2013年10月6日日曜日

沼の楽しみ方

今日はスティーブの命日、あれからもう2年になる。

当初騒がれた、スティーブ不在のアップルは今後はどうなる、などという話も最近ではあまり聞かれなくなった。

巨大船アップルの進路などそう簡単に変わるはずもないが、間違った方向へ進んだら、その修正も簡単ではない。

マーヴェリックスが、いったい何時どのような形でユーザの前に出てくるのか知らないが、iPhone の騒音にかき消されて、最近は Mac な話題もあまり聞こえてこない。

だからどうしたというわけではなく、個人的には既に Mac 自体が、生活に溶け込んでいる。仕事上のことはさておき、今のシステムにさほど不満もなく、早急に何かを大きく変えなければならない、ということもない。

細かいことを気にすればキリがないのは、アップル製品に限ったことではないし、踊り場状態に見える現状も見方を変えれば、安定期にあると言えなくもない。そんな状態も以前はあまりなかったので、それも時代の変化として受け止める必要があるのだろう。

かつてはたしかに存在したアップル沼、今では水質も改善され底も浅いプールになったが、少なくとも溺れる心配はなくなった。それは、良いことと考えねばなるまい。(ま、カルキ臭いだけで面白くはないが)

別に、A.ドロイドや窓に鞍替えする気も更々ないので、アップールのことはしばらく放っておこう。

アップルネタでネガティブな部分ばかりをツッコむより、カメネタでフェイバリットな話題の方がなんぼかマシだと思うし、あたりまえだが書いていて楽しい。

で、標題の通り沼の話である。

濁って、淀んで、およそ透明度などない、ちょっと油断した途端に足を掬われ、ヒルやピラニアなんかも居そうな、メタンが悪臭を放つ密林の底なし沼、である。(^^)

[2013.10.08] 追記・補足:Update

物撮りの練習もかねて、Sunwayfoto 中心のシステム展開を撮ってみた。

久々に出番を得たオリンパス E-410 だが、カメラより環境作りの方がより重要であることが実感できた次第である。

レベリングベース(DYH-66i)を土台に、パンニングクランプ(DDH-02i)を常設。これに、2ウェイ雲台(DT-02D50)のトッププレートをパンニングクランプ(DDH-03)に交換したものを載せるというのが、現在のメインシステムである。

雲台のボトム部分は基本的に太ネジ(UNC3/8)だが、トッププレートやクランプ、レールなどには細ネジが使われていることが多いので、一般的には変換アダプタを介して互換を採る。

しかし、撮影現場での雲台交換を考えると、ヘキサレンチなんぞでチマチマやってりゃ、たいてい小さなネジが行方不明になったり、道具を忘れて帰ったりとロクなことがない。それなら、各々をユニット化してクランプで取付/取外しをした方が、手っ取り早いし楽だろうと考えたのだ。

いろいろとテスト撮影を行った結果、メインシステムである DT-02 & DDH-03 の場合は、いつでも2台目を設置できるように汎用レール(DPG-2416)を使ってレベリングベースに載せるのが、現状ではベストであることが判明した。

普段は手持ちか一脚での使用が多い DP1 Merrill の場合、従来コスト的には自慢の洗濯鋏クランプを使用していたが、その限界も著しく低い。撮影条件が悪化したら直ちに三脚へ移設できる方が便利であろうと判断し、シュミレーションも行ったが、大きな問題はなかった。

また、滅多にないが広角の DP1 Merrill が、単独で三脚を優先使用することも想定して、その対応に SIRUI L-10 を有効利用する方法も採ったのである。

幸い一脚専用から、三脚サブシステムに昇格した SIRUI L-10 のボトムはアルカ互換になっている。パンニングクランプ(DDH-02i)にダイレクト設置が可能であり、ベースに載った瞬間から独立パン機能を持つ2ウェイ雲台に変身する。

ただ、L型プレートを DP3 Merrill に奪われたので、現状では縦位置には対応できない。いずれ Sunwayfoto PML-DP かパンニングクランプを追加する必要があるだろう。

