2013年10月27日日曜日

憂鬱

アップルの憂鬱な話ばかりしていると、気分も暗くなる。

天気も悪いと、気分も暗くなるのが普通なのだろうが、こと写真やカメネタとなればそうでもない。雨の日には雨の写真が撮れるのだから、土砂降りでも気分は晴れるのである。

真冬の暖かい部屋で食べるアイスクリームや、真夏の熱々激辛ラーメンみたいなものだが、一歩間違えると厳寒の雪山で遭難中のかき氷とか、水を求めて彷徨う赤道直下の砂漠でカステラみたいな、拷問のようにもなる。

要は、状況に応じた楽しみ方さえ知っていれば、天気など気分を左右する要素にはならないのだ。

なんと、本日2本目の連チャンだが、さすがはカメネタのモチベは留まるところを知らないな。

インデックス・ローテイタを活用した、パノラマ写真はまだまだ先の話だが、今回はまたまた失敗談である。撮影機材絡みなら、失敗談でもそれなりに楽しんでいる自分が、可笑しくもあり不思議でもある。

どうも、レベリングベース DYH-66i に絡んだ、機材の選択は鬼門だ。

現状ではレベリングベースに直付けしているローテイタを、如何に簡単に切り離すかを検討した時、一番に思いついたのはレベリングベースに最適化された DDY-64iL である。または、単独でパンベースとしての機能も兼ねるという点では、パンニングクランプの64mm版 DDH-01 というのもアリだろう。(☜これが間違い)

ロングノブ版の元祖 DDY-64 はすでに入手困難な状況だが、DDY-64i を経てロングノブ版の後継 DDY-64iL が出ているので問題はない。

だが、パンニングクランプの 64mm 版 DDH-01 には、直系の後継機種は現在のサンウェイフォトのラインナップには存在しない。そんな状況からインデックス・ローテイタ(DDP-64M)の導入に至ったわけであるが、単なるパンベースとしては、本来なら DDH-01 が相応しいのである。(あらら)

今ではディスコンになっている、64mm 版のパンニングクランプ Sunwayfoto DDH-01 であるが、価格は高いものの絶滅したわけでもなく現在でも入手可能である。しかし、2万円を大きく超えていては、そんな用途で導入するのは、いくらなんでもバカバカしい。

ところが、64mm版のパンニングクランプなら、サンウェイフォト以外にも選択肢はあるのだ。

前回、ローテイタを紹介した時にチラッと呟いたことのあるデスモンド(Desmond)というブランドの製品で PC-1 というものだ。この手の製品にしては、まるで名が体を表していない掟破りな製品型番であり、同じ中華製品とはいえ、いやが上にも胡散臭さ満開である。

このブランド、アマゾンなどでもよく見かけるのだが、どう見てもサンウェイフォト(Sunwayfoto)のパチものにしか見えない。掲載されているさほど大きくもない写真でさえ、なんとなく安っぽさが見え隠れするのだが、もちろんそのぶん価格も相当安い。

国内のアマゾンでの価格はせいぜい2割程度しか違わないが、海外のショップに目を向けると、半値以下も珍しくない状況である。

eBay あたりでは、前述の DDH-01 の国内流通価格に比べると、外見上ほぼ同等品(に見える)Desmond PC-1 の価格はなんと 1/4 以下($59.75)という、おいおいほんまにだいぢょうぶかと心配になるぐらいの激安ぶりだ。

今でこそ円安で時期が悪いとはいえ、送料($13.41)を払っても 7,500円程度なら、52mm 版の DDH-02i よりも安いのだ。

ここで、当初予定していた円形クランプ(DDY-64iL)の導入計画がぐらついたのである。アマゾンの並行輸入品を取扱う業者の中では、比較的良心的な価格を提示しているアクアクランの DDY-64iL は ¥5,200 であり、もちろんアマゾンが発送するので送料は無料である。

だが、パンニングクランプは最低でも軒並み9千円以上で、ましてや 64mm 版となるとおよそ手が出る価格のものは皆無である。あわよくば、その機能と見た目の整合性も兼ね備えた両取りができることに、スケベ根性が働いたとしても責められない事情もある。

Amazon US でも同じ業者(OEC Camera)が扱っているが、なぜか $10 も高い。Amazon US は、元々日本向けの送料が高いので、製品到着には多少時間はかかるものの、送料の安いアメリカ郵便(USPS)を利用して eBay から取り寄せてみたのである。

支払いは Paypal 経由でカード払いができるのでさほど面倒はないが、国内のアマゾンと宅配便の速さに慣れた身には、注文から到着まで10日もかかると、結構しびれがきれる。

テキサスからシカゴまで運ぶのに5日もかかった揚げ句、その後はトラッキング情報もロクに更新されないので、いつ国内に到着したのか不明のまま、忘れた頃に突然ポストに入っていた、という状況である。

