUI T-2204X)は、今回このコンビニフックに引っかける形で搭載した。カメラ本体は、緩衝材としてのスポンジを挟んでカメラバッグごと、もっとも路面の突き上げを受けにくい(ような気がする)シート下に収納した。

だいたいこの手のスクータ、フロントサスはヤワ過ぎて路面のギャップで簡単に底付してしまう。フロントバスケットの荷物が飛び出だして、路上にブチ撒けたことも何度かあって、ロールカバーが付いている意味が分かるというものだ。

シート下ならロックもかかるので、道中においてコンビニなどの買物にも、リスクが少ないだろうと考えてのことである。フロントバスケットには、軽食やお茶の類い、その他雑多なモノをコールマンの保冷バッグに入れて放り込んでおく。

また、保冷バッグにはカメラ本体も1台なら収まるスペースが残っているので、撮影場所の移動など短距離であれば、一時的な利用も可能である。

当然、シンプルな組合せでのテストも兼ねているので、DPM3台+シルイのみで、その他のお道具(2台態勢セットやインデックスローテイタ)などは、お休みである。各種フィルタ類ぐらいは、保冷バッグに収めることも可能だが、あえて持ち出すことはしなかった。

一仕事済ませて定点観測の現場に向かったのは、その日午後になってからである。真夏ほどではないにしても、当日は日差しも強く、結構疲れたというのが正直なところ。

寄る年波には勝てないのは情けないが、今年は夏が来る前に、左半分も日焼けして均等になったので、まいっかである。

最終的な走行距離は、事前の予想通りトータルで 95kmといったところで、平均燃費はだいたい 35〜37km/l だった。カタログスペックによると、60km/l などという極めて楽観的な数値も見受けられる。

しかし、それは原付の法定速度、時速 30kmの定地走行が前提である。道路交通法に定められた、制限速度を完璧に守れるならそれも決して夢ではない、という程度に理解しておくべきだろう。

したがって数値的には、はたして良いのか悪いのか微妙なラインである。

これは、長距離走行時のミニと比べても2倍程度でしかなく、積載能力や道中での天候変化など、臨機応変な対応を迫られたときのリスクなども考えると、必ずしも大きなメリットともいえない。

撮影地の環境によっては、想定しておくべき例外処理も広範囲におよび、合羽やパンク修理剤程度では、一抹の不安も拭えない。

それこそ、イザとなったら捨てて帰るぐらいの覚悟は必要だが、その場合不法投棄で罰せられることがないように、善後策も考えておかねばなるまい。

いずれにしても、誰かに救援を依頼しても即断で拒否られる可能性の少ない、またローカルニュースのネタになるほどの大事にならない程度の距離が、無難であろうと思ったのである。



…ということで、今月もヒトツよろしく。

2014年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.07.03] 原付撮影行 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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