実は、当初レベリングベースには価格も安いシンプルなクランプを取付ける予定だったが、ネット上に紹介されていた製品レビューの写真を鵜呑みにして失敗した経緯がある。それも合わせて、自戒の念をこめて披露しようという魂胆である。

問題のサイトにある写真には、レベリングベース(DYH-66i)に2本の細ネジ(UNC1/4)を使用して、丸形クランプ(DDY-64i)がキッチリ取付けられている、ように見える。

が、取付はできても実際には使えない。なぜなら、レベリングベース周辺にある三ヶ所の出っ張りの一つがが干渉して、クランプを完全にロックできるところまで、締めつけることができないのである。

DYH-66i に取付けるには、ベース部分の厚みがノブ径よりも大きいパンニングクランプや、 丸形クランプではロングノブを採用した DDY-64iL のようなタイプが必修である。よもや、DDY-64i の型番末尾の (i) があるから対応であろうなどと、勘違いしてはならない。(未確認だが、当然より小径の DDY-58 もたぶんダメだろう)

リンク先(http://www.scvphotoideas.com)は、現状ではサンウェイフォト製品に関する情報を得られる数少ないサイトのひとつであり、個人的にもよく参考にする。

英語はまるで得意でないし、グーグル翻訳をあまり過信してもロクなことにはなるまい、とは思っていたんが、実際に取付けられた写真まで見せられたら、…ね。

丸形クランプ(DDY-64i)は、インデックス・ローテイタ(DDP-64M)など周辺に出っ張りがないディバイスには対応しているが、レベリングベース(DYH-66i)には非対応である、と断言しておこう。

内径6mm/外径10mm/厚さ1mm のリングワッシャを3枚程度かませば使える可能性はあるが、こちらは未だ検証中なので断言は出来ない。ホームセンターなどに売っている汎用品は、内径6mm だと外径はたいてい13mmぐらいになるので、はみ出しがクランプのベースと干渉してペケであり、余談である。

ただ、シンプルなクランプでは実用上色々と問題もあったので、結果的にはパンニングクランプ(DDH-02i)の追加導入を決断するきっかけにはなった。(当初、DDY-64i とノブの交換ができればラッキー、と思ったが甘かった)

インプルーヴモデルの識別点は、ロングノブとシュー取付部分の両端が若干スラントしていることである。ただ、このロングノブもまた別も問題をはらんでおり、色々な面でショートノブモデルも必要な場面はある。

新製品の発表後、併売期間が終われば終息することは間違いないので、価格が見合えばあえて旧モデルを選択というのもアリかもしれない。このあたりは、新しい方が安くて良くなっている、コンピュータ関連製品と同列に比較できないところだろう。

なお、並行輸入品にはノブの形状や水準器も複数バージョンが存在し、ただ単純に新旧だけでは、製品の仕様を特定できない場合も多い。

アマゾンの製品写真など全く当てにならないが、正規品だからといって、そんな保証があるわけではない。かつての国産品では常識のようなモノを中華製品に求めるより、価格と品質という正味の部分で割切るしかないのが実情である。

そんなところにも、サンウェイフォト沼の難易度の高さがあり、なかなか一筋縄ではいかない情報不足の困った点でもある。

Sunwayfoto DDH-02i は、DDH-03 の姉妹品 DDH-02 の改良版であり(i はインプルーヴの略だそうな)、3本のガイドを持つことでクランプの締付のタッチは明らかに従来型の DDH-03 より改善されている。(グググッと、きしむ感じが少なくなった)

回転するベース部分は、ギリギリまで薄型化されているので若干頼りない気もするが、上位モデルの DDH-03i はそれほど極端ではない。

型代わりの時期なのか、真っ当な価格で販売していた業者の在庫が尽きたようで、アマゾンの DDH-03 の価格がずいぶん高くなってしまった。逆に新製品の DDH-02i に関しては、AMAZON US のドル建てに比べてもそれほど違わない。そんなことも、背中を押された理由のひとつである。