で、問題の Desmond PC-1 であるが、やはり価格なりのモノでしかない。比較対象があって初めて価値がわかることは多いが、その典型のようなものだ。

サンウェイフォト自体、はたしてパチものが現れるほどの製品なのか、という疑いは正直自分の中にあったのだが、デスモンドを見て確信したのである。これはレベルが違うぞ、と。

実際、eBay には製品名はおろか製造元も明記されていない、サンウェイフォトもどきもゴロゴロしている。たしかに価格も安いが、さすがに手を出す気にはなれない怪しさ一杯である。

アルカや RRS から見れば、サンウェイフォトなどパチモンでしかないという意見もあるかもしれないが、少なくともその作りに関しては不満のないレベルを保っていると思う。

が、しかし残念ながらデスモンド、少なくとも Desmond PC-1 は2ランクぐらいは落ちる。

まず、梱包からしていい加減であり、白い段ボールにプチプチだが、製品自体はプチプチに包まれてもおらず、ただその上に乗っているだけで、箱のなかで遊んでいる状態である。

サンウェイフォト製品が、たかがクランプひとつでも付属のネジやレンチまで、その形状に沿ったスポンジを切出して収めたパッケージを基本としているのに比べると、かつての安かろう悪かろうの中華製品を思い出す。

梱包など多少雑でも、正味の製品が良ければ安物買いとしては十分満足できるのであるが、製品自体もそれなりすぎるのである。

箱から出して手に取った時点で、軸受けから漏れ出したかなり粘性の高いグリスでべとついており、触るもの全てがギトギトになってしまう。したがって、まず最初の儀式は掃除からである。

また、ご丁寧にも丸い水準に加えて、縦横方向にもう二つも水準器を装備しているが、その精度はいずれもお笑い草で、てんでバラバラな表示をする。この手の水準器にはもう何も期待しない体になってしまっているので乾いた笑いしか出てこないが、相当な脱力感がある。

次に、クランプの回転が殊の外重たい上に、全周の特定部分でさらに極端に重くなる箇所がある。およそ、軸受けの精度が出ていないことが予想される。全体の渋さは、気温が上がれば少しは軽くなることも期待できるが、部分的に引っかかるのは頂けない。

極付けは、ロックノブがベース部分より下にはみ出しているので、DDY-64i で起こっていた出っ張りとの干渉問題が、ここでも DYH-66i への取付を阻害しているのである。

ただ、これはデスモンドのせいではない。あくまでもこちらのミステイクであり、まるで学習機能が働いていないことを証明したに過ぎない。

勘違いの元になっているのは、最近のサンウェイフォト DDH シリーズと違って、パンロックノブが上部の回転部分ではなく、ベース側に設置されていることだ。

これに関しては、パチッた元と思われる DDH-01 も、よくよく見ると同じようにベース側に設置されている。したがって、仮に高価な DDH-01 を購入したとしても同様に干渉は避けられない。

色々なサイトで確認したつもりだが、どこにも DYH-66i に直付けできるという例などないにも関わらず、DDY-64iL と同様にロングノブであるという事実のみで、できると考えてしまったようである。(あ〜あ)

それでも、付属の AM-01 相当品は入手できたし、クランプとしては実用上問題はなさそうなので何らかの用途はあるに違いない、…と思いたい。

最近よく訪れる S.C.V Photo Ideas のサイトでも、デスモンド製品は頻繁に紹介されており、何度か参考にしようと眺めてみたことはある。しかし、自慢ぢゃないが英語の文章からその製品に対する、微妙なニュアンスを読み取れるほどの読解力は持ち合わせていない。

個人的にはお勧めしないが、その価格とそれに代わる該当製品がないモノに関しては、デスモンドもそれなりの魅力はあることは確かであり、いくつかのオリジナリティ溢れる製品も存在するメーカである。

ま、汎用レールぐらいならそれほど失望することはない、と思う。

かつては、スケールも刻印されていないいかにも怪しげなモノも見受けられたが、最近の製品では外見上もかなりまともになっている。サンウェイフォトが製品化していない、微妙に長さの違う製品もあることだし。(^^)

サンウェイフォトのパンニングクランプが実現している、スムーズな回転を基準にすれば、お粗末極まりないレベルであるが、逆にデスモンドのおかげで、同じ中華のサンウェイフォトに対する見方が、多少変わったような気がする。

上を見ればキリがないのは、どのジャンルにも共通することだが、下を見れば果てがない、その底は日本人の目からは信じられない深さであったりするのも、中華製品の特徴であることを忘れてはならない。

身の丈にあった製品の選択という点においても、自分の使っている製品の現在位置を知る上で、貴重な体験であったと考えている。

あっちゃ〜、やっちまったぜい。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.10.27] 憂鬱 〜より転載&加筆修正

0 件のコメント:

コメントを投稿