2013年9月23日月曜日

現実のコストパフォーマンス

立て続けの更新である。が、実際は一つの話があまりにも大作になっちまったので、分割したに過ぎないのだ。

で、前回の続きというか、一応レベリングベース導入の第二部完結編みたいなものである。

写真機材には、どれもお約束のように水準器が付いてくる。中には、どう見てもこれは実用にはならんだろうというレベルのものも少なくない。

にもかかわらず、一番必要なカメラ本体には付いていない機種も多い。電子機器として、これだけ進歩したかに見えるデジカメであるが、 iPhone にも付いている程度のものを標準にすることが、なんで出来ない(しない)のだろう。

シグマには事あるごと(それほど多いわけでもないが)要望していることなんだが、他社の状況がどうなっているのかは、興味がないので実はあまり知らない。

ま、±1° 単位の iPhone (iOS7.0) のコンパスでは、暇つぶしのゲーム程度にしか使えないのだか、単なる水泡でしかないアナログチックな水準器でも、マシなモノなら目が慣れれば ±0.3 ぐらいのズレは判断できる。

問題はその精度であり、いくら沢山あってもてんでバラバラな表示には閉口する。各水準器の本当の中心点を探るために、前回は宝伝くんだりまで出掛けたのだが、どいつもこいつもいい加減にも程があるという実態に呆れ返っている。

たかが、アクリルのサイコロごときに何千円も出せるものか、というユーザ心理にもう少し歩み寄ってはくれまいかと常々考えるのだが、アナログでキッチリ精度を出すことは、かなりコストがかかるのだろう。

しかし、高けりゃ信用できるというわけでもないのが、悩みの種である。

以前より気になっていた一脚用雲台 Sunwayfoto DT-01D50 に対して、見た目が良いという理由だけでは SIRUI L-10 の倍の対価を容認できないと思ったが、今では必ずしもそうとは言い切れない気がしている。

その上位モデルに DT-02D50 というのがあり、一般的には一脚用の簡易雲台として認識されているが、必ずしもそれだけでは終わらない。最初に一脚を購入した頃、なんで独立したパン機能が付いているのか理解できなかった。そんなの一脚回しゃいいぢゃん、と。

購入当初 SIRUI L-10 の使いにくさに関して、一脚にはティルトトップ(1ウェイ雲台)という固定観念に囚われすぎた結果であろうと考えたのだが、逆に Sunwayfoto DT01D50 および DT02D50 を一脚用雲台としてしか見ていなかったことが、間違いだったのだろう。

SIRUI L-10 は、トッププレートの取付方向が固定である上に、その部分のみ交換するようには考えられてはいない。あるがままの仕様でコストを抑えており、その割に精度は高い。一般的な使い方では問題になることはなく、一脚用の製品としては完成度も高いと思う。

シルイ製品の特徴は、各製品ごとに完成品としてのコストパフォーマンスが最大になるように考慮され、ユーザの要求がその想定範囲内で収まるのなら、初期投資は最小限で済むことである。

しかし、要求が少しでも変化すれば、それに応える拡張性という点において、サンウェイフォトの製品群に大きな利点がある。

<基本的な仕様>
Sunwayfoto DT01D50(1ウェイ雲台 + クランプDDC-50)
Sunwayfoto DT02D50(2ウェイ雲台 + クランプDDC-50)

製品番号の末尾 D50 はトッププレートの形式を表しており、クランプ が付属している。クランプのないベーシックモデル(DT-01/DT-02)もあり、基本的な仕様は全く同一である。

Sunwayfoto DT02 のベーシックモデルに着目すると、クランプが装着されるトップは SIRUI L-10 のベース部分と同じ形状をしている。

それを見てアクラテックの社長の顔が思い浮かんだ。別に、スコット・ドーディック(Scott Dordick)氏の顔が雲台に似ているわけではない。(無表情ではある)同社の製品には、三脚に対して上下逆に取付けることにより、非常にシステマティックな対応をウリにしていたことを思い出したのである。

価格はさておき、Acratech Long Lens Head のように、トッププレートが簡単に回転できたら完璧だろうと思うが、そういえば、Acratech Long Lens Head にも独立したパン機能があった。

また、その製品名(望遠レンズ用?)の何処にも for Monopod という記述がないことにも違和感があったが、その外見から勝手に一脚用(それもずいぶんと高価な)雲台と判断していた。

この時点で、サンウェイフォトの製品がアクラテックと同様に、システマティックな対応を考慮して作られていることが理解でき、新たなモヤモヤを誘発した疑問も氷解した。(おせえよな)

話をもどすと、一脚用雲台(に見える)にもかかわらず、独立したパン機能持った Sunwayfoto DT02 であるが、もちろん、そのままではカメラはおろか何も取付けることは出来ない。しかし、単体として製品化されている同社の製品群をよく見ると、トッププレートだけでも相当な数があり、用途に応じて細かくカスタマイズできるのである。

その中で、Sunwayfoto FB-36DDHi などの自由雲台、Sunwayfoto DDH-02/03 等のパンニングクランプシリーズを再度じっくりと眺めると、以下の疑問に対する解答が見えてくるのである。

疑問:パン(水平回頭)は雲台のベース部分で行うべきか、それともカメラ直下のクランプベースで行うべきか。
答え:両方出来るのが一番なんぢゃね?

