2014年9月20日土曜日

伯備線、再び

サンライズ出雲のついでに回った、伯備線を少々。

昨年暮れに、ジムニーの試乗を兼ねて訪れた伯備沿線である。季節柄、若干中途半端とは言え、県北らしい絵が撮れたことに気を良くしていた。

当時は駅よりも、どちらかといえば沿線の風景をメインにしていたのだが、一連の鉄道ワサビシリーズ(侘寂、略してワサビ?)にも含めておこうと考え、県道8号線をそのまま北上したのである。

特急列車の運行がある路線というのは、さすがに鄙びた駅舎や、サビの効いた景観を期待するのは無理がある。

これは、あくまでもごく個人的な見解であるが、写真に取りたくなるような風景というのは、駅周辺の景観はもちろん重要だが、駅舎やホーム、そして線路のレイアウトなんかも結構気になる要素となる。

線路のある風景というのは、それだけで郷愁を誘うところがあり、極論すれば必ずしも列車が写っている必要はないのである。

撮り鉄の風上にも置けない不届き千万な意見かもしれないが、もっと言えば、列車が邪魔になる場合もあったりするのだ。(☜暴論だ)


もちろん、伯備線の場合も沿線の風景としては、充分な魅力はある。

しかし、意外に多い本数の割には、沿線の足として利用されているわけでなく、その経路にあるほとんどは、ただの通過駅にすぎない。

駅に何を期待するかによるが、秘境駅として(たぶん)名高い、備中神代や布原も、駅としての景観はそれほど魅力的とは言えない。

鉄道フリークには、廃鉄と呼ばれる廃線マニアも存在するらしい。確かに、かつて繁栄していた頃を想像する楽しみも、理解できない訳ではない。

だが、廃止や廃線になったらそれでお終い、そこで時間が止まってしまうと、城跡や古墳などの遺跡と同じ記念物になり、個人的な興味の対象から外れてしまう。

どこかに、そんな思いがあるからだろう。やはり、現役で利用されている駅や路線の方に魅力を感じる。少しテンポを落とした日々の生活や、落着きのある風景に惹かれるのは、たぶん歳の所為に違いない。

伯備線は、訪れてみるまでもなく時刻表を見れば一目瞭然で、これはもう「特急やくも」の為の路線といっても過言ではない。

かつてのエル特急、いや今でもエル特急みたいなもんだが、その定義も曖昧で、正式に指定を解除された現在もヘッドマークには未だに、Lの文字が表記されているから、たぶんエル特急なんだろう。

要するに、昼中の運行がメインで、運行本数の多い在来線の特急列車の愛称だった。

使用されている車両は、主に後藤総合車両所に所属する、振子式の381系直流特急形電車である。

そのデザインは「電気釜」と呼ばれる高運転台の形状で、軽量化と振子作用を容易にするため、ボディはアルミニウム合金製らしい。

この 381系電車、外見はそれ以前の 183系に似ているが、183系に比べて車体下部の裾絞りが大きい。

車両限界への抵触を防ぐためということだが、振子作用によって車体が傾いた時、あっちこっちにぶつかっては具合が悪いからだろう。

ま、そうでもしないと、おそらく曲線区間に設置されている通過駅のホームには、間違いなくぶち当たるだろうな。また、重心を下げるために、重量物である冷房装置などは全て床下搭載としており、屋根の上にはパンタグラフぐらいしかない。

良く言えば、すっきりしているのだろうが、そのせいで電気釜がやたらに目立ってしまい、個人的にはあまり好きになれないスタイルだ。

先頭車両は年代により、貫通形と非貫通形、そしてパノラマグリーン車の編成が存在する。

今回も、ロクに下調べもせずに撮影に臨んだので、アコモ編成を期待していたら、パノラマ編成がやって来たりして、脱力したことも何度かあった。

どうもこのパノラマ車両というヤツは、どこか私鉄の電車のようで、国鉄車両らしくないのがイマイチだ。

いや、もう国鉄ぢゃねえんだから、あたりまえっちゃあたりまえなんだが、乗り鉄としては歓迎でも、外から眺めた時には絵的にどうもねえ、…。

そんな、やくもを何枚か撮りつつ、前回別の経路を選択したせいで端折ってしまった、生山から先の路線を通ってみたのである。

といっても、さほど撮影意欲をそそる駅もないので、主に線路際からの撮影が多い。

生山の手前では新郷、上石見などを少し、国道180号線に入ってから、申し訳程度に、 黒坂駅と江尾駅を撮ってみたに過ぎない。

また、上石見信号場の直線区間を通過する、やくもを狙ってみたが、あまり芳しい結果ではなかった。

それよりも、ここまで来るとどうしても気になるのは大山(だいせん)である。昨年来た時は、山頂に雲がかかっており、少し残念な思いをした。

だが、今回も前回以上に雲に覆われて、午後からは青空も覗く晴天となったにも関わらず、大山山頂だけは雲が晴れることはなかった。

それでも、米子市内に入ってからは、岡山県南では撮りたくても撮れない絵が、幾つか撮れたように思う。

その後、芸備線も欲張ってみる予定だったので、あまりゆっくりも出来なかったのが残念である。

だが、逆に時間的な制限のおかげか、あまり多く場所を望まなかったことで、短時間とはいえかなりの枚数を撮っていた。

結果的に、端から見れば似たような絵柄が多いのであるが、 定点観測以外では、久々にじっくり撮れたような気がしている。

そのあたりは、次回以降「米子と山陰本線など」で晒そうかと考えている。

いずれ、山陰には雪景色でも撮りに来てみたいと思う。

その時は、是非とも「やくも」に乗って来ることができたらと期待しているが、実現は極めて難しいような気もする。果たしてどうなることやら。


…ということで、ヒトツよろしく。
2014年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2014.09.20] 伯備線、再び 〜より転載&加筆修正
なお、本家には余談と写真も多数貼ってあるので、こちらもヒトツよろしく

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