DDH-03iN という付属プレートを省略した低価格版もあるが、未だ国内流通がないかあっても高価であり、良心的な価格設定の輸入業者における取扱が始まるまで、今しばらく時間はかかるかもしれない。

したがって、まともな流通が整っていない製品の購入に際しては、現状での価格も考慮する必要があるので、評価は難しい。(廻っていない鮨の値段みたいなモノで時価、である)

これは想定だが、メインの DT-02 & DDH-03 を単独でレベリングベースに設置する方法も、考えておいた方が良かろうと思い工夫してみた。いわば避難訓練みたいなものに過ぎないが、あらゆる局面に対応できることが、ここの製品の真骨頂である。

前述のように、1三脚2台態勢での使用を前提に組上げた関係で、単独使用の場合2ウェイ雲台の使い方はちょっと特殊な取付方法となっているが、これをいつも撮影現場でやるわけではない。

あくまでも、サンウェイフォトのシステマティックな点を、生かせる例となるので紹介しておく。

レベリングベース(DYH-66i)には、パンニングクランプ(DDH-02i)が常設なので、これに取付けるためにはアルカ互換のシュー形状が必要になる。DT-02 のトップの形状は単に対応しているだけでなく、正方形なので 90° 方向のいずれも対応できるのだ。

まず DT-02 のトッププレートを外す。位置決め用のピンが2本あるので、これを無くさないように注意が必要である。よっぽどのことでもなければ、絶対現場ではやりたくない作業だが、事前に構造を知っていれば慌てることもないだろう。

これで、アルカ互換のシューが現れるので、上下逆さまに取付ける。

ボトム部分には、カメラを取付けるためのシンプルなクランプをひとつ用意しておく必要があるが、前述の失敗談で都合よく?円形のクランプ(DDY-64i)が手元にあるので、これを利用する。

DDH-03 をそのまま付替えると、トップのパンニングがカブって3重になるのであえてやっていないが、もちろんやってできないことはない。

デザイン的にも、DT-02D50 に付属している角形のトッププレート(DDC-50)よりは相性は良い。だが、決してピッタリではないので、見た目の問題はいずれ考えることしよう。

ベース部分のパンニングは DDH-02i が担い、縦位置などの独立したティルトは DT-02 が担当する。

この使い方のメリットは、オイルダンプされたボトムのパンベースの方が DDH-02i より抵抗が大きいので、アングル変更などには向いていることだろう。(この使い方はメーカが推奨しているわけではない)

また、トッププレートが容易に交換できない SIRUI L-10 もこの発想を適用すれば、汎用性が拡がる可能性も持っている。

汎用レール(DPG-2416)などがあれば、トップ(すなわちボトム)はアルカ互換の形状なので、倒立で使用することにより拡張性をもたせることができる。たとえば、DDH-03 と相性の良い 58mm 径の丸形クランプ(DDY-58)などを併用することで、パンニングヘッドを簡単に取付けることができる。

SIRUI L-10 の場合、ベース部分を起点としたパンニングはできない。だが、 レベリングベーストップのパンニングにより、全体が回転することで十分カバーできる。少なくとも個人的には、実用面でもさほど不便を感じたことはない。レールを使用した時点でオフセットされる可能性が高いので、あまりパンニングのセンターにこだわる必要はあるまい。

ところで、サンウェイフォトの製品は、必ずといっていいほど取付に必要なヘキサレンチとネジが複数付属している。プレートの類いは簡単に外れるので交換は楽だが、基本的にシューは別売りである。このことからも、カスタマイズすることが、前提であることが伺える。

対して、シルイ製品には対応するクイックシューとポーチまで付属しており、初めて購入する人には至れり尽くせりである。レンチも付いているが、あくまでもシュー取付のためであり、バラシ用のサイズは付属していない。

これは、両者の対象とする客層が全く異なることの一端で、決して良い悪いの問題ではない。どちらが正味かは、ユーザの選択であり余談である。

本来、レベリングベーストップのパンニングクランプは、何が相応しいのか考えてみた。

パノラマ写真にはさほど興味がないので、当面インデックス・ローテイタなど導入する予定はない。しかし、汎用性とコスト的な観点からパンニングクランプ(DDH-02i)を選択したものの、三脚上に常設するなら DPP-64 シリーズもアリかもという気もしている。(実際価格も、DPP-64S なら DDH-03 より安かったりする)