なるほど、その通りである。

サンウェイフォト製品群の特徴は、各製品を構成するパーツがセットだけでなく単体でも販売されており、あらゆる組合わせが可能なように作られていることだ。

同社または、規格に互換性のある製品を使用しているユーザが新たな使用法を模索しているなら、現有機器に対して最小限の追加投資で、それを実現できる可能性を提示しているのである。

Sunwayfoto DT02D50 を例にとった場合、パン(水平回頭)は雲台のベース部分で、と考えるならそのまま使用すれば良いし、 カメラ直下のクランプベースが適当と思えば、追加投資さえ必要ない。ただ、ひっくり返せばいいのだから。

トッププレートはヘキサレンチで簡単に取外しができるので、付属の UCN3/8 アダプタを使用してボトム側へ付替えることで、簡易パンニングヘッドができ上がる。どちらも欲しいユーザは、Sunwayfoto DDH-02/03 なりを追加することにより、如何様にも対応可能なのである。

前述のパッケージ製品として、Sunwayfoto FB-36DDHi などのトッププレートは、汎用品として別売りもある DDH02i であり、型番も明記されている。別形式のモデルを購入してもトッププレートの交換で何時でも同等品になるだけでなく、より高機能な(またはシンプルな)カスタマイズもユーザの思いのままにできる可能性を持っている。

パンニングクランプ DDH-02 を付けた場合、L型プレートを併用して縦方向にカメラを取付けてローテイト(横回転)すると、パンニングクランプはジンバル雲台のような動きで独立したティルトを実現する。前回 SIRUI K-20X で玉砕したアプローチにも、すんなりと応じることができるのだ。

また、鉄道写真などのワンチャンスに賭ける撮影の場合、バックアップ用のカメラも一台の三脚上にあった方が何かと都合が良い。そのためには、DPG-2416 のようなレール状のクイックリリースプレートもラインナップされており、クランプを介して2台の雲台を取付けることもできる。

当然、洗濯ばさみで一脚を保持するような杜撰なスタイルより、遙かに安定した撮影が可能になる。

豊富な製品ラインナップを見ると、なんでこんなモノを製品化しているのか素人には直ちには理解できない。しかし、各機材の実際の運用において遭遇した問題の解決策を探しだすと、必ずここの製品群にブチ当たるのである。

過去には、Sunwayfoto DBH-52 のように自由雲台でありながら、パン/ティルトが独立でコントロールでき、必要ならレバーまでも付けられる、かなり無理目な製品もあったらしい。価格やサイズはさておき、機能的には当面の問題に対する一つの解決策かもしれない。(現在はカタログ落ち?)

だが海外に比べて、国内では未だ情報が少ないのも事実である。個人ユーザの人柱的情報が頼りであるし、その数も国外の記事が大半を占める現在、ユーザ側でよほど積極的に収集しないと、個々の製品について得られる情報には限りがある。

もちろん、RRS を筆頭に KIRK や Markins、同じ中華の BENRO などにも探せば、似たような製品は数多くあり、価格も幅広く展開している。オリジナルがどっちか知らないが、正味を求めるユーザにとってはあまり関係ない。

より高級品であるアルカスイスの製品群にも機能や精度だけなら、遙かに上回る製品を提供している。それも、たった一つの製品でユーザの要求を全て満たすような、ある意味理想的なものである。

少し前の、どこがモノボールやねんとツッコンでみたくなる、2重非球面ボールを採用した3ウェイ雲台モノボール Z2 や 最新の D4 ギアヘッドなど、当初は機能過剰な製品にしか見えなかったが、今ではユーザが行き当たる問題をことごとく解決する万能選手のようにさえ感じる。

問題があるとすれば、全部入りの、裏を返せばユーザの用途によっては現時点では不要、または過剰な機能や精度を持たせることによって、高級品にありがちなケタ違いな機能・性能と引換えに、ケタ違いな対価を要求されることだろう。

その機能は必要になってから追加したい、と思ってもそれほど選択肢があるわけでもない。まるで、即金オンリーで月賦は利きませんよ、と言われているようなものであり、悪いこと言わないからこれにしておきな、と言われてもハイそうですかと容易く従えない事情もある。

また、価格だけでなく国内流通において、手に入れやすいことも重要な要素である。送料や支払い方法、トラブった時の対応などを考慮すると、あまり一般的ではない流通経路は避けたいと考えるユーザも多いのではないだろうか。

その点、アマゾンでも相当数の商品が取扱可能となっていることが、サンウェイフォトの有利な点である。

ただ、並行輸入品の中には法外と思える価格を設定している業者も多く存在する。アマゾンに限らず、複数の業者が取扱う商品については、どれが真当な価格なのかをある程度多角的に調査しておく必要はあるだろう。

ディスカウントというのは、基準になる価格があって初めて成立するものであり、それが判らないと高い安いの話にはならない。ましてや、お勤め品と高級品の区別がつかないと、お値打ち品を判断することは出来ない。(いわゆる、通り相場というヤツである)

個々の製品については、何を今更という部分もあるかと思うが、あくまでも SIGMA DP Merrill シリーズで使用してみた感想であり、話の土台が変われば別の評価もあって然るべきだと思う。また、何事もステップがあり、現時点ではこのように感じたという、一つの記録としたい。

以上のことから、現実のコストパフォーマンスに優れるものは、ただ初期の機能と価格だけでは一概に断言できないし、固定観念を捨てることも時には必要だということである。

個人的な話をすれば(それしかしてないけど)、何時になるかわからないが将来的には、サンウェイフォトの製品群を選択することが、増えそうな気がするのである。

と、完結したのかしていないのか自分でもよく判らないが、一応区切りとしておく。


…ということで、ヒトツよろしく。
2013年09月某日 Hexagon/Okayama, Japan

http://www.hexagon-tech.com/
[2013.09.23] 現実のコストパフォーマンス 〜より転載&加筆修正


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