だが、インデックス・ローテイタについて、その機構などがイマイチ理解できていないので、ここではあくまでも可能性の話として留めておきたい。

現有機材では、耐荷重もそのサイズも少し大きい DDH-03 をレベリングベースに付けて、小型軽量な DDH-02i を2ウェイ雲台(DT-02D50)のトッププレートとして、というのが自然だろう。


ところが、DT-02 のパン機能を持った膨らみのあるボトム部分とパンロックノブの位置関係から、DDH-02i のロングノブが干渉する。で、あえて逆の配置となっている。

実用上、縦位置でティルト範囲が狭まるだけなので大きな問題ではないのだが、たまたまそれが発生しない機材があるなら、そちらを使った方がよかろうと考えたのである。

これは、自由雲台(SIRUI K-20X)と Manfrotto 190CXPRO3 の組合せでも発生しているので、よくあることなのかもしれない。締付ノブは長い方が使いやすいが、カメラを取付ける方向を良く考えないと、ローテイトした時などに組合せたディバイスと当たってしまうことがある。

セッティング段階でできる回避策もあるが、二度とないシャッターチャンスを逃す結果にも繋がるので、事前に対策を講じておかねばなるまい。

58mm 径の DDH-03 には、対応する丸形クランプ(DDY-58)があるが、残念ながら現状では 52mm 径の DDH-02i には対応製品がない。なにか別の方法でマウント部分を工夫すれば、なんとかなりそうな気もするので、そのうちにやってみようと思う。

前回もパンニングクランプの汎用性については言及したが、クイックリリース本来のメリットを生かすには、現場でヘキサレンチとネジを回していたのでは間尺に合わない。

裏表にクランプをもつ MCP-01 や、国内流通では少し高価であるが、DDB-53(Bidirectional Double Clamp)DDT-53(Dual Double Subtend Clamp)などを上手く利用して運用効率を上げられることが、サンウェイフォト製品を使用する最大のメリットと言えよう。

また、円形クランプ(DDY-58)などの用途が広い製品を使えば、価格的にはより安くあげることもできる。要は、ユーザの工夫次第で問題解決だけでなく、新たな可能性を発見するきっかけとなる要素を多分に持っている。

今回、自由雲台で問題になる不自由度は、より不自由なもので解決できるという、新たな発見があったと考えている。そして、上手く組合せることで各用途向けの製品から選択するより、実は使い勝手はよくなる、と。

個々の製品に関する情報は未だ多くないのが実情で、そのことが無駄にハードルを上げているように思う。 このあたりが、サンウェイフォト沼の深さであり難易度なんだが、あまり深いところへ行って溺れるより、そこそこ浅いところで楽しんだ方が勝ちであり、価値があると思う所以なのだ。

したがって、あくまでも自分の楽しみの延長として書いたに過ぎない駄文が、少しでも製品購入のまたは購入断念の手助けになれば幸いである。

写真機材に関して、それを体験したこと考慮せずに単なるムダと考えるなら、また支払った費用の総計だけで判断するなら、別の最短距離を模索した方が賢い選択になるだろう。

また、より高機能と高精度(で高価)な製品でなければ得られない満足を求めるなら、評判の良い高級品を選択した方が面倒がないし、それは金で解決できる問題だ。

だが、いきなりゴールを目指すより自分自身の要求が何処にあるのか見極めながら、少しずつステップを上がって行きたいなら、サンウェイフォトのようなシステマティックな製品展開に付き合って行くのも良い。

ただし、ユーザ側に問題意識とそれなりの工夫が必要だが、それさえもパズルのように楽しむことができれば、ぶっちゃけこの沼は結構面白いぞ。



…ということで、ヒトツよろしく。
2013年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.10.06] 沼の楽しみ方 〜より転載&加筆修正
なお、本家には写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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